綿矢りさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ綿谷さんの狙いは分からないけど、これはコメディの皮を被った激烈ジェンダー小説だと思う。
感想を見ていると『夫の理解があって良かった』というのが割と多かったけど、真逆の感想だった。
この夫は本心から妻を思いやっているし大切にしているとは思う。
でも立ち位置が完全に上からで都会に住む先進的な人間を自負してるくせに家父長制バリバリで、それが崩れそうになると妻にもキツく当たる。
妊娠は仕方ないとしてその後の育児についても『お手伝い、サポート程度』の認識で他人事。
その証拠に妻が出産するその瞬間まで、彼女が仕事を辞めたくなかったことを分かっていなかった。
終盤になって夫の成長はあったけど、子供が大きく -
Posted by ブクログ
ホント言葉のチョイスが上手いというか、表現力が凄いと感じる。柔らかくも的確で巧みな比喩表現が琴線に触れて、心地よく入り込める世界が提供されてクセになる感じ。
よくまぁこんなうまい言い回しが出来るもんだと冒頭から感じてしまう。「京都の空はどうも柔らかい。頭上に広がる淡い水色に、綿菓子をちぎった雲の一片がふわふわと浮いている。鴨川から眺める空は清々しくも甘い気配に満ちている。春から初夏にかけての何か始まりそうな予感が、空の色にも溶け込んでいる感じ。(p.5)」「意識を手放せないまま、すうっと夜が明け、カーテンを開けるとかさかさの心に朝焼けが差す。薄い光は傷に塗る消毒液みたいに少し心にしみて涙がにじ -
Posted by ブクログ
読みやすいので、長いが気負いなく楽しめた。ディティールの積み重ねがとても良い。恋愛小説でありながら、平成と令和史にもなっている。特にTwitterに関する部分はとても共感した。主人公の久乃も、リンも、性格に難ありだったのが良かった。ただただ眩しいのは同級生の男の子。良いやつすぎる。
時代が変わっても、差別は自分の中にある。結局は自分がどう腹を括るかだなと感じた。
決してドラマチックではないクライマックスも、ラストの数行も素晴らしかったと思う。学生時代は楽しい事ばかりじゃなかったはずなのに、振り返ると眩しいくらい「大事」が詰まってるんだよな。