綿矢りさのレビュー一覧
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隣にいるのに分かっているようで何も分かっていなくて、近くにいるのに分かろうとし合えない絶妙な関係性。わかる、わかりすぎるこの痛み、、
弦が感じている一緒に過ごす時間が長いだけでは溶け合わないこだわりや価値観も、奈世が漠然と感じているこんなにも長くいるのに結婚することの覚悟すら固められないのねという大きな失望感も。奈世の両親の感じも痛いほど身に覚えがあるからこそ、なんだかこの小説は刺さりすぎました、、
弦と奈世、果たして本当に結婚することはできるのでしょうか?わたしは、お父さんが言った通りこのままでは上手くいかないだろうな、って思ったな、、 -
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我が家の方針は同棲反対だった。
母曰く、同棲は女に妻の真似事をさせておきながら男の決心を鈍らせるものだそうだ。「同棲するくらいなら結婚しろ」と口酸っぱく言っていた。
きっと母は同棲に対して苦い経験があるのだろう。
でも、同棲は相手が自分にとって必要なのかどうか、その先の将来を考える上で重要な期間だと思う。きっと相手は母を選ばなかったのだ。
「煮え切らない男と煮え切った女」という表現がぴったりな2人。奈世(「なせ」じゃないんかい)のねっとりした、ややテンパった愛情、弦のやや神経質な面倒くさい男感がリアル。
私も将来結婚するからと努力(転職活動)もせず、後先考えず仕事も辞めたので、奈世の事 -
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あまりの本の分厚さにおののいたが、読み始めるとなんとさらさらと進んでいくことか。誰もが似た経験に思い当たりそうな前半の中学生時代。小学生でもない高校生でもない、面はゆい時期ならではの異性や同性、先生や親たちとのあれこれ。その舞台は綿矢さんの生まれ育った京都であり、私自身も生まれてからずっといる場所なので、本を読んでいるというより自分のちょっと隣の学区の人の思い出を一緒に眺めているような、新鮮な読書体験だった。細やかな町の描写、地域性、中学生の京都弁などなど、ほんとうにリアル。特に2人の京都弁は、環境や性格を鑑みてか少し描き分けられていて印象的。そして後半、東京編。潔く20年近くが過ぎている。2
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「かわいそうだね?」と「亜美ちゃんは美人」
どちらも、とんでもなく駄目な男に恋してしまう女性の物語
そして、二人の女性と一人の男性をめぐる物語だ
両作とも出だしから不穏な空気をまとっている
それでも、しばらくは平常運転だ
しかし、ある瞬間から急にアクセル全開
華麗なドリフトターンを決め、とんでもない展開に突入していく
ああ、いつもの綿矢りさだ
どちらも、決してすっきりとした終わり方はしない
でも、どちらもハッピーエンドだと思いたい
今はそうじゃなくても、これからそうなると信じたい
二人の主人公の行動、選択が間違っていなかったと願いたい
そう、強く思わせる作品だ -
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綿谷りさの作品は必ず後味がある。想定通りのストーリーにならない。人間の醜い部分がどこかあって、後半に目掛けて晒し出される。思春期特有の頭と行動の乖離にずっとついていけてない愛と、育つ中での環境で一足早く大人に近づいてる2人。
自己肯定感まっくすでと自己中心的な行動を続ける愛と、自分のことには興味がない彼女。愛が変だと思っていた前半、この年齢でこの考え方をする彼女に対して普通ではないと思う。教室にいる地味な男の子を好きになる青春恋愛小説かと思ったが、突然脱線してみるみる堕落していく少女に見入ってしまった。この後味の悪さが綿谷りさを表しているのかと、どんな思考回路してんねんです。 -
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「いなか、の、すとーかー」と「ウォーク・イン・クローゼット」
どちらも主人公が一つの事件をきっかけに自分の生き方を見直す物語
しかし、それ以外にもう一つの要素が必要だ
「いなか、の、すとーかー」は仕事
「ウォーク・イン・クローゼット」は衣服
最初はあまり共感できないな、と思っていた主人公がラストシーンではすっかり見違えた姿を見せてくれます
時には滅茶苦茶に重い雰囲気を持つこともある綿矢りさ作品ですが、本書はコメディタッチなところもあり非常に読みやすいです
(私はその滅茶苦茶に重い雰囲気が著者の一番の魅力だと思っていますが)
ホラー、ミステリ、冒険活劇など様々な要素が花を添えているのも本書の魅力 -
Posted by ブクログ
こな描写は凄いなぁ、と感じ入る場面が多々あった。
なかなか言語化出来ない感覚というか、感性というか、人の感情や性格的な側面、関係性などを、絶妙な比喩を用いた、うーんなるほど、まさしく、と違和感なく受入れる事の出来る描写が心地良い。
例えば、心情とは全く異る自分の作られた笑顔のことを「ちょうどいま穿いているソックスの刺繍。表側の真白い生地には、四葉のクローバーの刺繍が施されているが、裏返せば緑色の糸がなんの形も成さず、めちゃくちゃに行き交い、ひきつれているだけ。」とか。
たとえ君をめぐる愛と美雪の、3人の恋と嫉妬の青春物語は、其々の内面がぶつかり合い183pの小編ながら読み応えがあった。