綿矢りさのレビュー一覧

  • 憤死

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    綿矢りさのセンスが爆発している。いい意味で、もの凄く気味の悪い文章だなあと思いました。

    解説より、
    あのときの「こども」が置き去りにされた場所に今もなおぽつんと立って「おぼえていますよ」と永遠に呼びかけている

    まさにそんな感じ。奇妙すぎる。

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    2021年01月09日
  • 憤死

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    ネタバレ

    かなーりよかった。
    トイレの懺悔室は、常につきまとう不穏な雰囲気と、ラストの狂気になだれ込んでいく感じが良い。
    表題作の憤死は、いかにも綿矢りさというかんじで、しかし語り手の、振り回されながらも自分の中にある佳穂のエネルギーに惹かれる気持ちに気付いた瞬間が、すごくよかった。
    人生ゲームは、不思議なお兄さんがかっこいい。そして良い読後感だった。

    森見さんの解説もよい。この解説があることでこの小説群がひとつにまとまって、完成している感すらあるな〜

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    2020年12月04日
  • 意識のリボン

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    エッセイのような“岩盤浴にて”や、異色の“こたつのUFO”、あったらいいなの“怒りの漂白剤”あたりが好みかな。軽妙なタッチも重厚な哲学的思考も、どっちもいける。久々に綿矢ワールドを堪能しました。あぁ、この鬱屈したものを吐き出したい!

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    2020年11月22日
  • ウォーク・イン・クローゼット

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    『なにここ!クローゼットっていうより衣装部屋じゃない』
    『海外ドラマで見て憧れてたんだ。ウォーク・イン・クローゼットがあるのを第一条件にして物件を選んだの』

    新しい部屋に引っ越す時、あなたなら何を一番重視するでしょうか?駅までの距離、日当たり、それとも間取りでしょうか?”人が中に入って物を出し入れできる広さのある収納スペース”、それが「ウォーク・イン・クローゼット」。『私のクローゼットが丸ごとすっぽり入るくらい広い』というその空間。部屋を選ぶ時にそれを何よりも重視した主人公の友人・だりあ。一方で『輸入雑貨店で買った』、『アンティークで一九三〇年代の品』という『古めかしく重厚感がある』クローゼ

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    2020年11月12日
  • 意識のリボン

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    全8編からなる短編小説。最初の3編を読んでこれは小説集なの? エッセイでは?とも思った。

    綿谷りさは「日陰者から見た社会」みたいな視点がが本当に面白い。かなりの捻くれ者。陽キャを軽蔑と羨望の目で眺めてる陰キャみたいな。

    言葉の扱い方もうまくて、たまに突拍子もない比喩を入れたりするんだけど、それがすごくストンとイメージできる。文章のリズムというか緩急があるから、どんどん読み進められるし、読んでいて心地いい。

    ちなみに私は『こたつのUFO』が好き。30歳独身の女性が部屋の中で悶々と自分の人生を振り返ったり、宇宙人に連れて行かれる夢を見たりする話。「20代の宿題、30代に持ち越した…」という一

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    2020年08月09日
  • 大江健三郎賞8年の軌跡 「文学の言葉」を恢復させる

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    少し前の新聞に中村文則の「掏摸」が紹介されていた。中村さんは今や海外でも名を知られた作家だが、そのきっかけになったのが大江健三郎賞を受賞した本作が、賞の特典として翻訳されたからだ、という内容だった。
    大江健三郎賞は聞いたことがあったが、選考委員は大江健三郎さんひとりで、賞金の代わりに海外に翻訳されて紹介される、賞は八年続いて既に終了しているということも知らなかった。
    で、その賞の始めから終わりまでの受賞作の紹介とそれぞれの著者との対談を収録されているのが本作。
    なかなか手ごわい本だったがおもしろかった。
    受賞作のどれも読んだことが無いが、長島有の本は読んでみたいと思った。対談も一番楽しかった。

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    2020年07月24日
  • ウォーク・イン・クローゼット

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    一つ目のの作品、「いなか、の、すとーか」はミステリー要素が入っており、普段の綿矢りささんとはまた違ったテイストで面白かった。

    そして、なんといっても読みやすい!!

    綿矢りささんの細かい情景描写、心情の描写は状況理解を助けてくれ、スイスイ読めた。それしても細かい。二作品目、「ウォーク・イン・クローゼット」の服の種類の事細かさ。妥協を感じない。そして、綿矢りさの服への並々ならぬ愛と比類なき博識っぷりを感じた。

    後書きの
    「服は口ほどにモノをいう」
    という言葉は自分にだいぶ刺さった。結局、だらしない性格っていうのはにじみ出るんだな、っていうこと。しゃんとした服装をして、髪型をして、綺麗な靴を履

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    2020年07月12日
  • ウォーク・イン・クローゼット

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    表紙が可愛い。「いなか、の、すとーかー」、ストーカーみたいか過激な被害にあった事はないが自分が何気なく人にした行為がきっかけで相手に過度な期待を持たせてしまって、その後苦労したって経験は多くの人があるのではないでしょうか。人はどこで執着のスイッチが入るか分からないから怖い。自分以外の人気持ちなんてコントロールできないし、執着する側の人はどうしたって満たしてあげられない飢えのような気持ちを抱えてしまっているのでは。その気持ちが上手く書かれてて相変わらず綿矢さんの小説は引き込まれる。「ウォークインクローゼット」のだりあ側視点での話も読んでみたい。

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    2020年07月09日
  • ひらいて

    購入済み

    よかった

    最高によかったです。。

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    2020年06月30日
  • かわいそうだね?

    購入済み

    自分が我慢してると気づいた時

    自分の気持ちを我慢して、誰かのために譲ることを綺麗だと思うこともいつかは限界が来ると改めて気づきました。

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    2020年06月29日
  • インストール

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    綿矢りささん「インストール」(2001.11)再読です。最初に「インストール」を読んだ時は、面白味が理解できなかったんだと思います。パソコン(インターネット)は「ただメールを読むだけ」状態でしたからw。この作品は高校3年生、まだ酒が飲めない、車も乗れない、セックスも未経験な17歳の野田朝子が、天才?小学生青木かずよし12歳に、教わりながら一緒にコンピューターを使ったアルバイト、1hで1500円のチャット嬢という風俗の仕事をする物語です。綿矢りささん、17歳の作品です。テンポがいいです。

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    2017年05月11日
  • インストール

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    初めて綿矢さんの本を読む。
    何か懐かしい青春の感じがヒシヒシと伝わってきます。
    と感想を書くと自分も年をとったなと思います。

    インストールというタイトルはこの本が出される少し前に放送されていたコレクター・ユイの世界を思い出しました。
    また、雅といえばケイゾクを思い出してしまったのは名前のせいかな。

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    2017年01月17日
  • ひらいて

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    ネタバレ

    中盤、おい!こんな展開かよ!と
    主人公の破天荒な行動にかき乱されたけれど、
    最後まで読んでよかった。
    最後まで読んで、まるごと一冊で完結する立派な小説でした。
    「高校生の青春と恋愛を瑞々しく描いた傑作」と
    裏表紙に書かれていて中盤までではウソだろと思いましたがね。
    どろどろしてきます。

    主人公の「愛」みたいな女子はいるなあと思った。
    破天荒さをちょっと差し引いた「愛」はいる。
    「なんでも自分の思う通りにやってきて、
    自分の欲望のためなら、他人の気持ちなんか、一切無視する奴」
    それが「愛」でありLOVEのどうしようもないところでもありますね。

    「なぜすべて奪うまで気づけない。欲しがる気持ちに

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    2025年07月09日
  • インストール

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    ネタバレ

    「私、毎日みんなと同じ、こんな生活続けてていいのかなあ。みんなと同じ教室で同じ授業受けて、毎日。だってあたしには具体的な夢はないけど野望はあるわけ。きっと有名になるんだ。テレビに出たいわけじゃないけど。」
     初っ端から痛々しさの漂う、受験を控えた高校生の女の子。クラスメイトに唆され登校拒否することに。ついでに全てを捨て(物理的に)、小学生の男の子とエロチャットのアルバイトを始める。

     胸の膨らんだ身体に慣れて、生理ナプキンの交換にも手なれてきはするけど、17歳ってやっぱりまだ子どもだった。自分なら何にでもなれるんだっていう選民思想と、自分はこんなもんだっていう諦観がせめぎ合う。無理してはしゃ

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    2017年09月28日
  • 大地のゲーム

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    ネタバレ

    偶然にも故郷で大きな地震が起こった時にこの本を読み始めた。秩序が崩壊し、極限状態にになったときの人間の姿を詳細に描き出す筆力に舌を巻きつつ、主人公の弱さを持ちつつもしたたかで、それでいてどこまでも人間臭い姿の描き方にいつもの綿矢りさを感じる。彼女の作品としては他と毛色が違いつつも、根本的なところで通じていたのはそのようなリアルさと、それから最後の、生き残ったみずみずしい生命力を感じさせるシーンの力が大きいのかもしれなかった。

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    2016年04月20日
  • インストール

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    学校に疲れた 女子高生が登校拒否し、何もかもを捨て 昔祖父から貰ったコンピューターで 小学生の男の子と風俗チャットで一儲け

    高校生である自分が感じていることがものすごくぴったりとあてはまったのでびっくりした。

    印象的な文
    それよりこれからどうしましょう…
    …私もゴミ化してる。それを見た私は死にたーい、と思った。…
    何度もスカートがはためき、その度にいちいちパンツがみえる、けれどそれが?…

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    2016年11月24日
  • かわいそうだね?

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    表題作と「亜美ちゃんは美人」の2編を収録した文庫版です。

    女流作家のえがく「女性の世界」の小説なので、
    オトコからすればある意味、「秘密のベールの内」をのぞくような
    読書体験になるのですが、
    しかし、そういう「女性世界のおもしろさ、新奇さ」で売る作品ではなく、
    その内容・中身に価値があるので、人間学を深めているような、
    それも女性学を深めているような感覚を持ちながら楽しめました。

    綿矢さんは、初期の『インストール』や、
    以前読んだ『勝手にふるえてろ』にくらべると、
    完全に目が据わっている印象をうける小説家になられたようだ。
    もうこれでいくしかないのだ、と腹をくくったように読めました。
    そし

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    2025年07月03日
  • 勝手にふるえてろ

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    『インストール』や『蹴りたい背中』に比べると、
    だいぶ、社会のというか、俗世間の俗っけある成分に
    作者は侵されたようにも感じました、それは良いとか悪いとかではなく、
    歳を重ねたことなんだろうと思います。
    生活してきた、その証としての俗っけでしょう。

    表題作の「勝手にふるえてろ」はまずそう読んだんです。
    主人公・ヨシカの、地味目で控えめながらも、
    自律的に生きていて、その自らの滑稽さともつきあい、
    女性ならではの細やかな計算もありながら、
    物事をすぐさま先鋭的につきつめることなく、
    時間とともに見えてきた骨の部分をやんわりと捉えて言葉にする感覚。

    僕とこの主人公は歳も離れているし、性別も違う

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    2025年06月25日
  • 蹴りたい背中

    購入済み

    むき出しの自意識

    オサーンになってしまうとリアルに感じることは難しいけど、たしかにこういう自意識のかたまりみたいな時期もあったような。
    思い出すとこそばゆい。
    このストーリーに反発を覚える人の気持ちもわかる気がする。

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    2013年12月04日
  • インストール

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    17歳のときに、漫画で読んだ。
    当時はただ女子高生と小学生がチャットで金稼ぎをしている印象しかもたなかった。

    大人になり、無性に読みたくなった。
    なにか見える世界が変わるのではないか?

    17歳という年は、ちょっと大人の世界に足を入れたくなるけど、少し怖い。
    でも子ども扱いはされたくない、なんとも中途半端な齢である。
    これから来るであろう大人の世界に足を入れるのは怖いけど、手で顔を覆って大人の世界を見ないふりをして、指と指との隙間から、こっそり知らない世界を見たくなる。

    大人になって「私も昔はこんなだったなぁ…」と思いださせてくれる。
    大人でもないけど大人に近い中途半端な齢で、大人と感じる

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    2013年11月24日