あらすじ
同棲=結婚じゃないの?!
煮え切らない男・絃と煮詰まった女・奈世が繰り広げる現代の同棲物語。トホホ笑いの果てに何かが吹っ切れる、迷える男女に贈る一冊。
感情タグBEST3
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最初の一文から心が奪われた。
私が普段感じていてもなかなか言語化できない、常にある感情が言語化されていて、一つ一つの言葉が響いた。感動する場面じゃないのに気づいたら涙出てた。こんな感覚初めて。
大好きになりました。綿矢さんの本全部読む。
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絃と奈世の恋愛では、p164に出てくる「あともう少しかんばれば、幸せになれるかもしれない。でも愛や結婚は、あともう少し、と努力するものでしょうか。」これが、全ての答えなんだろうなーとかなり感じました。
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▼メモ
・絃(ゆずる)
▼好きな個所
P136
・この三カ月のあいだ、奈世は常にいなかった。なのに急に、奈世がもう本当に僕から離れてしまっていたのだと実感した。(中略)走るスピードをゆるめずに、道端にあった公衆電話ボックスに入った。走るのに邪魔だから形態は持ってきていない。百円玉を入れ暗記している奈世の携帯電話の番号をプッシュするけれど、つながらなかった。家に帰ったあとも、携帯から何度も何度もかけなおしたけれど、僕の声はどこにも届けられない。
∟同棲してる時は当たり前の環境に、塩対応だったのに、奈世ちゃんの携帯番号覚えてたんだ、内には熱いとこあるじゃん。そして、この人間の変化と一心不乱の時に陥るうまく行かない感じにグッとくる。
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これ、アラサー女子には刺さる人多いのでは?
奈世と弦、うまくいってるようでうまくいってない。
好きなのに噛み合わない感じとか、将来のことを考えすぎて空回りしちゃう感じとか…
奈世の気持ちも、弦の気持ちも、両方の視点で描かれてて「そうそう、わかる…わかるよ…」ってなる。
自分も誰かと過ごしてきた時間や、モヤモヤが全部思い出されるような読書時間だった。
ハッピーエンドじゃないけど、それもまたリアルで、だからこそ胸に残った。
学生時代の恋愛とは違う、「大人の恋愛」の不器用さにぐっとくる一冊だったな、友だちにも勧めたい。
Posted by ブクログ
勝手にふるえてろ、に続くわかるー!な恋愛系。綿谷りさの恋愛系はハマる、リアルすぎてしんどさもある。
煮詰まるナユと煮え切らないユズルの対照的な感じがすごい、同棲の楽しさと不安はまさにこれなんだろうなって。最後の一言で不安吹き飛ぶところもわかる〜
父が言う言葉がささる、結婚を自然に、スムーズにしたかった。がんばるのは違うよなーって
また結婚に焦る日々が来たら読みたい
Posted by ブクログ
昔の恋愛を思い出して心が痛いよ……夫との暮らしは常時おだやか…自然…
前半の読みにくさは俯瞰できていない感が生み出すものだったのか…支離滅裂感が強かったのもそれだ。後半はとても読みやすかった。互いに、想いはあるけど、相性は良くないかも?と思いつつ、頑張っている。主食が違っても、几帳面さの程度が違っても、それを魅力として捉えようとして、とても努力している。そして、限界を迎え、距離を置いてみると良いものが思い出され、やり直したいとなる…
解説では奈世が不穏と書かれているし、雰囲気は感じる。しかし、このサイクルは、【恋】を表していて、特徴的だった。実家での休養期間で分かりかけていた自分たちの関係性(恋)に、お父さんの【愛】を形容する台詞が刺さりまくる。
p.155
「今日を逃せばまたためになるかもしれないと考えているからだろう」
父の言葉にどきりとしました。父はじっと私を見据えています。
「いいか奈世、結婚はいまがチャンスと焦ってするものじゃない。ほんとに合っている二人ならもっと、自然に、とてもスムーズに、結婚まで至るものなんだ。不安も焦りも、もちろん裏切りもない。拍子抜けするほどおだやかに、まるで当然のように付き合いから結婚へ流れていくのが、結婚する運命の男女だ。父さんたちもそうだった、おまえのお母さんと大学生でであったとき、結婚することに迷いなんか一つもなかった。友達もいとこもスムーズに結婚まで至った奴らはたいていいまでも仲良くやってるけれど、結婚のときにもめた奴らは大概離婚している。二人の関係がもっとどっしりしているカップルこそ、結婚してもうまくいく可能性がある。残念だが、おまえと田畑くんにはそれがない。おまえたちはこのままでは、絶対にうまくいかない」「うまくいかないなんて、決めつけないでよ!」
一番言われたくない言葉を言われて私は逆上して父より数段大きな声を上げました。
p.154 刺さると言えばこの台詞も。
「結婚?ばかばかしい。一緒に暮らすことさえできなくなったカップルが、いきなり結婚してうまくいくか。奈世も奈世だぞ、同棲生活がうまくいかなかったと泣きながら、あれだけやつれて帰ってきながら、田畑くんがちょっと来ただけで、しっぽふってついて帰るとはなにごとだ。おまえがいま元気なのは実家に帰ってきたからだぞ。東京にもどって田畑くんと生活しはじめたら、また元のもくあみだ」
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長く付き合って同棲してるけどなかなか結婚に至らないカップルの話。
昔の恋愛を思い出しながら読んだら結構辛かった。
愛があっても相性が良くなければ上手くいかない。
運命の人とはスムーズに何の迷いもなく結婚する。
昔は信じられなかったけど本当にそうだと思う。
恋愛においては頑張る、努力する、って逆効果なんだよなぁ
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何十年ぶりくらいに小説を読んだ。
展開が激しいわけではなく、真新しいわけでもない。だからこそ、場面一つ一つを表現する言葉に着目できた。自分なら一言でしか表現できない情景・心情を、こんなにも言葉を操って表現できるのかと、小説家の言語表現に恐れ入った。
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完全にタイトル買いと言っていいだろう。これの類義語に私は「ニンニクの味は強い」を提唱したい。
後半が読みやすい。解説にもある前後半で同じ物語と思えないほどにまとまりを欠いている感の前半と、峠を越えた後半?と言った具合。本人の心情がそうさせるのかわからないが、後半の方が俯瞰力があるように思える。
これは非常に禍根を残しそうではあるが、物語がある人物の視点から語られる以上、どうしてもその語り手に肩入れしたくなるものだと思う。しかし、恋愛や結婚や家族の繋がりといった人と人との関係において片方が善で片方が悪と割り切れないのが人間関係というもの。不倫や浮気も世間的に見たら10:0でやった方が悪いし、結婚に踏み切れないのは、踏み切れない男の方が悪い、となる。どーなんかね、それ。今回でいうと残念ながら主人公にもその相手にも感情移入はできない。
ここで終わるんだ感はとても良い。というかこれ以上に書くことある?って感じが良い。漫才の「もうええわ」ってツッコミが聞こえてきそう。
Posted by ブクログ
やはり他人同士が生活するにあたって、違う環境で育っている為に同棲するとそれぞれの不満が出てくる。その不満や行動が喧嘩を引き起こす原因になる事がとても自分に当てはまった。結婚というのはそれぞれのタイミングが合わなければ成立しないという事を実感させられた。私もタイミングが合わなければもう少し遅ければ結婚していなかったかもしれないと思う。弦が少し生真面目すぎる点もあるがどちらかが悪いのではない、どちらの言い分もわかる。ただタイミングが合わなかっただけ。だと私は感じました。
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ゆずるの掃除機を丁寧にかけるところが好き
でも、ちょっと細か過ぎるとも思う
自分にはないところに惹かれつつ
だからこそすれ違う
男の子の本質は好きだの恋だの愛だの興味がないと気付く反面、求められて安心する
おもしろかったです
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付き合い始めて3年、同棲して1年__一緒にいることで違いを感じ、孤独を深める2人。結婚すれば上手くいくのか?答えは分かっているのに依存や執着が現実をぼやかしてしまう。2人の胸の内が息苦しくてリアルなとこが面白かった〜!
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同棲するカップル、その擦れ違う日々。その温度差。何気無い描写だが「景色が見たいのに自分の顔ばかり映ってしまう窓ガラス」とはまた象徴的ではないか。
ものすごく自分勝手で、安易だ。結婚で人生を変えようとしている。
結婚という景色は決して一人では見ることが出来ないのに。どんなに目を凝らした心算でも結局は独り善がりの願望や幻想しか見つめられない。筋は地味だが濃やかな心情の機微を丁寧に描いた作品。
Posted by ブクログ
奈世の性格に行き過ぎがあるとはいえども、程度の違いがあれ複雑な心境をとてもリアルに表現されていて心がえぐられた。
私は女はだけれど、男性はそんな風に考えているのかというところもあったり。
結婚は焦ってするものではない。
二人の関係がどっしりしている者がうまくいく。
奈世のお父さんがはなしていた言葉、実はそれに尽きる気がした。
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星をつけるときにいつも思うけど、大体いつも4になっちゃうな。そうだよ!なんか変だよ!出て行きなよ!と思う一方で、次の日のちょっとしたことで希望を見出してしまう気持ちとか、すがりたくなる気持ち、追ってきてしめしめと思う気持ち?そのどちらにも共感できた。ねぇ、でもそんなの上手くいかないんじゃない?と第三者目線なら思えるのにね。断ち切るのもずるずる続けるのもエネルギーがいる。今の私は、ずるずるよりも断ち切る方が自分にとっていいと思ってる。でも辛い!(失恋中)
Posted by ブクログ
所々の2人の結婚への考え方や、客観的に見て絃くんと奈世ちゃんは絶対上手くいかないと思うけど本人たちは突っ走っていく所がめっちゃリアルな恋愛だなぁと感じた。
Posted by ブクログ
読み始めはただよくあるカップルのすれ違い程度に思っていた。弦は毎日仕事に勤しみながら、プライベートの時間を阻害されてる気分に、自分の気持ちを察してくれない奈世にうんざりしていた。奈世はその少しそっけない弦に振り向いてもらう方法がもう結婚以外に見つからず、結婚さえすれば魔法がかかるかのように2人の関係が修繕されると信じてた。
だけど、ストーリーが進むにつれ、奈世の異常なまでの弦への執着や感覚の違いを感じる。時間が経過し弦は奈世を迎えに行きプロポーズするが、両親は猛反対。結婚を断ればもう先はないかもしれないというその揺らぎこそ、結婚という事への執着を表すのかもしれない。
綿谷りさの文章は、とても比喩表現が多い。しかもそれは想像を容易にするための比喩表現ではなく、どこか気味悪さのある異常性を感じさせる比喩だった。これこそ綿谷りさが長く愛されるところなのかと思う。
とても面白いと感じるというよりも、モキモキする感覚。それが少しクセになり、気付けば読み終わっていた。また別の作品も読みたいと思う。
Posted by ブクログ
Audibleで。
同棲から結婚に繋がるか、なかなかなんだろうな。最終的に結婚することになるんだろうけど、奈世の父が言うように結婚する前に躓くと上手くいかないのかもと、私はこの2人の行く末を危ぶむまま終わりました(笑)
一緒に暮らさなくても、恋愛の最初とは違う面が見え出すところが、あるあるだなあと。
でも、弦はまだちゃんとしてる方だと思うんだけど(笑)どちらかと言うとちょっと定まらなく我慢してるの~の奈世の方が激しく共感できなかったなあ。最後は逆転する愛のベクトル。男女のなかも人それぞれか。
Posted by ブクログ
結婚に対する価値観の違いを描いた作品。
二人ともずっと一緒にいて幸せになりたいという思いは同じなのに、そこにたどり着くまでに歩みたい道が違う。
主人公の奈世は、仕事や趣味など、特に楽しみや生きがいがある人ではなく、それゆえに「ゆずるが生きがい」と思い、結婚というものに執着してまう。一方、ゆずるは仕事で生活を侵されていて、心に余裕がなく、奈世の大雑把なところや感情の波に不安定さを感じている。
お互いの落ち着きどころが違い、それに気付いていながらも"いま"一緒に居たいから、見て見ぬふりをする感じが、恋愛だからこそだなぁと感じました。奈世のお父さんが奈恵に対して、「結婚はいまがチャンスと思ってするものじゃない。ほんとに合っているふたりならもっと、自然に、とてもスムーズに、結婚まで至るものなんだ。」という言葉は、まさしく!と思いました。
Posted by ブクログ
「好きだけど好きじゃない」いくら好きな相手でも相反する感情が入り混じってしまう。一時の感情で傷つけたり傷ついたりする。どこまでもないものねだりだけど、これが2人の運命。男女の恋愛観や結婚に対しての価値観が痛いほど良くわかるしイライラもした。あ2人が幸せでありますように、
Posted by ブクログ
主人公の女の子は「結婚すること」にずっと囚われていて相手に重たい態度をとったり無理くり押し付けてるところが沢山あって読んでてもやもやしたけどきっと押付けちゃだめ。でももしかしたらもう少し大人になったら同じように焦っちゃうのかなこわいな
この子のお父さんが言ってた「結婚はいまがチャンスと焦ってするものじゃない。ほんとに合っている二人ならもっと、自然に、とてもスムーズに、結婚まで至るものなんだ」みたいにスムーズに結婚できる相手に出会えるといいななんて思っちゃったり思わなかったり。
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なんだかピンと来ないまま読み終えてしまった。解説もよくわからなかったな〜
奈世のザ・女って感じがちょっと怖くもあり可愛くもあった。
これで終わりで、また同じことの繰り返しにならない?と思った。
サクッと結婚してみて、ダメなら離婚すればいいのにね。結婚失敗したって死ぬわけじゃないんだから。
Posted by ブクログ
ちょっとこわい、めんどくさい、もうそれ以上はやめておきなよ…って思いながら読み進めてしまう。程度問題ではあるけど、奈世の気持ちが過去の自分の体験に重なる部分があってぎゅっとなる。
ちゃんと話したいのに、背を向けて寝息を立て始める彼が遠くて、つらくて、眠ることができずに手を伸ばす…わかるなぁ、したことあるなぁ、って。一緒に寝るベッドで起こさないように声を立てずに泣いた夜、あるなぁって。
すれ違いを安心したくて話したい女、めんどうなことはやりすごしたい男。
わかる、わかる、けど、やりすぎ。
いたくてうしろめたくて少し笑える過去の自分の恋愛のダメを集めたような、けどすこしあったかくてありふれてる、そんな男女の話。
Posted by ブクログ
好きな人と結婚相手は違うっていうのがよくわかった本。好きな人と結婚したいって思う気持ちとてもよくわかるけど。
どんなに好きでも上手くいかないだろうなーと思ってしまう。
結婚して数年経ったらどうしても好きって薄れてしまうだろうしねえ
女は追いかけられるぐらいの方が結婚はいいんだろうな
Posted by ブクログ
どこかですれ違って、それも分かっていて、でもどうしようもなく好きで。
察してくれよと、分かってるでしょうと、相手に理解を求める。
お互いに勝手だけど思いやりも持っている。
Posted by ブクログ
はじめは絃くんこだわり強すぎじゃない?本当にこんな人と暮らしていくの?と思いながら読むけど、だんだん奈世ちゃんも奈世ちゃんでやばいな…と察しがついてくる。
解説で「変な女」と断言されていてちょっと面白かった笑
綿矢りささんが描く、どことなく危ういところのある女性像が好き。
奈世ちゃんとご両親の喧嘩のシーンはつらかった。。
優しいご両親のもと愛情を受けて育ったんだろうなと思いつつ、大学を卒業した娘が一度もていしょくについてないことをわりと受け入れてるところ、誕生日プレゼントの相談をするところは、なんだか甘やかしてるなあと感じた。
自室で泣いている奈世の気配を察知する両親に関する描写が好きだった。
Posted by ブクログ
二篇の作品による連作短編です。
同棲から結婚へという、
ある意味で瞬間的でもあるだろう経過上で、
こじれてしまい間延びしたような状況が本小説の舞台。
あえてそこを書くのが小説らしく、著者らしいとも言えます。
小品を読んでいる感覚でしたが、
終いにはしっかり読み終えた満足感がありました。
そういった、話の締めくくり方の力というか技術というかは、見習いたい。
心理面もさることながら、
脳の構造的なぶぶんであろうところであって、
日常ではあまり意識したりしないような点にも注意を向けて書いている箇所があり、
レントゲンみたいに透過する、
作者の視線のつよさみたいなものが露わにする「人間の秘密」を目にする感覚もありました。
こういうところは、科学的な視線の種類だと思います。
冷徹さを持っていないと見えないところです。
たびたび、太い息がでる文章に出合いましたが、
P119の、
___
たしかにきゅうくつに感じていたけれど、
でもいまみたいに大人になってからの、
自分のことは自分で決めないとどんどんダメになっていくプレッシャーはなかった。
なにもかも自分で決められるゆえ、
その決断が間違っていれば他でもない自分が一番困る。
子どものころのように、
ルールを決めるかわりに自分を守ってくれる存在はもういない。
___
という一節を個人的な思索とからめて今回は取り上げます。
この一節をしゃべっている主人公の女性・奈世は、僕なんかからすると、
他律性から脱却して自律性を獲得する過渡期のようにも見えました。
でも、奈世はこうやって、自律性と他律性の狭間みたいな割り切れないところにいて、
そこは一般的にはたぶん居心地はあまりよくないはずですから、
すぐにどちらかに重心をうつしがちなのが通常だろうという状態だと思うのですけれども、
しっかりそんな状態・状況に身を置いてモノを見る、恋人や他者を見る、内面を見る、
そして言葉にしていくという態度は、
小説を書いていく人ならではの特性か、いや、というよりも覚悟なのかな、という気がしました。
きっと、そういった覚悟があると、居心地の悪い「狭間」が、
独特な「汽水域」へと特別に生まれ変わるのかもしれません。
よく見てみれば豊かで、気づくことができた人だけが獲得できるものがあります。