綿矢りさのレビュー一覧
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ネタバレ『かわいそうだね?』
携帯盗み見たあとの真っ黒なページに「綿矢りさを読んでいる…!」と興奮した。
隆大の正義感は『かわいそう』が動機で、かわいそうな人ありきだから脆弱なのだろう。だってかわいそうな人などいないのだから。体格のいい見た目と、なまじっかなこの正義感が、樹理恵の震災へのトラウマを包み込んでくれそうに見えて、彼女を盲目にしたんじゃないかな。大阪弁はたしかに、アキヨさんのやわらかで、どこかほつれた印象とは真反対。アキヨさんが『隆大に寄りかかる』ことを選択した人生なら、ラストの樹理恵大阪弁大暴走シーンは、地震の克服もあいまって示唆的で良い。
『亜美ちゃんは美人』
リカちゃん人形の例え -
Posted by ブクログ
嫌いなら呼ぶなよで良い感じの毒と爽快っぷりの世界観にハマってしまい、
そこからの、またしても気になるタイトル。
彼氏の家に元カノが同棲するっていうとんでもない話から始まるんだけど、主人公は同棲が嫌なら別れるまで言われる。
そこまでか!?と主人公側が思うことからもやもや悩むけど、またそこで2人は海外に住んでいた経験やら、文化の違い?とか、まさかの火垂るの墓のいじわるなおばさんの話まで出てきたら、確かにな…って思えてきちゃってる自分もいて、でも、最後はもう本当にありがとう!ってこっちも気持ちすっきりした。
もう1つの作品はとにかく美人な友達と引き立て役としてずっと過ごしてきた2人の話なんだけど -
Posted by ブクログ
主人公菖蒲の30代北京駐妻物語。
彼女の無敵感がすごい。夫になんでも買ってもらっているし、もちろん家事はしないし、遊びに全力投球!
その自信はどこからくるのかと思うが、本人も全くメタ認知ができていないわけではなく、どこでなら勝てるのか分かってやっている。無敵でいられるためのポジション選びは抜かりないく、潔いので気持ちが良い。
北京の異国情緒をあらゆる場面で感じられるのも良い。
インフルエンサーでいうところの妹尾さんに似た歯に衣着せぬ物言い。
本当は大事じゃないことに悩んだり、迷ったりしている自分って、大人なふりをしているだけなんじゃないかと気づかせてくれる一冊。
生命力が強い女って最高 -
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SNSで見かけた奇抜な色味とタイトルに心惹かれすぐ買いに行きました。
4つの短編になってるんですが、いい感じに人間のこういうとこあるよなぁって嫌な部分とかをユーモアを交えて書かれてて、本当に皆こんな大変な世界で頑張ってるよほんとに…とまで思えてきました。
女の世界の水面下で行われる熾烈な争い
好きも行き過ぎると狂気になるよね、わかる。
熱中するのも深く世界に入り込めるけど、溺れて、良いも悪いも分からなくなって戻れなくなるよね。
だから、程よく栄養補給くらいが丁度いい。
やってる事は悪いんだけど、人間逃げ道を塞いで多勢で責めるのはいじめと同じなんだよね。
最後のお話は最高に面白かったで -
Posted by ブクログ
ネタバレ「私は久乃が好き。久乃は私が好き。それで十分やろ」
この2人の関係は、レズビアン(女性同性愛者)であった
中学の頃に、同性と付き合った不安や周りからの差別の目に耐えられず、別れた。
自分たちが、レズビアンということを知らず、互いが互いを好きでいるだけのあの頃が1番幸せだったのかな…?
そう思っていた…。
しかし、32歳の時に、2人は再開し、再熱した。
その時、久乃と綸は、運命に導かれる2人なのかなと思った。
2人が中学生の頃について話していると出てきたこの台詞がグサリと心の中に刺さった印象が残っている。
「偏見ってさ、他人の中やなくて自分の中にあるんよね。大人になってから気づいた」
本 -
ネタバレ 購入済み
生々しい作品
物凄く長いと聞いていたので覚悟して読み始めました。
もっと読んでいたい…終わってほしくない…という気持ちと、早く次のページを読みたい!という気持ちがせめぎあって大変でした。
パッキパッキ北京を読んですぐ本作を読み始めたので、綿矢りさの振り幅大きさに驚きました。
中学生時代のパートが想像上にボリューミーでしたが、中学生ならではの残酷さのようなものが物凄く生々しくて、当時の空気感が文字になると、懐かしさ以上に切なくなります。
再会のパートは展開が目まぐるしかったですが、橋本君がいい清涼剤になっていて救われました。
久乃はかなり危ういし、最後の最後まで結局しっかりと謝れていない所にもどかしさも感 -
購入済み
めっちゃくちゃよかった。
自分も一時期北京にいたので知ってるところしか出てこなくてあれ私の話かなってなったくらい。
この清々しいほど自分第一優先な生き方が見ていて気持ちいい。
「人に言われたからって、好きなことをあきらめるのか」、もちろんそうじゃない。
破天荒な主人公の、彼女のわくわくがぎっしり詰まった1冊で面白かった。