大江健三郎のレビュー一覧
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タイトルから受ける印象が読み終えたことで確定され、どうしようもない気持ちになる。やはり解説はとても良く、よくもこんな短い文章でこの本のエッセンスをまとめられるなと思う。ヴァルネラブルな魂、、
それにしても洪水のイメージを遡及的に、読み終えてタイトルを眺めてる時に実感したのでその瞬間の重さに一瞬耐えき...続きを読むPosted by ブクログ -
読後の衝撃たるや。それは深部に残り続けるだろうと思います。
友人の不可解な死に導かれ、夜明けの穴にうずくまる僕・根所蜜三郎。
地獄の憂悶を抱え、安保闘争で傷ついた弟の鷹四。
僕の妻・菜採子は、重度の精神障害児を出産してから、アルコールに溺れるようになった。
アメリカでの放浪を終えた鷹四が帰国したの...続きを読むPosted by ブクログ -
燃えあがる緑の木
三部作ということで長かったですが、本当に読んで良かった。
今年は大江健三郎を読み続けてきました。後期の作品はまだ1作も読んでいませんが、一旦ここで大江さんからは離れようと思います。
この作品を自分に落とし込むのに十分な時間が欲しいため、そして後述しますが、”勉強”による“集中”も行...続きを読むPosted by ブクログ -
【読もうと思った理由】
古井由吉氏を知ったきっかけが、平野啓一郎氏の「小説の読み方」と伊坂幸太郎氏の「小説の惑星 ノーザンブルーベリー編」だ。現在人気の作家二人が揃って、古井由吉氏を絶賛している。平野啓一郎氏は、小説家が尊敬する小説家と評価しているし、伊坂幸太郎氏は、完璧な小説を挙げるとすると、「先...続きを読むPosted by ブクログ -
2006年に行われ、テレビ放映もされた連続インタビューを再構成し編集・追補された「推敲された」インタビュー。尾崎氏が大江のことばを引き出す役に徹したことで、細密に描き込まれた作家・大江健三郎の自画像ができあがっている。文庫版には「後期の仕事」三部作を書きおえたあと、2013年の対話も収録されている...続きを読むPosted by ブクログ
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第一部に生き続き、イェーツの”Vacillation”という詩を原動力として物語の登場人物たちが活き活きと動き回るわけです。
しかし、第二部を経て、イェーツの独特なオカルティズム(神秘主義)から紡ぎ出されたこの詩が、徐々に僕の中で確かな質量を持ち始め、実際的になってきているのを感じます。
最終章でア...続きを読むPosted by ブクログ -
『懐かしい年への手紙』の続編です。
まだ三部作の第一部ですが、この一冊ですでに十二分の満足感がありました。
『懐かしい年への手紙』で試みられた「魂の救済」について、この物語の長さを利用して、更に深く追求しようとしています。
印象に残った2つのシーン。
ギー兄さんが信用を失い、町民からのリンチに...続きを読むPosted by ブクログ -
大江健三郎の最高傑作と評されていたので、温めて置いていましたが、現時点では個人的にもやはり最高傑作でした。読み終わってすぐ2周目を始めてしまったほどです。
重厚な構成、有機的で現実的なメタファー、極限状況からの脱出、魂の浄化。巧みな文章力に、自室で1人でため息を漏らしていました。
「魂の浄化」とい...続きを読むPosted by ブクログ