綿矢りさのレビュー一覧
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少し前の新聞に中村文則の「掏摸」が紹介されていた。中村さんは今や海外でも名を知られた作家だが、そのきっかけになったのが大江健三郎賞を受賞した本作が、賞の特典として翻訳されたからだ、という内容だった。
大江健三郎賞は聞いたことがあったが、選考委員は大江健三郎さんひとりで、賞金の代わりに海外に翻訳されて紹介される、賞は八年続いて既に終了しているということも知らなかった。
で、その賞の始めから終わりまでの受賞作の紹介とそれぞれの著者との対談を収録されているのが本作。
なかなか手ごわい本だったがおもしろかった。
受賞作のどれも読んだことが無いが、長島有の本は読んでみたいと思った。対談も一番楽しかった。
大江さんも最後の方で言及されている。
大江健三郎もよく知らなかったが、ご自身のことに触れられている部分も多く、知ることができた。
大江さんの文学に対する誠実さで成り立っていた賞だった。それを支えていた優秀な編集者も。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「私、毎日みんなと同じ、こんな生活続けてていいのかなあ。みんなと同じ教室で同じ授業受けて、毎日。だってあたしには具体的な夢はないけど野望はあるわけ。きっと有名になるんだ。テレビに出たいわけじゃないけど。」
初っ端から痛々しさの漂う、受験を控えた高校生の女の子。クラスメイトに唆され登校拒否することに。ついでに全てを捨て(物理的に)、小学生の男の子とエロチャットのアルバイトを始める。
胸の膨らんだ身体に慣れて、生理ナプキンの交換にも手なれてきはするけど、17歳ってやっぱりまだ子どもだった。自分なら何にでもなれるんだっていう選民思想と、自分はこんなもんだっていう諦観がせめぎ合う。無理してはしゃいで笑ったり、真面目さを隠したり、今よりずっと生きづらかった、ような気がする。そんなことをふと思い出し、かつて私も朝子と同じ女子高生だったことを本著は鮮やかに教えてくれた。当時高校生だった綿矢りさだから書けたのではないだろうか。
朝子の(小学生の家の押入れへの)逃避行は、突然終わりを迎える。お互いの親は、子どもたちの不審な行動を見破っていた(なんで親って子のことあんなよく知ってるんやろ?)。親の心配する姿に動揺する自分に、どこにでもいる高校生の一人なんだと気付く。
無個性でもいい。遠回りしてもいい。特別なことをしなくても、背伸びしてもいい。爽やかな読後感だった! -
購入済み
むき出しの自意識
オサーンになってしまうとリアルに感じることは難しいけど、たしかにこういう自意識のかたまりみたいな時期もあったような。
思い出すとこそばゆい。
このストーリーに反発を覚える人の気持ちもわかる気がする。 -
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綿矢りさの作品を初めて読んだのは中学生の時で『蹴りたい背中』でした。
そのときに「この人の書く文章ってすごくかっこつけてて、あぁ、最年少受賞ってこういうことなのか」なんてことを生意気にも思いました。
それから立て続けにこちらの「インンストール」も読みました。当時は個人的にはインストールのほうが話が単純で入り込みやすくて好きでした。これを17歳で書いたかと思うとやっぱりすごい!
今になって綿矢りさの本を読むと、このかっこつけた言い回しや、どや顔感は、主人公の女子高生の、ちょっとひねくれてて『自分は周りとは違うんだ』
って思って毎日を過ごしてる感じを出したいが為のものなのかもなあと思う(ことにしました)。
女子高生の生生しい感じをここまで鮮明に出せるのはすごい!わたしも女子高生だからすごいわかる!
綿矢りさの文面のかっこつけ方は女子高生特有の感じを出すためのかっこつけ方なんだと私は思う。
割と好きです、また大人になってからも読みたいな -
Posted by ブクログ
好きな人を見つめるその声が、しぐさが、空気が
あらゆることは世界のすべてのように見える
彩度が一気に鮮やかになる、あの感覚
それが自分に向かない苦しさも、わかる。
愛はたとえにそんな好意を向ける。たとえは美雪とつきあい二人の世界に入り込めない。愛は美雪と友人になり、ゆがんだ気持ちは美雪を抱くという「よくわからない」状態に。
本人さえ吐き気をこらえて抱いてしまう行為に、愛の愛情は果たしてどこへ向いて、何を求めて、何が偽りなのかすら本人にも読者にもわからなくなってくる。
愛は逃げるように電車に乗り逃げ出す。その中で少年に「ひらいて」という。何を?こころ?もの?じぶん?
なぜ?が積み重なり逃げられない愛の行方。そのあとのことはもう、なにもわからない。
つまりわからないのだ。
高校生の時に読んでいたらきっとわかったのかもしれないけど。 -
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ネタバレ温かい気持ちになったのと、京都に行きたくなった。
三姉妹の変化、成長をずっと見守りたくなる。綾香が焦る気持ちも分かるし、一転して慎重になる気持ちも分かる。でも付き合ってから彼女がそうだったように、合う人とはとんとんと進んでいくもの。羽衣は序盤のバーベキューで「人の目を気にならなくなった」とあるように、そこで大きく変化したように見えて、その後も二転三転ある展開。痛快な反撃、と思いきや後悔の気持ちもあるところが可愛らしい。凛が意志を貫く姿がかっこよかった。また、「京都」に対する思いの違いも興味深かった。
綿矢さんがえがく京都が面白かった。