綿矢りさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
恋愛小説のアンソロジー。
著者ラインナップが『一穂ミチ・窪美澄・桜木紫乃・島本理生・遠田潤子・波木銅・綿矢りさ』こんなの全員海老の天ぷらじゃん。海老天しかない天丼じゃん…。
私はれんこんの天ぷらが一番好きだけど。文芸誌の恋愛特集のために書き下ろされた作品をまとめたもの。
どれもほんとーーーによかった。全部好き。
なんか恋愛ってどうしても自分の生きてきた環境から受け取った価値観がインストールされて、それがよくも悪くも作用してるよなあと読んでいて思うのだった。
あとけっきょく他人と深く向き合うことは自分と深く向き合うことでもあって、そらつらいわあ…。
ヒリヒリしてて苦しくて、でも文字からそれを体感できるところが小説のおもしろさだよなあ…!名手たちの恋愛アンソロジー超おもしろかった -
Posted by ブクログ
上巻のまだ半分ほどまでしか読んでないのですが、自分がバイだからなのか、主人公の感情もさいかちゃんの言葉に伴う感情も、どちらもものすごく共感できる感情だったことが感動的で、誰かに伝えたくてここへ記しに来ました。
私は自身をバイと自覚したのが社会人以降で、今は交際中の彼女がいるんですが、さいかちゃんが主人公に初めて会ったときの感覚の表現が、私が彼女に初めて会ったときの感情とあまりにも同じで、驚きました。そう、男も女も関係なくその人やから好きになったのよね、今まで同性のタイプとかなかったのに、その人を一目見た途端、異常なまでに綺麗に見えて、『あ、この人私のタイプや』ってなるよな、視線が吸い込まれるよねって。
Bの方はもちろんのこと、B以外のLGBTQ+の方も、そうでない方にも、恋に興味がある人にはみんな読んでほしい。
楽しいよりも切なさにすごく共感できる本です。 -
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読んでみたいけど、なかなか手が伸びなかった作家さんばかりのアンソロジー。思わず買ってしまった。
『最悪よりは平凡』 島本理生
主人公の和田魔美ってどんな女性なんだろうか?会ってみたいと思った。とても魅力的らしい。読んでて、真面目でしっかりとした女性だと思うんだけど、なぜか下心がある男ばかり寄ってくる。本人はそんなつもりは全くないのに。身体が魔性の女みたいに言われてるし。最後はいい感じに終わって良かった。
『深夜のスパチュラ』 綿谷りさ
バレンタインデーは恋する女子にとっては戦いだねって改めて思った。主人公の可耶ちゃんがチョコを買いに行くところから渡すまでの奮闘が読んでて面白かった。ガトーショコラが出来た時、良かったね、よく頑張ったと声を掛けたくなった。読んでて自分の事を思い出した。チョコレートケーキを作って大失敗した事がある。お菓子作りって材料の計量をちゃんとやらないといけないのに、私はとても適当に計量して大失敗。ものすごく言い訳をしてから食べてもらった覚えがある。
『フェイクファー』 波木銅
波木銅さんはこの本で初めて知った作家さん。着ぐるみに魅せられた人たちの話。自分で作ったり、着ぐるみの写真を撮るのが好き、など好きな理由は人それぞれ。なんとなく現実逃避をしたい人達が集まっている気がした。読んでて二つほど謎があったんだけど、分からないまま終わってそこがモヤっとする。でも面白いと思った。「裁縫は暴力の逆」、「裁縫は、誰かを傷つけたりしない」、「誰にだって秘密はある」という言葉が印象に残った。
『カーマインライン』 一穂ミチ
5歳で家庭の事情で離ればなれになった双子の話。14年ぶりに再開し、2ヶ月一緒に過ごす。14年という時間は関係なく、すぐ馴染むんだけど…。一穂ミチさんの作品はこれで二つ目なんだけど、"人の想い"に何か隠されてる、そんな印象を持ちました。2人の子供の頃の思い出に、天井に星のシールを貼るっていうのがあるんだけど、このシーンが作品で重要かな。
『道具屋筋の旅立ち』 遠田潤子
ずっとイライラ、ムカムカしながら読んでた。真相が分かって同情もするけど、それにしても主人公の優美に対する態度はダメだよね。美味しいものを食べて幸せになると思ってたけど、この作品は食べ物で苦しめられる。読んでて苦しくなってしまった。でも最後は食べる事で吹っ切れたみたい。「自分の身体は自分のもの」と気付けて良かった。
『無事に、行きなさい』 桜木紫乃
大人な恋愛小説。ミワと倫彦の関係をミワが自分の作品で表現したというのが、さすがアーティストだなと思った。その作品でお互いの道を決めたって事だと思うんだけど、う〜ん大人だね。
『海鳴り遠くに』 窪美澄
主人公の中野恵美が気持ちを佐伯絹香に伝えることが出来て良かった。こんなの本当の自分ではない、でもその事は言えない。これは辛い事だと思う。
題名の『二周目の恋』って人によって捉え方が違うんだなと思いました。 -
購入済み
仏の顔も? 片頬をぶたれたら?
自分の食い扶持は自分で。
その上で彼氏を持つのは
ご褒美のはずなのに。
食い扶持も稼げない子に彼氏を
可哀そうだからって譲れってこと?
我慢はいつまでできるか。
我慢だなんて思うのは人間ができていないってこと?
可哀そうなのか図々しいのか。
生身の人間が仏になりきれるのか。
日本人だけでなく、西洋の人の考え方まで
世界が広がって面白かった。
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ネタバレ顔と運に恵まれ、順調に芸能界で活躍していた女の子が男によってダメになってしまう。恋愛は人間をおかしくしてしまう、なのにまた恋愛をしてしまう。本能なんだろうと思う。私自身、会いたくて仕方がないとか冷められているのを分かっていても離れたくないという気持ちは共感してしまった。大人になった今は、冷静に恋愛ができるようになった気がするが、まだ高校生の夕子からしたら初めての恋でその上仕事や受験の重圧もあり、恋愛にのめり込んでしまったんだろうなと思った。母のようにはなりたくないと思いつつ、やはり親の影響は大きく受けてしまう。小さい頃から母と親友のようにずっとにいたことによって余計にだと思う。母の勝手にやってきたことを押し付けがましく、あなたのために生きてきたと言ったシーンはすごく嫌な気持ちになった。毒親だと感じるし、そもそもの元凶は母だと思った。父が最後まで手に入らなかったように、他人はどうあがいても、自分のものにはならないし、思い通りには動かせないところが印象的だった。
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Posted by ブクログ
ネタバレめちゃくちゃ好き〜自尊心×自意識過剰×孤独→生み出されたAという存在。この人自尊心が損なわれる恐れがある行動は別人格でしかできないのよね。自分が起こした行動や思考なのに、「Aはすごいね、わたしにはできない」みたいなこと言ってるの不気味でしかないけど、彼女はそうしないと自分を保っていられないんだ。。恥ずかしい行動もちゃんと傷つくことも全てAに任せて、自分は高みの見物してるつもりになっているのがこわ面白かった。でもAも自分とちゃんと自認している上でのことなので、それもなんだか可愛い。
歯医者とどうにかなれるかも、と考えるところとか、短いスカートでアピールする痛い女を描くところが綿谷さん意地悪ですき。
ラストの海のシーンがとても印象深かった。他者と深く関わるのはおひとり様でいるよりことよりよっぽど怖かっただろうな。みんな心に自分の世界があって、一人の時間が長いほどそこにいる時間が長いんだよね。彼氏ができて、自分と対話するだけの世界から泳いでいくっていう可能性と恐ろしさを併せ持った海なんだろうなー。
映画も観たけど、原作へのリスペクトを感じつつ、皐月とみつこさんの関係性が深掘りされてて良かった。 -
Posted by ブクログ
表題の方が後半に入っている構成が意外。2つもも面白かった。綿谷さんの本はどれも面白いな。ただ、面白いと言っても、それぞれ方向性が違いました。
いなか、の、すとーかーは、ミステリーホラー小説を読んでいる感じだった。予想外の展開。でも、出てくる人物の誰もなんだか憎めないのが不思議。かなり酷いストーカーなのになぁ。ぞわぞわしながらも目が離せない展開でした。
ウォークインクローゼットは、昔の自分を見ているかのような主人公だった。人にどんな風に見られているか、素の自分を出せず、人の事は品定めしてしまう。なんか分かるなぁと。決してモテない訳ではないけれど、果たして本当に人に好かれるとはなんなのだろうと迷う感じ。友達のだりあも、好きな人物。私も友達になりたいタイプだった。女の子には嫌われそうだけど、それは嫉妬から来るものでどこか憧れの存在。あと、この話の終わり方がとても好きでした。ああうまくいってほしい、きっと上手くいくんじゃないかな?続きが見たい、と思いつつ終わってしまう感じ。全く先が読めない訳ではなく、でも完全に終わる訳ではなく。続きは自分の好きに想像しておきます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレたとえどれだけ痛くても、
わたしを好きなら全部ひっくるめて好きでいて。
ということだなぁ。
あまりよくないかもしれないけど、
ここまで心の底から共感できる恋愛小説は、ない。
これは映画を観てから読んだのがよかったかもしれない。
改めて、映画のキャストがぴったりだったことに気づく。
三人を思い浮かべながら読んだ。
恋愛経験が無いことを友達から彼氏に暴露されるのも嫌だし、
本当に好きな人との時間を反芻する自分の時間が好きだし。
でもこの愛のかたちは違うってことに気づいたのがヨシカのすごいところだと思う。
イチと男女の関係になれないってことに気づいたのがすごい。
わたしは気づかず楽しむタイプ…
この物語を、気づかずに相手にぶつかって終わらせたエンドにすると、
すんなり私の物語になる。
これを読めばわかります、とこの本を渡したいくらい。
映画にしかないエピソードも、それはそれですごく好きだなぁと思った。
アンモナイトをネットで買うところとか、
近所の人と友達であるような想像をしているところとか。
永遠の疑問である、原作を読んでから映画を観るか、
映画を観てから原作を読むか。
今回は映画を観てから原作読むのが正解かもしれない。
「勝手にふるえてろ」。
なんと口に出して言いたくなるタイトルなんだろうか -
ネタバレ
宗教的哲学的作品
この小説はティーンズの恋愛物というより、哲学的命題を含んだ福音書の一節という風に感じられた。
物語の中に聖書を出してくるのも、そういったイメージを促そうとしているように思わせられた
この小説の最重要なテーマは、いわゆる(柄谷行人氏のいう)「単独性」というやつだと思う。
自分を自分たらしめるもの、他の誰にも見出せるものではないと信じられるもの、
そしてそこから自分の生きるエネルギーが湧き出てくるよう感じられるもの
私の「単独性」のイメージはそんな感じ。
主人公の愛ちゃんは、たとえ君という、一見地味でそこまでモテるタイプに思えなかった青年に恋心を抱いたことで、
そこに自らの「単独性」を見出し、夢中になった。
しかし、たとえ君と美雪ちゃんが既に長年の恋仲だったことを知ることで、
そこで発見された「単独性」は虚偽であったことになり、自分の存在価値を疑うほどに傷ついてしまう。
その後、愛ちゃんは自傷行為のような狂人的事件を次々に起こし、超プラトニック純愛カップルである、
たとえ美雪双方を傷つけようとする。
それに対して美雪は、聖母のような徳を発揮し、狂人にまで堕ちた愛を受け入れ許そうとし、
たとえ美雪の絆は却って強まり、それを見せつけられた愛ちゃんは更に傷つく
最後のパラグラフで小説タイトルになっている「ひらいて」というのがやっと出てくる。
ここで折り鶴を「ひらいて」、解こう、解放しようとしているのは、かつてその鶴を折りながら念じていたこと、
つまり、かつての「単独性」だと思っていたものへの拘り、その「単独性」への独善的なアプローチの姿勢。
それらを全てリニューアルしたい、生まれ変わりたいという願いだったのだと思う。
しかし、「ひらいて」という言い方には、それは自分には到底成し得ないという諦観も混じっているのではないか
手元のもうまっさらには戻せない皺だらけの千代紙を、自分の姿と重ねていたのではないか
愛(主人公の名前と"LOVE"とのダブルミーニング)に「単独性」を求めることの厳しさ、難しさ。
そこへは独りよがりな欲求だけでは決して辿り着けない。他者に対する敬虔なひたむきさ、誠実さ、思いやりが求められている。
これはやはり、非常に宗教的な作品であると思います
素晴らしい小説でした -
Posted by ブクログ
高校三年生の野田朝子。自称変わり者。受験生になって一ヶ月。いわゆる五月病ではないけれども、昼食後の教室でちょっと愚痴ってみた。
「私、毎日みんなと同じ、こんな生活続けてていいのかなあ。」
その愚痴を捕まえてクラスメイト曰く「疲れてるせいだよ。」「一回学校休んで休養とったら?」
そそのかされて休みを取った朝子のヴァカンス。
2001年第38回文藝賞を単独で受賞した作品。主人公の主観に徹したインナーハードボイルドです。主人公の描写が難しい一人称で描かれていますが、それにもかかわらず、彼女の漠然とした日常や将来への不安が身近に感じられ好感が持てました。
例えば、主人公が日常の不安を社会にぶつければ大昔の若者に共感が持たれるのでしょうし、犯罪に走れば今の大人には「現代の高校生」として理解がしやすい。でも、この小説で、主人公の彼女は、そのどちらへも走りません。とりあえず学校からエスケープした先は、自宅のあるマンション。ゴミ捨て場で知り合った小学生の自宅の押し入れ。小学生のネット友達=風俗嬢=雅さんになりすまして有料エロチャットでのバイト。
特殊性を取りざたされたり、カテゴライズされがちな「女子高生」と言う立場から、僕に向かって「実際の高校生は、今の大人も通り過ぎてきた道」であることを語りかけられているような錯覚に陥りました。
それは、チャットの入り口に表示された雅の写真を見て自分と似ていると感じたり、様々な客への対応を素早く学んでゆく彼女の感覚です。「女子高生」をカテゴライズしている僕は「きっと、女子高生も僕たちをオジサンとしてカテゴライズしているのだろう。」と偏見を持っていたのですが、この小説の主人公はさにあらず。一人一人の個性を見極めています。
客に限らず、コンビを組んだ少年や彼女の母親、みんなそれぞれに、事情を抱え、個性的ですけれども、普通の人を装って日常を過ごす、つまり、みんないわゆる普通の人として描いているところところもグッド。
冒頭で「自称変わり者」と自分を評価しているところから、周囲の人間に対し偏見を持たない彼女が、自分をいわゆる「女子高生」の典型で無いことを感じていることが伺われます。自分を同世代の典型と感じられず、疎外感を持っている彼女は、さりとて自分で言うほどエキセントリックでは無く、多少の変位をもった人がいわゆる「普通の人」なのだ。と指摘しているように思えました。
彼女もいずれ、学校に戻り、再び受験生として忙しい日々を送ることになります。主人公に対する親近感が呼び起こされ、応援したい読後感でした。