綿矢りさのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ感想
芸能界は大変だなぁ。子供の頃にすべてを手に入れてしまうと色々勘違いしてしまう?のかもしれない。ただ、一度きりの人生でジェットコースターのように体験できないことややりたいことをやっているのは貴重なのかもしれない。
夢を与える。与えるという言葉が傲慢なのかもしれないと言ったゆうちゃんの感覚が正しかったのかもしれない。
あらすじ
幹子は、付き合っていたフランス人ハーフのトーマから別れを切り出され、回避すべく、色々努力し、夕子が生まれる。
夕子は、幹子の熱心な活動で雑誌モデルをしていたが、ある日チーズのCMに半永久的に出演することになり、成長と共に有名になる。
高校までは順調に仕事をこなしてきたゆうちゃんだったが、TVで見たダンサーに入れ込み、深夜遊びをする中で、情事を撮った映像がインターネットに流れてしまい、一気にその地位を失うことに。残されたのは何だったのか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「二度目の恋」でらなく、「二周目の恋」って何? と思いながら手にとった。
恋愛小説のアンソロジー。
同じ人にもう一度恋をする、というより、過去の恋の色んなものを乗り越えて、振り出しに戻って新しい恋をスタートさせる、というイメージかな。だからといって、すべての話がそうとは決まっていない。
もうすでに「付き合ってる」ような感じだけど、明確にするために頑張る女子大生や、結婚を経験したのちに自分らしい恋愛をする女性。脱皮して一回り大きくなった人たちが出てくることは間違いない。
昔は居心地が良かったけど、新しい世界で生きていると、なんだか昔のことを違う視点から見られるようになっている、なんてことはよくある。憧れだったのか、恋をしてるふりをしていたのか、世間体を気にしていたのか。
登場人物たちは、縛られていた何かから放たれて過去を振り返らずに突き進んでいく。
一番良かったのは、一穂ミチさんの「カーマンライン」。空と宇宙の境界部分のことをカーマンラインというらしい。
時代設定が平成初期だけど、意外と良かったのが遠田潤子さんの「道具屋筋の旅立ち」。今も同じような男性はいるだろうな。どんな人もできるだけ自然な自分を出せる相手が何人かいるだけでずいぶん楽になると思う。
あとね、窪美澄さんって苦手かもって思ってたけど、ここでレズビアンの女性の話が出てきて、これが良かった。上手くどこがどう印象的だったのか分からいんだけど、幸せな気持ちになった。
目次
最悪よりは平凡 島本理生
深夜のスパチュラ 綿矢りさ
フェイクファー 波木銅
カーマンライン 一穂ミチ
道具屋筋の旅立ち 遠田潤子
無事に、行きなさい 桜木紫乃
海鳴り遠くに 窪美澄
そういえば、「フェイクファー」を読んでるとき、「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」の小説を思い出した。
-
Posted by ブクログ
最近読むことが増えている綿矢りささんのデビュー作。
月並みな言葉選びしかできないのが残念だけど、表現力が本当に豊か。
例えば
P. 12 私の中で不意に目覚めたずるい完璧主義が、塵一つない完璧な、シャープに四角い部屋をいたずらに欲しがる。
とか、
P. 14
マンションの中にいた時は健やかに息づいていた物も、ポリ袋に包まれてここに落とされた途端、光を失い音楽を失い、淋しく死ぬ。
など。
新鋭の表現力のある作家の登竜門である芥川賞の受賞は納得。
一方で、ストーリー性に面白みを感じられるかといわれれば、はっきりとうなずけるかは個人的に微妙で、最近の綿矢さんの作品の歳を重ねて人としての厚みがわかる文章や物語がやっぱり良いと思ってしまうかもしれない。
年齢を理由に評価することは個人的に好きではないけど、ひとりの作家として当時の綿矢さんの力量を見せつけられたな、と素直に思うことができた。
それよりも、17歳で受賞しこの本で注目を浴びて大丈夫だったのかな、とそっちのほうが気になってしまった。
(小学生とチャットレディをしたり、性的な言葉もかなり出てくるので) -
Posted by ブクログ
ネタバレわたしにとって綿矢りさは合う合わないが極端に分かれる作家なのだけどこれは合わない方の綿矢りさだった。
物語の展開はシンプルというか何かのテンプレートか?と思うくらいにお決まりのものばかりで、まあ、あるよねこういう物語…という感想。劇的な恋の落ち方、彼氏との別れと反発、同居、見え見えな感じで入ってくる邪魔、そこからの別れ、からの復縁、などなど…
ただ、逢衣のモノローグはとても鮮やかで、綿矢りさの力はここに表れているのだなと感じた。抑えめながらも情緒的で情熱的。すばらしいと思う。
そして彩夏が逢衣の存在を周囲に明かさないと選ぶこと、逢衣の家族の反応など、読者に夢を見させない展開も綿矢りさの意図するところなのだろうなと思うと同時に切なくもあるのだった。
物語はハッピーエンドで終わるけど、この物語がいつか時代遅れの古臭いものになってくれればいいなと思う。