あらすじ
「人を好きになる気持ちが分からないんです」海松子(みるこ)、大学一年生。他人に興味を抱いたり、気持ちを推しはかったりするのが苦手。趣味は凧揚げ。特技はまわりの人に脳内で(ちょっと失礼な)あだ名をつけること。友達は「まね師」の萌音(もね)、ひとりだけ。なのに、幼馴染の同い年男子と、男前の社会人から、気づけばアプローチを受けていて……。周りとうまくやりたいのにやれない風変わりな女子大学生が主人公の不器用で愛おしい恋愛未満小説。デビュー20周年! 綿矢りさワールド全開!!
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Posted by ブクログ
p.170
これほどたくさんの星があるのに、どの星とも交流せずに幾多の命を乗せて回っている地球は孤独だ。この宇宙のどこかに、地球以外にも生命体がいるとすれば、と考えると気が遠くなりそうだが、本当に地球にしか生命体がいない、と考えた方が余計恐ろしかった。宇宙では流れている時間の尺も桁違いだから、もし違う星に生命体がいたとしても、もう何億年も前に滅びたとか、何億年もあとにならないと生まれないとか、誕生する時期が違ったらめぐり会えない。
p.196
「そもそもあんたは奏のこと好きなの?」
返答に困る質問を萌音は簡単にしてくる。好きだの愛だのという言葉を聞くと、どうしてもかつての拒否反応が甦ってきて、自分の気持ちを問いただしてみても、たまねぎのどこまでが皮か分からなくなって全て剥き切ってしまい、残るは無みたいな感覚に陥る。
p.197
「やっぱ私のアシスト効いてるじゃん。でも判定としてはグレーかな、誰だって真っ暗な海に男と二人でいたらドキドキしてくるよ。普段の何気ない日常でちょっと目が合っただけで電気が走るのが、恋だね」
「そうなんですかね、自信ありません」
恋とはそんなにも細かく条件が決まっているものなのか。年頃の人間全員がこの条件を共有しているのだろうか。
私にとって恋愛とは、最近になってから発見した、自分の心に建つ家の隠し部屋みたいなものだった。その部屋は二階の奥にあり、壁だと思っていた部分が実は戸で、押すと開く。なかには入れたけど、暗くて見えないから、手探りで照明のスイッチを探す。壁に手をすべらせて、探して、探して、見つからなくて。
ようやく雲に隠れていたほの白い月の光が部屋を照らしたときに、スイッチ自体がそもそも存在しないと気づく。ショックよりも先に予期していた絶望が頭を涼しくして、逆に冷静になれる。
みんなの家にきちんとあるこの部屋が、私の家では壊れている。
p.252
「特殊能力をわざわざ起こそうとしなくても、生き物は生きてること自体が不思議である種の特殊能力なんだから、無理に発揮する必要はないよ。生命の光が身体の内側に灯り続けていることぐらい、不思議で奇跡的な出来事は無いんだからね」
奏樹の言葉を聞いていると、力を示そうと無理をしていた自分が、何もない場所に向かって必死にパンチやキックを繰り出していたように思えてきた。
「私は一人でいても、つらくないんです。誰かと一緒に生きることは、やればできる気がしていますが、きっと他の皆さんはやればできるとかじゃなくて、自然に一緒に居たいと思うようになって、付き合ったりするんですよね。私はそこまでの欲がどうしても身体の内から湧かない。おそらく私は、一人で足りすぎているんだと思います。足りちゃいけないところまで、足りているんだと思います」
「僕はきっと、ミルちゃんの足りているところが好きなんだし、羨ましいんだと思う。欠けている人間は誰かをいつまでも探し求めなきゃいけないし、満たされたなら満たされたで、相手がいなくなったらどうしょうって怯えたり、"人は一人では生きていけない”って言葉を呪文のように唱え続ける人生になるからね。
僕は世界じゅう色んな国を旅しても、どれだけ楽しくても”誰かとこの素晴らしい景色を共有したい”って思いが強くて、まあ白状しちゃうとミルちゃんと一緒に見たいって気持ちが強くて、一二〇%は楽しめてはいない実感があった。それが僕の弱さなんだよね、一人でいるのが完全体じゃないっていう。ミルちゃんが美しいものも楽しいことも悲しいことも、すべて自分一人で受け止められるタイプの人なら、それはそれで、素敵だと思うよ。だから……あれ、おかしいなあ、僕」
p.254
「周りの皆が言ってるような通常の「好き”とは違うかもしれませんが、私は奏樹のことが好きです。あなたの傍にずっと居てもいいですか」
奏樹が大切だという気持ちは、ずっとぶれずに自分の内にあった。二人で一緒に色んな景色を見たい欲望は、確実に私にもある。
私の動悸は激しく、奏樹の顔も見られないほど緊張していたが、笑顔の彼が私の顔を覗き込んだ。
「もちろんだよ。好きの形は人それぞれだし、一人でも満たされてるミルちゃんは素敵だと思う。でも二人で一緒にいたらもっと温かく楽しくなれるように、努力していきたい」
Posted by ブクログ
勝手に脳内で大変失礼なあだ名を日常的に考える主人公のJDが面白すぎたし、最後ちゃんと恋愛して彼氏ができるのも可愛くて面白かった。
主人公の母親がモテ女製造機で人生のモテ期がその時だった感のある主人公がとにかく面白かった。
これを機に綿谷さんの本にハマっていくのでした。
Posted by ブクログ
みるこの個性を潰さずに周りで支えてくれる家族と友達たちがすてき‥みるこの独特さに笑ってしまう笑
周りから見たら独特かもしれないけど本人は気付いていなしとても幸せそうだった!
成瀬に近いものを感じてなお嬉しい!
Posted by ブクログ
タイトルはそうゆう意味か‼‼
めちゃくちゃ面白かった(泣)
社会人として自分が永遠に戻れない大学生生活をもう一度体験できて泣きそう、、、、そうだよね色んな人と接して自分の世界をどんどん広げていく時期だよね、、、最後海松子も成長してて親目線で泣きそうになりそうやった、、、、、後自分らしくいることが結果的に人に好かれるんだね、、、なんでこんな簡単な事わからなかったんだろう、、、もう一度やり直したい大学生活
Posted by ブクログ
「勝手にふるえてろ」を何年か前に読んで以来の、綿矢りささんの作品。当時、男性の描写があまりにもリアルで読んでいて(良い意味で)気持ち悪くなってしまいそれ以来あまり読んでいませんでした笑
今回この作品を読んでみて、当時の感覚にも納得!一人一人のパンチが強いキャラクターなのに、ちゃんとそれぞれの考えや感じ方に共感できる部分があるのは、一人一人の心の機微を繊細に描写してくれているからなんだ!と思いました。
海松子、という名前からしてもう個性的だと思ったのですが、それをも凌駕する不器用さ、ベクトルのおかしな鈍感さと敏感さ、なぜここで?という素直さ。全てひっくるめて、読み終わるころにはほんとに愛しいと感じるようになっていました。恐るべし。
新年一発目に読んだ作品でしたが、すごくパワーが湧きました!
2025.1.5
Posted by ブクログ
主人公の海松子は、人の口臭で食べたものを当てることを自慢げに特技だとしたり、脳内で人に失礼(本人は無自覚)なあだ名を付けたり、恋が分からなかったり、自分の身なりに全く興味のない女の子。
読み始めは海松子の気持ちを全然理解できなかったけど、読んでいくにつれて、海松子の心の中にどんどん吸い込まれていった。海松子の人生の一部を、まるでわたし自身が体験したような感覚に陥った。海松子を知る人は海松子をとても大切に想っているから、わたしも抱きしめられているような気がした。
二人の男性との恋がなかなか進まない世界だったけど、たまにロマンチックな描写が出てくると、眩しさについ目を閉じてしまった。起承転結はないけど、心が澄んで良い読み終わりだった。
Posted by ブクログ
2024/12/10
不思議な世界観。とても面白かった。
大学一年生、人の口臭で食べたものを当てて話を盛り上げようとする海松子が主人公。
海松子がもし身近にいたらとっても怖いだろうなぁ...
でも、人にどう思われるか気にせず生きたらわたしはどうなるんだろう?どんな人間になりたいんだろう?と思った。
Posted by ブクログ
想像以上にさわやかな終わり方で明るい気持ちで読み終わった。
人とズレた主人公、人と関わる場面で一瞬も戸惑わない思い切りの良さが縁を繋いでいくんだろうな。
何が不安になって人と同じものを選んで正解にしたくなるけど、自分の良さまで変えなくていいし、歪なところはそのまま愛そうとしていく海松子たちが愛しい。
Posted by ブクログ
綿矢りささんの主人公の頭の中全部見せてくれるところが大好き
最後のシーン
冬の朝の寒いけど空は晴れていて、冷たくて澄んだ風が当たるのが感じられて気持ちよかったです
Posted by ブクログ
たまに欲しくなる成分、綿矢さんでしか得られないであろうそんなものが詰まってました。
みるこはとても魅力的でした。少し離れているからかもしれません。まね師の「努力する養殖と努力しない天然」という言葉がツボでした。
Posted by ブクログ
明日からまた出勤ねと
エプロンの緒を締めた
日曜の夕方。
夕飯の支度をしなきゃ
と思いつつ、
途中で止められず最後
まで読み切ってしまい
ました。
主人公のミルコに触発
されて、
いま私はまわりの人に
あだ名を付けたい欲に
駆られています。
ピュアで浮世離れして
いるミルコ。
こんな子現実にいない
よね。
いてくれたらいいのに
・・・
だんだんまぶたが重く
なってきました。
うん、あだ名を考える
のはまた明日。
皆さまおやすみなさい
zzz
Posted by ブクログ
ちょっとおかしいなって思って目瞑りたくなっちゃう主人公だけど、一方でこういう人かっこいいな、と思うキャラクターでもあって。なれないからこそ憧れちゃう感じ。いいね
Posted by ブクログ
綿矢りさ先生の作品を読むのは3作目かな?前回読んだ作品にも驚かされましたが、今回も圧倒されました。
独特な世界観にあるユーモアと言葉選びがとても好きです。読み進めるにつれて、海松子含め、登場人物全員のことが好きになるような作品でした。
Posted by ブクログ
村田沙耶香さんが書きそうな世界観。
自分の中でしか通じないあだ名をつけるのはちょっと面白そうと思った。
わたしも結局恋って何?ってなってしまうから、海松子が恋が何なのかわからなくても人を大切にしたい感情に気づけてよかったと思う。
結局オーラが何なのかはよくわからなかった))
Posted by ブクログ
綿矢りささんの本は初めて読みましたが、ワードセンスが素晴らしいと思った。ギャグセンも高くクスッとなるシーンも多かった。変わった言い回しでも全部イメージが出来る素敵な表現が多い。他書籍も読んでみたい。
主人公のミル子のキャラクターが面白い。
親にも敬語だし、変なあだ名を悪気なく脳内で付けちゃうし。一見変わった人付き合いが苦手な子だけど、ピュアで可愛く、そしてちゃんも恋愛に悩みを抱え、ミル子なりに成長をしていく。
恋愛を通して、「1人で足りている」から」他人と味わう喜びを知っていく」に変わっていくのもアンドロイドから人間になる変化を見た気がして感動した。
周りのキャラも良い。
ズバズバ、ミル子につっこんでいく友達の萌音との絡みが良かった。2人のように、ベタベタしない、さっぱりとした仲の良さに憧れます。
主人公が風変わり、だけど魅力的に描かれる題材でいうと、成瀬シリーズと少し似てると感じましたが私はミル子のふいに発するワードセンスが好き。こちらの方が引き込まれました。
Posted by ブクログ
asd味が強い
お父さんが旧友の如くもてなしていた人のことをそんなに親しくないと評価するところに対人関係の質の評価に独特さがあるんだと感じ、自分にも通じるように思った。だから不安になる
Posted by ブクログ
全然違うんだけど、コンビニ人間を思い出した。癖のある登場人物たちを、嫌いにならず好きになる。大多数と少し違う個性たちを、あの人変だと思うのではなく、おもしろいと思える人でありたい。だってみるこも萌音もとっても素敵だ。
綿矢りささんの作品にはまるきっかけとなった『嫌いなら呼ぶなよ』の一作目『眼帯のミニーマウス』がスピンオフらしいので読み返そう。みるこのその後がチラッと出てくるらしい。→読み返したが、本当にチラッでした。
Posted by ブクログ
人を好きになる気持ちが分からないと言い切ってしまう海松子のキャラがとにかく強烈でした。お洒落にも恋にも興味がなく、脳内で失礼なあだ名をつけたり、口臭から食べ物を当てようとしたりする発想がいちいち可笑しいです。でも笑っているうちに、周りとうまくやりたいのに空回りしてしまう不器用さがじわっと伝わってきました。幼馴染やイケメン社会人に好意を向けられても、恋のスイッチが入らない感じも妙にリアルでした。特に海松子と萌音の会話がテンポよくて、少しズレたやり取りに何度も笑ってしまいました。二人の掛け合いがあるからこそ物語が軽やかに進み、読んでいて楽しかったです。
Posted by ブクログ
そのままの自分を受け入れてくれる人も、変化を強要してくる人もいるけれど、色んな人との関わりの中で、私は私の個性を見つけていくんだな。少しずつ社会と折り合いをつけて変容することはあっても、海松子や萌音のように自分自身を見失わずに、自分だけの個性を愛せる人でありたい。
Posted by ブクログ
松海子のズレ具合がめっちゃ面白かった笑
共感できるとこはほとんどないし学びは少ないけど、スラスラ読めて元気が出た。
この著者の重めのテーマの本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
綿矢りささんの作品は、生々しい描写もあったり、「うわっ!」とびっくりするシーンが必ず1つはある。
登場人物もかなーり独特だし、中盤まで「これどうやって締めくくるの?」というような、のほほんとした雰囲気。
のほほんだけど、ずっと面白いと感じられて、どんどん読み進められるという不思議さ!
奏樹が優しくていいなあ。
萌音も、自分だったら友達になれないなとは思うけど、人にそこまで関心のない海松子との相性が良くて、読んでて軽快なやり取りが楽しかったなあ。
Posted by ブクログ
初めて読んだ綿矢りさの小説
読後爽やかだなーと思った
私は諏訪さん派だけどまぁみるこが奏樹を選んだのは正しい判断だとおもう絶対そっちのほうが幸せになれる
官能表現がすごい、途中まではピュアで面白い主人公でよかったんだけど、最後ら辺タイトル回収のためなのかオーラとかいう謎設定がでてきてよくわからなかった あれは何❓
Posted by ブクログ
海松子独特過ぎて入り込めるか心配になったけど、妙に素直なところを好きになった。
海松子目線でいろんなことが肯定されるのが嬉しくてほっこりした。
Posted by ブクログ
主人公が最後らへんにスピっちゃった時はあー…と思ったけどいい方向に進んでよかった!やっぱりこういう真面目な箱入り娘はどこかでネジが外れてしまうんだなと思った。
萌音も萌音でちょっと変だったけどわりかし常識人で、存在が大きいなと思った。るみこが萌音を呼び捨てで呼ぶのが何回見ても見慣れなくて,結構好きだった。
Posted by ブクログ
ちょっとコミカルな感じで、面白かった。
主人公の女性が突拍子もなくて、そこが良いところなんだけど私にはついていけなかったところがありました。
最後の方のオーラの件もなんかよくわからないけど、でも人って考えすぎるとこういう思考にいくよなーと思う。