大江健三郎の作品一覧
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ユーザーレビュー
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大江健三郎は、芽むしり仔撃ち の頃のような若い時は、10代の自分には友達のささやきのようであった。それから、自分が20代のなって以降は大江健三郎は、遠くにいて会うことのないお父さんのようであった。わかる時もあればわからない時もあった。亡くなられたときは大きな光が静かに失われたようだったし、脱原発のこ
...続きを読むとを考えている友人はとても落胆していた。
この新書のなかでは、毎日毎日うつむいて という文章が何気なく良かった。私はほとんど希望を失い毎日毎日うつむいているが、政府の対応がこれだけ反・市民的なのでは、次の大集会にもでかけるほかはない。と。この感じが私の好きな大江健三郎。
ミランクンデラが文学表現の最終到達点としたla morale de l’essentiel 次の世代がこの世界にいきうることを妨害しない、という本質的なもののモラルこそがいま大切だということ、そのことに共感し原発全廃の運動に身を投じること。
。
本質的なもののモラルは軽々しくサステナビリティとかSDGsとかの言葉になって発するもので力あるものは舌をベーっと出して企みが増すばかりに思える今。
三・一一後、と鍵カッコつきで、大きな反原発集会では10数万の参加者がいたということが、今もなお希望であるのか絶望になっていくのか
と思いあぐねていたら、魯迅が引用されていて
希望は、もともとあるものとも、ないものとも言えない。それはまさに地上の路のようなものだ。本来、地上に路はなく、歩く人が増えれば、そこが路になるのである。
やはり会うことはないがそこにいて示唆するお父さんのような存在と久しぶりに感じた。
ヒカリさんの話もたくさんあり、伊丹十三やそのほか、小澤征爾。エドワードサイード大岡昇平。渡辺一夫、海老坂武、武満徹、佐多稲子、中野重治、巨星のような、同じ星の人とは思えないような賢人との交流、出会い、すれ違い、交わした会話や手紙のことが淡々と記されて、この本の紹介に、初めて大江作品に出会う人への誘いにもなっている、とあるが、ここから出会うのは相当に手強いのではとも思うが、一言でも出会うことで光がさすかもしれないからこの小文集からの出会いも羨ましいとも思う。
Posted by ブクログ
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以前1/3くらいで挫折。今回も1年くらいかかった。これまでのいきさつと作者の現状の説明と故郷の歴史とのない交ぜと、大江独特の硬質な文体に慣れるまでの「第一の手紙」が一番の難所。大きな歴史としての時間、家族の昔とその後、双子である主人公と妹の目を通して"現在"として移動する時間、と複層的な構造を往還し
...続きを読むながら着地点がわからないまま運ばれていく。小説何個分にもなりそうな登場人物やプロットがたいして掘り下げられもせず惜しげもなく投入される。なんか"けり"もつかないまま放り出されて終わるのも凄い。とにかく圧倒的。
Posted by ブクログ
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とても良かった。現実離れした内容かと思えば、その表現の仕方は嫌になる程リアルで生々しく、自分が体験したかのような錯覚に陥るとともに、自分が過去に経験した事と結びつき、その時の光景や匂いと共に滑らかな読後感を与えてくれました。
Posted by ブクログ
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大江の後期をいくつか読んできて、一番面白かった。変なエロとか暴力(殺人)がないのがいい。『水死』も最後にどちらも唐突に出てくるし。とはいうものの、そこはかとない"不穏"は一番かも。いままで作中で声を上げられなかった、書かれた女性陣からの反撃や若い世代との考え方の違い。違和のあるままにヘンにまとめよう
...続きを読むとせず、最後は祈りに似た詩で終わる。いつもは正確な文章がところどころで破綻してたり、ずっと硬い散文を書いてきたのにその最後の作品の締めくくりが詩だったり、、これは新しい境地なのか単なる衰えなのか。興味深い。
Posted by ブクログ
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まず驚いたのが大江健三郎が20代前半の時に書いた作品が多かったこと。
難しかったし、これだけの物を書いていたのに驚異的なものを感じた。
主に青年だけど女性も色んな性質の人が出てきたのが強く印象に残っている。
殆どの人たちは倒錯した性生活と自己欺瞞に苦しみ、苦い生活を送っている。
人間性、人間とはとい
...続きを読むう所を鋭利な目で見つめて抉るように表現されている。
これが20代前半!?
凄すぎる。
難しかったのでなんとも言い難いけど、とても良い本だと思う。
Posted by ブクログ
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