綿矢りさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なんだか主人公がものすごく前向きな方っぽい。自分は自信のないネガティブな人間だという自覚があるので、全く正反対の女性の強烈な光に目を焼かれたいと思いこの本を手に取りました。
あんま夫のこと愛してないっぽい?ワクチンも打ってない?浮気?と主人公にはあまり共感できない。勢いすごい。
150ページと話自体は短いですが、だからと言うより彼女の勢いがすごくてあっという間に読み切った。
「だとしても知らない。未来の私は今の私じゃない。私はいつでも、今の私の方が大事。」
それは違うと言う人もいるかもしれませんが、自分は主人公のこの考えになんだか救われる気がする側。 -
Posted by ブクログ
【きっかけ】
次の旅先、京都いいなあ、いやでも混んでるか、、を脳内で繰り返していたため。これを読めば心が決まるかもと思った。
【すきな箇所】
「絢香に限らず、ほかの周りの女の子たちと比べても、自分は体内時計の尺が彼女たちとだいぶ異なる、と凛は常々感じていた。」
【感想】
部屋にあったガイドブックが役に立った。京都で生まれ育つだなんて、まったく想像がつかない。日本で一番最後に開拓された土地の出身者からすると、とにかく、羨ましい。京都の歴史の深さが、羨ましい。自分が育った場所は、海と山ばかりだったから。
住みやすくはないのかもしれない。お祭り時の混雑や、気候の描写をみると。それでも京都の人は、京都が好きなんだな。京都での生活という異世界を、少し覗き見させてもらえた。
タイトルや表紙の雰囲気からは予想しなかった、中盤からのハラハラ、恐怖心。”いけず”や、危ない執着上司に真っ向から立ち向かう羽依、強すぎる。
姉妹でいちばん共感できたのは、三女の凛。自分も、周りの同性とは、人生のタイムラインが全然違うのかもと最近感じるようになった。自分がなんとなく感じてはいてもわざわざ周りには言わないことを、本のなかで登場人物が言語化してくれると、ちょっと救われる。自分だけじゃなかったと思えて。
違和感があったのは、東京移住に関する両親の反対。気持ち悪いとまで思った。娘には、自分達と一緒に、自分達がだいすきな場所にいてほしい。これはわかるけど、娘の真っ当な意志を曲げさせてでも近くに置いておこうとする、そのエネルギーが怖い。自分達の居心地のよさを、娘も当然同じように感じていると信じている。
「膜が張って、どんどんその穴は小さくなっていっていて、いずれ完全に閉じ込められてしまう」という凛の感覚は、すごく怖い。膜が閉じ切る前に、凛が行きたい場所に行けて、よかった。
京都って、みえない魔物みたいなのがほんとにいるのかもしれない。海を渡って京都の縁切り寺に行った同僚が、帰ってきてから頭痛と嘔気で1週間苦しんでいたとき、なにか連れて帰ってきちゃったのかも、なんて話していた。凛の夢の描写は、ちょっと背筋が涼しくなる。「行幸が通る」って、結局なんだったんだ?将来東京へ行くという暗示?
もし京都に行けたら、この本を思い返しながら周りたい。普段は感じられない存在を感じられるかも。細雪とか古都、金閣寺も読んでみたい。
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菖蒲さんの強メンタルっぷり、同じ女として憧れる!
図太く楽しく「自分が一番」で生きていけばハッピーじゃん、そんな女のコロナ禍北京滞在記。
小説なんだけど、まるで綿矢りささんの北京旅行記かと思ってしまうようなリアルな北京の描写がとても楽しい。
中国語の単語も頻出するのだけど、一度見ただけじゃ覚えられなくて毎回ルビが欲しい気持ち……!
真冬もコロナ禍も何のその、強気に北京の暮らしを過ごしていく菖蒲さんだけど、一方で高級なブランド物を纏うことで見知らぬ人にまでマウントを取らないと悔しがる一面もあり、完全無欠というわけではないのが主人公として魅力的なところ。
私はどちらかというと繊細な夫(名前すら出てこない、よね?)の性格に近いので、菖蒲さんのように生きられたら〜!と思いつつも、やっぱり無理かも〜!という気持ちになりました。笑
でも、「女がナメられるのは泣いたときと怒ったとき」みたいな刺さったワードだけでも覚えて生きていくとします……! -
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ずうっと学生時代から想い続けているイチと何気ないきっかけで自分のことを好きになってくれたニ。自分の抱えている長年の思いこそ崇高だと思う反面、ならば自分に大きな感情を向けてくれている人の気持ちはどうなるのだろう…と考えさせられた作品
読み手の恋愛観によってどれだけ没入できるかどうかが変わってくる作品だと思うけれど、わたしは十分に没入できてしまった。
一方的な好きは相手を神格化してしまうし、深いところで繋がっているのではないかと思わせてくるけれど現実はそんなことがなくて、相手にとっての自分なんて一般人Aでしかないのかも。自分が恋愛で暴走しそうになったら、コレです。 -
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「嫌いなら呼ぶなよ」不倫男が責められる物語。
大学の頃、二股かけたり女にだらしない男と付き合ってて、何かが発覚するたびに泣いて責めたり理由を説いたりしたけど、あいつはだまってすまなさそうにしてるだけ。
作中の男とめっちゃかぶった。当時のやつも、心の中の声はこんな感じだったのかな。
「この後、二人きりになった時に、、」のくだりは、自分のことを言語化された気になった。
羞恥心とかさておき自分をむきだしにすることができる相手、この歳になって思うけどそんな相手ってなかなかいない。だからこそ離れられない。その人と離れられないんじゃなくてその人といる自分を手放せないんだな。
離れて9カ月かあ。今も、毎日想う。いったい、何を想ってるんだろうとも思う。手放せないのは、彼といた時の自分なんだろうな。
綿矢さんの言いたいこととは全然違うだろうけどそんなことを思った。
小説家って記憶保ったまま輪廻転生してるんじゃないかってくらいいろんな人のこと書けてすごい。
「老は害で若も輩」
さいこー。リアルすぎておもろ!人のケンカもめごとって、第三者的に見るの超楽しい。当事者になったとたん、地獄なのだけど。 -
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ネタバレ恋人の隆大が求職中の元カノ・アキヨを居候させると言い出した。断じて付き合ってるというわけではないと言われているけど、今カノの樹理恵は嫌で仕方がない。この関係は果たしてどうなるのか……という話。
樹理恵がブチギレるシーンが爽快感があって面白かった。隆大はあんだけメールで言い寄られてるのに住まわせ続けてるの意味わからないし、アキヨもアキヨで激キモ女だったな……。樹理恵がキレるのもそりゃそうだと思った。
「亜美ちゃんは美人」は、美人な亜美ちゃんにやたらと好かれて親友のポジションにいるさかきちゃんと亜美ちゃんの、高校から大学、卒業後の結婚に至るまでの話。
亜美ちゃんは自分のことを好きではない人に惹かれてしまうというのが面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ綿矢りささんの本はこれが初めてで、1話目の「眼帯のミニーマウス」の強烈な文章に驚き、2話目の「神田夕」はこの短編集の中で1番好きな話でネットで誹謗中傷してる人達ってこういう心情なのかなと生々しさを感じ、自分にはない感覚を持つ人間の人生の一部を覗いた気分になりました。
3話目の「嫌いなら呼ぶなよ」はどう考えても悪いのは主人公なのに個人的にはハムハムの方が嫌な奴に思えてしまう自分に驚き、4話目の「老は害で若も輩」では内田に同情せずにはいられずに、同じような経験をした事のある自分にとっては読みながらずっと内田と共に怒りがふつふつと湧きだす思いでした。
いい意味でかなり衝撃的な短編集で、他の作品も読んでみようと思いました。
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Posted by ブクログ
他者との関係性がうまくいかない時、自らを責めてしまうことがある。反省という自己点検はおよそ自己否定につながりがちになるが、この作品にはそういう傾向のあるひとにとって、重要な示唆を与えているのかもしれない。
この物語には、自己を客観的に見つめるもう一つの存在が登場する。もう一人の自己は、その当人を否定せず、励まし、やがて当人の願いを成就させるに至る。
自己を裁くことは苦しいけれども、他人を省みず信念を貫くこともそれ以上に茨の道である。
そういう時、反他人的な存在を置くことができれば、のぼせあがった主観とつめたい客観とのあいだの“ええあんばい”のアドバイスをくれるのではなかろうか。