綿矢りさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中国に行ったことのある人、滞在経験がある人はより面白いと思う。
私はないので地名や料理、言語の理解に必死だった。
でもこの作品は、主人公の菖蒲(アヤメ)の根アカな性格を楽しめばOKなんじゃないかなと思う。
重たいテーマ、感動の実話、あらゆる分類の小説があるが、こんな根明な人がおりまっせ〜みんなもうちょっと気楽に考えよ〜っていうメッセージ(?)がひしひしと伝わり、ザーーーーッと読み終えた。
小説的な展開は特にない。ただ根明な菖蒲という女性の人生を覗き見してる感覚。
個人的にはコロナで高熱が出て苦しんでる夫にフェイスパックをさせたら美容に熱心なおじさんに見える、という文が面白すぎた。
自分もコロナでしんどい中、私だったらこんなに明るく考えられるだろうかとも思った。
なんか気持ちブルーになってきてるな、っていう時にまた読み返したい。題名が好き。 -
Posted by ブクログ
初の綿矢りさ
リアルな人間関係を表してて、普段言葉には"出せない"毒っけのある本音の部分が、キレッキレで読んでて共感とともに笑えてくる!とにかく読みやすくて、難しい表現やクセも多々あるにも関わらず、自然と頭に入ってきてユーモアも感じられてかなり好き。
なにより人の内面にある悪い部分に焦点を当てて、毒を吐く発言に対して共感とともに肯定したくなる場面が何度もある!
全4遍の短編集から構成されており、表題作の「嫌いなら呼ぶなよ」では、圧倒的に不利な立場にある語り手の不倫男の、内面での葛藤であったり、悪足掻きが読んでて面白すぎる。なんで共感してしまうのか自分でもわからないが、男の内に秘めた感情が見て取れて肯定したくなる(笑)
特に最後の話の「老は害で若も輩」は本音のぶつかり合いの末に待ち受ける痛快さが最高だった!!(笑)内田の気持ちが痛いほどわかるよ…
かなり笑ってしまった
これが綿矢ワールドと呼ぶのか、この人にしか描けない作風を感じた。もっとこの人の作品を読んでみたくなった! -
Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
谷川俊太郎、江國香織、川上弘美、角田光代らによる、佐野洋子『100万回生きたねこ』への、13人の作家によるトリビュート短篇集
江國香織「生きる気まんまんだった女の子の話」
岩瀬成子「竹」
くどうなおこ「インタビューあんたねこ」
井上荒野「ある古本屋の妻の話」
角田光代「おかあさんのところにやってきた猫」
町田康「百万円もらった男」
今江祥智「三月十三日の夜」
唯野未歩子「あにいもうと」
山田詠美「100万回殺したいハニー、スウィート ダーリン」
綿矢りさ「黒ねこ」
川上弘美「幕間」
広瀬弦「博士とねこ」
谷川俊太郎「虎白カップル譚」
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佐野洋子「100万回生きたねこ」を読んだ作家・詩人たちによるトリビュート集。
惹かれる作品(江國香織、井上荒野、町田康、今江祥智、川上弘美など)もあれば、そう感じない作品もある。一体どうやってあの「100万回生きたねこ」からこのような作品が生まれたのか、一読ではわからないものもある。「ねこ」がまったく登場しない作品もある。「100万回生きたねこ」というテーマがありながら、内容に一貫性はなく、トリビュート集らしい幅広さがある。
「ねこ」が登場しないので、これは「100万回生きたねこ」とは関係ない作品だ、というレビューもあったけれど、僕はそうは思わない。「100万回生きたねこ」はけっして「ねこ」だけの話ではない、と思っているから。また「100万回生きたねこ」を読んだ人は本書を読まないほうがいい、というレビューもあった。確かに「100万回生きたねこ」の読後感の感動からほど遠い作品も収まっているので、そのレビューにもある意味では賛成できる。ただ「100万回生きたねこ」を読んだことによって、こんなにも幅広いリアクションが誕生した、ということも事実なので、僕は「100万回生きたねこ」を読んだ人にこそ本書を読んでほしい、と思ったりもしている。「ああ、読んで失敗した」と思われても責任は取れないけれど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1日で一気読み!
なんとなく母の勢いに為されるがまま業界色に染まってしまうのかと思いきや、母の危機管理能力は素晴らしくて驚いた。愛するトーマを手に入れないことにずっとずっと苦しみながら、若い頃に自ら課した「望んだ人生を自分の力で手に入れる」という強い理想と戦いながら、夕子一色の人生を歩み、そして最後に夕子と散った、幹子の想いはどんなものだっただろうか。強い母、幹子、かっこいい。
そしてその教育のおかげもあり、業界の中でも真っ直ぐな夕子が愛おしくて、悪いものに呑み込まれませんようにと願いながら読んでいた。結局悪いものに呑まれたのも、夕子は誰よりも真っ直ぐ純朴だったからだった。誰かを一途に愛してゆえの行為が、穢いとされる社会ってなんなんだろうなと思った。周りの大人たちは十分優秀でしっかり止めた。だからこそたしかに夕子は「世界一ばかな子」だった。でもひとりの少女が普通に望んでおかしくないことだったはずで、辛い。
中学時代なんかは、多摩のお家にお邪魔した後も「もし泣いてたり悲しんでたりする人を見つけたら、今日の多摩がしてくれたように元気づけられるようになりたい」と思うのも、運動会の全体練習で多摩の隣を代わってもらうのも、マクドナルドで色んな人に受験勉強の邪魔をされても「テレビに出ると話したこともないいろいろな人といつのまにか顔見知りになれていてうれしい」と思えるのも、あまりにも素直で、昭浜の地が治安がいいのだろうなと安心するなどした。
めぐるましい高校生活の最中にいる描写がこっちまでチカチカと疲弊してくる感じがして、表現とても好きだったな。
週刊誌やネットの悪口を見つけてしまってからの夕子の混乱具合も、恋を知ってしまってからの「お熱」で聞かん坊状態、そして落ちて落ちて落ちていく感じも読んでいて辛い。
だからこそ、むしろ映像が流出した直後のみんな茫然としていて逆に「滑稽」で「平和」な状況に拍子抜けしたり。あくまで客観視しているこちらの方がバクバクしてしまう。
めぐるましさに釣られて深夜に勢いづいて読み切ってしまうような小説だった。大袈裟じゃなく「人権」を奪われているようなすべての「業界人」を尊敬する。 -
Posted by ブクログ
京都で暮らす三姉妹。 結婚、恋愛、仕事、上京と、それぞれ違う方向に悩みながら自分の人生を選んでいく。
三姉妹の中なら羽依が好き。 恋愛体質で、時にはほぼキレ芸人。それでも自分の中に一本芯が通っていて、納得できないことにはちゃんと立ち向かう。その強さが気持ちいい。 慎重すぎる綾香には「そこまで気にせんでいい」と言いたくなるし、京都を離れる凜には「正解かどうかなんて行ってみないと分からん」と言いたくなる。 気づけば蛍父さんのような気持ちで三人を眺めていた。
そして、ぼんやり見守っていた蛍父さんが最後にちゃんと父親として格好をつけてくれるのもいい。
相変わらず絶妙な人間観察と、「分かるような気がするのに、その表現は思いつかない」と唸らされる言葉選び。 そこに京都弁と京都の四季が加わって、笑いながら読めるのに文章では何度も立ち止まらされる。
女は強し。 安心して読める綿矢りさの家族小説だった。