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Posted by ブクログ
綿谷りささんが17歳の時に書いたデビュー作で文藝賞を受賞した作品。17歳の綿谷さんがこの作品を書いたなんて本当にびっくり!
毎日みんなと同じ生活を続けることに疑問を感じる朝子は、友人の光一から「まあもし疲れてるんなら、一回学校休んで休養とったら?」「いいじゃない休みたいだけ休んだら」と言われ、登校拒否児になる。
お母さんの目を盗んで夜中に自分の部屋にあるピアノや家具など全部捨ててしまうというという大胆極まりない行動には本当に驚かされた。いくらなんでもそこまではしないだろう。徹底している。
古いコンピューターを捨てた時に知り合った男子小学生のかずよしに誘われ、風俗チャットのアルバイトを日中することになり、男子小学生の家の押し入れが居場所となった。
とにかく面白い。今まで読んだ本とは違う、新鮮さというか若々しさというか瑞々しさを感じさせる小説。
しかも、主人公の一つ一つの言葉に納得いや共感してしまう自分がいる。
かずよしという小学生の男の子も、言動が大人びているだけでなく物知りで、風俗チャットのアルバイトまで提案してくるなんて。本当に小学生なのか、人生何回目なの?と思ってしまうほど。
現実の世界からネットの世界へ、そしてまた現実の世界へと戻ってくる朝子。本人は、『何が変わった? 何も変わらない、私は未だ無個性のろくでなし。』と思っているが、『ただ、今私は人間に会いたいと感じている。昔からの私を知っていて、そしてすぐに行き過ぎてしまわない、生身の人間達に沢山会って、その人達を大切にしたいと思った。忘れていた真面目な本能が体の奥でくすぶっていた』とあるように、ネットの世界でのやり取りや母親とのやり取り等を通して、大きな成長を遂げたように思う。
Posted by ブクログ
高校三年生の野田朝子。自称変わり者。受験生になって一ヶ月。いわゆる五月病ではないけれども、昼食後の教室でちょっと愚痴ってみた。
「私、毎日みんなと同じ、こんな生活続けてていいのかなあ。」
その愚痴を捕まえてクラスメイト曰く「疲れてるせいだよ。」「一回学校休んで休養とったら?」
そそのかされて休みを取った朝子のヴァカンス。
2001年第38回文藝賞を単独で受賞した作品。主人公の主観に徹したインナーハードボイルドです。主人公の描写が難しい一人称で描かれていますが、それにもかかわらず、彼女の漠然とした日常や将来への不安が身近に感じられ好感が持てました。
例えば、主人公が日常の不安を社会にぶつければ大昔の若者に共感が持たれるのでしょうし、犯罪に走れば今の大人には「現代の高校生」として理解がしやすい。でも、この小説で、主人公の彼女は、そのどちらへも走りません。とりあえず学校からエスケープした先は、自宅のあるマンション。ゴミ捨て場で知り合った小学生の自宅の押し入れ。小学生のネット友達=風俗嬢=雅さんになりすまして有料エロチャットでのバイト。
特殊性を取りざたされたり、カテゴライズされがちな「女子高生」と言う立場から、僕に向かって「実際の高校生は、今の大人も通り過ぎてきた道」であることを語りかけられているような錯覚に陥りました。
それは、チャットの入り口に表示された雅の写真を見て自分と似ていると感じたり、様々な客への対応を素早く学んでゆく彼女の感覚です。「女子高生」をカテゴライズしている僕は「きっと、女子高生も僕たちをオジサンとしてカテゴライズしているのだろう。」と偏見を持っていたのですが、この小説の主人公はさにあらず。一人一人の個性を見極めています。
客に限らず、コンビを組んだ少年や彼女の母親、みんなそれぞれに、事情を抱え、個性的ですけれども、普通の人を装って日常を過ごす、つまり、みんないわゆる普通の人として描いているところところもグッド。
冒頭で「自称変わり者」と自分を評価しているところから、周囲の人間に対し偏見を持たない彼女が、自分をいわゆる「女子高生」の典型で無いことを感じていることが伺われます。自分を同世代の典型と感じられず、疎外感を持っている彼女は、さりとて自分で言うほどエキセントリックでは無く、多少の変位をもった人がいわゆる「普通の人」なのだ。と指摘しているように思えました。
彼女もいずれ、学校に戻り、再び受験生として忙しい日々を送ることになります。主人公に対する親近感が呼び起こされ、応援したい読後感でした。
Posted by ブクログ
不登校の高校生・野田朝子は、自身の友人で担任の恋人である光一に頼み、母には事実を知られることなく日常生活を送れていた。部屋にある物を発作的に捨てた朝子は、亡き祖父から贈られたが電源が入らなくなったコンピューターを、通りかかった住人の小学生(12歳)・青木かずよしに譲り渡したことをきっかけに二人の関係は始まる。
ネット上では身分を偽り、いわゆる「ネカマ」であったかずよしが、1年に渡り連絡を取り合っていた子持ちの売春婦・雅の紹介により、二人は文字のみで相手をもてなす「風俗チャット」で働くこととなる。
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厄介な客が一人の少年に手のひらで転がされた挙句、“落ちる”。
青臭くて、でも決して稚拙な文章というわけではなく 当時 現役高校生の綿矢さんにしか書けない、これぞ等身大のお話だった。
私の初綿矢作品が『勝手にふるえてろ』だったためか、綿矢りさ=恋愛小説のイメージが定着していたから このデビュー作には意外性を感じた。
自分が学生である“今”、読めて良かった…
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小説・文芸
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