綿矢りさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なんとなく手に取る機会がなかった
はじめての綿矢さん作品。
リボンモチーフのものが好きなわたしは
ただ単純にタイトルに惹かれ
装丁のイラストのタッチも好みだったから
パッと目についたのがきっかけ。
独身女性、母、妻、娘…女性が主人公の短編集。
「こたつのUFO」「怒りの漂白剤」そして
タイトルにもなっている「意識のリボン」が
好きだった。
ここしばらくの自分と重なるものが多すぎて
ちょっと苦笑いしてしまう場面も。
怒りは、ちょっと厄介だ。
そのまま放置していればどんどん膨れ上がり
いつか爆発、暴走しかねない。
かといって、ないものにはできない。
そこのところのさじ加減を
見つめるきっかけになったし
いまの自分の受け止め方や対処の仕方を更新。
“意識”については、まだまだ大人になりきれていない年頃からぼんやりと考えてた。
心ってなに?どこにあるの?
意識って?意識と無意識のさかいは?
この本のなかに、その答えのようなものがあった。
父が逝ってしまったときから、“この世”も“あの世”も自分とぜんぶが一体化したように思う。
安心したくて、そう思いたいのかもしれない。
でも、そこから見守られながら
わたしの意識とわたしは結ばれているんだと思うと
安心感で包まれる。
綺麗事ではなく
人間臭い負の感情と呼ばれるであろう
怒りや情けなさ…
そういう部分に蓋をすることなく
まっすぐでリアルな感情むき出しの描写に
とても共感したし、好感が持てた。
なんだかホッとできた作品だったな。 -
Posted by ブクログ
みなさんおっしゃってる通り、エッセイなのか小説なのか分からない不思議な短編ばかりだった!
「こたつのUFO」にあったように、書いたものからその筆者の人柄を判断してしまうのは多かれ少なかれあるなあ、と思った
何ならその人がどういう文章を読むかでも判断してしまうこともあるし
相手のことを知りたいと思ったときに、相手がどういうものを作るか・好むかから知ろうとするのってよくないのかな
とか言いつつ「怒りの漂白剤」を読んで、そうか綿矢さんの文章から感じるエネルギーって根底には怒りがあるのかなって納得してしまった
「意識のリボン」は、ちょうど同じタイミングで読んでた
全然雰囲気の違うような2作だけど、フランクルの「それでも人生にイエスと言う」と同じようなメッセージを感じたところがあった(愛に関するところとか、その人なりの実りある人生だったっていう記述とか、意味/超意味みたいなところとか) -
Posted by ブクログ
不登校の高校生・野田朝子は、自身の友人で担任の恋人である光一に頼み、母には事実を知られることなく日常生活を送れていた。部屋にある物を発作的に捨てた朝子は、亡き祖父から贈られたが電源が入らなくなったコンピューターを、通りかかった住人の小学生(12歳)・青木かずよしに譲り渡したことをきっかけに二人の関係は始まる。
ネット上では身分を偽り、いわゆる「ネカマ」であったかずよしが、1年に渡り連絡を取り合っていた子持ちの売春婦・雅の紹介により、二人は文字のみで相手をもてなす「風俗チャット」で働くこととなる。
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厄介な客が一人の少年に手のひらで転がされた挙句、“落ちる”。
青臭くて、でも決して稚拙な文章というわけではなく 当時 現役高校生の綿矢さんにしか書けない、これぞ等身大のお話だった。
私の初綿矢作品が『勝手にふるえてろ』だったためか、綿矢りさ=恋愛小説のイメージが定着していたから このデビュー作には意外性を感じた。
自分が学生である“今”、読めて良かった… -
Posted by ブクログ
少し前の新聞に中村文則の「掏摸」が紹介されていた。中村さんは今や海外でも名を知られた作家だが、そのきっかけになったのが大江健三郎賞を受賞した本作が、賞の特典として翻訳されたからだ、という内容だった。
大江健三郎賞は聞いたことがあったが、選考委員は大江健三郎さんひとりで、賞金の代わりに海外に翻訳されて紹介される、賞は八年続いて既に終了しているということも知らなかった。
で、その賞の始めから終わりまでの受賞作の紹介とそれぞれの著者との対談を収録されているのが本作。
なかなか手ごわい本だったがおもしろかった。
受賞作のどれも読んだことが無いが、長島有の本は読んでみたいと思った。対談も一番楽しかった。
大江さんも最後の方で言及されている。
大江健三郎もよく知らなかったが、ご自身のことに触れられている部分も多く、知ることができた。
大江さんの文学に対する誠実さで成り立っていた賞だった。それを支えていた優秀な編集者も。