綿矢りさのレビュー一覧
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綿谷りさの作品は必ず後味がある。想定通りのストーリーにならない。人間の醜い部分がどこかあって、後半に目掛けて晒し出される。思春期特有の頭と行動の乖離にずっとついていけてない愛と、育つ中での環境で一足早く大人に近づいてる2人。
自己肯定感まっくすでと自己中心的な行動を続ける愛と、自分のことには興味がない彼女。愛が変だと思っていた前半、この年齢でこの考え方をする彼女に対して普通ではないと思う。教室にいる地味な男の子を好きになる青春恋愛小説かと思ったが、突然脱線してみるみる堕落していく少女に見入ってしまった。この後味の悪さが綿谷りさを表しているのかと、どんな思考回路してんねんです。 -
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「いなか、の、すとーかー」と「ウォーク・イン・クローゼット」
どちらも主人公が一つの事件をきっかけに自分の生き方を見直す物語
しかし、それ以外にもう一つの要素が必要だ
「いなか、の、すとーかー」は仕事
「ウォーク・イン・クローゼット」は衣服
最初はあまり共感できないな、と思っていた主人公がラストシーンではすっかり見違えた姿を見せてくれます
時には滅茶苦茶に重い雰囲気を持つこともある綿矢りさ作品ですが、本書はコメディタッチなところもあり非常に読みやすいです
(私はその滅茶苦茶に重い雰囲気が著者の一番の魅力だと思っていますが)
ホラー、ミステリ、冒険活劇など様々な要素が花を添えているのも本書の魅力 -
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いやぁ笑ったな。
変貌を遂げた妻に対する、夫の心の声に何度も笑ってしまった。
ただこの話は面白いだけではなく、確かに少子化社会に向けて訴えている。
妻の気持ちも夫の気持ちも確かにこうなるよね、と思ってしまう。が、故に出産子育ては簡単ではないなと実感もする。
出産を経験したら、こんなんになるのかなぁと想像してしまった。
私がこの夫だったら、多分生まれ変わってもこの経験は忘れないだろうな。それぐらいインパクト強過ぎる。
そして、深夜のスパチュラ。これはもう、自分が学生だった頃のバレンタインを思い出した。
めちゃくちゃ共感した。料理初心者のくせして頑張っちゃう感じ。
どちらもあっという間に読み切 -
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こな描写は凄いなぁ、と感じ入る場面が多々あった。
なかなか言語化出来ない感覚というか、感性というか、人の感情や性格的な側面、関係性などを、絶妙な比喩を用いた、うーんなるほど、まさしく、と違和感なく受入れる事の出来る描写が心地良い。
例えば、心情とは全く異る自分の作られた笑顔のことを「ちょうどいま穿いているソックスの刺繍。表側の真白い生地には、四葉のクローバーの刺繍が施されているが、裏返せば緑色の糸がなんの形も成さず、めちゃくちゃに行き交い、ひきつれているだけ。」とか。
たとえ君をめぐる愛と美雪の、3人の恋と嫉妬の青春物語は、其々の内面がぶつかり合い183pの小編ながら読み応えがあった。 -
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同棲中の恋人がいて結婚をしたがっている女である姉から、同棲中の恋人がいて結婚をしたがっている女の私に送られた本。
主人公のねっとりした視線やポエミーなところがユーモラスというよりも怖い。
主人公の彼氏の潔癖さや冷淡な部分が誇張しすぎているように見えてリアル。つまり怖い。
この本はかなり怖い本だった。
20代後半の主人公は子どもが欲しいかどうか、という点には触れていない。それよりも「同棲したし、次のステップである結婚をしたい」というぼんやりとした理由から結婚を迫る。彼氏の方は「そんなぼんやりした感じで始まって大丈夫なわけがない」と考える。
そもそも結婚ってなんでするんだろう。
「好き同士で -
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ネタバレ「かわいそう」という言葉の中には、同情だけでなく、優越感や依存などいろいろ混ざっていることを考えさせられた作品でした。
序盤は内面描写が長く、正直読むのをやめそうになりましたが、中盤の出来事をきっかけに一気に引き込まれました。
2つ目の「亜美ちゃんは美人」では、亜美のこれからを思うと、私は祝福しているさかきちゃんが「かわいそう」だと感じました。きっと亜美が困ったときにはさかきちゃんを頼るのでしょうし、その関係は簡単には終わらないはずです。さかきちゃんの優しさゆえにその関係から抜けられないのではないかと思いました。優しさは美徳ですが、ときに自分を縛る鎖にもなるのだと感じます。
また、主人公で