【感想・ネタバレ】蹴りたい背中のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年08月22日

2004年第130回芥川賞受賞作

初版は2003年、丁度20年前。
芥川賞受賞19歳という最年少記録はいまだに破られていない。

冒頭の「さびしさは鳴る。」という一文は有名だが、時期を逃して未読のまま時は過ぎ…。

いやー、語彙力なくて申し訳ないが、すごい。
19歳かよ、本当かよ。

まだスクール...続きを読むカーストなどという言葉もなかった頃に書かれたこの『蹴りたい背中』。
入学したばかりの高校で、クラスの序列から外れ、どのグループにも属さない少女の葛藤…脳内でずーっと独り言を呟き続ける気持ちや、たまに口を開くととんでもなく鋭い言葉が出てしまうところなど、もう場面が目に浮かんでくる。
にな川と絹代との関係などからも、主人公ハツの自尊心の揺らぎや苛立ちなどが痛いほど伝わる。

主人公の気持ちがちっとも分からない、という人は、順風満帆な高校生活を送った(送っている)人なんだろうなぁ…ある意味羨ましい。
2023.8

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Posted by ブクログ 2023年08月03日

「若さ」は大人になるにつれて、良い感情、良いイメージしか抱けないものだ。しかし、真っ只中にその身を置いている人間にとっては、決して明るいものばかりではない。クラスで孤立している少女が、同じ立場の少年と交流を持つことによって生まれた感情を丁寧に綴っているこの物語は、あまりにも刺々しく、痛々しい。決して...続きを読む触れて欲しくない、それでも誰かに分かって欲しいという反発し合う感情を抱える主人公に、自分の過去が重なる部分も多かった。なにより、心に秘めるもやもやを的確に表す描写が素敵。

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Posted by ブクログ 2023年05月06日

表現はとても上手だと思った。現代日本語を上手に使って、なんとも言えない心情や情景を美しくもリアルに描かれていた。異性感での「好き」「嫌い」ではない感情。ハツがにな川に対して抱いていそれは、恋でもあり嫉妬でもあり友情でもあり嫌悪でもあり優越感でもあり劣等感でもあり。。ハツ自身無駄に頑張る友人関係には飽...続きを読むき飽きしている一方独りは嫌だというなかなか難しい想いを持っており、にな川に対して非常に複雑な感情を持ってしまったのだろうか。蹴りたい背中、そういうことねー。

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Posted by ブクログ 2022年01月10日

読みながらずっとモゾモゾ感が止まらなかった。
高校一年生の1学期。クラスのどのグループにも属していない長谷川と、にな川。
二人は似ているようで違う。
人に無理して合わせるくらいなら一人でいた方がいいと思っている長谷川に対し、推しに夢中になるあまり、周りはどうでもいい、にな川。
にな川に比べたら自分の...続きを読む方がマシだと思いつつも、一人でいる時間に自分なりの言い訳めいた理由を心の中でつぶやいている長谷川がイタイ。

自分の内側ばかり見ている‥‥存在を消す努力をしているくせに完全には消えたくない‥‥縄跳びの八の字でうまく縄に入れないようにうまく会話に入れない‥‥

これは高校生の話だけど、イタイ長谷川に共感できてしまう大人の私がいる。
大人になった私は場数を踏むことで要領が良くなっただけだし、目の前の世界が全てではないから思い詰める必要はない、と自分を納得させることができているだけ。

「認めてほしい、許してほしい」
「人にしてほしいことばっかりなんだ。やってあげたいことなんか何一つ思い浮かばないくせに」

高校生のお話、それも若い人が書いたお話。共感できるかなぁ?なんて思いながら読み始めたこの物語に、大人の私がこんなに共感している。それに対してモゾモゾしてしまいます。

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購入済み

2021年01月26日

とてもよい

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Posted by ブクログ 2020年04月21日

1行目からわかる表現力の深さと感受性の豊かさ。
なんて素敵な描写をする人だろうって、引き込まれます。
尊敬する人から勧められた私にとってとても大事な思い出の1冊です。

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購入済み

むき出しの自意識

2013年12月04日

オサーンになってしまうとリアルに感じることは難しいけど、たしかにこういう自意識のかたまりみたいな時期もあったような。
思い出すとこそばゆい。
このストーリーに反発を覚える人の気持ちもわかる気がする。

2

Posted by ブクログ 2024年03月25日

あー間違いない!私も
蹴りたくなりましたよ。

なんとまあアホらしい
背中。

耳元で囁かれてる気が
するからと

片耳だけのイヤホンで
うずくまる背中。

アイドルオタクの何が
悪いのか?と、

当人からすれば放って
おいてくれよ!という
ことなんでしょうけど、

目の前のそのモッサリ
した無防備...続きを読むな背中を、

アイドルと二人だけの
世界に旅立ってるその
背中を、

足蹴にしたくなるこの
衝動は、

学生時代から変わらぬ
感覚と言いますか、

実際じゃれあいのなか
友だちの背中を蹴った
記憶がうっすらと(汗

あ、学生時代と言えば、
好きな人を知らず目で
追って、

その人が少しでも動く
とあわてて目を逸らす
片思いのあるある。

端から見ればバレバレ
でした(笑

そう、ご多分に違わず
恋ゴコロに気を取られ、

他人から見えてる自分
の背中に不注意極まり
なかった私を思い出し、

あ、どちらかといえば
私も蹴られる側だった
じゃないか、と。

まあ、もはやすべてが
時効ということで・・・

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Posted by ブクログ 2024年02月12日

決して蹴られたいんじゃないですよw

ってな事で、綿矢りさの『蹴りたい背中』

西加奈子さんの匂いもする様な人間模様。

周りから孤立させられても自我を貫き通す事が出来るのがある意味、強さじゃないかと。

19歳の時に醸し出す最後の一文『はく息が震えた』にわしが震えたw

2018年3冊目

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Posted by ブクログ 2024年01月13日

10代で書いたのがすごいが、10代でしか書けなさそうなリアルな痛々しさがあるなあ、絹代ちゃんがいい子なのが救い

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Posted by ブクログ 2023年01月23日

蹴りたい、傷付けたい、傷付く顔が見たい。それってどんな感情なんだろうか。愛しいの先にあるものなのか、まったくの別物なのか。
なんとなく居心地の悪い、でも綿矢さんぽいお話だった。

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Posted by ブクログ 2023年01月19日

やっぱり綿谷さんの小説は面白い。比喩表現がほんとうに上手くて、話の臨場感を引き立てている。
若い女の子の歪な恋?の形がとても可愛いし、なんともいえない妖艶さがある。愛と憎しみは紙一重と言われるけど、この場合愛しさと虐めたくなる感情の一重さがとても胸をうつ感じがあった。

高校での息苦しさとか、一人で...続きを読むいる時に感じる孤独の虚しさのような感情をリアルに表現していて、人間関係の難しさや面倒くささを感じた。オリちゃんというにな川の好きなモデルと、冴えない高校生2人の対比が、切なくなるほどだけど、それがにな川の抱くマイナスな感情につながることを主人公ハツは知りいじめたくなる……。ハツのにな川への感情、私は好きだし、分かってしまうかも。
途中の、「ひとにしてあげたいことは何一つないのに、されたいことばっかりだ」っていうところが、どうしようもなく一人になっている子の本音だよなぁ。好きで一人でいるって強がっても、結局ひとに囲まれて、自分が承認されたらずるずると人間関係の糸に絡まってくんだ。
ハツの強がりも、本心もあってだと思うけど、ずっと人と話さないと、考えがどんどんひねくれてしまう気もする。その考えが的を射てるときももちろんあるけど。惨めだな…。それでも、「取り残された2人」が歪ではあるかもしれないけど人間関係を築けているのは、救い。
学校で特有のどうしようもないひねくれと、本心と、恋愛対象とみているか分からないけど確実に他の人とはちがう感情を抱いている相手とのお話。高校とか中学だから起こる話でもあると思った。
ハマってはいけないようなものにハマっていく感じ…好きなんだよな

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Posted by ブクログ 2022年09月04日

誰もが思い当たるような学校生活での心情。
常にクラスや学校内でのカーストを気にして、自分のランクを気にするところが嫌だったが、自分よりも下の人を探して安心したい気持ちをすごくよく表してる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年09月17日

アイドルのオリちゃんが読んでいて引いてしまうほど好きな、男の子のにな川。
そのにな川が困った表情や嫌がる表情が好きな女の子のハツとの変わった青春のお話だった。
個人的には読み終わって変わった2人だがお似合いだと思った。

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ネタバレ購入済み

2021年06月24日

ハツが自分に向ける感情に気づいていながらも、それを何でもないことのように受け止めるにな川の感じがいいですね。

#感動する

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月06日

“とり残された”高校一年生の男女ふたりを中心としたお話。主人公・陸上部所属の長谷川初実(ハツ)は、理科の授業で向かいの席だった蜷川(にな川)智が女性向けファッション誌を読んでいる姿をみて、にな川に対し、雑誌に掲載されているモデルを見たことがある、と言う。にな川は、以前ハツが無印良品のカフェで見かけた...続きを読む モデル「オリチャン」の熱狂的なファンだったのだ。

ハツに当時のオリチャンの印象について聞きたいとにな川は自身の部屋にハツを招き入れる。そんな絶妙な距離感のまま、にな川の部屋にあるオリチャン関連グッズが収納された箱の底に隠れていたアイコラを発見したハツは目の前にあったにな川(オリチャンのラジオに没入している)の背中を蹴る。
.
比喩表現が上手すぎる。たまらん。

校内での新入生の肩身の狭さが
巧妙に表現されていて、
思わずあの思い出したくもない記憶が蘇った…

ハツは、にな川への嫌悪と愛情が絡み合った末
相手の背中を蹴るという行動に至り、
また、にな川が見世物になっていると一種の喜びを感じているようにも思える。

だが、上述のような行動を起こしたり、
にな川の唇を舐めたり、
にな川が一線を軽く越えてしまったとき、無意識的に哀しみが溢れてしまったり。

第三者の目線でないと気付けない「自らの本音」が私にはいくつあるだろう。

自分を最も理解していない存在は
自分自身なのかもしれないし、
それ以前に 真の自分 はとっくの昔に道端かどこかで落としてきたかもしれない。

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Posted by ブクログ 2020年11月30日

二字熟語が文章の中にふいに来て、何事も無かったかのように文が続く感じが好き。太宰の「人間失格」に酷似、というかほぼこれにインスパイアされたように感じる。

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Posted by ブクログ 2020年02月21日

大学生がこれを書いたのかと思うと、その描写力と鋭敏な比喩表現に非凡さを感じざるを得ない。簡潔な文体にして的確。

僕も高校時代はハツと似たような面があったから、共感できる要素が多かった。ハイティーンに差し掛かる年齢の、クラスのアウトサイダーになりつある少年少女のメンタリティ。自己とその他を区別し、グ...続きを読むループ化していくその他を冷めた視線で捉え、嫌悪感すら抱いていく。個性と没個性を強烈に意識するがゆえの不器用さを抱えながら膨らむ自我が揺れ動く。10代の頃に自意識過剰が振り切れる、あの体験に近いかなと。

そして、にな川というアウトサイダーでありながら全くハツとは異質な思考を持つ異性。思考は違うけれども、どこかでハツと情緒が繋がってしまうのだと思う。ステレオタイプな恋愛感情を飛び越した嗜虐心なのか、彼の背中を蹴りたい衝動が生まれるけれども、その正体はやはり単純な理性では掴めない、ハツの内側から呼び覚まされるプリミティブな暴性とイビツな愛おしさ、その他微細な感情の複合物なのだろうと思う。気になったのは、ハツのにな川への感情の中に性的衝動が微妙にあるのか無いのか分からないない点だ。有無のどちらともとれる表現はあったように思うけれど、明確には示さないという意図なのか、僕の感性では読み取れないだけなのか……。

アイドル的な人気モデルに入れ込むにな川の生態は、キモオタそのもので笑えた。ハツはそのキモオタ性を気持ち悪いと思っているだろうし、馬鹿にもしているけれど、一方でそこに、にな川のパーソナリティと結合した強烈な個性として愛おしさを感じてしまっているという点で、没個性側(クラスの仲良しグループ)とやはり峻別できてしまう。

大人びたシニカルな目線と対比的に感情を持て余すハツの未成熟さが顕れるところや、経験の無さゆえに外出時の服や履き物のチョイスに失敗するところなどに10代のリアリティを感じたし、そこはこの作品の情緒的な味わい深さだと思う。

純文学に重厚さを求める向きには軽い作品かもしれないけれど、年齢性、時代性、感性、情緒性、など、いずれにおいても鋭く過不足なく描き抜く筆力は非凡だと思う。

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Posted by ブクログ 2019年11月06日

クラスのあぶれ者同士が起こす化学反応。今をきらめく人気モデルに陶酔するにな川とそれを目で追ってしまうハツ。特ににな川の「にな」の字が平仮名で表現されているなど、ハツ視点ということがわかる細かな工夫がなされており、感情移入しやすかった。また、中高生にありがちな人生を達観した気で「私はお前らと違う」感を...続きを読む醸し出すハツの脳と心の非接続感が面白かった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年08月28日

クラスで鎧を着ている女の子と、モデルさんの追っかけオタクの男の子。自分のことがちょっとずつ好きになって行くのがいいね。

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Posted by ブクログ 2019年05月14日

学生時代に特有の自意識のあり方を、とても豊富な比喩表現や語彙で的確に表現されていて、自分にも身に覚えがある気持ちをすごく新鮮な目線で再確認したような気分になった。
高校時代に読んでいたら更に衝撃が大きかったろうな..,。

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Posted by ブクログ 2023年08月07日

一気に読み切ってしまった(苦笑)

学生時代の痛い思いが蘇る。

あぁそうだ、自分もこんなだった。
充実してない青春してない学生時代だった。

学生時代ってともすれば、思い通りにならない、一番生き苦しい時代だよなー。

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Posted by ブクログ 2022年08月13日

クラスで浮いている女子高生のハツが主人公。同じように浮いているにな川と、モデルのオリチャンをきっかけに関わるようになるが、、

学生の時のこのモヤモヤした気持ち、久々に思い出した。今みたいに要領よく人と関われなくて、1人で寂しいだけなのにそんな自分を正当化して他人を見下して。
にな川は同じように浮い...続きを読むてるのにそんなことに囚われてなくて、彼の世界にハツはいなくて、それに対して嫉妬して見下して傷つけたくなって。

あと10分休みの長さね!しんどいよね~~。話すこともないのに友達のとこ行ってたな…浮いてると思われたくなくて。

人にやって欲しいことは沢山あるのに、人にやってあげたいことは何も無い。わかりすぎる。
わたしがもっと不器用だったらハツみたいになってたな。そして絹代いい人すぎる。

相変わらず表現が多彩で面白かった。

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Posted by ブクログ 2022年07月01日

モヤモヤする。モヤモヤが最後まで解決しないところもリアル。高校生の、自分でも自分の感情が上手く整理できない感じ。大人になってやっと整理できる感じが懐かしくもあり、でもやっぱり若さゆえの歪んだ感情が面白かった!
でもやっぱりスッキリしない感じが心にモヤモヤを残してる

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Posted by ブクログ 2021年10月16日

思春期ならではの心の有り様が伝わってきた。
周りはレベル低いからと、あえて群れていないと自分では思い混んでいるけど、実際は周囲に対して嫉妬していたり劣等感を感じてたりする。自分もこんな感じの感情持ってた時あったよなとちょっと恥ずかしくなりました。
にな川に対して抱いていた感情(蹴りたい背中)はどうい...続きを読むうものなのか、よく理解出来なかったけど単純に見下してるだけでなく、本当に周りに流されてないにな川への嫉妬とかも含まれてたのかな?

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Posted by ブクログ 2021年07月24日

クラスで余りもの2人、主人公のハツとにな川のふれあいを描く。

文章自体は読みやすいが、内容があまりよくわからなかった。
ハツはにな川に対して恋愛感情を持っていると自分では感じておらず、背中を蹴りたくなるという表現がされている。
学生時代に、余りものになってしまう孤独さが嫌で表面的な繋がりだけの友達...続きを読むの輪に入ること、それを考えてしまう人もいたと思う。共感する人はいると思う。

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Posted by ブクログ 2021年07月20日

長谷川の孤独ではなく自ら孤立を選んでると線引きして強がる感じ、にな川のアイドルに没頭する感じ、お互いあぶれたもの同士の関係性から分かる思春期の独特の雰囲気や友達作り、、、
中高に戻った気持ちになれる(大半がズレたり苦い思い出の気持ち)

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Posted by ブクログ 2021年04月13日

主人公が高校生なだけに同世代の人が読むと共感する作品だと思う。
クラスに馴染めない主人公のハツとアイドルオタクのにな川が親交を深めていく話。
思春期特有の友人関係の悩みや異性に対する興味の芽生え等、懐かしいなーあったなーという気持ちで読んだ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年02月24日

描写の美しさよ……

ストーリーとしてハツはにな川に「背中を蹴りたい」という不思議な気持ちを抱き不思議な関係のままで、「ん??」となってしまったけど、解説を読んでこの作品の中での「蹴る」というのはこれまでの青春小説、恋愛小説の常識を「蹴る」ということだったのかなと思った。

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Posted by ブクログ 2020年11月27日

この本がヒットしたってことは
主人公の気持ちがわかる〜と共感した人が
たくさんいるってことだと思う。

残念ながら、学生時代は遠く過ぎ去った今読んでも
そんなに共感はできないけれど、
いたなぁ…こんな子、と思いながら読んでいた。


学生時代に読むべき本だと思う

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Posted by ブクログ 2017年08月22日

ハツは結局孤独にも孤高にもなれない。孤高を気取ってるだけなのもみんな分かってるんだろうなと思う。
クラスの人のレベルが低いから、だから私は話さないんだ。って自分が選んでいるみたいなことを言って、本当は誰にも選んでもらえないことが恐ろしいし、自分は誰にも選ばれてないことに気付かないようにしている。
...続きを読むツがにな川に抱いている感情は、あまりにも歪んでいて、あまりにも対極のように感じてしまうけど、これを世間は恋と呼ぶんじゃないかなと思った。

ハツという人間があまりにも自分だったから、自分というものを客観的に見るとこんなにも痛いものかとつらくなった。私も結局もののけ姫にもにな川にも絹代にもなれなかったよ。

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Posted by ブクログ 2017年02月14日

高校のこういう感じはなんとなーくわかる。
私の学校はもっとサバサバしてるけど。

最終的にハツはにな川を軽蔑しきれないし、絹代の友情を諦められない自分を弱いってわかってるんだと思う。
逆ににな川は、みんなに嫌われようともオルチャンっていう軸を持ってるから、強いんだと思った。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年02月09日

愛しいよりも、いじめたいよりも
もっと乱暴な、この気持ち
 高校に入ったばかりの“にな川”と“ハツ”はクラスの余り者同士。
 臆病ゆえに孤独な二人の関係のゆくえは……(帯より)

そうかなあ?「孤独な臆病者」ってハツだけじゃない???

にな川って別に孤独じゃないと云うか、むしろ「孤高」だと思いまし...続きを読むた。好きなものを思う存分愛でてるだけ。何かを好きになるのに仲間なんて必要ないでしょ。
クラスの中で浮いてる「異物」みたいな感覚でオタク属性を与えたのかなあとも思ったんですけど、初版が発行されてから15年弱が経過した今、男性のアイドルファン自体珍しい事ではなくなっちゃいましたしね。

それより何より、ハツのかまってちゃんぶりが辛い!!!
なんかもう……面倒臭い!!!

こんなの「お腹がすいて一歩も動けないけど好物しか食べたくないから誰か私の口までスプーンで運んで」って言ってるようなもんですよ。
その上、友人に向かって「私が餓死しても構わないのか」なんて脅迫してみたり、それが叶わないと悟るやいなやすっくと立ち上がって(実際動けないほどの空腹でもない)誰も積極的には食べたがらないゲテモノをつまみ食い、「マズッ」って言いながら何かそのマズさが癖になる、みたいな話ですよこれは。

私も私でいい歳こいて何をこんなに熱弁しているかと言うと、ええそうですよ、完全に同族嫌悪ですよ。ハツの幼稚な自尊心には、身に覚えがありまくり。辛い。辛いです。

薄暗い部室に染みついた汗臭さ、下足箱付近に漂う独特の臭い、家に帰ってから制服を嗅いだ時に感じる学校の残り香みたいな、甘酸っぱさよりも埃っぽさを感じる「負」の青春小説だなあと思いました。

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