綿矢りさのレビュー一覧
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ご存知の通り、『100万回生きたねこ』(1977)は、佐野洋子さんの絵本です。最後に主人公の猫が死ぬのに、心からよかったーと思える、不思議でとっても深いお話でした。少し哲学的で、大人の方が響くかもしれませんね。本書は、この名著に捧げる13名の錚々たる作家諸氏のアンソロジーです。
最近読んだ町田康さん、谷川俊太郎さんも書かれていて…、あ、谷川さんは佐野洋子さんと(短期間)ご結婚されていたんですね。また書き下ろしの広瀬弦さんは佐野洋子さんの息子さん!
なんと不思議な巡り合わせです。当然ながら、全編とも名作絵本への愛と敬意が根底にあり、様々な視点で読ませてくれました。
各話の冒頭には、作 -
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ネタバレ話題になってた時に読んだ……ような気がしてたけど、内容を一切覚えてなかった。読み終えたけど、やっぱり内容を忘れそうと思う。
でも、最初の「さびしさは鳴る。」は覚えてた。詩的で意味がない感じがいい。こういう表現があちこちに散っていて、文章の美しさはある……でも、物語はというと、印象に残らない。『蹴りたい背中』のタイトルもそのまま「苛立つ(この辺りの解釈は人によって異なりそうだけど)から蹴りたい」という話。
気になった部分。
『恋人か、ファンとしては痛烈な響き。いや、でも、おれは受け入れるよ。』47p
にな川が好きなモデルに恋人がいるかもと知って口走った言葉。
痛烈な気持ち悪さ……と思いながら -
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この人にも友達っているんかな…というような、
いわゆる「変わった子」が大学生活で成長する
お話。
主人公の海松子は大学入学を機に両親に強制される形で一人暮らしを始める。
脳内で(失礼な)あだ名をつけている周りの人たちとの関わりや想われることによって徐々に成長していき、何も気にしていなかった「変わった子」から、「普通にする」ことへの難しさと向き合うことになる。
主人公海松子の変人っぷりもさることながら、
友達もよっぽどであると感じる。仲良くしている2人は正直外から見たら「なんなんだあいつら」と言われそうな組み合わせ。でもお互いに認め合う姿は表面上の関係よりよっぽど羨ましく感じた。
タイトル -
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佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』。インパクトの強い緑色の瞳をしたオスのトラ猫が表紙の絵本です。おそらく子どもの頃にも読んだことがあったと思うんですが内容はほとんど記憶になく、大人になって改めて読んでグッときました。
1977年に発売されて以来、今なお多くの人に読まれ続けている大ロングセラーであるこの絵本への、13人の作家によるトリビュート短篇集です。
佐野洋子さんの息子さんで絵本作家の広瀬弦さんや元旦那さまの谷川俊太郎さんも執筆されています。結構著名な作家陣ばかりですが、私は読むのは初めましてな作家さんが多かったですね。
どういうこと?と理解が追いつかないお話もあれば、ちょっと不思 -
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推し作家の綿矢りさの新刊が平積みされてて
即買いしました。
4月22日 7月8日 12月3日が好きだったが、
それ以外、綿矢りさらしさがあるわけでもなく。
ただの30代女性のコロナ期日記
それ以上でも、それ以下でもない。
有名推し作家も、一般人と同じように
一般的な感覚で、コロナ感染拡大や、緊急事態宣言などを受け止めてるんだなぁって
なんか公式ファンブックとか、パンフレットにも載らないようなスピンオフ的なものなのかな
あと何十年かして、
コロナの頃の人たちってどんな感覚で、どんな生活してたのかなって知らない世代の人たちが
当時を知ろうとしたとき、
歴史的価値が生まれてくる本だと思う。
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ネタバレ2015年に世に出た綿矢氏の作品。
中篇「いなか、の、すとーかー」および表題作の「ウォーク・イン・クローゼット」からなります。
なお綿矢氏は17歳でデビュー。2004年で芥川賞受賞。すごいですねー。
・・・
綿矢氏の作品は芥川賞作品の『蹴りたい背中』以来です。
結構リアルタイム気味に読んだ記憶はあるのですが、テイスト・テクスチャ―がどんなだったかはまったく記憶にありません。
で、今回、ほぼ初めてという感覚で読みました。
で、どうだったかというと、すごい。というか、すらすら読める、
ということに驚き。
それでいて、キャラクタのアクやクセ・えぐみはきちんと作品に反映されているのです。