綿矢りさのレビュー一覧
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一人暮らしが長くなってくると、ふと仕事でないプライベートな部分に他人が入り込んでくると一刻も早く一人の空間を取り戻そうと内心必死、みたいなことってあるあるかもしれない。30代で独身のみつ子はそんな一人女子の典型で、ついには頭の中にもう一人に自分(この小説では“A”という名前がついているのだが)が住み着いてしまう始末。そして何かあればこの“A”との会話に逃げ込んでしまう。なんてことは現実にはないのかもしれないけど、一見してことさら社交性を欠いているような、いわゆる「変な人」の部類に入らずとも、自分の殻の中に閉じこもってしまっている人(つまりはこのお話のみつ子のような人)って結構いるのでは?
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ネタバレ◯いなか、の、すとーかー
登場人物が少なかったので察しのいい方は気付かれたのかと思うのですが、私はすっかり砂さんに気を取られていたので驚きでした。それこそ主人公の心情を追うように砂さんの話の通じなさに苛立ちが募り、果穂に癒され、矢先にまさかそんな、だけど‥と正体を確かめていき臨場感たっぷりに楽しみました。2人が結託した時はものすごくあり得そうでくらくらしたほどです。
人に対していい加減な対応をするのはやめようと反省した作品でした笑。
◯ウォーク・イン・クローゼット
おままごとのDNAがせめて簡単な料理をさせようとするというのは目から鱗でした。その通りなのでは‥。なんでかつてあんなに家 -
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8篇の短編のうち、7篇は女性の語りですすむ。
「岩盤浴にて」は、見知らぬ中年女性の会話を聞きながら、色々思う話である。
外は秋の風だというのに、なんとも湿度が高く、汗が吹き出そうな、そんな気持ちにさせた。
まあ…岩盤浴は行ったことないし、汗もあまりかかない性質なので想像力とはげにおそろしげなり、なのだが。
「怒りの漂白剤」は、短気な私はよくわかる。
クーパー靭帯に例えられた時は面食らったが、わかる気がする。
舌打ちされると腹立つよね、わかるわかる。
怒りの沸点、というか、私はチャッカマン(これ、登録商標だっけか、あとで情報プラットフォームで調べてみよう)なみに火が簡単につく。
だからおっさん -
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二篇の作品による連作短編です。
同棲から結婚へという、
ある意味で瞬間的でもあるだろう経過上で、
こじれてしまい間延びしたような状況が本小説の舞台。
あえてそこを書くのが小説らしく、著者らしいとも言えます。
小品を読んでいる感覚でしたが、
終いにはしっかり読み終えた満足感がありました。
そういった、話の締めくくり方の力というか技術というかは、見習いたい。
心理面もさることながら、
脳の構造的なぶぶんであろうところであって、
日常ではあまり意識したりしないような点にも注意を向けて書いている箇所があり、
レントゲンみたいに透過する、
作者の視線のつよさみたいなものが露わにする「人間の秘密」を目に -
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大地震の後、再び訪れる大地震が確実な中で大学に残った人たちの学生運動のようなお話
首都で起きた夏の大地震の後、政府から届くものはバーガーと炭酸アルコール飲料という状況の中、大学に備蓄された物品を開放した事をきっかけに学生運動のリーダーと呼ばれるカリスマ的存在とその周囲のいざこざ
主要な登場人物は4人
私、リーダー、私の男、マリ
綿矢りさの過去作でもありがちな女性視点での男性批評のような描写がありつつの三角四角関係
近未来なところとか、学生運動をテーマにしてるのが新機軸かな
でも、それを描いている作品は他の人もいっぱい書いてあるし、描かれているものが軽い
この要素入れる必要あった?
リー -
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ネタバレこのウォークイン・クローゼットは、女性らしさとは何か、女性として生きるとはどういうことか、という問いを投げかけてくるお話だなと感じた。
ユーヤとだりあという2人の友達は、性別も友達としての性質も違って、それぞれが早希にとって愛おしくて“強く生きる”ために必要なものなのだと思う。
早希とユーヤは付き合おうが友達のままだろうがどちらでも素敵だけれど、個人的には友達のままが良いと思った。
恋人としての交際にはいつか目に見える終わりが来て、それは段階を踏まなければならないものであって、つらい。
だりあにとっての早希はきっと姉妹のようなものであって、その関係はきっと揺らぐことはなく、母になってぎらぎらと