綿矢りさのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
完全にタイトル買いと言っていいだろう。これの類義語に私は「ニンニクの味は強い」を提唱したい。
後半が読みやすい。解説にもある前後半で同じ物語と思えないほどにまとまりを欠いている感の前半と、峠を越えた後半?と言った具合。本人の心情がそうさせるのかわからないが、後半の方が俯瞰力があるように思える。
これは非常に禍根を残しそうではあるが、物語がある人物の視点から語られる以上、どうしてもその語り手に肩入れしたくなるものだと思う。しかし、恋愛や結婚や家族の繋がりといった人と人との関係において片方が善で片方が悪と割り切れないのが人間関係というもの。不倫や浮気も世間的に見たら10:0でやった方が悪いし、 -
Posted by ブクログ
序盤はかなりメンヘラでぶっ飛んだ主人公って思ったけど、人間誰しも持ってる承認欲求が強いだけ
メンヘラなんて言葉で表現したら申し訳なくなるくらい繊細で不器用な人 私も好きな人のためならなんだってできる
最初のマックで服の下からバレないように自分の肋骨を触って安心するシーンがすき
承認欲求と支配欲が強いのってつらいなー
わたしも愛と同じで、自分を認めてもらいたい欲望がエネルギーで、ずっとそれを必死で守ってるのに、現実でも美雪みたいな人ってたくさんいる
美雪みたいに無抵抗で自分の信じたいものだけを内に秘めてる人が羨ましい 私はきっとそれにはなれない -
Posted by ブクログ
一見爽やかな表紙から想像がつかない、あまりにも純文学。そして純文学が私はやはり好きだと思った。
自分の欲望のままで自信に溢れる生きる主人公が、たとえと美雪との出会いにより他人に視点を向けられるようになる話なのかな。
高三の愛は同じクラスのたとえが好き。彼が隠れて手紙を読むのを見て夜の教室に侵入し手紙を奪い、そこで同級生で糖尿病の美雪とたとえが付き合ってるのを知る。
美雪に近づき家に招かれ彼女と二度体を合わせる。夏休み文化祭の準備中それを告げた上で彼に告白するも振られ、再び美雪の家に招かれると、たとえが好きで遊びで美雪を抱いたのだと告げ、たとえを教室へ呼び出して裸で彼に抱きつく。たとえから「自 -
Posted by ブクログ
三宅香帆さんが『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』で取り上げてたので読みました。取り上げてたのは表題作ではない方の『亜美ちゃんは美人』。三宅さんの論評も面白かったけど、本書もどえらく面白かったです。
面白かったのは、この登場人物たちを容易に身近な人たちに投影できるから。もちろん、亜美ちゃんほどの美人は滅多にいないけれども、リトル亜美ちゃんなら各クラスに一人ずつ存在する。そして「美人ってなぜかカス掴むよね」って事象も良く発生する(コンプラ的にアウト?)。
面白いのは、亜美ちゃんは“選んで粕をつかんでいる(諺)“のではなく、好んで粕を掴んでいること。なる -
Posted by ブクログ
最後まで一気に読み切り、解説を読んで、同じことを考えてくれていた人がいて安心した。
これは同性愛の物語ではない、という書評が多かったのは自分も認識している。でも、実際物語の登場人物たちが窮する立場に置かれているのは当人同士が同性同士だからに他ならない。ふたりが同性愛者かどうかと、社会の中で同性同士のカップルであることは、全く別の次元の話ということに気づいている人はまだ少ないのだと感じた。
同性愛の物語ではない、愛の物語なのだと語ってしまうことが、むしろ問題を矮小化してしまう。漂白されてしまう。愛の物語であることは否定しないし、ふたりにとってただ世の中で唯一の関係性なのはその通りだと思う。で