綿矢りさのレビュー一覧
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主人公菖蒲の30代北京駐妻物語。
彼女の無敵感がすごい。夫になんでも買ってもらっているし、もちろん家事はしないし、遊びに全力投球!
その自信はどこからくるのかと思うが、本人も全くメタ認知ができていないわけではなく、どこでなら勝てるのか分かってやっている。無敵でいられるためのポジション選びは抜かりないく、潔いので気持ちが良い。
北京の異国情緒をあらゆる場面で感じられるのも良い。
インフルエンサーでいうところの妹尾さんに似た歯に衣着せぬ物言い。
本当は大事じゃないことに悩んだり、迷ったりしている自分って、大人なふりをしているだけなんじゃないかと気づかせてくれる一冊。
生命力が強い女って最高 -
Posted by ブクログ
SNSで見かけた奇抜な色味とタイトルに心惹かれすぐ買いに行きました。
4つの短編になってるんですが、いい感じに人間のこういうとこあるよなぁって嫌な部分とかをユーモアを交えて書かれてて、本当に皆こんな大変な世界で頑張ってるよほんとに…とまで思えてきました。
女の世界の水面下で行われる熾烈な争い
好きも行き過ぎると狂気になるよね、わかる。
熱中するのも深く世界に入り込めるけど、溺れて、良いも悪いも分からなくなって戻れなくなるよね。
だから、程よく栄養補給くらいが丁度いい。
やってる事は悪いんだけど、人間逃げ道を塞いで多勢で責めるのはいじめと同じなんだよね。
最後のお話は最高に面白かったで -
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ネタバレ「私は久乃が好き。久乃は私が好き。それで十分やろ」
この2人の関係は、レズビアン(女性同性愛者)であった
中学の頃に、同性と付き合った不安や周りからの差別の目に耐えられず、別れた。
自分たちが、レズビアンということを知らず、互いが互いを好きでいるだけのあの頃が1番幸せだったのかな…?
そう思っていた…。
しかし、32歳の時に、2人は再開し、再熱した。
その時、久乃と綸は、運命に導かれる2人なのかなと思った。
2人が中学生の頃について話していると出てきたこの台詞がグサリと心の中に刺さった印象が残っている。
「偏見ってさ、他人の中やなくて自分の中にあるんよね。大人になってから気づいた」
本 -
ネタバレ 購入済み
生々しい作品
物凄く長いと聞いていたので覚悟して読み始めました。
もっと読んでいたい…終わってほしくない…という気持ちと、早く次のページを読みたい!という気持ちがせめぎあって大変でした。
パッキパッキ北京を読んですぐ本作を読み始めたので、綿矢りさの振り幅大きさに驚きました。
中学生時代のパートが想像上にボリューミーでしたが、中学生ならではの残酷さのようなものが物凄く生々しくて、当時の空気感が文字になると、懐かしさ以上に切なくなります。
再会のパートは展開が目まぐるしかったですが、橋本君がいい清涼剤になっていて救われました。
久乃はかなり危ういし、最後の最後まで結局しっかりと謝れていない所にもどかしさも感 -
購入済み
めっちゃくちゃよかった。
自分も一時期北京にいたので知ってるところしか出てこなくてあれ私の話かなってなったくらい。
この清々しいほど自分第一優先な生き方が見ていて気持ちいい。
「人に言われたからって、好きなことをあきらめるのか」、もちろんそうじゃない。
破天荒な主人公の、彼女のわくわくがぎっしり詰まった1冊で面白かった。 -
Posted by ブクログ
これこれこれ!こんな本を求めていた。いかにも身の回りにいそうな人達の内面。性格の悪い人たちの内面にフォーカスしたこんな本。
自分が悪いのに被害者面する感じ、一点に着目すると他が見えなくなってしまう感じ、そして、自分の責任を感じそうになるや否やそこに紐づく他責を心中で**辿り、**逃げようとする感じ、ものすごいリアル。私が私を嫌になる時、というか性格悪いなーと思う時、それは自分の中でこうした側面があることを見出してしまう時だけど、この本の人達はそれを受け入れて開き直っている。
表現も美しい。例えが日常生活に組み込みたくなるような秀逸さに溢れている。一生読んでいたい本だ。
ストーリーではなく -
Posted by ブクログ
日本人的な考えとしては特に強いのかも知れないが、年齢関係なく女性なら共感しかない中編小説がニ編が収録されている。
全女性に読んでほしい。
それぐらい面白く、登場人物に共感すればするほど感じる痛みを胸に懐きながら、最後は女性として人間として成長した姿を晴々として見せつけてくれるので、主人公と自分が一緒に成長した気分になった。
綿谷りささんは久しぶりだったけど、女性の揺れ動く心情を描く才能は天才的だと改めて思った。
自分と女友達を比べて悩む。
あの頃の自分よりも、今の自分が好きだけれど、悩んだ分だけ成長出来たのだろうと気付かされた一冊でした。 -
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636P
綿矢りささんの『生のみ生のままで 』って第26回島清恋愛文学賞受賞したんだ。この本は450ページだったけど、『激しく煌めく短い命』は600ページの長編でどんどん長くなっていって凄いなと思った。罪と罰とかアンナ・カレーニナレベルの長編という。
綿矢りさの史上最年少芥川賞の時も思ったけど、綿矢りさの細かい性描写いいなと思う。インタビューで性的な場面を省略して、次の朝からの二人を書く方が上品だと思うけど、激しさの中の魂を描きたいからそこを省略すると生気が無くなりそうだから書いてるって言ってた。
政治はレズの俺を救ってはくれないけど、芸術とか文学は救ってくれるんだと改めて思いました。