あらすじ
私には彼氏が二人いる──中学時代からの不毛な片思いの相手と、何とも思ってないのに突然告白してきた暑苦しい同期。26歳まで恋愛経験ゼロ、おたく系女子の良香は“脳内片思い”と“リアル恋愛”のふたつを同時進行中。当然アタマの中では結婚も意識する。しかし戸惑いと葛藤の連続で……悩み、傷つき、ついにはありえない嘘で大暴走!? 良香は現実の扉を開けることができるのか? 切なくキュートな等身大の恋愛小説。単行本未収録「仲良くしようか」も収録!
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Posted by ブクログ
追う恋か追われる恋か、遥か昔から人間は飽きもせずいつまでも言ってるよな。
ラストの”私はいままでとは違う愛のかたちを受けとめることはできるのか?”という心境がしっくりきて、これは20代前半の頃に読みたかったな〜と思うけど、小説を読んだところで、自分で追いかけて破滅するまで心には沁みないものですよね。
とは言え、普通の文庫より字が大きくて読みやすいし特に若い人たちにお勧めしたい!
Posted by ブクログ
表題作の勝手に震えてろは
ほんとうに自分のこだわり拗らせ人間の感情の言語化がよくされてて、こういうところ自分にもあるなと共感もあってすらすら読めた。そして不器用な主人公が拗らせからまさかの嘘の産休を取ろうとする。このまさかの行動はもう目を覆うばかりながらも、どうなってしまうのか続きが気になって一気に読んでしまった。二彼は優しいなあ。仲良くしようか?は上級向けすぎてまだまだ私には理解できず…解説求む。読解できるようになりたい。
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ずっと昔に買ったまま読まずじまいでいた本、面白かった
中学の同級生イチにずっと片想いをしたまま、会社でタイプではないニという人にめちゃくちゃ好きになられる
やっとイチと話すことができて、なんだか2人で心が通じ合ったように見えたのに名前すら覚えてもらえていなかった、そんな時にニの顔が思い浮かんで…という話
思いを募らせて、共通点のようなものを見つけて心躍らせて、でも実はかなり一方通行で、結局自分を好きになってくれる人を選ぶという、一見地に足ついたストーリーながらとても面白く描かれていた
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純文学でありながらも、「綿矢節」ともいえる瑞々しくも力強い文章でぐいぐい読まされ、ページを捲る手が止まらなくなる。ただ読後感がイマイチ……。どうやら私は「二彼」が嫌いなようだ。ガキで(子どもっぽい、少年っぽいとは違う)自己中で嫌悪感しかない二彼と幸福になることが示唆されるラストに、どうしてもざわざわしたものを禁じえなかった。
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▼メモ
・江藤ヨシカさんの妄想癖は好き。
・抽象度上げると、綿矢りささん独特の世界観に引き込まれる。
▼好きな個所
・「どうして私のこと“ きみ”って呼ぶの」
イチは私が大好きな、恥ずかしそうな笑顔になった
「ごめん。なんていう名前だったか思い出せなくて」
江藤さんについて聞かせてと言ってきたときのニの顔が思い浮かんだ。江藤さんのこと聞かせて。私が胸に赤い付箋を付けていただけで、私を見つけてくれた人。
・もういい、想っているいる私に美がある。イチはしょせん、ヒトだもの。しょせん、ほ乳類だもの。私の中で十二年間育ち続けた愛こそが美しい。イチなんか、かってにふるえてろ。
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綿矢りささんらしい、独特でくすっと笑える言い回しが魅力的だった。
主人公の「イチ」への妄想も面白く、「二」に対する描写――“スープ系の体臭”“飛行機で出される油の浮いたコンソメスープのにおい”や、“できたての弁当の底みたいな、ほかほかした暑苦しいオーラ”など――は、どこからそんな表現が出てくるのかと驚かされた。
「初めて付き合うのは好きな人って決めてた」という主人公の思いにも共感。自分に嘘をつかず、純愛を貫こうとする姿勢はとても素敵だと思った。
一方で、架空の妊娠をでっちあげて産休を取ろうとするシーンなど、突拍子もない展開も多く、思わず笑っちゃった(笑)
Posted by ブクログ
文字が大きくてページ数も少ないので超読みやすかった。入りがインストール並に完璧すぎるなんでこんなに綺麗な言語化ができるのー
良香が自分と重なりすぎて苦しい。きっとわたしも大人になってこの前振られた人のこと神格化して囚われ続けてるんだろうなっておもった
自分に興味なさそうな人のこと好きになっちゃうところとか、私に重なりすぎて所々泣きながら読んでしまった。失恋した人は読んだ方がいい。
あと後半の「仲良くしようか」はマジで何❓どうしたほんとに
前半は星5だけど仲良くしようかのせいで4にした
ちょほんとによく分かんなかった
Posted by ブクログ
自分は達観していると思い込んでいるが故の周りとの誤差。そのズレから他人とのコミュニケーションが成立しない。
わがままでぐちゃぐちゃで、そんな自分を受け入れてほしい。でも相手の嫌なところは受け入れられない。あまりにもめちゃくちゃで惹かれるものがある。
Posted by ブクログ
オタクだったこともあり中高でまともな恋愛をせず大学生になってから恋愛に拗らせていた時期があったから、読んでいて恥ずかしくなった部分があった
いやー、分かる、手に届かなそうな人ほど好きになってしまうのが。
愛してくれる人がいることに傲慢になってしまうのもずるくてイライラしたけど、とても人間らしいなと思った
Posted by ブクログ
共感できるような、できないようなヨシカの2つの恋の話。やっぱり自分にとっての王子様とはうまくいかないものなのでしょうか。小説なのに切ない。
少しだけでてくるご両親がいい味出してました。
それにしてもヨシカの行動力はすごい。
Posted by ブクログ
ロッテ浦和に行く日、電車が止まる前に買った、ある意味思い出の本。笑
大好きな大好きなイチと、全然好きになれないニの描写がもうまさに!!!って感じで、読んでよかった。最後までニは好きになれなかったなぁ。最後の「霧島さん」はよかった。なんて言うかパッと魔法が解けた感じで胸がスッとなった。
Posted by ブクログ
回避型愛着障害女子の恋愛ストーリーって感じ?昔映画見たときは意味がわからなかったけど、何年後かに書籍を読んだらあ〜なるほどねって思う場所か何箇所あって、自己理解が深まったと感じた。もちろん綿矢りさんの繊細すぎる心理描写のおかげもあるけど。
あと綿矢りささんのちょっとした気持ちの例えが絶妙すぎるんだよな、、、、共感しつつ、え?そんな例えもあるの⁈ってびっくりしちゃうやっぱり大好きな作家さん。
Posted by ブクログ
モモコグミカンパニーさんのYouTubeを見て、読んでみたくなった。
突飛な嘘をついたり、皮肉がすごく的確だったり、するする読めて、よかった。
最後に、ニを名前で呼ぶシーンは痺れた。
著者の他の作品も読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
妄想、というか、思い込みというか、とにかくひとりでひたすら突っ走るヨシカから目が離せない笑
心情の移り変わりに共感できる部分もあるけれど、終始「落ち着け!」と言ってあげたい気持ちでいっぱいでした笑
Posted by ブクログ
『インストール』や『蹴りたい背中』に比べると、
だいぶ、社会のというか、俗世間の俗っけある成分に
作者は侵されたようにも感じました、それは良いとか悪いとかではなく、
歳を重ねたことなんだろうと思います。
生活してきた、その証としての俗っけでしょう。
表題作の「勝手にふるえてろ」はまずそう読んだんです。
主人公・ヨシカの、地味目で控えめながらも、
自律的に生きていて、その自らの滑稽さともつきあい、
女性ならではの細やかな計算もありながら、
物事をすぐさま先鋭的につきつめることなく、
時間とともに見えてきた骨の部分をやんわりと捉えて言葉にする感覚。
僕とこの主人公は歳も離れているし、性別も違うし、
まぁ、大きくいえば同じ現代人と言えることもあるので、
そこを頼みの綱にして言わせてもらうと、
ヨシカは「なかなか自分と似ていて、まったくの他人とは思えない」人でした。
ヨシカの彼候補のイチ彼やニ彼よりも、ヨシカのほうが僕に似ている。
それは、ヨシカの心の動きがつぶさに言葉で表現されているので、
論理的にせよ、感情的にせよ、おいやすかったというのはあるでしょう。
それでも、そこをそう考えても、僕が女性に生まれていたら、
このヨシカタイプだったんではないか、と推察してしまいます。
そんな近しい人物として読んでみた今作は、
小憎らしいところもありながら、おしなべると、笑えて面白い作品でした。
読みやすいし、これぞ一人称小説とでもいうべく、
主観性が3Dよろしく飛び出してくるごとく、主人公となった筆者が
赤裸々に語ってくれています。
きっとね、綿矢りささんを値踏みしようととかそういう魂胆で読む人じゃなかったら、
なにも心にささくれだつものもなく、本作に好評を与えると思います。
また、もうひとつ収録されている「仲良くしようか」のほうは、
「勝手にふるえてろ」から2年くらいの月日を経て発表されている作品でもあり、
私小説的な体裁に妄想的・想像的なうねりがあって、
苦々しい味わいの作品に読めました。
ただ苦々しいだけではなく、環境や人間関係や立場などそういったいろいろな、
人生を構成しているものと彼女の心の脈動の関連を描いているような感じがしました。
人が生きるということは、ただ平平凡凡としていることなどありえなく、
そういった人生の単純化をせずに切り取ったスケッチ的作品でもあると思います。
綿矢さんの作風って、心の動きをウソなく見てとる能力を感じさせながらも、
その能力を特権的なものだと、読者や他人にみせないところがあって、
そこが僕なんかは好きなんですよね。
うっとうしいわ、面倒くさいわ、って男からみたら大きなため息をつきそうなところも
ありますけども、そこは女だからね、人間だからね、
って許容できる感覚も同時に生じるのです。
ちょこちょこと笑えるところがあるのも、
そういう嫌味な部分の味を変えるスパイスとして、意識的にか無意識的にか
挿入しているのかなぁと思ったりもしました。
そんなわけで。
綿矢さんはその後、どんな作家さんになっていかれたのかなぁと
気になっていたので、こういうのを読めて改めて好感を持ったのでした。
Posted by ブクログ
最後のエピソードが繋がっていると思って、頭にはてなを浮かべまくりながら読んでた笑
内容自体は共感はできなかったけど主人公がぶっ飛んでて面白かった
Posted by ブクログ
核心の部分はすごくふむふむって読めたけど
江頭良香の頭の中なのか、夢の中なのか
時より唐突に出てくる物語についていけない。
ヲタク気質を表しているのでしょうか。
"恋心の火は火力を調整できないから尊い。"
確かにそうだな、尊いなと思いつつ
調整できないから厄介とも思ってしまう。
"好きな人と結婚したいけど、好きすぎる人とは結婚しない方がいい。"
これ、「激しく煌めく短い命」でも言ってる登場人物がいたなあ。
綿矢りささんが思っていることなのか、はたまた逆を思っているのか。
好きな人と結婚したいと思うあまり、結婚時期を逃して
結局子孫繁栄を逃している。っていう感覚も面白くて。
結婚や、出産の際に妥協したくない!って願えば願うほど
欲望は叶わないっていうのわかる気がする。
人間がみんな欲深かったら、もしかしたら人間の絶滅理由は
「だいすきすぎる人と結婚したすぎて」なのかもしれない、おもろい。
この感覚味わってほしいから、この作品読んでほしい。
Posted by ブクログ
色々こじらせた女の子のお話でした。
主人公の女の子の言動にびっくり、ひやひやしながらも先が気になる小説でした!
この女の子は幸せになれるのでしょうか、、
Posted by ブクログ
永遠の命題、『追う恋か、追われる恋か。』オタク気質な主人公の、憧れの同級生イチと、自分を好いてくれた会社の同僚ニの間で揺れる感情を描いている。
オタク女子らしい感情と不器用さに、学生時代の自分を重ねて、なんとも苦い気持ちになった。また女性の好きな人とそうでない人への感情の描写が、とても生々しい。
主人公は最終的に、イチが自分のことを全く覚えていなかった事実にショックを受け、ニを選ぶ。追う恋より追われる恋を選んだのである。
でもきっとニはハンター気質なので、主人公が振り向いたことで、遠くないうちに興味を失うかもしれない。だからこそ個人的には、イチと大人同士改めて仲良くなっていけばいいんじゃないかとも思うが、こちらもきっとお互いの不器用さや子どもっぽさが災いして、踏み込めないままお友達止まりなのかも。
結局は主人公は、いずれの男性も手に入れられないのだろうと思ったら、なんとも苦々しくリアルなストーリーだった。
Posted by ブクログ
主人公のヨシカには、「最愛だけれど、添い遂げられない」イチ彼と、「まったく愛していないにもかかわらず、将来結婚するかもしれない」二の二人の彼氏が存在する。言わば、追われる恋か追う恋かの究極の2択である。それに伴ったヨシカの拗らせ思考がとにかく面白く、易しい文章で読み進めやすかった。また、最終的にヨシカの「想っている私にこそ美がある」と結論付けする考えには腹を抱えた。
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面白かったです。綿矢節炸裂といったところでしょうか。イチだのニだの、綿矢節は人の(女性の)内面の汚さや黒さをストレートに表現してくれるのが痛快です。
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綿矢さんのキャラクターの描き方が好きなのだけど、今回もヨシカにイチ、ニ、とキャラクターが良かった。今の自分と同い年だから、この妄想が暴走してる姿を見てるとヒリヒリする。こうはなりたくないのに、どこか自分とも被さる姿で苦しい
Posted by ブクログ
綿矢りささんの本は『蹴りたいたい背中』に続いて2冊目の作品
『蹴りたい背中』のときも感じたけど、書き出しが最高に良い。
いちど目にしたら続きを読みたくて読みたくてしょうがなくなる。ズルいですよね。
書き出しの文章に主人公の核のような気持ちをさりげなく表現しているのも好きだなぁ。
主人公の良香、不器用すぎてちょっと痛々しいけど憎めない感じ。
でも、妄想がヤバすぎて大夫こじらせ屋さん。
本人曰く、「ストーカー一歩手前の自己陶酔が激しいタイプ」
かなりヤバいタイプですよね。
脳内恋愛歴12年とかなりベテランの域だが、リアルの経験は初心者。
妄想相手のイチ彼とリアルの二彼の間で揺れ動く乙女心?なんだけど妄想とリアルの間で足掻くオタク女子という感じかな。
でも、どっちと一緒になっても上手くいかなそう。
特に、二彼はピエロのようで可哀相。
「愛する人」と一緒になるか「愛される人」と一緒になったほうが良いかは本人が決めることだけど、私は両想いが一番いい。
オタク女子の恋愛心理も理解の範疇を越えてて物語としては面白かった。
あと、親友の来留美の言動ってどうなの?
あざとすぎて、美人の笑顔の裏側の感情が怖すぎ…
Posted by ブクログ
まぁ〜拗らせてますよ、ヨシカ26才は、相当。
「私には彼氏が2人いて」と冒頭にあるけど、妄想しすぎて現実だと思い込んでいる。
実際は①中2からずっと片思いをしているイチ ②自分に好意を寄せている同じ会社のニ ①②ともに付き合っているわけではないところから話はスタートする。
イチとニの間で揺れ動く女心といえば聞こえは良いけど、勝手にジタバタしているオタク系ヨシカ。
でも行動力は凄い!そのエネルギーに脱帽した!
ふるえているのは果たして誰?
文庫のみ短編「仲良くしようか」付…こちらエキセントリックで私はお手上げ
Posted by ブクログ
3.8/5.0
・勝手にふるえてろ
主人公の内面の暴走と静寂、その緩急が面白い。
理想の恋愛と、そうはいかない現実、そして妥協。
誰もが一度は経験する「恋愛」という摩訶不思議なものをコミカルに軽快に描いていてなんとなくほっこりした。
・仲良くしようか
断片的に書きたいことを書き殴ったような印象。正直よく分からないけど、こういう無秩序な感じも一つ面白いと感じる。
Posted by ブクログ
根本は自分が好きな人を選ぶか自分を好きな人を選ぶかってことでいいんだよね?
結婚願望がない人は自分が好きな人をいつまでも追い続けるんじゃないかと思うし、結婚したい人は少し妥協しても自分を好きな人を選ぶんじゃないかなあ
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『本好き女子のお悩み相談室』より
頭で物事を考えるのが好きな、完璧主義な女の子が、相手の好きを信じるまでの挑戦を描いた物語
上の立場にいたい人が、見下した相手のことを、「変な人」としていじると言うのが、少し自分や周りにも感じたことがあって、怖かった
Posted by ブクログ
脳内妄想二股。
最後の短編は訳分からず
2025/07/23再読
届きますか、とどきません。始まり方秀逸。
自己中恋愛至上主義。心情が地の文に全部書いてある
最後の短編、前よりよく分かった。
「仲良くしようか」
作者のエッセイ的と思うが違うだろうか。
リズミカルな文章
前半でどのように展開するのか見えてくるのでわくわく感は感じないが逆に安心して読める。
またリズミカルな文章は心地よさを与えてくれて一気に読ませてくれました。
Posted by ブクログ
夢の中に、中学の頃に好きだった女の子がとても可愛い格好で、突然出てきた。まあ頭の中で思いを育てるだっただけで、もはや忘却の彼方だったのだけど、なんで今頃…、この本、読んだからかしらん?
さてこの本、オタク系26歳OLよしかの、積年の脳内片思いと突然訪れたリアル恋愛との狭間で揺れ動く様が、これまた独特の文体で綴られる。
男の言動ひとつひとつに一人で過剰に盛り上がったり落ち込んでいるような主人公だけど、愛するのと愛されるのとどっちが幸せといった命題があるとすれば、よしかなんかは愛するほうが幸せなんだよねぇ。26歳にもなってこの子供っぽさ感にはちょっと引くけれど、脳内恋愛が沸騰するとリアルな恋愛がなかなかリアルにならない感じは分らないでもないかな。
イチとの顛末を読みながら、同じ高校に進んで3年生で同じクラスになった彼女が、近くで見るとまあ見事に女っ気のないパサパサな感じの女子になっていたお陰で、私の脳内恋愛はすっかりと盛り下がって終わったことを思い出した。
変なところでスイッチ入った割に落ち着くところに落ち着いたエンディングでキレイに畳まれちゃったけど、もっとドロドロのお話にしても良かったかも。