綿矢りさのレビュー一覧
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表題の方が後半に入っている構成が意外。2つもも面白かった。綿谷さんの本はどれも面白いな。ただ、面白いと言っても、それぞれ方向性が違いました。
いなか、の、すとーかーは、ミステリーホラー小説を読んでいる感じだった。予想外の展開。でも、出てくる人物の誰もなんだか憎めないのが不思議。かなり酷いストーカーなのになぁ。ぞわぞわしながらも目が離せない展開でした。
ウォークインクローゼットは、昔の自分を見ているかのような主人公だった。人にどんな風に見られているか、素の自分を出せず、人の事は品定めしてしまう。なんか分かるなぁと。決してモテない訳ではないけれど、果たして本当に人に好かれるとはなんなのだろうと迷う -
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ネタバレ
宗教的哲学的作品
この小説はティーンズの恋愛物というより、哲学的命題を含んだ福音書の一節という風に感じられた。
物語の中に聖書を出してくるのも、そういったイメージを促そうとしているように思わせられた
この小説の最重要なテーマは、いわゆる(柄谷行人氏のいう)「単独性」というやつだと思う。
自分を自分たらしめるもの、他の誰にも見出せるものではないと信じられるもの、
そしてそこから自分の生きるエネルギーが湧き出てくるよう感じられるもの
私の「単独性」のイメージはそんな感じ。
主人公の愛ちゃんは、たとえ君という、一見地味でそこまでモテるタイプに思えなかった青年に恋心を抱いたことで、
そこに自らの「 -
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高校三年生の野田朝子。自称変わり者。受験生になって一ヶ月。いわゆる五月病ではないけれども、昼食後の教室でちょっと愚痴ってみた。
「私、毎日みんなと同じ、こんな生活続けてていいのかなあ。」
その愚痴を捕まえてクラスメイト曰く「疲れてるせいだよ。」「一回学校休んで休養とったら?」
そそのかされて休みを取った朝子のヴァカンス。
2001年第38回文藝賞を単独で受賞した作品。主人公の主観に徹したインナーハードボイルドです。主人公の描写が難しい一人称で描かれていますが、それにもかかわらず、彼女の漠然とした日常や将来への不安が身近に感じられ好感が持てました。
例えば、主人公が日常の不安を社会にぶつけ -
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面白い。面白すぎる。
綿谷節が炸裂する妊婦コメディ。
妊娠が発覚した直後に『羽化』した由依を、戸惑いながらも見守る夫・俊貴目線で物語は進みます。
突然ファンキーになった由依の服装や言動の変化に、心が追いつかない俊貴との温度差がたまりません。
ユーモアたっぷりに由依の妊娠生活が描かれていますが、根底には妊娠・出産・育児といった社会的な問題がしっかりと描かれています。女性は勿論のこと、男性も社会的に影響するということが描かれているのがまた良かった。
個人的には俊貴のインナーチャイルドが悪さ仕掛けたところと、由依のお宮参りの格好がツボりました。
女性であれ男性であれ、自分の人生楽しもうぜ!と由依に励 -
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「わきまえません、
それがthis is me」
綿矢作品史上最もファンキーな
主人公が大暴れ!
綿矢節が炸裂する
“妊婦コメディ”
小説が爆誕‼︎
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面白かったです!
他の方が書いているようにぶっ飛んでて笑えるし、
縦書きでフォントや字体が異なる箇所が新鮮で。
長い不妊治療の末に授かった新たな命。
だけど…妻の由依の様子がおかしい。
とにかく面白いです。
面白いけど…。
読みながらとても切なく苦しくなる瞬間がありました。
妊娠て命懸けだし、
周り -
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ネタバレ勝手にふるえてろ
私のお星さまは、イチ。最後まで食べずに残しておいたお皿のうえのイチゴ。でもいま手に入れてすらいないうちに彼を失いつつある。告白してふられたとか彼に彼女ができたとか彼に幻滅したわけでもない、ただ、恋が死んだ。ライフワーク化していた永遠に続きそうな片思いに賞味期限がきた。
→良い…
他人の悪意がこわかったのは、どうして彼らがそんなことをするのかまったく分からなかったからだ。でもいまは自分のなかにある感情と照らし合わせさえすれば他人の悪意は十分解釈できる。実行には移さなくても同じくらいの悪意を心のなかで相手に向けることもできる。
→わかる…
仲良くしようか
つらいとき悲しいとき -
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ネタバレ久しぶりに綿矢作品を読んだが、やっぱり好きだと思った。
気持ちを言語化することに慣れた今、改めて感じるのは、彼女の文章のリズムの心地よさだ。
本作では、楽天的で強気な主人公の女性の内心が中心に描かれている。そのせいか、普通なら悩んでぐるぐる行き詰まってしまいそうな出来事も、何でもかんでもピョーン、ピョーンと飛び越えていくような軽やかさがある。文章のまとまりの最後には、必ず一発、インパクトのあるオチが用意されていて、思わず笑いながら手を叩いて感心してしまう。
ただ単に「コミカル」という一言では片づけられない、楽観的でありながら辛口なところがとても好きだ。
特に印象に残ったのは、主人公がコロナ -
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読み終わって、胸の奥がじんじんするような感覚が残った。
とてもリアルで、ヒリヒリする物語だった。
奈世の弦への愛は、「好き」というよりも依存に近くて、弦がすべてになってしまっている感じが少し怖かったところもあった。
一方で弦は、関係を客観的に見ていて、考え方に共感できる部分もあった。
印象に残った言葉
「あともう少しがんばれば、幸せになれるかもしれない。でも、愛や結婚は、あともう少し、と努力するものなのでしょうか?」
読みながらずっと頭から離れなかった。
努力が必要な関係と、努力し続けないと保てない関係は、同じなのだろうか。
「お互いがお互いを好きだという点が奇妙にも一致しているのだか -
Posted by ブクログ
結論から言ってしまうと、併録の「深夜のスパチュラ」の方が面白かったです。
あと、この本の仕掛けの都合上、文庫を待つより単行本で読んだ方がいいと思います。
「深夜のスパチュラ」は、恋愛コメディ短編。
短いため、起承転結がはっきりしており、オチもしっかり笑わせてくる。
本書の全編にわたって使われている、様々なフォントの巨大文字も効果的。
素晴らしい小品だと思います。
「グレタ・ニンプ」はあまりにも突拍子もなく、現実味の薄い展開で読者の意表をついてから徐々に綿矢りさワールドに引き込んでいく、いつもの手腕は健在。
真面目なテーマとひたむきな主人公、そしてそこに割り込んでくるツッコミどころを擬人化し