綿矢りさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『インストール』や『蹴りたい背中』に比べると、
だいぶ、社会のというか、俗世間の俗っけある成分に
作者は侵されたようにも感じました、それは良いとか悪いとかではなく、
歳を重ねたことなんだろうと思います。
生活してきた、その証としての俗っけでしょう。
表題作の「勝手にふるえてろ」はまずそう読んだんです。
主人公・ヨシカの、地味目で控えめながらも、
自律的に生きていて、その自らの滑稽さともつきあい、
女性ならではの細やかな計算もありながら、
物事をすぐさま先鋭的につきつめることなく、
時間とともに見えてきた骨の部分をやんわりと捉えて言葉にする感覚。
僕とこの主人公は歳も離れているし、性別も違う -
購入済み
むき出しの自意識
オサーンになってしまうとリアルに感じることは難しいけど、たしかにこういう自意識のかたまりみたいな時期もあったような。
思い出すとこそばゆい。
このストーリーに反発を覚える人の気持ちもわかる気がする。 -
Posted by ブクログ
17歳のときに、漫画で読んだ。
当時はただ女子高生と小学生がチャットで金稼ぎをしている印象しかもたなかった。
大人になり、無性に読みたくなった。
なにか見える世界が変わるのではないか?
17歳という年は、ちょっと大人の世界に足を入れたくなるけど、少し怖い。
でも子ども扱いはされたくない、なんとも中途半端な齢である。
これから来るであろう大人の世界に足を入れるのは怖いけど、手で顔を覆って大人の世界を見ないふりをして、指と指との隙間から、こっそり知らない世界を見たくなる。
大人になって「私も昔はこんなだったなぁ…」と思いださせてくれる。
大人でもないけど大人に近い中途半端な齢で、大人と感じる -
Posted by ブクログ
綿矢りさの作品を初めて読んだのは中学生の時で『蹴りたい背中』でした。
そのときに「この人の書く文章ってすごくかっこつけてて、あぁ、最年少受賞ってこういうことなのか」なんてことを生意気にも思いました。
それから立て続けにこちらの「インンストール」も読みました。当時は個人的にはインストールのほうが話が単純で入り込みやすくて好きでした。これを17歳で書いたかと思うとやっぱりすごい!
今になって綿矢りさの本を読むと、このかっこつけた言い回しや、どや顔感は、主人公の女子高生の、ちょっとひねくれてて『自分は周りとは違うんだ』
って思って毎日を過ごしてる感じを出したいが為のものなのかもなあと思う(ことにし -
Posted by ブクログ
毒づいたっていいよねって思える本でした。
私は普段から心の中で
「コンニャロめ!」
「っざけんなよ!」
「何もないところで蹴躓いてしまえ!」
「しかも何度も!同じところで!」
「で、蹴躓いて恥ずかしって振り向いてもだれもいないって毎回なれ!」
とショボい呪いをかけるタイプ。
で、そんな自分に罪悪感を抱いて、
「私って性格悪いよなあ」
ってアバーってなっちゃうのですが、
この本を読んで
「ま、いっか^ ^」
って、ショボい呪いに拍車をかけることなりました。
もし、私と同じように小さな罪悪感を抱えてる方がいましたら、読んでみてください。
罪悪感が消えますから^ ^ -
Posted by ブクログ
ネタバレ核心の部分はすごくふむふむって読めたけど
江頭良香の頭の中なのか、夢の中なのか
時より唐突に出てくる物語についていけない。
ヲタク気質を表しているのでしょうか。
"恋心の火は火力を調整できないから尊い。"
確かにそうだな、尊いなと思いつつ
調整できないから厄介とも思ってしまう。
"好きな人と結婚したいけど、好きすぎる人とは結婚しない方がいい。"
これ、「激しく煌めく短い命」でも言ってる登場人物がいたなあ。
綿矢りささんが思っていることなのか、はたまた逆を思っているのか。
好きな人と結婚したいと思うあまり、結婚時期を逃して
結局子孫繁栄を逃している。 -
Posted by ブクログ
元ホステスの菖蒲。年上夫が駐在する北京に渡り、そのバイタリティーと自己中心的なマインドで、パッキパキに極寒の北京での生活をひたすら楽しむ。
コロナ禍でもあり、制限された生活の中、夫婦そろってコロナに罹患するなど、ふつうなら何かと心細くもなると思うが、菖蒲のタフさには舌を巻く。
終盤までは、北京の街やグルメ、春節の賑わいなどの描写が続き、このつよつよメンタル女の話はこのまま終わるのかと思ったら、そこはそんなはずはなくて、やっぱり綿矢りさだった。
もう若くもない、いつまでこんなふうに生きていけるのか。わからないけど、流れ流れていくしかない。彼女もお気楽なだけではなかったとわかる。全然テイスト