死者の奢り・飼育

死者の奢り・飼育

小説・文芸
737円 (税込)

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死体処理室の水槽に浮沈する死骸群に託した屈折ある抒情「死者の奢り」、療養所の厚い壁に閉じこめられた脊椎カリエスの少年たちの哀歌「他人の足」、黒人兵と寒村の子供たちとの無残な悲劇「飼育」、傍観者への嫌悪と侮蔑をこめた「人間の羊」など6編を収める。“閉ざされた壁のなかに生きている状態”を論理的な骨格と動的なうねりをもつ文体で描いた、芥川賞受賞当時の輝ける作品集。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    死者の奢り・飼育
  • タイトルID
    :
    250184
  • 電子版発売日
    :
    2014年03月14日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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死者の奢り・飼育 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    この人好きかも。他の作品読んでみよー。
    誰しもが持ったことある言い表し難い感情を本当に上手に文章にするよね。

    0
    2026年07月31日

    Posted by ブクログ

    どの短編でも自分が悪いわけではないが、不運にもなし崩し的に巻き込まれる厄介な出来事が主題になっていると思った。徒労に終わったり、解放されても後味の悪いこれらの話を読んで、読者は自身の日常の気まずい出来事に読み換え、想起するだろうと思う。
    「飼育」は、〈僕〉の通過儀礼の物語であると思った。
    捕虜となった黒人に感じる気安さは家畜やペットへの気安さと同義であったが、立てこもりによる黒人と〈僕〉の立場の逆転で〈僕〉の世界は崩壊し、まるで死んだ黒人の情念が乗り移ったかのように、〈僕〉は大人たちに脅え拒絶する。
    〈僕〉の掌を叩き潰したのは父の斧ではなく戦争だったのだと、大人になった〈僕〉は認めるのだろう。
    最も好みだったのは「死者の奢り」で、今まで読んだ短編作品全体の中でも最も面白かった作品の一つになった。冒頭が本当に秀逸で引き込まれた。
    人体が死を経て《物》となっていくこと。妊娠した女学生の語り。水槽にぎっしり詰まった死体。この短編ひとつで、社会全体を描いているような濃密さがあった。

    0
    2026年07月10日

    Posted by ブクログ

    ノーベル文学賞受賞作家の初期の短編し6作品を収録した一冊です。6作品の中からタイトルとなっている「死者の奢り」と「飼育」を紹介します。

    まず「死者の奢り」。

    主な登場人物は、「僕」「女子大生」「管理人」で名前は無し。従って、登場人物のパーソナリティや物語性ではなく、彼ら彼女らの言葉や行動に描かれる心象描写に、著者「大江健三郎」さんの主張が込められているのだと思いました。

    「僕」は文学部の学生で、「僕は希望を持っていない。毎日の生活に希望はいらない。子どものとき以外は希望を持って生きたことが無いし、その必要もなかった。」と、はっきり言いきるほど虚無的な思想を持った学生で、目的は分かりませんが、大学医学部の事務室でアルバイトに応募します。地下にある死体処理室の、アルコールで満たされた水槽に保存されている解剖用死体を新しい水槽に移し替える仕事でした。そのアルバイトには「女子学生」も応募していて、彼女は妊娠していて胎児を堕ろす手術費用を稼ぐために応募していたのでした。2人は、この死体処理室に30年間勤めている「管理人」の指示に従って、アルコールと遺体の異臭にまみれながら、アルバイトに従事します。

    「僕」はアルコール水槽の中に浮かんでいるたくさんの死体たちを見て、初めは、存在はしていても意識のない「物」あるいは単なる「物体」として考えていましたが、通常死体は火葬によって、「物」としても存在しなくなってしまうのに対して、アルコールの中に浮かぶ死体たちは、死んでも依然として、むしろ死を終わりではなく始まりとして、沈黙したままその存在感を残していることを強く感じ、生きていながらも希望もなく虚無的に毎日を過ごしている自分と、なんら変わらない存在であるように思われ、少しずつ気持ちを変化させているように感じられます。

    一方、「女子学生」は、自分のなかの胎児を葬ってしまうための手術費を稼ぐために、死体を処理するという作業の中で、足を滑らせて転倒し自身の身体の異常とともに流産の危機に瀕します。アルコールの水槽に浮かぶ死者たちの憤りとまではいいませんが、新たな命を葬るために死体の処理をするという行動への死者たちからの仕打ちかと、思わず考えてしまいました。

    「管理人」は30年間の実務経験で培われた技術を発揮しながら、何の感情もなく惰性的に淡々と作業を進めます。死体を「物」として扱い、何の意思も感情もなく存在しているという点では、死者と同じなのかもしれません。

    ところが、医学部教授会での正式な決定により、古い死体は全部火葬し、両方の水槽は清掃することになってしまい、「僕」たちの仕事は徒労に終わってしまうのでした。

    「僕」や「女子学生」が、その存在感によって気持ちを動かされた多くの死体が、火葬によりその存在すらも無に帰してしまうことになったわけですが、アルコールの水槽の中で存在し続けてきた死体たちが、無気力に惰性的に生きている自分たちと何も変わらないことに気づき、このままではいけないと考えあらためるところが、この作品のテーマであり、著者大江健三郎の当時の無気力な人間たちに対する訴えだったのだろうか、と思いました。


    そして「飼育」。

    戦時中のある夏、山奥の村に敵国アメリカ軍の爆撃機が墜落し、生き残った黒人兵が村人に捕らえられます。

    捕えられた黒人兵の扱いについて、村では町役場に問い合わせた結果、県の指示が来るまで、この物語の語り手である少年の家の地下倉で「飼う」ことになります。少年の父親の言葉をそのまま表現すると、「あいつらは獣同然だ」、だから「黒人兵を獣のように飼育する」ということになるのですが、現代社会では考えられない、当時の山奥の村に住む人々の感情が露骨に描かれていて、この考え方には不快感しか感じられませんでした。

    「飼育」という言葉の通り、村人は黒人兵を非人間的な扱いをしますが、村の子供たちとは次第に人間的な触れ合いを持つようになります。

    しかし、黒人兵の移送が決まると、身の危険を感じた黒人兵は、少年を人質にして地下倉に立て篭もります。少年を助けるため村人たちが黒人兵に襲いかかると、少年の父親は、黒人兵の頭上に鉈を振り下ろします。

    黒人兵は死に、少年は左手に深い傷を負いますが、この夏の出来事を通じて、少年は、仲が良くなったと思っていた黒人兵に裏切られたことに衝撃を受け、また危うく黒人兵とともに自分も殺されそうになった大人たちの対応に、もはや大人も信用でなくなります。「僕はもう子供ではない」という思いが強くなります。

    こんな山奥の村へはやって来ないと思っていた戦争が、突然この村にもやって来て、自分の左手に深い傷を負わせ、唐突な人の死に対しても慣れてしまったと、しみじみ少年が思うというこの小説の最後の描写は、前述の、敵国の黒人兵を「あいつらは獣同然だから、獣のように飼育する」とした村人の考え方と同じく、閉鎖的な山奥の小さな村をも容赦なく巻き込んでいく戦争の理不尽さを描いた作品であると思いました。

    0
    2026年03月13日

    Posted by ブクログ

    『飼育』大江健三郎の短編小説。芥川賞を取った作品です。この小説は文章、構成、筆致と流石の巧みぶり。
    23歳の天才。初期作品はみずみずしい。
     難点はセンテンスが長い。だが、このことで視点や焦点がぼやけないのが素晴らしい。他の作品にも挑戦してみたい。

    0
    2026年02月21日

    Posted by ブクログ

    閉塞感むきだしで、そのなかにある生身の人間関係。今日明日の生存に無駄なものを削ぎとったギリギリの状態の人間性。反戦のメッセージと偽善者に対する嫌悪感が私達を締め付ける。

    0
    2025年09月08日

    Posted by ブクログ

    初めて大江健三郎を読んだが、三島由紀夫の金閣寺を読んだときの感覚に近いものを感じた。

    「人間の羊」と「不意の啞」が特に良かった。両作品とも進駐軍をテーマにしたものだが、どうやってプロットを練ったのだろうか。まさか実体験ではないだろうし...

    また一人、作品を渉猟したい作家が増えた。

    0
    2025年05月31日

    Posted by ブクログ

    やっぱり大江健三郎はすごかった。

    かつて大江氏は、自分にわからない世界について、そのギャップを埋めてまで小説を書こうとは思わないし、自分があえて書く必要性も感じないというようなことを言っていた。
    本作に出てくる短編は、児童期が戦時中であった彼だからこそ書けた話であり、学生らしさを失っていない時代だからこその初々しさに溢れている。

    それにしても天才にしか考えつかないようなシチュエーションが設定されている話ばかりである。
    こんな設定、どうやって思いついたんだと舌を巻くような作品ばかりである。

    一方でアメリカ兵を否定的に描写している場面も多く、アメリカ人は大江氏の作品をどのように読むのだろうとかなり気になったりもした。

    大江氏の才能を感じることができる贅沢な一冊であった。

    0
    2025年05月10日

    Posted by ブクログ

    どれも読んでいると、生々しい感覚と気持ち悪い感覚が襲ってくる。

    何か凄いことを伝えようとしているのが分かる。
    だけど正直、抽象的すぎて政治的なメッセージや思想はあまり伝わってこなかった。

    個人的には人間の羊が分かりやすくて好き
    被害者にしか分からない葛藤や、被害者を取り巻く人々の気持ちが伝わってきて面白かった

    0
    2024年11月27日

    Posted by ブクログ

    ある日突然貸してくれた本。初めて一緒に働いた日に、私が伊丹十三の話をすると彼は大江健三郎を私に教えてくれた。マニュアルの端に急いでメモをとり、マニュアルに書くのはあんまよくないかってそのあと自分のメモ帳に書き写した。今もそれを使ってる。少し朽ちている。
    当時芥川賞を受賞したときの年齢が23歳。それぐらいの年齢の子たちと今暮らしてる。朝椅子に座って、夜ソファに転がって、同じ空気を吸いながら読んでた。海で読んだら気持ちいいだろうなって港へも連れて行った。読みたがっている女の子がいたけれど、彼女は借りずに帰った。
    彼に読んだことを伝えると急に人が死ぬでしょって笑ってた。本を貸してくれたことをどれだけの人に自慢しちゃったかな。初めて読んだ彼の本。

    0
    2024年11月02日

    Posted by ブクログ

    義父の本棚にあったので何気なく手に取ってみた
    人間が複数存在する状況において否応なく発生する緊張感や暗黙の了解についての、解像度や描写力がバケモンすぎる…

    0
    2024年08月04日

死者の奢り・飼育 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    死者の奢り・飼育
  • タイトルID
    :
    250184
  • 電子版発売日
    :
    2014年03月14日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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