綿矢りさのレビュー一覧

  • 夢を与える

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    ネタバレ

    1日で一気読み!
    なんとなく母の勢いに為されるがまま業界色に染まってしまうのかと思いきや、母の危機管理能力は素晴らしくて驚いた。愛するトーマを手に入れないことにずっとずっと苦しみながら、若い頃に自ら課した「望んだ人生を自分の力で手に入れる」という強い理想と戦いながら、夕子一色の人生を歩み、そして最後に夕子と散った、幹子の想いはどんなものだっただろうか。強い母、幹子、かっこいい。

    そしてその教育のおかげもあり、業界の中でも真っ直ぐな夕子が愛おしくて、悪いものに呑み込まれませんようにと願いながら読んでいた。結局悪いものに呑まれたのも、夕子は誰よりも真っ直ぐ純朴だったからだった。誰かを一途に愛してゆえの行為が、穢いとされる社会ってなんなんだろうなと思った。周りの大人たちは十分優秀でしっかり止めた。だからこそたしかに夕子は「世界一ばかな子」だった。でもひとりの少女が普通に望んでおかしくないことだったはずで、辛い。

    中学時代なんかは、多摩のお家にお邪魔した後も「もし泣いてたり悲しんでたりする人を見つけたら、今日の多摩がしてくれたように元気づけられるようになりたい」と思うのも、運動会の全体練習で多摩の隣を代わってもらうのも、マクドナルドで色んな人に受験勉強の邪魔をされても「テレビに出ると話したこともないいろいろな人といつのまにか顔見知りになれていてうれしい」と思えるのも、あまりにも素直で、昭浜の地が治安がいいのだろうなと安心するなどした。

    めぐるましい高校生活の最中にいる描写がこっちまでチカチカと疲弊してくる感じがして、表現とても好きだったな。

    週刊誌やネットの悪口を見つけてしまってからの夕子の混乱具合も、恋を知ってしまってからの「お熱」で聞かん坊状態、そして落ちて落ちて落ちていく感じも読んでいて辛い。
    だからこそ、むしろ映像が流出した直後のみんな茫然としていて逆に「滑稽」で「平和」な状況に拍子抜けしたり。あくまで客観視しているこちらの方がバクバクしてしまう。

    めぐるましさに釣られて深夜に勢いづいて読み切ってしまうような小説だった。大袈裟じゃなく「人権」を奪われているようなすべての「業界人」を尊敬する。

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    2026年08月17日
  • 夢を与える

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    誰が悪いのだろう。誰もが悪いのかもしれない。でも一人一人がある種純粋で人間らしい。これが綿矢りさの好きなところだ。夕子の人間らしいところが惹きつけられる。作中のCMと同じだ。だからこそ夢を見る。

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    2026年08月16日
  • かわいそうだね?

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    表題作より同時収録の「亜美ちゃんは美人」の方が個人的に好きでした
    誰からも愛される美人の亜美ちゃんと、いつもおまけ扱いで引き立て役のさかきちゃん
    亜美ちゃんがさかきちゃんを親友として信頼していたのは、周囲が彼女の崇拝者だらけの中で、自分を贔屓せず、唯一平等に接してくれたから
    さかきちゃんも最初は亜美ちゃんを苦手に感じていたけれど、次第に大切に思うようになって
    複雑な友情物語ですが、読後感はすっきり爽やか、救われたような気持ちになりました

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    2026年08月15日
  • 手のひらの京(新潮文庫)

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    京都で暮らす三姉妹。 結婚、恋愛、仕事、上京と、それぞれ違う方向に悩みながら自分の人生を選んでいく。

    三姉妹の中なら羽依が好き。 恋愛体質で、時にはほぼキレ芸人。それでも自分の中に一本芯が通っていて、納得できないことにはちゃんと立ち向かう。その強さが気持ちいい。 慎重すぎる綾香には「そこまで気にせんでいい」と言いたくなるし、京都を離れる凜には「正解かどうかなんて行ってみないと分からん」と言いたくなる。 気づけば蛍父さんのような気持ちで三人を眺めていた。

    そして、ぼんやり見守っていた蛍父さんが最後にちゃんと父親として格好をつけてくれるのもいい。

    相変わらず絶妙な人間観察と、「分かるような気がするのに、その表現は思いつかない」と唸らされる言葉選び。 そこに京都弁と京都の四季が加わって、笑いながら読めるのに文章では何度も立ち止まらされる。

    女は強し。 安心して読める綿矢りさの家族小説だった。

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    2026年08月14日
  • 嫌いなら呼ぶなよ

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    読みやすかった。
    今どきなテイストをもちながらも自意識が高い感じがして、少し純文学的。
    表題作だけは受け付けず、苛立ちを感じた。

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    2026年08月13日
  • 激しく煌めく短い命

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    初めての作家さんだったけど、読みやすくてあっという間に本の世界に引き込まれた。綸、久乃と将太の関係が良かった。

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    2026年08月12日
  • 激しく煌めく短い命

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    ネタバレ

    少女二人の人生を一緒に友達として過ごしてる自分と、久乃になりきって自分の生い立ちを思い出している自分がゴジャ混ぜになって、懐かしい気分になった。関西弁も馴染み深く、言葉の一つ一つすんなり染み込むように入ってきた。久乃と綸の葛藤にハラハラモヤモヤしながら、中盤の絶縁状態はさすがに感情移入して苦しかった。官能小説の様相を呈しているが、最後は温かい気持ちになれた。命は短い。時間は限られているのだから、自分の思う方向へ進めば良いのだと思わせてくれた。

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    2026年08月11日
  • グレタ・ニンプ

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    ネタバレ

    「グレタ・ニンプ」
    旦那良いやつだな〜
    異様なほどの変貌を遂げた妻を頑張って受け入れようとしてるところとか、言いたいことがあっても1回立ち止まって考えてるところが偉い。

    浜中元気そうで良かった。


    「深夜のスパチュラ」
    可耶の必死な姿が可愛かったし、最後の展開が面白かった!

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    2026年09月25日
  • 嫌いなら呼ぶなよ

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    4話の中で嫌いなら呼ぶなよが好きな話だった。
    この話は読み飛ばさずに言っている意味を考えながら読んだ。
    男は浅はかだったし言い訳も稚拙だったけど、相手に向かって言ってる言葉じゃなくて頭の中で思ってることがなんか、わかるってなった。
    他人事感と自己肯定感間に笑いそうだったが、今回のような方法に限らず人生に逃げ道が必要だということは理解できる、彼なりの努力はしてるんだなという妙な納得があった。
    視点を変えると全く違う見方になるのだな、と前半と後半で印象が変わった。

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    2026年08月09日
  • 嫌いなら呼ぶなよ

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    痛快!って感じでした!!
    最初の2話はまた違ったけど(分かるけども、そこまではってとこが多かったように感じたから)、3話目は男にイライラしたけども、タイトル通りに最後は言いたいこと分かるぅ!!ってなった(笑)最後のもラストのメールの文章送られててウケたし、ちょっとスッキリしたけど、終わったね( ˊᵕˋ ;)ってもなって少し可哀想にもなった。
    あと、解説がふかわさんで、これまた言いたいこと書いてくれてるし、ホントみなさん言いたいことを文章にするのが上手いなぁと改めて思いました。

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    2026年08月06日
  • かわいそうだね?

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    男女の友情は信じてない派だけど、やっぱり…って思ってしまった。
    しかも、元恋人同士なら尚更。
    ジュリエは、優しすぎ。
    隆大は何考えてるのって感じ。

    他国で育ってたから、価値観が違うのは当たり前(他人という時点で当たり前)だけど、嫌なこと(元カノとの同居生活)をこんなにも我慢して我慢して我慢して…
    流石にそこまで我慢する必要ある!?!?!

    今カノ(ジュリエ)の事が1番好きで愛してるのなら、今カノが嫌がることはしないのが鉄則でしょう!なんで?!?!
    いくらお世話になった人であっても、違う選択肢があると思うけどな。

    隆大には理解不能。

    2作目の「亜美ちゃんは美人」について、共感できる部分とできない部分があった。

    確かに、美人な友達といると誇らしい気持ちになるけど、亜美ちゃんにだけしか目もくれず、亜美ちゃんにだけ可愛いね!!ってされるのはキツイ。自分も経験ある…泣
    引き立て役みたいになっちゃうのはごめんだよね。
    女子同士の友達では、亜美ちゃんと一緒にいた方が誇らしい気持ちになれるから良いけど、男子が混ざってくると、離れた方がいいのかも…?
    仮に意中な男性がいた場合、亜美ちゃんみたいな美人が隣にいると中々しんどいだろうしね。比較対象とされたら嫌だし。






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    2026年08月04日
  • 嫌いなら呼ぶなよ

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    コロナ禍を舞台にした、毒舌炸裂短編集
    どの作品も独特の視点と語り口で面白かった
    特に前半2編は整形マニアな女の子と素人YouTuber推しな女の子の話で、
    女子特有の職場の人とのコミュニケーションの難しさやマウント合戦の描き方がリアルだなと感じました
    綿矢りささんの作品はこれが初めてだったのですが、他の作品もいろいろ読んでみたいと思いました

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    2026年08月04日
  • かわいそうだね?

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    ネタバレ

    久しぶりに、ページをめくる手が止まらない勢いで読んだ!面白かった!

    身の回りで起きそうなくらいとても身近なストーリーで、これなら自分にも書けそう!(愚か者)と思ってしまうくらい親近感がある、読みやすくて引き込まれる小説だった。

    どこか無意識に相手を見下してしまう気持ちや、それこそタイトルにもある相手を「かわいそう」って思う気持ちを小説内で至る所に散りばめてて、共感の嵐だった(きっと私の性格が曲がってるせいもあるだろうなぁ)

    本当に「女」って感じの綿矢りさがとても好き。

    Ps. さかきちゃんは、亜美ちゃんに負けないくらい綺麗な「蘭ちゃん」って名前があるのに、最後までずっと「さかきちゃん」であることが心にずっしり残ってる

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    2026年08月04日
  • 嫌いなら呼ぶなよ

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    ロリータの整形依存の女性、推しにストーカー紛いのことをしてしまう女性、不倫に罪悪感がない男性、他人の迷惑を顧みず自己主張を決して曲げない綿矢りさ!と女性ライターという、常識を振りかざした人々には白い目で見られがちな人々が主人公。
    普段触れ合わないタイプの人々の頭の中をマルっと覗いたみたいでとても面白い!

    そしてこの登場人物の周りにはやたらと噂したり介入してくる人物がいる。
    SNSでも瑣末なことで喧喧囂囂やってらっしゃるが、自分の人生に影響のある人でもない人のこと考えてる暇があったら自分のこと考えた方が有意義だよ、と言いたい。みんなほんとに関わりたがり。さみしいのかな。

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    2026年08月03日
  • 激しく煌めく短い命

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    生きてるときの方がひとときの夢だ。

    これいいなーて思った。今まで生まれてきて死んだ人全員並べたら今生きてる人のが圧倒的に少数なわけだしそう思うと深く思い詰めなくてもいいけど貴重な時間なわけで

    偏見とか同性愛とか差別とか複雑な親子関係とか色々絡まり合ってるのに読みやすかった。
    りんたちの年代もめっちゃ平成だし、この世代の人たち特有の元気さみたいなのはこの学生時代から形成されてるんかーて妙に納得した。

    道徳の授業の描写とか自分が中学時代に感じてた全く知らないまま話が進んで理解できてないのに感想書けと言われて、先生も答えられないていう現象全く同じだし全国で起こってたんやと答え合わせされた気分。

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    2026年08月01日
  • 夢を与える

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    ネタバレ

    子どもの自己決定って難しい
    少しだけ見目のいい子どもが広告になんて言われたら親はうれしいに決まってる
    そこから始まった活動がエスカレートして、自我が育つ前に他人の期待に答えるようになってしまったらどう自我を目覚めさせればいんだろうな

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    2026年08月01日
  • 憤死

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    じんわりゾッとするお話ばかりで面白かったです。
    ファンシーな装画とタイトルフォントなのに、その印象と真逆の読み心地でした。

    大人になってから、子ども時代を回想しつつ語られる話でも、しっかりと子どもが立ちのぼってくる。
    ガワはどんなに年をとっても、染みついているというか…スッとあの頃の感覚に戻ってしまうところがよかったです。

    冒頭にある「おとな」がしみじみこわい。
    森見登美彦さんの解説もよかった。「IT」を連想されたとは…

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    2026年07月30日
  • 嫌いなら呼ぶなよ

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    どの話もかなり独特な切り口で唯一無二の短編。

    特に印象に残ったのは、インフルエンサーのやっかいファンの話。認知されたいと言って時に過激な行動をとる友人がいるので、この話はすごくリアルに描かれていると感じた。

    表題の不倫して妻の友人に詰められる話も面白かった。最初は夫視点でみているので、妻の友人が嫌なやつに映ったが、不倫しまくりだと気付いてからは完全に自業自得だと思った。

    出会ったことのない独特な作風で面白かった。

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    2026年07月30日
  • 手のひらの京(新潮文庫)

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    京都に住む三姉妹のお話。特に羽依の勝気で自信のあるキャラが最高だったし、前原や周りの女性社員のことを冷静に分析していて面白かった。綾香の穏やかな恋愛も、凛の周りに影響されずに自分のペースで人生を進めようとしているところもすごく良かった。

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    2026年07月31日
  • 激しく煌めく短い命

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    前半の中学生時代は、懐かしい学生時代の空気を楽しめたけど、読むペースはゆっくりだった印象。後半の社会人になってからは、読む手が止まらなかった。

    2人とも女性として惹かれ合ったというより、「人間」として惹かれ合っていたように感じた。

    最後の人生の短さについて語られるシーンは、頭ではわかっているつもりだったけど、この作品の言葉で改めてその重みを実感した。人の目をつい気にしてしまうけど、たとえ人と違う人生を歩んで笑われることがあったとしても、自分が納得できる道を選べば、きっと死ぬ瞬間に自分を誇れる気がする。

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    2026年07月25日