綿矢りさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んでいる途中で「これ京都の人じゃないと書けない内容なのでは?」
と思う内容だった。
作者の出身地とか調べることなんてめったにないのに調べたら京都出身だった。
ただ京都の町を描くんじゃなくて、住んでいた人にしかわからないような特別な空気感がずっと漂うような小説に感じた。
ところどころにクスっとくるような場面も度々あったりして
「分別ある大人同士の会話として、ところどころ相手を褒めながら和やかに会話は進むが、その一方で綾香は、自分たちはまるでお互いのお尻の匂いを嗅ぎあってる、散歩の道でばったりでくわした犬同士みたいだ、という思いもあり、気恥ずかしさを抑えるのが大変だった」
こういう感覚を持てる -
Posted by ブクログ
やっぱり綿谷さんの小説は面白い。比喩表現がほんとうに上手くて、話の臨場感を引き立てている。
若い女の子の歪な恋?の形がとても可愛いし、なんともいえない妖艶さがある。愛と憎しみは紙一重と言われるけど、この場合愛しさと虐めたくなる感情の一重さがとても胸をうつ感じがあった。
高校での息苦しさとか、一人でいる時に感じる孤独の虚しさのような感情をリアルに表現していて、人間関係の難しさや面倒くささを感じた。オリちゃんというにな川の好きなモデルと、冴えない高校生2人の対比が、切なくなるほどだけど、それがにな川の抱くマイナスな感情につながることを主人公ハツは知りいじめたくなる……。ハツのにな川への感情、私は -
Posted by ブクログ
少し苦手だと思いつつ読んだ上巻。下巻はどうかと思ったが思いのほか、面白かった。
最後の解説を読み、気が付いたことがある。この作品は、当初同性愛の物語ではないと称賛されたという。なるほど、何度も感じていたこれは同性愛の話か?という感想を世間には称賛されていたのかと。そう考えると、私は「同性愛の物語」に何かを期待していたのかもしれない。
この作品は、生のみになれない読者にこそ、それを突きつけている。という最後の解説の言葉に納得。
綿矢りさは生のみ生のままを描いていた。これは女性達の生のみ生のままの物語。
私は、同性愛の話に勝手な想像をしていたのだなぁと感じた。