痛快。夫に北京滞在してほしいと懇願され、自由を謳歌していた菖蒲アヤメは中国へ。
目の前のものを楽しむ、どこへでも行き、適度な距離の友だちを作りその場を楽しむ、根っからのポジティブ天才。
読んでても爽快で楽しい。しかも北京の話がまた面白い。
必要な言葉は真似して覚えて、ダークなところは嗅ぎ分けて近づか
...続きを読むないまでも観光客が遠慮しそうな地元を闊歩する。
美杏に「ショーブ姐さん」と呼ばれる最後は子どもが欲しいと懇願された夫に三行半 笑
なんちゅうキャラや。
やりたい放題、言いたい放題なのがいい。
良いと思えない人もいるかもしれないが、作家の表現の自由かと。エッセイ寄りの私小説とも違った、でもどこか作者なんじゃないかな、と思わせる感じ。
面白かった!
死んだトリとの距離が近い北京で珍しいモノは一通り食べた中で、アヒルの脳が手の親指の爪ほどの大きさの脳はかに味噌に似た濃厚な味らしい…
渇望も羨望も叶えられず、手の届かない遠くにいるときが1番輝いて見えるのかもしれない。 p.29
君に怖いものがないのが怖かったんだ。中国に来てからも、そういう風に感じることが多かった。でもこんな風になってから、どんなときでも平常心でいられる君を頼もしく感じるようになった p.70
もちろん精神勝利法で手に入れられるのは、怪しく卑しい種類の勝ちだ。正しくて客観性のある、スポーツマンシップに則った正規の価値とは程遠い。でも、この世にまったく卑しくない価値なんて存在するのかな?蹴落とされて泣く敗者がいる限り、勝ちに喜ぶ人間の本性等しく皆卑しくない?なぁ?p.123
女性はポーカーフェイスが必須です、これだから女は感情的で話にならない、とは言われなくなります。怒るなんてもっての外。男が鼻血出そうなほど怒ってても、森林でヨガしてるくらいの無の境地でいなさい、それでようやく対等です。銀座ママに教えこまれたこと p.131
でも大丈夫、私が私を見捨てる日は永遠に来ない。
p.140