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文学とはなにか,文学をどのようにつくるか,文学をどのように受けとめるか,生きて行く上で文学をどのように力にするか――本書はこれから積極的に小説や詩を読み,あるいは書こうとする若い人のための文学入門である.著者は文学の方法的・原理的な問題について考えを進めながら,作家としての生の「最後の小説」の構想を語る.
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Posted by ブクログ
非常に為になったと思う。じっくりと、非常に時間をかけて読み取って多くのことを読み取った。 これから自分が一人の読み手/書き手としてどのような姿勢を持つべきなのか、どのようなものに着手するべきなのか、それを具体的に明示してくれていた。しかも、その内容が、示し方が、非常に納得の行くものであった。論理的に...続きを読む説き伏せられるのではない、感覚として実感を与えてくれるような言葉の力があったように感じる。 異化するということ、そして想像力と言うこと...文学の中核を為す概念について、今まで自分がいかに無頓着であったかを初めて認識させられた。一冊一冊と、一人一人と、もっと真摯に向き合っていきたい。
非常に難しい内容が多い本でした。 しかしながら僕が「期待した地平」以上のものが確かにあった気がします。 改めて、大江健三郎さんは頭が良いのだな、と思いました。 また、「小説」を読むことの重要性を改めて感じました。
P.213 子供じみたいい方と受けとめられるかもしれないが、希望か絶望か、と問われる際には、僕はとりあえず希望の側に立ち、人間の威厳を信じる側に立つ。 P.216 想像力とは弦にあたえられているイメージ、固定しているイメージを根本から作りかえる能力である。
文章が分かりやすく、とても読みやすい。 「想像力」とは何かを定義する章は特に興味深く、新鮮だった。
文学作品を読むための方法について、著者がみずからの創作体験を踏まえながら考察をおこなっている本です。 著者は、文学について「客観的な尺度」が存在するという考えが、たちまち裏切られるものであることを知りながらも、「小説を書きながら、あるいは小説を読みながら……ある客観的な尺度による批評、しかも自分と...続きを読むしてそれを喜び、心から同意できる批評ということを夢想しないものがいるだろうか」と語ります。そこには、「客観的な尺度」を求める個の態度が、文学をつくり出す、あるいは文学を読み解くという試みにつながり、それを共同の場へもたらしたあと、ふたたび個の作業へと帰っていくというプロセスを後押ししているという著者の考えが示されています。 本書では、ロシア・フォルマリズムの批評家たちによって提唱された「異化」の概念や、文化人類学者の山口昌男がさかんに喧伝したことで知られる「道化」の概念、神話学やユング心理学における女性像や、バフチンのカーニバル論などを紹介し、それらの概念が文学作品をつくり出し、あるいは文学作品を読み解くさいの想像力の働きにどのような影響をあたえるのかといったことが論じられます。 さらに著者は、本書の冒頭でミラン・クンデラのことばを引用することで、文学によって賦活される想像力がもっているはずの可能性について示唆しており、文学の可能性をより広い領域へと開こうとする志向が示されているようにも感じられました。
現代の文学理論が非常に平易に解説されている良書。 理論関係はいろいろ読んだけど、いまいちまだ頭の中で整理がつかない、という方にオススメ。
文学を読み書くための本。 全体として自分にとっては難解であった。 ただ、日常で使っている言葉を、 いかに小説や詩において特別な意味を持たせるか、 そこまではいかなくとも特定の効果を働かせるか、 という異化の章はなるほど!と思った。
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