綿矢りさのレビュー一覧
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好きな人を見つめるその声が、しぐさが、空気が
あらゆることは世界のすべてのように見える
彩度が一気に鮮やかになる、あの感覚
それが自分に向かない苦しさも、わかる。
愛はたとえにそんな好意を向ける。たとえは美雪とつきあい二人の世界に入り込めない。愛は美雪と友人になり、ゆがんだ気持ちは美雪を抱くという「よくわからない」状態に。
本人さえ吐き気をこらえて抱いてしまう行為に、愛の愛情は果たしてどこへ向いて、何を求めて、何が偽りなのかすら本人にも読者にもわからなくなってくる。
愛は逃げるように電車に乗り逃げ出す。その中で少年に「ひらいて」という。何を?こころ?もの?じぶん?
なぜ?が積み重なり逃げられない愛の行方。そのあとのことはもう、なにもわからない。
つまりわからないのだ。
高校生の時に読んでいたらきっとわかったのかもしれないけど。 -
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ネタバレ温かい気持ちになったのと、京都に行きたくなった。
三姉妹の変化、成長をずっと見守りたくなる。綾香が焦る気持ちも分かるし、一転して慎重になる気持ちも分かる。でも付き合ってから彼女がそうだったように、合う人とはとんとんと進んでいくもの。羽衣は序盤のバーベキューで「人の目を気にならなくなった」とあるように、そこで大きく変化したように見えて、その後も二転三転ある展開。痛快な反撃、と思いきや後悔の気持ちもあるところが可愛らしい。凛が意志を貫く姿がかっこよかった。また、「京都」に対する思いの違いも興味深かった。
綿矢さんがえがく京都が面白かった。 -
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こないだ村上春樹の新作を読んだら武蔵境が舞台になっていて、本作では武蔵小杉が出てきたので、関西圏に住んでる自分は「同時期に同じような場所が出てくるとはなにかあるのでは」と思って調べたら、まったく違う場所だった。都道府県から違った。武蔵境は文明の果つるところだけど、武蔵小杉は高層ビルが立ち並ぶ場所なんですね。
ところで本作では途中から主人公の会社都合で茨城の水戸に引っ越している。主人公は都心勤務からの転勤を命じられたはじめ「左遷」と感じていたが、子どもが産まれたあとは水戸への転勤を感謝するようになる。
村上春樹の小説ではアリクイの夫婦が武蔵境に住んでいたし、本作でも神奈川の武蔵小杉から茨城への水戸へと移るのを見ると、いま現在の東京都心部のイメージは、子育てを含めた家庭的なイメージとは相容れないとされているのだろう。
現実の施策を見ると、東京の子育て支援は他県の追随を許さないレベルに達しているのだが、イメージの力は強い。ちなみに現実がどうのとは無関係に、小説としてはまったく違和感はない。 -
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相手の、誰かに向けた優しさが、自分の負担になる。それってけっこう残酷?不満を爆発させれば自分は最低な人間?困っているんだから仕方ない?じゃあ私の不満はどうすればいい?かわいそうだね?私はかわいそうじゃない?
割とあるよね、こういうこと。自分が我慢すれば丸く収まるんだもの。でも我慢し続けるわけにもいかない。かといって困っている人に不満をぶちまければ、こっちが最低さんみたいになる。いやらしい。本当に性格が悪い。
我慢して我慢して、その果てに吸う煙草は美味いんだろうな。煙草呑んだことないからわかんないけど。禁欲ってやつ?何のために我慢してるんだっけ。
優しいよ、樹里恵は。なんせ他人の不幸を肩代わりしてあげてるんだもの。普通しないよ。みんなもっと自分勝手に生きてる。でもまあ恋ってそういうもんか。痘痕もえくぼ?
恋だけに限定するのもおかしな話か。こんな話は日常的なものかもね。『美味しいごはんが食べられますように』も似たような話だし。『獣になれない私たち』もおんなじような物語だったような。
いい意味でもっと自分勝手に生きれたらいいね。
いっぱい煙草吸って。歩き煙草はだめだよ。 -
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ネタバレグレタ・ニンプ…?
グレた妊婦…?まさかねえ…と思いながら読みはじめたらそのまさかで大爆笑してしまいました。妊婦だからグレないなんてことはないですね。色んなところに思い込みってあるな…と考えさせられましたが、それにしても笑いが止まりませんでした。徐々にでもなく、一瞬でグレるんだ…と目が点に。
途中雲行きが怪しくなり、この夫婦は大丈夫なのか…?とうっすら不安になりました。うっすら。けれど由依を受け入れて、自らの環境の変化にも適応しようとする俊貴。
由依を非難する両親からも守るようになる俊貴。純粋にすごい…!と感じました。
パートナーのあの変貌ぶりは受け入れられない人もいるでしょう。由依は見た目が大きく変わったかもしれないけれど、俊貴は中身がものすごく変わったのだろうと感じました。
ひさしぶりに本でゲラゲラ笑って読み終わりました。 -
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妊婦が何かに憑依される感じかと思ってたらちょっと違った。
いやほんと、1週間の育休とか笑っちゃうよね。
同僚男性がこの前1ヶ月間の育休を取ってたけど、1ヶ月でも全然足りないっていうか、私はまだまだ体が辛かったし、赤ちゃんはまだまだ昼夜逆転してるし、全然序の口でなにも乗り越えてない時期だったと思う。妻の立場からすると、男性陣はせめて2ヶ月は育休取ってほしい…(でもそのたった1ヶ月でも、同僚の穴を埋めるのは大変だった、、、)
出産時の由依が「青春むだにするほど勉強したのに、働き盛りの繁殖期には全部中断して、産め産めって!そりゃねえだろ!クソッ!」と叫んでいたところで辛い気持ちになっちゃった。
ほんとにさ、キャリアに脂が乗ってくる時期と、出産適齢期がキレーーに被ってるよね。まじでむかつくよ。由依がよくいう「産め産め」は私はそんなに気にならないというか、実際あかちゃんって本当に喜ばしい存在だと思うので産みたいんだけど、キャリアと育児の天秤感がつらいよなあ。
女性はみんな悩んでるよ、男の人はだーれも悩んでないよね。男の人がもっと育児を担うようになったら、女性のこの悩みを、女性と男性で分け合えるんじゃないのかなあ。男性からしたら、分け合いたくねえよってことなのかなあ…
「深夜のスパチュラ」のお兄ちゃんがよかった。困ってるときにこんなふうに助けてくれる兄弟、イイネ
可耶に告白させようとする羽久くんに「オイ!!!」てなったけど、タルトフリュイを作れるタイプの人ならまあ仕方ないか、となった。 -
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ネタバレ主人公の菖蒲がコロナ禍の北京で駐妻生活をする話。菖蒲の他人に振り回されずに生きてる感じが好き。パワフルな人
印象に残ったのは、水道管を直すために地面に穴を掘り、修復を試みるが見当違いの場所を掘ってしまった北京業者が穴を塞がずにそのまま帰るシーンが衝撃的。お陰で水道管は直っても穴から臭い匂いがする。「一つ解決したけれど新しい問題ができた気がしてならない」って菖蒲が言ってて笑った。
コロナが怖くて引きこもる旦那に家に居て鬱々とするくらいなら外出て北京楽しんだほうが、よっぽど心の健康だわみたいなシーンも杞憂ばっかりの自分に刺さった。
とはいえ菖蒲も北京を楽しむだけではなく、今後の生き方を改めて考えることもあり、、どうなるのでしょうか。