綿矢りさのレビュー一覧

  • 意識のリボン

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    ネタバレ

    綿矢さんの作品は数冊読んできましたが、登場人物を通して本質を暴かれたような感覚になるのが特徴だなと改めて感じました(私主観)

    特に「履歴の無い女」これは痛いところを突かれたな、と思ってしまいました。
    ある会話の流れで「心のどこかで”分かるな”と思っていた」という心理描写が、まさにそれ。
    辛い思いをしている人に対してもちろん寄り添いたい、力になりたいという気持ちがゼロじゃないけど、自分じゃなくてよかったという気持ちもゼロかというと否定できない。自分が進んで辛い思いをしたいかといえばしたくないし、「できるなら代わってあげたい」なんて代われるわけがないというのが大前提なんですよね。

    上記は一例としてで、作品中にはあえて声に出して言うべきではないけれど心の中でほんの1mmくらいは無意識に潜在しているような心理が、心の声として、もしくは、セリフとして書かれている部分が多々あります。

    少し重たいレビューになりましたが、綿矢さんが作り出すこざっぱりとした登場人物の女性たち、私は好きです!

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    2026年01月01日
  • Yuming Tribute Stories(新潮文庫)

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    綿矢りささんが好きなので買いました。期待していたとおり心が痛くなるような女性が主人公でとてもよかったです。ユーミンの歌は知らなかったので、そういう楽しみ方はできませんでしたが…
    桐乃さんの短編に出てくる男性は女性から見れば恐怖を感じるかもしれません。

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    2025年12月26日
  • 二周目の恋

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    お気に入りの話
    1「カーマンライン」一穂ミチ
    2「最悪よりは平凡」島本理生
    3「海鳴り遠くに」窪美澄

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    2025年12月24日
  • 夢を与える

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    テーマがアイドル、舞台女優である朝井リョウさんの「武道館」「スペードの3」を読んだ後に、本書を読みました。古本屋で何気なく選んだ3冊が偶然全て芸能関係物で、この短期間で華々しい世界の裏側に少し詳しくなった気がしました、絶対気のせいですが。
    芸能界の栄光と挫折、理想と現実のコントラストを描いた3冊ですが、比較したとき、最も生々しく、最も救いがなかったのが本書です。多摩くんと一緒に魚を洗うシーンだけが、この物語の光でした。最後、全てを失い今から確実に生きづらい人生が待ってると思われる夕子ですが、多摩くんに再会できればきっと失ったものを取り戻せるはず。もう一度会えることを切に願って、本書を閉じました。

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    2025年12月16日
  • ひらいて

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    ネタバレ

    思いを込める、という愛し方がある。
    贈る、押しつける、届くように。
    けれど、ひらく、という愛し方もある。
    手を広げ、ありのままを晒し、受け入れるように。
    自己価値の証明、もしくは執着としての感情を「愛」と呼ぶことしか知らなかった愛ちゃんが、承認欲求や評価などのためでなく、胸を広げてやわいところも相手に触れさせ、心の根っこで繋がろうとする「愛」をたとえや美雪から学んでいく。
    思いを込めてばかりだと、皺になって、固くなって、心から出た本音が、筋肉を通って、皮膚を通って、表情として出ていくまでに嘘になってしまうから、自分でも自分の感情が分からなくなったら、もしくは自分でも自分の感情の出し方が分からなくなったら、一度、強がる気持ちや怖い気持ちをすっと手放して、勇気をもって「ひらいて」みてもいいのかもしれない。
    愛ちゃんが、空回りして、最も好きな人たちからさえ遠ざかってしまう過程で見せた姿の淋しさは、人間の人間らしい滑稽さであり、真骨頂でもある普遍的なものだと思う。
    私はいつでもそれを読み返し、強ばって固くなった自分に「ひらいて」と何度だって言い聞かせるだろう。

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    2025年12月04日
  • 二周目の恋

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    綿矢りささんの「深夜のスパチュラ」は、現代っぽくて入ってきやすい。でも文章が続いていて読みにくい。主人公がかわいい。
    一穂ミチさんの「カーマンライン」は、表現できないけれど良さがあって好きだと思った。双子って素敵だなあ。
    遠田潤子さんの「道具屋筋の旅立ち」は、いかにも昭和的な男と、女の話で最初は嫌だなあって読んでた。でも、八角魔盤空裏走(はっかくのまばん、くうりにはしる)という言葉を聞いてからの優美の自分自身と向き合っていく姿が清々しかった。最後の誠とのシーンがなんかいいなあって。
    窪美澄さんの「海鳴り遠くに」は、紡がれている物語の雰囲気がなんだか好きだなあ。最後ちゃんと結ばれてよかった。

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    2025年12月02日
  • 蹴りたい背中

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    ハツはにな川のこと好きだったのかな
    それとも自分より惨めな人を見てたかったのかな
    どっちもなのかな

    蹴るという行動は好きな人に意地悪するという思春期特有のものなのかな
    それとも自分がいじめる側になってるような感覚を得るためのものなのかな
    どっちもなのかな

    こんなに行間たっぷりな本、久々に読んだや

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    2025年11月28日
  • 嫌いなら呼ぶなよ

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    登場人物の感性がやや常識からずれており、そのぶん戦闘力が高く、読んでいて気持ちよかった。

    常識からずれていても、生き物して魅力的であることはできるよね。

    霜月という造形美の男が、不倫で責められている最中ですら、自分の美しい顔に惚れ惚れしている描写がある。
    呆れちゃうけど、垢抜けない夫婦よりも魅力的だよね(^^;;

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    2026年09月06日
  • 手のひらの京(新潮文庫)

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    京都で生まれ育った似てない三姉妹のお話。
    長女・綾香の恋愛模様が可愛いし、次女・羽依は自分を持ってる強い女でかっこいいし、三女・凜の選ぶ道がとても気になったし、京都の四季の移り変わりを感じてじーんときた素敵なお話でした。
    自分も京都で生まれ育ったので、わかるわ〜ってなる箇所が多くて楽しかった。綿矢先生の京都の表現が的確で面白いし文学的。

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    2025年11月20日
  • 私をくいとめて

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    「ストレスは目に見えない煙草の煙みたいだ。たくさんの言いたいことを毎日文句も言わず噛み潰してきたしかめ面を、灰色の煙が覆っている。」

    「真夜中の沈黙に身を浸すのは危険です。漆黒が身体の芯に染み込んで、取れなくなります。夜にはっきり感じた孤独は忘れられません。孤独は、人生につきものです。誰かと居ても、癒されるものではありません。ふわふわと周りに漂っている時は、息をひそめて吸うのを避けるのです。」

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    2025年11月07日
  • 生のみ生のままで 下

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    ぐんぐん加速していった下巻。一目会うことさえ叶わなかった7年をはさんで、二人が一度クロスし、そして再び一本のラインとして交わりあっていく様子が、鮮やかに描かれていた。一方がむかし言っていたことをもう一方がずっと覚えていたり、現在と過去がシンクロしたりと、このふたりの長い年月を読者としてずっと追ってきた喜びが感じられた。
    一度固く閉ざされてしまった彩夏の心がほぐされていった直接的なきっかけや、逢衣と両親のその後など、はっきりとは書かれていない。納得いかない読者もいるだろうが、現実って実際はこんなものだろうなと、むしろ自然に思われた。なにもすべてにおいて、はっきりした出来事をきっかけに心が動いていくのではない。ひかれあってしまうものはどうしてもそうなるというような、傍から見れば曖昧な、でも当人にとっては必然的な、自然な成り行きというものはたしかにある。
    逢衣と彩夏が交わるシーンが全編を通して複数回、濃密に描かれるが、そのどれもがまったく同じでないことがすごいと思った。そこには二人の関係性における微妙な変化が、これ以上ないほどこまやかに映し出されている。私自身にはそんな経験が(たまたま)ないからなのかもしれないが、先入観にとらわれることなく、愛する人の身体をひとつずつ知っていく幸福をリアルに感じることができた。
    同性愛に対する世間の風当たりがやや極端で画一的なのはちょっとひっかかった。とはいえ、本作の初出から7年が経っても、いまだに日本のトップに立つ政治家でさえ同性婚反対を声高に叫んでいる。これが現実かと思うと、逢衣と彩夏がたどり着いたラストの意味をあらためて考えさせられる。

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    2025年10月16日
  • 生のみ生のままで 上

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    ずっと読んでみたかった一冊。しっとりねっとりした感じを勝手に想像していたが、現代的でスピード感もありぐんぐん読ませる感じだった。お互い彼氏のいた逢衣と彩夏が付き合うようになった経緯もなかなか急なのでびっくりしたけど、それは読者にとってわかりきった展開なのでこれくらいでいいのかも。とはいえ元彼氏の颯と琢磨があまりに物分かりがよすぎて不憫……。
    ところどころ文章が荒っぽい感じがするのに引っかかりつつも、先が気になりあっという間に読み終えた。もともと素朴な印象だった逢衣が、彩夏と一緒にいるうちにどんどんあか抜けていくような様子にわくわくした。女性が女性と交わることではじめて得る気づきが丁寧に綴られているのがとてもよく、そういう経験のない私でさえうっとりしてしまうほどだった。
    2人の関係性、怖いほど順調だなと思っていたらやはり最後に危機が訪れたところで上巻終わり。下巻も楽しみ。

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    2025年10月14日
  • しょうがの味は熱い

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    ネタバレ

    ▼メモ
    ・絃(ゆずる)
    ▼好きな個所
    P136
    ・この三カ月のあいだ、奈世は常にいなかった。なのに急に、奈世がもう本当に僕から離れてしまっていたのだと実感した。(中略)走るスピードをゆるめずに、道端にあった公衆電話ボックスに入った。走るのに邪魔だから形態は持ってきていない。百円玉を入れ暗記している奈世の携帯電話の番号をプッシュするけれど、つながらなかった。家に帰ったあとも、携帯から何度も何度もかけなおしたけれど、僕の声はどこにも届けられない。
     ∟同棲してる時は当たり前の環境に、塩対応だったのに、奈世ちゃんの携帯番号覚えてたんだ、内には熱いとこあるじゃん。そして、この人間の変化と一心不乱の時に陥るうまく行かない感じにグッとくる。

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    2025年11月15日
  • 意識のリボン

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    僕たちは、普段感情を表す際、簡潔で単純な言葉でまのめてしまう。本来は、複雑なレイヤーがあるものをしまったものを引き出しから出すように。

    本作は、感情を行ったり来たり迷ったりで親密な口調僕らに話しかける。大きな解決もないが少し背筋が伸びただけで良いのでは?そこが新鮮で面白い。現在の僕たちの心のひだに、何かしら言葉を届けてくれる。それが小説なのかもしれない。

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    2025年10月08日
  • 蹴りたい背中

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    初版から22年程経っていることを知り、時の流れの速さに愕然としつつ初めて読みました。
    長谷川と絹代と、にな川の3人の高校生が、アイドルのライブに行く。出来事はそれぐらいしかない。
    高校生活が始まり、少なくとも馴染めているとは言い難い長谷川と友達グループを見つけ活発的な絹代、クラスどころか家族とも馴染めないにな川。
    中学とも大学とも違う、狭間の時代。
    大人から見ると、不器用が過ぎる2人と、背伸びをしたがる普通の高校生。自己管理はできないが欲情を発散したいと感じていた頃。
    私も昔を思い出し、つい当時の後悔と懺悔が頭をもたげそうになる。

    当時は史上最年少の芥川賞受賞者ということで、メディアで随分取り上げられた一冊だったかと記憶しています。
    読みやすく、シンプルな文体です。読み終えてみると、「蹴りたい背中」という不思議さは、長谷川のチグハグな感情と行動にとても良く当てはまる言葉です。これ以外に当てはまるタイトルが無い気がしてきます。

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    2025年10月04日
  • オーラの発表会

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    想像以上にさわやかな終わり方で明るい気持ちで読み終わった。
    人とズレた主人公、人と関わる場面で一瞬も戸惑わない思い切りの良さが縁を繋いでいくんだろうな。
    何が不安になって人と同じものを選んで正解にしたくなるけど、自分の良さまで変えなくていいし、歪なところはそのまま愛そうとしていく海松子たちが愛しい。

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    2025年10月03日
  • 蹴りたい背中

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    人の背中を蹴りたい、という思い、相手と関わりたいだけど、普通の関わり方が分からなくて、少し暴力性を持って、絶対に反応してもらえる方法を選ぶ感じ、めっちゃ分かるな〜と思ったりした。

    私はそれを恋人に対してやるけれど、このような友達?の距離感の人にやるのは意外な気もした。

    でも、この気持ちを丁寧描き切ってくれたことを嬉しい、と思った

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    2025年09月19日
  • ウォーク・イン・クローゼット

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    初めての綿矢さん作品。
    収録されている2作品とも好きでした。良い意味で心地よくサーっと話が進んで行くんだけど、登場人物の個性や芯にあるグツグツした強い感情・思考の面に惹きつけられたんだろうな。

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    2025年08月28日
  • 生のみ生のままで 下

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    7年もの時間が過ぎたのに、お互い結局ずっと想い合っていたところが本当に運命の2人って感じで憧れた。病気になって弱ってしまった彩夏を強引に引き取って看病していく中で徐々に2人の仲が以前と同じように深まっていくところがすごく良かった。

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    2025年08月17日
  • 生のみ生のままで 上

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    高校の頃から憧れだった男の先輩と付き合っていたのに、女である彩夏からのアタックによって惹かれていくことなんてあるんだと思った。颯と付き合ってたときの逢衣は本来の自分の性格を隠して女性らしい控えめな彼女を演じていたのに、彩夏と付き合ってからは自然体でいられるようになったところも良かった。

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    2025年08月17日