綿矢りさのレビュー一覧
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こないだ村上春樹の新作を読んだら武蔵境が舞台になっていて、本作では武蔵小杉が出てきたので、関西圏に住んでる自分は「同時期に同じような場所が出てくるとはなにかあるのでは」と思って調べたら、まったく違う場所だった。都道府県から違った。武蔵境は文明の果つるところだけど、武蔵小杉は高層ビルが立ち並ぶ場所なんですね。
ところで本作では途中から主人公の会社都合で茨城の水戸に引っ越している。主人公は都心勤務からの転勤を命じられたはじめ「左遷」と感じていたが、子どもが産まれたあとは水戸への転勤を感謝するようになる。
村上春樹の小説ではアリクイの夫婦が武蔵境に住んでいたし、本作でも神奈川の武蔵小杉から茨城への水戸へと移るのを見ると、いま現在の東京都心部のイメージは、子育てを含めた家庭的なイメージとは相容れないとされているのだろう。
現実の施策を見ると、東京の子育て支援は他県の追随を許さないレベルに達しているのだが、イメージの力は強い。ちなみに現実がどうのとは無関係に、小説としてはまったく違和感はない。 -
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相手の、誰かに向けた優しさが、自分の負担になる。それってけっこう残酷?不満を爆発させれば自分は最低な人間?困っているんだから仕方ない?じゃあ私の不満はどうすればいい?かわいそうだね?私はかわいそうじゃない?
割とあるよね、こういうこと。自分が我慢すれば丸く収まるんだもの。でも我慢し続けるわけにもいかない。かといって困っている人に不満をぶちまければ、こっちが最低さんみたいになる。いやらしい。本当に性格が悪い。
我慢して我慢して、その果てに吸う煙草は美味いんだろうな。煙草呑んだことないからわかんないけど。禁欲ってやつ?何のために我慢してるんだっけ。
優しいよ、樹里恵は。なんせ他人の不幸を肩代わりしてあげてるんだもの。普通しないよ。みんなもっと自分勝手に生きてる。でもまあ恋ってそういうもんか。痘痕もえくぼ?
恋だけに限定するのもおかしな話か。こんな話は日常的なものかもね。『美味しいごはんが食べられますように』も似たような話だし。『獣になれない私たち』もおんなじような物語だったような。
いい意味でもっと自分勝手に生きれたらいいね。
いっぱい煙草吸って。歩き煙草はだめだよ。 -
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ネタバレグレタ・ニンプ…?
グレた妊婦…?まさかねえ…と思いながら読みはじめたらそのまさかで大爆笑してしまいました。妊婦だからグレないなんてことはないですね。色んなところに思い込みってあるな…と考えさせられましたが、それにしても笑いが止まりませんでした。徐々にでもなく、一瞬でグレるんだ…と目が点に。
途中雲行きが怪しくなり、この夫婦は大丈夫なのか…?とうっすら不安になりました。うっすら。けれど由依を受け入れて、自らの環境の変化にも適応しようとする俊貴。
由依を非難する両親からも守るようになる俊貴。純粋にすごい…!と感じました。
パートナーのあの変貌ぶりは受け入れられない人もいるでしょう。由依は見た目が大きく変わったかもしれないけれど、俊貴は中身がものすごく変わったのだろうと感じました。
ひさしぶりに本でゲラゲラ笑って読み終わりました。 -
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妊婦が何かに憑依される感じかと思ってたらちょっと違った。
いやほんと、1週間の育休とか笑っちゃうよね。
同僚男性がこの前1ヶ月間の育休を取ってたけど、1ヶ月でも全然足りないっていうか、私はまだまだ体が辛かったし、赤ちゃんはまだまだ昼夜逆転してるし、全然序の口でなにも乗り越えてない時期だったと思う。妻の立場からすると、男性陣はせめて2ヶ月は育休取ってほしい…(でもそのたった1ヶ月でも、同僚の穴を埋めるのは大変だった、、、)
出産時の由依が「青春むだにするほど勉強したのに、働き盛りの繁殖期には全部中断して、産め産めって!そりゃねえだろ!クソッ!」と叫んでいたところで辛い気持ちになっちゃった。
ほんとにさ、キャリアに脂が乗ってくる時期と、出産適齢期がキレーーに被ってるよね。まじでむかつくよ。由依がよくいう「産め産め」は私はそんなに気にならないというか、実際あかちゃんって本当に喜ばしい存在だと思うので産みたいんだけど、キャリアと育児の天秤感がつらいよなあ。
女性はみんな悩んでるよ、男の人はだーれも悩んでないよね。男の人がもっと育児を担うようになったら、女性のこの悩みを、女性と男性で分け合えるんじゃないのかなあ。男性からしたら、分け合いたくねえよってことなのかなあ…
「深夜のスパチュラ」のお兄ちゃんがよかった。困ってるときにこんなふうに助けてくれる兄弟、イイネ
可耶に告白させようとする羽久くんに「オイ!!!」てなったけど、タルトフリュイを作れるタイプの人ならまあ仕方ないか、となった。 -
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ネタバレ主人公の菖蒲がコロナ禍の北京で駐妻生活をする話。菖蒲の他人に振り回されずに生きてる感じが好き。パワフルな人
印象に残ったのは、水道管を直すために地面に穴を掘り、修復を試みるが見当違いの場所を掘ってしまった北京業者が穴を塞がずにそのまま帰るシーンが衝撃的。お陰で水道管は直っても穴から臭い匂いがする。「一つ解決したけれど新しい問題ができた気がしてならない」って菖蒲が言ってて笑った。
コロナが怖くて引きこもる旦那に家に居て鬱々とするくらいなら外出て北京楽しんだほうが、よっぽど心の健康だわみたいなシーンも杞憂ばっかりの自分に刺さった。
とはいえ菖蒲も北京を楽しむだけではなく、今後の生き方を改めて考えることもあり、、どうなるのでしょうか。
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なんだか主人公がものすごく前向きな方っぽい。自分は自信のないネガティブな人間だという自覚があるので、全く正反対の女性の強烈な光に目を焼かれたいと思いこの本を手に取りました。
あんま夫のこと愛してないっぽい?ワクチンも打ってない?浮気?と主人公にはあまり共感できない。勢いすごい。
150ページと話自体は短いですが、だからと言うより彼女の勢いがすごくてあっという間に読み切った。
「だとしても知らない。未来の私は今の私じゃない。私はいつでも、今の私の方が大事。」
それは違うと言う人もいるかもしれませんが、自分は主人公のこの考えになんだか救われる気がする側。 -
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【きっかけ】
次の旅先、京都いいなあ、いやでも混んでるか、、を脳内で繰り返していたため。これを読めば心が決まるかもと思った。
【すきな箇所】
「絢香に限らず、ほかの周りの女の子たちと比べても、自分は体内時計の尺が彼女たちとだいぶ異なる、と凛は常々感じていた。」
【感想】
部屋にあったガイドブックが役に立った。京都で生まれ育つだなんて、まったく想像がつかない。日本で一番最後に開拓された土地の出身者からすると、とにかく、羨ましい。京都の歴史の深さが、羨ましい。自分が育った場所は、海と山ばかりだったから。
住みやすくはないのかもしれない。お祭り時の混雑や、気候の描写をみると。それでも京都の人は、京都が好きなんだな。京都での生活という異世界を、少し覗き見させてもらえた。
タイトルや表紙の雰囲気からは予想しなかった、中盤からのハラハラ、恐怖心。”いけず”や、危ない執着上司に真っ向から立ち向かう羽依、強すぎる。
姉妹でいちばん共感できたのは、三女の凛。自分も、周りの同性とは、人生のタイムラインが全然違うのかもと最近感じるようになった。自分がなんとなく感じてはいてもわざわざ周りには言わないことを、本のなかで登場人物が言語化してくれると、ちょっと救われる。自分だけじゃなかったと思えて。
違和感があったのは、東京移住に関する両親の反対。気持ち悪いとまで思った。娘には、自分達と一緒に、自分達がだいすきな場所にいてほしい。これはわかるけど、娘の真っ当な意志を曲げさせてでも近くに置いておこうとする、そのエネルギーが怖い。自分達の居心地のよさを、娘も当然同じように感じていると信じている。
「膜が張って、どんどんその穴は小さくなっていっていて、いずれ完全に閉じ込められてしまう」という凛の感覚は、すごく怖い。膜が閉じ切る前に、凛が行きたい場所に行けて、よかった。
京都って、みえない魔物みたいなのがほんとにいるのかもしれない。海を渡って京都の縁切り寺に行った同僚が、帰ってきてから頭痛と嘔気で1週間苦しんでいたとき、なにか連れて帰ってきちゃったのかも、なんて話していた。凛の夢の描写は、ちょっと背筋が涼しくなる。「行幸が通る」って、結局なんだったんだ?将来東京へ行くという暗示?
もし京都に行けたら、この本を思い返しながら周りたい。普段は感じられない存在を感じられるかも。細雪とか古都、金閣寺も読んでみたい。
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文字サイズでっか!フォント多彩!
レイアウトがとてつもなく奔放で勢いがあり、小説における表現方法の広さに感嘆したが、開いたページに巨大な文字があると、否応なくそこに視線が向かってしまうのが難点とも感じた。順を追って読みたいのに、先の展開を覗き見てしまった時のやっちまった感に近い。
また、強調する必要を感じない部分にも、これらの表現が頻繁に登場するため、途中から飽きてきてしまった。
内容もまるで上り下りを繰り返すジェットコースターのように勢いがあって面白かったが、登場人物の言動があまりにも極端だし、周囲に迷惑かけてるしで現実味が極めて薄く感じた。
故に私はこの小説を単純なコメディとして捉え、それ相応に楽しんだところ。
「わきまえません、それがthis is me」
彼女は無敵である。だが、悩んでいる部分、弱い部分も実はある。
抑圧から解放され、自由を表現する姿は良くも悪くも前衛的過ぎる。そしてその姿が外野から見ると面白い。
要するに彼女は無敵である。
「なにが携帯電話だ、元はちゃんと足のある、かにだったんだぞ……!」
ここだけ切り取るとまるで意味がわからないが、自身の不遇に嘆く俊貴の様子は哀憐を禁じ得ない。実際はかなり配慮ある待遇だけど。
突拍子もない妻の言動にツッコミを入れつつも、なんだかんだそれを受け入れる姿勢が素晴らしいと思った。
結果的に、妙な思考で突き進む妻に、変な部分に拘る慎重な夫と、妻の変貌によってなかなかいい組み合わせに落ち着いたのではなかろうか。 -
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菖蒲さんの強メンタルっぷり、同じ女として憧れる!
図太く楽しく「自分が一番」で生きていけばハッピーじゃん、そんな女のコロナ禍北京滞在記。
小説なんだけど、まるで綿矢りささんの北京旅行記かと思ってしまうようなリアルな北京の描写がとても楽しい。
中国語の単語も頻出するのだけど、一度見ただけじゃ覚えられなくて毎回ルビが欲しい気持ち……!
真冬もコロナ禍も何のその、強気に北京の暮らしを過ごしていく菖蒲さんだけど、一方で高級なブランド物を纏うことで見知らぬ人にまでマウントを取らないと悔しがる一面もあり、完全無欠というわけではないのが主人公として魅力的なところ。
私はどちらかというと繊細な夫(名前すら出てこない、よね?)の性格に近いので、菖蒲さんのように生きられたら〜!と思いつつも、やっぱり無理かも〜!という気持ちになりました。笑
でも、「女がナメられるのは泣いたときと怒ったとき」みたいな刺さったワードだけでも覚えて生きていくとします……! -
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ずうっと学生時代から想い続けているイチと何気ないきっかけで自分のことを好きになってくれたニ。自分の抱えている長年の思いこそ崇高だと思う反面、ならば自分に大きな感情を向けてくれている人の気持ちはどうなるのだろう…と考えさせられた作品
読み手の恋愛観によってどれだけ没入できるかどうかが変わってくる作品だと思うけれど、わたしは十分に没入できてしまった。
一方的な好きは相手を神格化してしまうし、深いところで繋がっているのではないかと思わせてくるけれど現実はそんなことがなくて、相手にとっての自分なんて一般人Aでしかないのかも。自分が恋愛で暴走しそうになったら、コレです。