綿矢りさのレビュー一覧
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ネタバレめちゃくちゃ好き〜自尊心×自意識過剰×孤独→生み出されたAという存在。この人自尊心が損なわれる恐れがある行動は別人格でしかできないのよね。自分が起こした行動や思考なのに、「Aはすごいね、わたしにはできない」みたいなこと言ってるの不気味でしかないけど、彼女はそうしないと自分を保っていられないんだ。。恥ずかしい行動もちゃんと傷つくことも全てAに任せて、自分は高みの見物してるつもりになっているのがこわ面白かった。でもAも自分とちゃんと自認している上でのことなので、それもなんだか可愛い。
歯医者とどうにかなれるかも、と考えるところとか、短いスカートでアピールする痛い女を描くところが綿谷さん意地悪ですき -
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ネタバレ久々の綿矢りさ!!おもしろかった~~~!!!一気読みしてしまった。
みつ子ちゃん、33歳、独身。自分に近い部分が多かったので読んでいてすごく楽しかった。でも私に近いのはオタクっぽくてイケメンに甘いノゾミさんかな。相手の顔が好きであれば多少のこと(カーターはだいぶめんどくさいが)には目を瞑れるというか、相手のナルシズムに付き合うのが大好きな感じ、分かる。楽しいよね。
でも多田くんみたいに害の無い人と付き合って、女性として見てもらって、その代わり軽く拒否っただけで拗ねられてめんどくさい、みたいなのが一番リアルよな~~~。みんなすごいなぁと思うよ。私ほんとしんどいんだそういうの。婚活して、何回か -
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表題の方が後半に入っている構成が意外。2つもも面白かった。綿谷さんの本はどれも面白いな。ただ、面白いと言っても、それぞれ方向性が違いました。
いなか、の、すとーかーは、ミステリーホラー小説を読んでいる感じだった。予想外の展開。でも、出てくる人物の誰もなんだか憎めないのが不思議。かなり酷いストーカーなのになぁ。ぞわぞわしながらも目が離せない展開でした。
ウォークインクローゼットは、昔の自分を見ているかのような主人公だった。人にどんな風に見られているか、素の自分を出せず、人の事は品定めしてしまう。なんか分かるなぁと。決してモテない訳ではないけれど、果たして本当に人に好かれるとはなんなのだろうと迷う -
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ネタバレ
宗教的哲学的作品
この小説はティーンズの恋愛物というより、哲学的命題を含んだ福音書の一節という風に感じられた。
物語の中に聖書を出してくるのも、そういったイメージを促そうとしているように思わせられた
この小説の最重要なテーマは、いわゆる(柄谷行人氏のいう)「単独性」というやつだと思う。
自分を自分たらしめるもの、他の誰にも見出せるものではないと信じられるもの、
そしてそこから自分の生きるエネルギーが湧き出てくるよう感じられるもの
私の「単独性」のイメージはそんな感じ。
主人公の愛ちゃんは、たとえ君という、一見地味でそこまでモテるタイプに思えなかった青年に恋心を抱いたことで、
そこに自らの「 -
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高校三年生の野田朝子。自称変わり者。受験生になって一ヶ月。いわゆる五月病ではないけれども、昼食後の教室でちょっと愚痴ってみた。
「私、毎日みんなと同じ、こんな生活続けてていいのかなあ。」
その愚痴を捕まえてクラスメイト曰く「疲れてるせいだよ。」「一回学校休んで休養とったら?」
そそのかされて休みを取った朝子のヴァカンス。
2001年第38回文藝賞を単独で受賞した作品。主人公の主観に徹したインナーハードボイルドです。主人公の描写が難しい一人称で描かれていますが、それにもかかわらず、彼女の漠然とした日常や将来への不安が身近に感じられ好感が持てました。
例えば、主人公が日常の不安を社会にぶつけ -
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かわいそうだね?
2025.11.28
前半は男女間のいざこざ。私は恋愛経験がないせいで幸い?無縁だった話だが、実際こんなかんじなんだーと俯瞰してしまった。正直、自分が樹里恵の立場だったら同じように盛大に荒くれ、暴れまくると思う。というかこんなめんどくさい関係になる前にさっさと離れる気がする…アキヨさんが気持ち悪くて仕方ないし、隆大もどうかと思ってしまう。
あーあ、中高生レベルのピュアな恋愛がしたいなぁと心から思うばかり。学校内の小さなきゅんきゅんでいいんだよこっちは!ドロドロとかまどろっこしいのとかいらない!と恋愛経験皆無の女が言っています。
この本から得たメッセージは怪しい男からは、傷 -
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4編の短編集。「眼帯のミニーマウス」がおすすめ。全編を通しての感想は「神田タ」の感想と一致します。描かれるホンネが楽しい作品です。
「眼帯のミニーマウス」
承認欲求と自己隠蔽欲求のせめぎ合い。その一つの解が「眼帯のミニーマウス」。話もすごくおもしろかったけど、自分の中では、数年前のことなのにマリトッツォのことをすっかり忘れてたのが衝撃的でした。マリトッツォ、そういえば流行りましたね。マリトッツォは「豊胸した胸を見て見てと言わんばかりに露出させ手っ取り早くみんなの目を引く」商品だそう。
「神田タ」
人が良さそうに見えて、じつは底意地の悪いキャラってのは綿矢りささんが描く人物の魅力の一つだと思