あらすじ
【2020年本屋大賞受賞作】【映画化決定 2022年5月公開 監督・脚本 李相日 出演 広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子ほか】最初にお父さんがいなくなって、次にお母さんもいなくなって、わたしの幸福な日々は終わりを告げた。すこしずつ心が死んでいくわたしに居場所をくれたのが文だった。それがどのような結末を迎えるかも知らないままに――。だから十五年の時を経て彼と再会を果たし、わたしは再び願った。この願いを、きっと誰もが認めないだろう。周囲のひとびとの善意を打ち捨て、あるいは大切なひとさえも傷付けることになるかもしれない。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。本屋大賞受賞作。/解説=吉田大助
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「せっかくの善意を、わたしは捨てていく。
そんなものでは、わたしはかけらも救われない。」
温かい両親の元で幸せな暮らしを送っていた家内更紗(かないさらさ)は
ある事情で両親を失い、伯母の家に引き取られることになった。
自分の居場所がないと感じるようになった更紗は、ある日公園で一人の青年・文(ふみ)に家に来ないかと誘われーー……。
男と女。大人と子供。加害者と被害者。
人をカテゴライズし、勝手な解釈で物事を把握してしまうことの危うさに気づかされる作品です。人を「かわいそうな人」だとラベリングし、保護しようとすることが本当に正義なのか。善意は無条件に正しいものなのか。当事者たちにしかわからない「本当」があるのではないだろうか。
主人公二人の静かな幸せを祈りたくなるような、そんな一冊です。
ぜひ読んでみてください。
感情タグBEST3
文が警察につれていかれる時に泣き叫ぶ更紗の声が脳内で再生されるようでとても辛かった。文の家に転がり込んだ傍若無人な更紗に文が少しでも救われていたならよかった。梨花が2人の良き理解者になってくれてよかった。最終的に亮と完全に関係を終わらせることができてよかった。一筋縄ではいかないけど、更紗と文がまた一緒になれてよかった。いろんな感情がごちゃ混ぜになって、ひどく悲しくもどかしく、悔しく、じれったかったけど、これは悲しみの行き場のない女の子と男の子の美しい話だった。
Posted by ブクログ
吸い込まれるように作品の世界観に入り込めた。
夢に出てきたくらい。
他人事としてこの事件のことを知ったら、私も大多数の人と同じく、引いていただろう。
でも、更紗と文から語られる言葉を通して真実を知ると、彼らの気持ちに共感さえしてしまう。
真実は当人同士にしか分からないし、他者は事実を通して物事を判断する。
世の中で起きる事件、身近な人のトラブル、自分も一般的な価値観でしか物事を見れていないだろう。事実の裏に隠された真実があるかも知れない、という可能性も含めて物事を判断できるようになりたいと思った。
Posted by ブクログ
最初のページのファミレスでの男女と少女の関係性がわからず、モヤモヤしていたけど最後になるにつれてようやくわかった。とにかく切ない。わかってもらえない事実と真実の違い。私たちが見てる情報はどこまで正しいのか。勝手に間違えて伝えられている部分も世の中にはたくさんあるんじゃないかと、いろいろと考えさせられる読書体験でした。
Posted by ブクログ
「真実と事実の違い」について書かれた一冊。
外側から物事を見た時、人は自分の中の真実を作り上げてしまう。その真実が本当に起きた事実とはかけ離れていても、人は自分の中の真実を曲げようとしない。なんなら、その真実を裏付けるようなことを探し求めてる。そうやって事実とは異なる真実が膨らんでいくと、事実に目を向けられなくなってしまう。そして当事者をさらに窮屈な場所へと押し込んでしまう。
「流浪の月」では、恋愛ではない男女の関係性が周りにレッテルをどんどん貼られていってしまう話だった。実際に、現実世界でも恋愛に限らず、被害者と加害者が生まれる出来事では真実と事実の乖離が起きることは少なくない。そして皮肉なことに、被害者の方が世の中から勝手に様々なラベルを貼られ、窮屈な思いをすることが多い気がする。なんで被害者の方が苦しい思いをしなければいけないのか。そんなことを考えさせられる一冊だった。
Posted by ブクログ
他人に向けようとする優しさが、本当にその人の為になっているか、を考えさせてくれる本
自分の見えている世界から施す善意は、当事者には迷惑になっていることがある。
まさに、事実と真実は異なる、だと思う。
汝、星のごとくから
Posted by ブクログ
ほんとに人は見たいようにしか、物事、人を見ないってことを二段階で解らせられた、最初は物語の中で更紗の発言から、勝手に優しくされたり、可哀想な人間だって自分の好きなように解釈されることがあるってことを解らせてくれた、もう1つは、読書の自分自身も勝手に文をロリコンだと決めつけていた、終盤の文の生い立ちを知ったあたりで自分を含め人は勝手な解釈をする生き物だと解らされた。
Posted by ブクログ
この本を読み終える頃には、当たり前。普通。常識。そんな固定概念を少なからず持ってしまっている自分に反省しました。昨今LGBT問題を目にする事も多くなりましたが、こんな愛のあり方もあるのかとハッとさせられました。
自由である事は理解されない事も多いし、そうあろうとする事は息苦しい世の中であるなーとも感じました。この本を読む事でまた新しい価値観が見出せた一冊です。
Posted by ブクログ
週刊誌に書かれた誰かのタレコミを、真実かもわからないまま自分の歪んだ正義感で話を広げていく。自分のレールから外れている人をおかしいと言う。SNSが発展してからより顕著になった事実と解釈の歪みが、どこにも充てることができない悔しさや怒りになっている私の心にスッと入り込む素晴らしい物語だった。読み終わった後、正でも負でもない涙がじわっと広がった。言語化できなかった、できたとしてもどうしようもならなかった気持ちに気付かされた気分。読んでよかったです。
Posted by ブクログ
人はどこまでも真実を見ることはできないのかもしれない。更紗は誰にも真実を見てもらえないことにずっと苦しみ続けていたけれど、更紗もまた語られるまで文の真実を見ることはできなかった。社会の人々のコミュニケーションは解釈だらけでだれも真実は見ていないし、誰しも自分だけの真実を持っているのかもしれない。
文も更紗もどうか幸せに生きていって欲しい。
Posted by ブクログ
「出来事にはそれぞれの解釈があり、その間でもがく」というフレーズがすごく印象的だった。私が周りの友人に恋愛相談することにあまり気が進まないのは真実と事実は違うから相手に自分とは違った解釈をされるのが嫌だからだ。ずっと感じていたモヤモヤが言語化されていた。
真実を知らない周りの人達との人間関係が表現されていて辛かっただろうなと思った。でも最後には、真実を知る人だけで手を取り合って幸せになろうとしている姿が見れて安心した。この2人でよかったな。
Posted by ブクログ
すごく面白かったです!
また、表現が繊細で分かりやすく、文字を読むのが苦手な自分でも読みやすかったです。
少し自語りになりますが、私は「これがみんなにとっての普通だ」と断言できるほど、普通の中にいる人間ではありません。だからこそ、日頃からどこか救われなさのようなものを感じています。
ですが、この本は、普通ではない自分にも「誰かと命綱を握り合うこと」の素晴らしさを教えてくれました。
むしろ、少数派で、他に逃げる場所がないからこそ、「みんなが思う普通」から外れている者同士だからこそ、強く命綱を握り合えるのかもしれない。そんなことも思わせてくれました笑
この本を読んで、少しだけ将来に希望を抱くことができて、幸せな気持ちになりました。
また、この作品は「事実と真実の違い」にも深く触れていて、私のネガティブな考えを少し和らげてくれる薬のような作品でもあります。
少数派であることや、誰にも話せずに抱えているものがある人には、ものすごくおすすめしたい作品です。
きっと、ほんの少しだけでも救われると思います。
Posted by ブクログ
大変面白かった。
私は「汝、星の如く」を読んだあとにこの小説を読んだが、「仮に自分がこの立場だったらどうするだろう」という自分なりの正解が見つけられない、という点で共通していた。朝井リョウなどもそうであるが、「自分なりの正解が見つけられない」小説は素晴らしい小説だと私は思っている。
「事実」と「真実」は異なる。今回の話だけ見れば、週刊誌やネット上での議論がいかに浅く、愚かなものであるかを改めて感じた。
外面だけ見てわかった気になってジャッジしている、それは誹謗中傷のみならず「優しさ」にも適用されることを感じた。
最後の解説でもあった通り、普通を自任する人が「普通でない」と思われる人に対し「普通」を突きつける、それが凶器であると言うことも知らずに。ということは往々にしてある。
そして「自任」している以上、世の中には「普通」に見えて「普通でない」人は多くいる。多数派なのかもしれない。そのような人に対して普通を押し付けるのは、善意だとしても、それは思考停止、想像力の限界を意味する。
私は、そういう人間にはなりたくはないなと思った。ときに「普通でない」論理で、「普通でない」人を助けられる人になりたいと思った。
Posted by ブクログ
おもしろすぎ~~ すごい作品だ
後半の怒涛の読ませる勢いがすごい
凪良ゆうの作品はとてつもない純愛の話で好き
幸せとは、愛とはなんだと考えさせられる話だった
主人公たちの周囲の現実が生きづらくて、辞めてくれよ、、って鬱映画以上に心を抉る展開だったが、後半の話が面白すぎて素晴らしかった
他の作品も読もう
Posted by ブクログ
本物の思いやりと優しさがわからなくなる作品。根底から覆される物語。真実として当人たち同士でしかわからない温度や距離があるということ。誰にも何も邪魔できないけど、常識や世論がそれを邪魔する。『そういうことがあるかもしれない』という可能性や憶測にしかならないし、事実だけ切り取られるこの世の中では生きづらいなとも思う。表面的には語られる言葉や善意も、当人たちの本当の助けにはならないということ。むしろ、息苦しさにしかならないということ。-考え過ぎは良くないのかもしれない。見えないものは見ないようにする努力と、それを見たいと思い、追い求めてしまう好奇心。うまく使い分けるしかなさそう。
Posted by ブクログ
イッキ読みした!
最初は美味しそうな表紙だなと思って手に取ったのですが、内容もとても良かったです!
読んだ後に表紙を見るとちょっと内容を思い出すというかなんというか。
とても読みやすかったです。
Posted by ブクログ
ひとりは怖くて、恐ろしい。
なのに、人は他人を完全に理解することはできない。「あなたのため」の優しさが、人を傷つけ、遠ざける。この人とは一緒にいられない、一緒にいたら苦しい、と線を引かざるを得ない。
けれど、ずっと、ひとりは怖くて恐ろしい。
更紗も、文も、わたしたちとなにも変わらない。
ひとりが怖くて、他人に理解されなくて、他人を理解できなくて、遠ざけられて、遠ざける。
それでもひとりが怖いから、と世界に順応しようとしていた2人は、もう一度出会って、ひとりではなくなった。
更紗と文が一緒にいる限り、ひとりになることはないだろう。
世界中が全て敵にまわっても、なんて言葉があるけれど、きっと2人はそうなのかもしれない。
梨花という理解者もいる。それは2人にとって大きな救いになる。
わたしも、ひとりは怖くて恐ろしい。
レールを外れたくない。でも、レールに沿って進むのはもっと難しい。
わたしがどうしていきたいのか。それを確かめるために何度も読み返したくなる一冊だった。
Posted by ブクログ
欠けている2人が、強力な引力で結びつく。
そこにある切なさと、残酷さと、散りばめられ小さな優しさ。
一気読みしながら、思わず泣いてしまった。
事実と真実は違う。
物事は、どの面を見るかで彩りが大きく変わる。
どうか2人が幸せでありますように。
そう願わずにはいられない。
本屋大賞を受賞しただけある、魂が震える名作。
Posted by ブクログ
「事実と真実は違う」
この言葉がこんなにも突き刺さる小説はこれしかないと思う。
読む手が目が止められなかったです。
常識や正義感や善意という名前がついているどこもなにも尖ってないのに、人を刺せる刃物に
たくさん刺される文や更紗に切なく、
また文と更紗が出会って、他人同士なはずの男女が恋愛とは違う何かでお互いを
優しく支えあって、想いあっている姿に、
色々とあったとしても、
2人があの時出会ったことに意味があったし、
出会えてよかったのだと思えました。
「わたしの手にも、みんなの手にも、
ひとつのバッグがある。
それは誰にも代わりに持ってもらえない。
一生自分が抱えて歩くバッグの中に、」
「中身はそれぞれちがうけど、
けっして捨てられないのだ。」
消して消えることのない心の痛みをバックに
例える凪良さんの言葉の紡ぎ方も
とても大好きでした。
どうかどうか文と更紗が穏やかに
この先を過ごせますようにと
願ってしまう作品でした!
Posted by ブクログ
読み始めたら感情移入しちゃって止まらなくなって一気に読みました。読み終えて感じたこと1)多くの人の考え方に倣うことへのプレッシャー、果たしてそれが誰にも常に正しいのか、という問いかけに、ぎくりとした。いい子であること、立身出世を目指すこと。自分もかくあるべきと信じてきたし、我が子にも押し付けていました。2) 更紗は虐待の事実をなかなか言えなかった。トラウマだから、と理解せねばならないが、更紗は自分が死んでもどうなってもふみの無罪を言いたいのに、それでも言えないのは、まだ何かあるのかと思ったが。言おうとすると吐いてしまう、とか、心身に異常を生じるとか、言えなかった苦しみの描写があってもよかったかな。3) カップルの稼ぎと、尊大と服従の関係。時代遅れなようで根強い男尊女卑は今もあるテーマ。DVは論外だが、亮の勘違い甚だしいのは痛いほど哀れだが、この慣習と現実について、安西さんは肯定していて更紗も納得しかかっているところが逆に面白い。白黒じゃ、ないのね。4)更紗はふみがロリコンと憶測し続ける。そのうち誤解と判明するのかと思いきや、ほぼあたりで、逆に意外な展開であった。5) ふみは、なかば自暴自棄で後のことも予想しつつコトを起こすが、母に反旗、な面はあったとしても、心を病んでいた感がもっとあってもよかった気はする。家族に与える影響、大学生ならわかるでしょ。東野圭吾の『手紙』を思い出してしまった。
人はみな弱さを抱えて生きている
めちゃくちゃ情景が思い浮かぶいい表現をするんだけどそのせいでものすごく心の内側に感情や心象風景が入り込んでくる
だからかなりしんどい気持ちとめちゃくちゃ羨ましいなという気持ちになった心に残る1冊
考えさせられる
実際に自分を投影できるような内容では無いが、人間関係、大切にしたい人、その人にとって本当に良い対応をできているのか、幸せとはということを再度考えさせられた。LGBTQについても自分には関係ないからと思っていたがこれからの人間関係において少し考えてみようと思った。
事実とは
凪良ゆうさんの作品は初読。更紗や文の気持ちや言葉が丁寧に書かれていて、繊細さとか、儚さをすごく身近に感じた。映画公開時に簡単なあらすじは知っていた。読もうがどうか迷っていたが、読んでよかった。事実を知ってどうなるのか?それを伝える意味はあるのか?色々、考えさせられた。
深い
読んで良かった。
当事者にしか分からない真実が、上手く伝わらなく、真実ではない事が事実として広まっていく辛さが読んでて少し苦しかった。
最高でした…!
凪良ゆう先生は美しい彼きっかけで読み始めるようになったのですが、この本もめちゃくちゃ良かったです。本当にこの作者の本はハズレがないです。更紗と文の物語が実際に身近で起きているかのように感じられ、何度も感情移入し、感情を揺さぶられました。紡がれていく文章がとても美しく、読んでから一日だった今でも、いくつか好きな文章を思い出せるほどです。非BLで激しい内容も少ないため、他人に気兼ねなくおすすめしやすいところも良いです。
一人一人の荷物
「彼女の話Ⅱ」、「彼の話Ⅰ」までを
一気に読んだ。
こういうことかと思った。
私たち人間は一人一人が自分にしか
上手く扱えない荷物を持っている。
自分の弱さが相手を傷つける。
だが、そうそう荷物に見合った力が
与えられる、あるいは力があることに
気づけるものでもない。
この話には、一番意地悪なめぐり合わせがある。
でも、一面では最上の相手に会ったともいえる。
結末は明日読もう。
更紗の思いや事件の真実が、世の中に受け入れられず違った解釈のままである事に対してもどかしさを感じると同時に、これが現実なんだというやりきれない思いで複雑な心境になった。
そんな事件を経験した後で、共に生きて行くという選択をした2人を誇りに思う。
堂々と生きていって欲しいと願う。
良い作品と出会えました
真実を聞いてくれる誰かが現れないか、この2人が自分らしく生きることは許されないのか、読みながらとにかくもどかしくて苦しい気持ちでした。自身の物事の見方や考え方、受け取り方を考えさせられる場面が幾度もあり、また、言葉選びに良い意味で何度も衝撃を受け、読了後は何とも言い難い気持ちになりました。良い作品に出会えました。
せつないけど優しい
優しかった世界に、近づいてきた黒いもの。そこから逃れようとしても落ちていく闇。ただ静かな場所に居たかっただけなのに許されなくて壊される。
最後に辿り着いた場所はいつまで優しく静かにいられるのだろう。
そんなことをしみじみおもいました。
流浪の月
文と更紗、お互いが支えとなり生きてこれた事、2人の思いが同じだった時、ホッとし泣きそうになった。世間の目は辛いものだったけど。
読み終わるのがもったいなくて途中で読むスピードをゆっくりにした。凪良ゆうさんの他の作品も読んでみようと思う。久々にハマった作品でした。
Posted by ブクログ
やっぱ心理描写がすごい、きつい、心がぐちゃぐちゃになる。
なのに何故か止まらなくて、読み進めてしまう。
自分とかけ離れた世界の話なのに、なんでこんなに感情移入してしまうんだろうか
自分の感情を完全に曝け出すことなんてできないから、この本に代わりに発散してもらってるような気さえする。
汝、星の如くもそうだったけど、あぁ2人はこれで良かったんだなって最後少しだけ救ってくれたから良かった。
凪良さんって、人間は心の底からは理解し合えないと思っているけど、1人だけでも自分を理解してくれる人がいたらいいなって思ってそう
読み疲れた...
Posted by ブクログ
「恋愛」だけではない男女の関係は沢山あること、そして偏見だけの報道を見て全てを知ったような気持ちになり、物事を判断してしまうことの危険性を改めて実感させられた。この小説はなんというジャンルに当てはまるのだろう。
Posted by ブクログ
優しさでしんどくなった経験があったから深く共感した。自分が善意だと思ってした行動が暴力にもなりうること、事実と真実は異なるかもしれないことを分かっている人はどのくらいいるのだろう。自分は自分の中の善意や普通を押し付けるのではなく、その人がその人らしくあれるようにそっと隣で寄り添える人でいたいと思った。
Posted by ブクログ
「真実と事実は違う」という言葉が最後まで頭に残った。
他人は真実を何も知らないくせに、勝手にドラマチックな物語を仕立て上げ、それを事実として扱ってしまう。
同情する素振りも、時には「善人である自分」に酔っているだけなのかもしれない。
知らないことには口を出さなければいいのに、人は他人の人生に意味を与えたり、物語を作ったりすることに快感を覚えるからやめられないんだろうな。
この作品を読んで、「理解すること」と「決めつけること」は紙一重だと思った。
誰しも人に触れられたくない領域がある。でも同時に、理解してほしいという矛盾した願いも抱えている。ただ、その感情はあまりにも複雑で、本人ですらうまく言葉にできない。だから口を閉ざす。
すると周囲は、語られなかった部分を勝手に補完して、「わかるよ」「大変だったね」と先回りした言葉をかける。
それは寄り添っているようで、実は相手の柔らかい部分を傷つけてしまうこともある。
推測で理解したつもりになるくらいなら、本人にずけずけ聞くほうが誠実なのかもしれないね。
文と更紗の関係は興味深い。
周囲から見れば、更紗が文を慕うことは理解できず、「ストックホルム症候群」という言葉で片付けられてしまう。
私ももし真実を知らなければきっとそう考えていただろうし、更紗を救うつもりで文から引き離そうとしたかもしれない。
でも読者だけは知っている。2人が過ごしたあの2ヶ月が、世間の解釈では決して説明できない時間だったことを。
家族でも恋人でもない。それでも人生で最も安心できる存在になってしまった。
周囲が2人を理解できないほど、その記憶は2人だけのものとして特別になり、誰にも踏み込めない場所になっていく。
その距離感は恋愛とも家族愛とも違う、不思議な引力を感じさせた。
文と更紗は、育った環境も価値観もまるで違う。それでも互いの生き方を変えようとはせず、心地よい不干渉の中で過ごしていた。
無理に歩み寄ることなく、少しずつ相手の生活や価値観が自分の中に溶け込んでいった。
気を遣って合わせる関係ではなく、自然と混ざり合っていく関係になってしまったら、他の誰にも超えられないよね。
物語終盤では、文の秘密が明かされる。
"普通"であることが強く求められる家庭で育ちながら、自分の意思ではどうにもならない身体の事情によって、その"普通"から外れてしまった文。その絶望は計り知れない。
だからこそ、自分に性的なものを求めない更紗は、文にとって安心できる存在だったと思う。
幼い頃も、大人になって再会した後も、更紗は変わらず文を文として見続けた。
そのことが、"普通"でいなくてはならないという呪縛から文を解放したんだと思う。
『汝、星のごとく』に続いて凪良さんの作品を読むのは2作目で、共通しているものも見えてきた。
主人公は、親の身勝手さによって人生を大きく歪められる。生まれながら最も近いはずの親から安心を得られず、偶然出会った誰かだけが唯一の居場所になる。しかし、2人の関係は社会から見れば受け入れられない存在だ。
凪良さんは、その関係を肯定したいのではなく、「なぜその人だけが救いになってしまったのか」を描いているように思う。
社会的な正しさと、当人にとっての救いは必ずしも一致しない。その苦しさを知った上で、それでも最後は「自分がどう生きたいか」を選び取る主人公たちは、とても強い。環境によって一時的に弱くなってしまうことはあっても、最終的には自分の人生を引き受ける覚悟を持つ。そんな凪良さんの描く主人公に、私はいつも憧れてしまう。
Posted by ブクログ
恋愛とは違う人間関係で、強く惹き付けられる間柄になる。事実と真実は同じもののはずだけど、社会で真実がつくられる。何気無い自分の一言で、周りの人を傷付けていないかを自問する機会になった。
Posted by ブクログ
新しい世界を見せてくれた。普通の優しさが人を傷つけることがあるのだと知った。
どうしようもなく救われない。二人はもはや救われたいとも思っていない。
読みながら「どうしたら良かったのだろう?」と思ってしまう。良い悪いではない。事実と真実と解釈があって、それぞれの個人がいかようにも認知する(してしまう)。
更紗の元彼氏が最後に、「俺の気持ちを話して何が悪い。更紗が仕事をクビになったのは更紗と会社の問題。」「おまえも自由に生きてるじゃないか。それぞれ自由に生きる権利があるんだからな。だから俺も自由にしていいだろう。それをおまえも認めろよ。みんなが自由に生きて、みんなの自由を尊重するために、みんなが我慢をする。矛盾してるけど、そういうことだろう。自分は自由にするけど、自分を傷つける事柄は嫌がらせだからやめてくれって、それが通るなら、おまえのしてることはただの身勝手だ」って言ってた。
皆、おそらく自由の中で生きてるけど、それが普通という大衆の認知があり、でもそれはある人を傷つけている。でもどれもこれも自由の土台の上だから許される。
なのか?
自由ではなくもっと縛れば皆傷つかないのか?
自分の優しさや目線、声掛けが相手を傷つけていたり攻撃として捉えられるという気づきはあったものの、どう言動をしていくのかを迷うことになったな。
しんどい描写もあるのだけれど。
とても滑らかな文体で、また表現される心の細かな描写に引き込まれる。こんなふうに表現できたら、この気持ちの表現を知っていたら、もっと相手に優しくなれたかもしれない。自分にも。言葉で人を傷つけることは少なくなるのかもしれない。。。そう思った。心配して声をかけることも、無神経にしないかもしれない。事実と真実は違う。私を取り巻くニュースや出来事をそのまま受け取ることを躊躇してしまいそうだ。でもそういう人が増えたら、心無い振る舞いや発言、言葉ははもっと減るかもしれない。読んでいてしんどい描写もあるのだけれど、読み終わって少し優しい気持ちになれた気がする。
映画を先に観ました。
映画で理解できなかったところなどの答え合わせがしたくてこちらを読むことにしました。私の中では映画より活字でのこちらが深く心に刺さりました。
良作です
現実に対するもどかしさは残るものの、そこはリアリティーとして受け入れれば良作だと思います。
でも思う。
「それでは世界はあまりに救いがないではないかと」
切実な女の子の話を読んで
文章が優しめな表現によって構成されているため非常に読みやすい。主人公の心情描写にも心惹かれるが、彼女を取り巻く人間関係にも注目して欲しい。
Posted by ブクログ
男女他人で年の差もあっても 恋愛とは違うなにかでつながることもある。それを理解する大人は今の日本には少ないかも。
愛情は恋愛の他にもいろんな愛がある。
恋愛よりもすごい愛がいっぱいあると思う。母親から本当の愛を受けた人が1番幸せだと思う。
居場所
居場所がどこにも無い、二人の物語。心の置き所や平穏な生活を与えられない二人の行き着く先はお互いを理解し、赦しあえばそこが二人にとっての安住の地であり最良の居場所を見つけた二人の物語。
Posted by ブクログ
それがどれほどのことだ、と。
なんで?なんで?これはわたしの身体だ。これはわたしだけのものだ。さわらないでと拒絶する権利がわたしにはある。
行為を拒むために、嫌だ、以上にどんな理由が必要なのだろう。さらなる説明をして、それを聞き入れてくれるよう懇願しなければいけないのだろうか。
それがどれほどのことだ、と。
「ごめんね。わたしも、あなたにひどかったね」
悲しくて切ないが、すがすがしい
かなり特殊なシチュエーションだが、15年後のいろんな展開の中にあっても、更紗のフェアな考え方がすばらしい。
匿名
本屋大賞だから買ってみたけど
私は夢中になって読むことはできなかった。途中で真面目に読むのをやめた。登場人物の行動や思考の流れに共感することはできずなんでそうなるの?と疑問が湧いた。思ってたのと違う方向に進んでいく物語は読むことに疲れた。多数派の感想が面白いと支持してる内容なので面白いのだろうと期待していたが勢いで購入して後悔を感じ泣きたい気持ちになった。私は少数派の読者だった模様。本屋大賞が面白い本ではなく売りたい本を推すということであればこれを売りたいという事なんだろう。今後本を選ぶ時は受賞作品よりも自分の信用に値する人の声を参考にしようと思う。この作品がつまらない訳ではなく自分には合わなかった。それだけです。人にはオススメしない泣ける作品