綿矢りさのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレとある出来事を契機に、そこに心を置かざるえなかった女性
それは執着なのか
執着が発するエネルギーの強さは、自分でもコントロールできない
きっと多くの人は、大人になるにつれ、その執着の花を枯らす
しかし執着で熱せられた命は
激しく輝き、燃える
前半は中学生パート
綿矢さんと年代か近いからか、共感できる話ばかり
その時の気持ちを思い出しながら、まぁ、思い出すのは苦い気持ちの所だけだけど、読み干した。
日常に大きな変化はない。
些細な変化を積み重ねていくなかで生まれた感情。
その感情は一時的なものなのか、違うのか。
戸惑いながら触れていく2人。
中学生という多感で冷酷な時期が、2人を悲しくも引き離していく
そこに感情を落としたまま、その時に執着している主人公。
後半は約20年後
主人公の執着さが、また引き寄せ、引き離さない。
空いた時間を埋めるのに戸惑いつつも、あの時の答え合わせをしていく2人。
しかし、相変わらずに同性という壁が彼女らをはばみ、襲ってくる。
自分の気持ちを再確認しながらも、突き進んでいくのは、執着がもつエネルギーか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいずれ訪れる爆発を予感しながら読み進める、アトラクション待ちのようなストーリーだった。
英語がわからない故のアンジャッシュみたいなシニカルな場面や、自制しようとする樹里恵のモノローグから、読者も心の広さや判断基準を試されている気がしてくる。…が、そこへアキヨのグロいメールのインパクトよ。修羅場不可避すぎる。
樹里恵の約束されたぶちまけタイムは凄まじかったのに、アキヨはアキヨで強かだから、読んでいるこっちはなんだかスッキリしなかった。
樹里恵は素敵な人を見つけて幸せになってほしい。
「亜美ちゃんは美人」は複雑な友情を描いていて、100%の好感じゃなく、嫌いだったり苦手な面ごと認められるって素敵な関係だなと感じた。同じ思い出を共有する尊さも相まって、温かな気持ちになるラストだった。
-
Posted by ブクログ
知らないうちに自分の物差しで他人を見ているのだと感じた。
表題作では「かわいそう」という言葉が印象に残った。相手を思いやる優しい言葉のようでありながら、相手を自分より弱い立場に置いてしまうこともある。「困っている人はいてもかわいそうな人なんて一人もいない」という言葉に、この作品のテーマが詰まっているように思った。
「亜美ちゃんは美人」では、「美人」という評価もまた人を縛るものとして描かれていた。さかきちゃんが「自分自身が満たされれば亜美への嫉妬もなくなる」と気づく場面が特に印象に残った。
「かわいそう」も「美人」も、結局は他人がつける評価なのかもしれない。人と比べたり、勝手にその人の幸せや不幸を決めたりするのではなく、その人自身を見ることの大切さを感じた一冊だった。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ北京と日本の文化や生活の違いが、説明ではなく菖蒲の体験を通して自然に伝わってくるところが面白かった。文章も現代的で読みやすく、北京の街の様子もイメージしやすい。
特に、周囲の目を気にせず自分の「興味」に向かって進んでいく菖蒲のバイタリティが印象に残った。菖蒲の考えは、現代社会においてマイノリティーの立場にあたるポジティブ思考なので、多くの人に刺さる作品だと思う。作中で夫が菖蒲の考え方を『阿Q正伝』の「精神勝利法」にたとえて説明する場面もあり、二つの考え方を重ねながら読める。
また、今の時代の言葉で書かれたこの作品を読んで、昔の文学が難しく感じられるのは、内容だけでなく当時の言葉に慣れていないことも理由だと考えているので、綿矢りさの作品は現代的で親しみやすい言葉遣いで書かれていながら、人間の考え方や生き方を描いているところからもしかしたら何十年、何百年後に生きる人たちがこの作品を見たら使い慣れてない言葉が多く読みずらいと感じるのかもしれないと考えたら不思議な感覚になった。 -
Posted by ブクログ
一気読みした。
一話目の彼氏にはただただムカついたけど、私が1番印象を持ってかれたのは二話目。
私も高校時代、本当にさかきちゃんだった。亜美ちゃんみたいな存在の女の子の隣にいるのが自分だった。
今思えば、なんで私と一緒にいたんだろう?って思うけど、当時は正直、その子のこと好きなのに一緒に居て欲しくない気持ちがあった。みんな直接的な言葉では比べたりはしなかったにせよ、いつも褒められるのはその子。誰かが私と喋ってても、私のことを聞いてくるんじゃなくて、その子のことを聞いてくる。
完全に嫉妬してた。
でもその子特有の悩みがあるのは当時から分かってた。また、男や女から注目を浴びたり、褒められることへの反応が、根本から違った。本当の私をみんな知らないだけなんだよって。
私が感じてる嫉妬も、彼女の抱いている世界を思えば、お門違いだった。本当の意味で、世界が違うんだなと気づいてたからか、だからか嫉妬に狂うことはなかった。
その子は今でも彼氏がいないし、結婚もしてない。言い寄る男は常にいるんだろうに。
何を考えてるのかずっとわからないし、あみちゃんみたいにまだ愛には目覚めていないみたいだけど、それ以外はマジであみちゃん。
私はさかきちゃんみたいに寄り添う気はないけど。
感想ってか自分の話になった。笑 -
Posted by ブクログ
ネタバレ厚さに怯みつつ、どんな話か気になり、時間をかけて読んだ。
主に学生時代の描写と、大人になって再会してからの2部構成で。学生時代、自分も色々あった年頃の描写があまりに鮮やかすぎて、ところどころくらいながら読んだ。学校や家庭の閉ざされた状況描写もだし、残酷なほど悪意がむき出しになりやすい子どもたちの感情描写も、うぁぁ…って唸ってしまいそうに。
ここまで長く丁寧に鮮やかに描くからこそ、大人になってからの二人の関係のところが輝くんだろうなぁ。
久乃も綸も、似てないけど、似てるのよね。大事なものを抱きしめすぎて壊しちゃう感じとか。あと、タイプが違うけど自分を疎かにしている。から、心配で、見届けたくなる。どうしてこうなるのー!!ってもどかしく思いながらも、二人の関係が良くなってくるとホッとする。でもまた壊れて…の繰り返しで、毎日コツコツ読むのが楽しかった。読書の秋にぜひ。
-
Posted by ブクログ
面白かったー。痛快!愉快!!
20代の頃に読んでたら、菖蒲のこと理解できなかったかもしれないし、むしろ嫌悪感を抱いたかもしれない。でも、自分も大人になったことと、コロナによるパンデミックを経験して、人生楽しまないともったいない!時間と体力とチャンスは有限であることをつくづく実感させられた今、自分の価値観とかマインドがだいぶ変化したと思う。今やりたいことできることを、お金がかかってもやっていこうって思うようになった。だから菖蒲の気持ちにすごく共感したし、だからといって菖蒲のようにはなかなかやりたい放題できなくて、読んでいて自分の代わりに楽しんで人生を謳歌している菖蒲を見てとても爽快な気分だった。 -
Posted by ブクログ
偶々出くわした落雷から始まる二人の恋。彩夏のあまりに突然過ぎる告白に当惑しつつも、最後には本能で受け容れる逢衣の姿が印象的でした。
異性愛を前提とした旧態依然な社会の常識や世間体から解放され、自ら快楽の海に堕ちることを選択した二人。これは正に、18世紀を代表する哲学者ルソーが唱えた『自然に帰れ』の考えを端的に示しているのではないでしょうか。社会化によって失われた人間本来の感性・直感・本能を回復することを目指す。同性愛、マイノリティという枠組みを越え、生の欲求を人間本能の回復にまで昇華させた描写はどれも美しく、綿矢りさの圧倒的な筆力にただただ感動した一冊です。