綿矢りさのレビュー一覧
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綿矢りささんの『かわいそうだね?』、とても面白く引き込まれた。
日常ではなかなか遭遇しない修羅場や出来事を追体験している感覚があり、先が気になってどんどん読み進めてしまった。特に「対女性との関係性の悩み」が的確に描かれていて、自分にも心当たりがある分、読んでいて苦しくなる場面も多かった。
一方で気になったのは、タイトルの「かわいそうだね」という言葉が誰に向けられているのかという点。物語は、周囲に頼らず自分の意思をはっきり持って進んでいく強い女性と、外見や甘え上手さによって人に守られる女性、その二人を対比させながら展開していく。最初は「強く誰にも頼らない女性」に向けた孤独への同情の意味かと思 -
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ネタバレ▼メモ
・江藤ヨシカさんの妄想癖は好き。
・抽象度上げると、綿矢りささん独特の世界観に引き込まれる。
▼好きな個所
・「どうして私のこと“ きみ”って呼ぶの」
イチは私が大好きな、恥ずかしそうな笑顔になった
「ごめん。なんていう名前だったか思い出せなくて」
江藤さんについて聞かせてと言ってきたときのニの顔が思い浮かんだ。江藤さんのこと聞かせて。私が胸に赤い付箋を付けていただけで、私を見つけてくれた人。
・もういい、想っているいる私に美がある。イチはしょせん、ヒトだもの。しょせん、ほ乳類だもの。私の中で十二年間育ち続けた愛こそが美しい。イチなんか、かってにふるえてろ。 -
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初の綿矢りさ作品だけど面白くて一気読み。
綿矢りさの作品って、女にしかわからない独特な空気感をうまく表現してて、本当にリアル。
もしかしたら男性の読者は読んでていまいちピンとこないところもあるのかも?と思ったけど、女性からしたらあの微妙な空気感とか、あるあるすぎる。
表題作の「かわいそうだね?」すごく面白かった。
樹里恵が封印していた大阪弁でまくしたてブチギレれるシーンは痛快で、思わず「よぅ言うた!」と拍手を送りたくなる。樹里恵、スカッとさせてくれてありがとう。
隆大にはアキヨがお似合いですよ。2人ともまじで気色悪。
亜美ちゃんよりも、亜美ちゃんのおまけとしてぞんざいに扱われるさかきち -
Posted by ブクログ
ヒリヒリする美しい文体。
主人公の愛の心と体が分離していると表現していたが、その分離しているところと、かろうじて繋がっている部分の織り交ぜの表現が美しくて鮮烈で、すごく心を刺してくる。
自分を卑下し、相手を特別視し合う関係。
そこを壊してひらいて結んでひらいて。
自分が見る景色を、自分の心に立つ感情を信じたい。
言葉にしないまま持っておきたい感情がある。
整理したくない。
このまま生きていきたい。
でも大事にしてしまうと、それはまた変容してしまう。
なにもわからないまま生きたかったな。
でも今は今でいいのかもしれない。
わかった気にだけはなりたくない。