綿矢りさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「二度目の恋」でらなく、「二周目の恋」って何? と思いながら手にとった。
恋愛小説のアンソロジー。
同じ人にもう一度恋をする、というより、過去の恋の色んなものを乗り越えて、振り出しに戻って新しい恋をスタートさせる、というイメージかな。だからといって、すべての話がそうとは決まっていない。
もうすでに「付き合ってる」ような感じだけど、明確にするために頑張る女子大生や、結婚を経験したのちに自分らしい恋愛をする女性。脱皮して一回り大きくなった人たちが出てくることは間違いない。
昔は居心地が良かったけど、新しい世界で生きていると、なんだか昔のことを違う視点から見られるようになっている、なんてことはよく -
Posted by ブクログ
最近読むことが増えている綿矢りささんのデビュー作。
月並みな言葉選びしかできないのが残念だけど、表現力が本当に豊か。
例えば
P. 12 私の中で不意に目覚めたずるい完璧主義が、塵一つない完璧な、シャープに四角い部屋をいたずらに欲しがる。
とか、
P. 14
マンションの中にいた時は健やかに息づいていた物も、ポリ袋に包まれてここに落とされた途端、光を失い音楽を失い、淋しく死ぬ。
など。
新鋭の表現力のある作家の登竜門である芥川賞の受賞は納得。
一方で、ストーリー性に面白みを感じられるかといわれれば、はっきりとうなずけるかは個人的に微妙で、最近の綿矢さんの作品の歳を重ねて人としての厚みがわか -
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