ご存知の通り、『100万回生きたねこ』(1977)は、佐野洋子さんの絵本です。最後に主人公の猫が死ぬのに、心からよかったーと思える、不思議でとっても深いお話でした。少し哲学的で、大人の方が響くかもしれませんね。本書は、この名著に捧げる13名の錚々たる作家諸氏のアンソロジーです。
最近読んだ町田康さん、谷川俊太郎さんも書かれていて…、あ、谷川さんは佐野洋子さんと(短期間)ご結婚されていたんですね。また書き下ろしの広瀬弦さんは佐野洋子さんの息子さん!
なんと不思議な巡り合わせです。当然ながら、全編とも名作絵本への愛と敬意が根底にあり、様々な視点で読ませてくれました。
各話の冒頭には、作家さんがそれぞれ原典の絵本への想いを綴ることから始まっています。
オマージュ作品とは言うものの、短編小説だけでなく詩もあり、また原典のとの絡め方も、かなり直接的だったり着想のみでまるで別作品だったり、多種多様でした。
でも、猫、愛、生と死、側にいる人との心の揺れ動きと変化、時間の経過等々、滋味あふれ深く考えさせられる一冊でした。
初出は、「小説現代」2014年10月〜12月の12篇に書き下ろし1篇
※自分のための『100万回生きたねこ』のあらすじ
(ネタバレ、になるのかな?)
主人公の猫は、100万回生まれかわり様々な飼い主のもとで死に泣き悲しまれますが、猫が好きなのは自分だけで、何度も生き返るので死ぬ事も恐れていません。
ある時、猫は誰の猫でもない野良猫になり、100万回生きた事を自慢します。すり寄ってくる猫の中で、唯一関心を示さないメスの白猫がいて、気になり始め、ただ白猫のそばにいたいと思うのでした。
猫は白猫と一緒になり沢山子猫に恵まれ、猫も自分より白猫や子猫達の方が好きになります。やがて子猫達も育ち猫の元を去り、白猫も年老いて、ある日猫の傍で静かに動かなくなります。
猫は生まれて初めて泣き、動かなくなった白猫を抱えて100万回も泣き続け、ある日のお昼に猫は泣き止みました。そして猫も白猫の隣で静かに動かなくなり、もう決して生き返りませんでした。