綿矢りさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ー女子の戦い、ここにあり。
〈あらすじ〉
30代間近。今が自分の「売り出し時」だ。街デート用、アウトドアの日用、歳上の彼とのお出かけ用。気合が入ってると思われないように、だけど最大級に自分がかわいいと思われる洋服を。そうやって焦る毎日を過ごすOL早希。
豪華な衣装部屋を1番の条件に部屋を選んで、その中の豪華な服たちを見ることで頑張ってきた自分を実感できる人気タレントだりあ。
幼なじみとして過ごしてきた日々と、ままならない日常を描く。
他「いなか、の、すとーかー」収録。
〈感想〉
もう女子としては共感しまくりの服の選び方。心の底から自分の好きな服着ていいよって言われても、正直どんな服が着たいのか分からないな、と思いました。今日はきちんとした服、おしゃれな友達と遊ぶ時の服、デート服、仕事の往復の時だけの服、、、。全部バージョンがあるわけで、それでいて個性もそれなりにあって。
でも自分が着たい服、自分に似合う服着てもいいよね。素直にそう思えました。
綿谷りささんの作品は、1行目が最強なんですよね。インパクトと真理を兼ね備えてるんだもんなぁ。 -
Posted by ブクログ
難しい設定がなく登場人物もシンプルだったため、
1日ですぐに読み終えることができました。
いなか、の、すとーかー
は、少し展開が読めてしまっていた部分はありましたが、
重要なのはそこではないような気もして、最後まで楽しめました。
自分を好きでいてくれる人が多ければいいということでもないんだなぁ
自分を好きな人からの方が、自分に無関心でいる人よりも関わる機会が多いから、
嫌われたり憎まれたりする可能性は高いんだなぁと気付きました。
なるほど!
ウォーク・イン・クローゼット
自分の幸せってこれだ!って思い込んでる部分が誰しもあるかもしれないけど、
早まって定義づけしたり決めつけたりする必要はなくて、
自分の外の世界との関わりの中で改めて見つけることもあるんだなぁと。
そうやって、自分も大切にしながら外とも上手に関わって、
自分の世界を広げていきたいですな〜 -
Posted by ブクログ
一人暮らしが長くなってくると、ふと仕事でないプライベートな部分に他人が入り込んでくると一刻も早く一人の空間を取り戻そうと内心必死、みたいなことってあるあるかもしれない。30代で独身のみつ子はそんな一人女子の典型で、ついには頭の中にもう一人に自分(この小説では“A”という名前がついているのだが)が住み着いてしまう始末。そして何かあればこの“A”との会話に逃げ込んでしまう。なんてことは現実にはないのかもしれないけど、一見してことさら社交性を欠いているような、いわゆる「変な人」の部類に入らずとも、自分の殻の中に閉じこもってしまっている人(つまりはこのお話のみつ子のような人)って結構いるのでは?
正直言って、この小説を最後の方まで読み進めるまでは、つまりみつ子が多田くんといい感じになる、社内でのちょっとした出来事、友人の住むイタリアに行く、といったところまでは「ちょっとつまらないかも…」と思ってしまったが、でも最後はよかった。彼氏となった多田くんが迫ってきたのを断るシーンの後の複雑な気持ちなんてすごくリアル(恋人の小さな傷つきに敏感になるのも、なられるのも苦手だ。相手の不機嫌に気づけば、ひっやっとして一分でも早く挽回したいのに、大体繕おうとすればするほど墓穴を掘り、逆に自分尾気持ちの変化に敏感な相手に顔色をうかがわれると、当惑する。)。本当になんということもない、でもちょっとこじらせた人の心情描写は一級品だなと思う。
(230608再読)
共感してしまった。ということは、ぼくも彼女と同類なのか…!?
性別は違うけど同年代で独身、1人を満喫してる。1人を満喫できる。1人でどこかに出かけるのだって抵抗がないし、なんならその方が気楽。
それにしても、相変わらず冒頭が秀逸。ロウでできた食品サンプルを作る体験に1人で出かけるという、1人で行く先が映画館でも焼肉でもなく、斜め上の目的地。そんな場所に1人で行く、というのがある意味でこの話の主人公、みつ子の人柄を端的に表していたのかもしれないなと思う。
みつ子は自分の中にAという別人物を住まわせていて、ことあるごとにAに相談を持ちかけるーといっても彼女の頭の中に住まわせている人物だから別人物だけど同一人物というなんだか矛盾をはらんでいるようだが、このAがみつ子とはまた違った視点でモノを言ってくる。今これを書きながら思ったのだが、もしかするもみつ子自身、今の彼女を決してよいとは思ってなくて、そんな潜在的な気持ちが別人格となって自分の中に現れていたのかもしれない。
話は多田くんという、みつ子の勤める会社に時折りやってくる営業マンー彼は出世はしなさそうな、悪くはないけどそんなにもパッともしない感じのようだがーとの関係性が一つの主軸となっている。たまたま近所に住んでいることがわかり、晩御飯のおかずを彼におすそわけする仲になり…そんな中で親友を訪ねてイタリア旅行に出かけ、飛行機で右往左往しながらも無事着いたイタリアで1人で孤軍奮闘する、それでいてイタリア人とも関係性を築く友人の姿を目の当たりにしたり、物語は様々な出来事を経ていく。
彼女は本当にぼっちを望んでいるのか?それが彼女の理想なのか?それはただ自分の殻に閉じこもって積極的に現実逃避をしているだけではないか?多田くんと付き合うことなり、そこで初めて自分は自分以外の人間を必要としていないということに気づくんだけど、だからといって再び自分の殻に閉じこもらず、人間には自分以外の人間が必要だって前に進んで行く、というのが希望があっていい。そのとき、みつ子はもはや頭の中のAに頼る必要もなくなるのだ。
希望のある終わり方だと書いたが、これを読んでるぼくが置いてかれてしまう…そんなことを感じてしまうくらい、この物語に没頭できたし、それくらい面白いテーマだった。間にちょくちょく入るシーンも印象的。たとえばたまに泊まるホテルは非日常が感じられていいけど、同じことを家でする、つまり自分のために掃除をしたり、家をきれいにするのって、この上なく贅沢だ、とか。細部も魅力的だ。 -
Posted by ブクログ
8篇の短編のうち、7篇は女性の語りですすむ。
「岩盤浴にて」は、見知らぬ中年女性の会話を聞きながら、色々思う話である。
外は秋の風だというのに、なんとも湿度が高く、汗が吹き出そうな、そんな気持ちにさせた。
まあ…岩盤浴は行ったことないし、汗もあまりかかない性質なので想像力とはげにおそろしげなり、なのだが。
「怒りの漂白剤」は、短気な私はよくわかる。
クーパー靭帯に例えられた時は面食らったが、わかる気がする。
舌打ちされると腹立つよね、わかるわかる。
怒りの沸点、というか、私はチャッカマン(これ、登録商標だっけか、あとで情報プラットフォームで調べてみよう)なみに火が簡単につく。
だからおっさんの「女が退くのは当たり前だろ、チッ」に「なんだ、コラ」というような態度を取ったことも若い頃にはある。
しかし喧嘩は買ったらだめだ。
そう言うわけだからあまり愛、平等、平和、みたいなことを偉そうに言えないのだ。
良い人じゃないから正しくいきたいとおもうのだ。
さてなんの話だっけ。
「声の無い誰か」は子供を持つ人には恐怖でしかない。
なんだこの終わり方。
ホラーじゃないか。
デマの恐怖と現実の恐怖。
子供が巻き込まれる事件は実際にある。
それから守ろうとしてデマが出来上がる。
デマもまた違う恐怖を引き起こす。
言葉にならない教訓のようなもの。
ざわつくこころは、私に何を伝えようとしているのだろう? -
Posted by ブクログ
大地震の後、再び訪れる大地震が確実な中で大学に残った人たちの学生運動のようなお話
首都で起きた夏の大地震の後、政府から届くものはバーガーと炭酸アルコール飲料という状況の中、大学に備蓄された物品を開放した事をきっかけに学生運動のリーダーと呼ばれるカリスマ的存在とその周囲のいざこざ
主要な登場人物は4人
私、リーダー、私の男、マリ
綿矢りさの過去作でもありがちな女性視点での男性批評のような描写がありつつの三角四角関係
近未来なところとか、学生運動をテーマにしてるのが新機軸かな
でも、それを描いている作品は他の人もいっぱい書いてあるし、描かれているものが軽い
この要素入れる必要あった?
リーダーの言ってることの薄っぺらさ
もしかして、そんな薄っぺらな存在にすがるしかないという群衆を描写したかったのかね?
近未来に関しては、数十年前の大地震の後、原子力発電を停止した結果電力を消費しない生活になった国
そして平均寿命も100歳近いところから60~70代まで落ち込んでいる現在
治安の悪化に伴い銃規制が緩和され、一般人でも銃火器を手に入れられるほど治安が悪化
大地震の後の政府の対策の不信感から、避難勧告を無視して大学構内に居座る学生
なぜ居座るのかね?
タイトルの「大地のゲーム」は、どこに地震が起こるかbetしているようなものという事らしい
ま、東日本大震災のときも住み慣れた土地を離れることは出来ないという選択をした人もいたので、その解釈もまぁ納得できる部分もあるね
綿矢りさは歳を取るごとに相対的な評価が低くなるなぁ
「インストール」と「蹴りたい背中」は年齢以上の作品だけど、それ以降の「勝手にふるえてろ」は全く成長してないし、「ひらいて」はまぁまぁ新鮮さを感じたものの、今回の「大地のゲーム」でまた浅さを感じてしまったかな