ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
2pt
かつてチャイルド・ポルノ疑惑を招いて消えた映画企画があった。それから30年、小説家の私は、その仲間と美しき国際派女優に再会。そして、ポオの詩篇に息づく永遠の少女アナベル・リイへの憧れを、再度の映画制作に託そうと決意するのだが。破天荒な目論見へ突き進む「おかしな老人」たちを描く、不敵なる大江版「ロリータ」。『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』改題。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
摑まされた クライストの『ミヒャエル・コールハース』は読んでおいた方が楽しめる。 なにが起ったのかわからない冒頭から、時間軸がさかのぼって説明するスタイル。その謎の提示の仕方は好きだ。 中期のもっとも晦渋な文体の時期は逸して、すなほな文章だった。
この世界の美しさ!青年、壮年、老年と印象的なあるフィルムのヒロインを巡る話なのだがこの女性が主役、というよりは私(古義人)のみた世界の話。 それぞれのシーンのうつくしさに読んでいてはっとなる。 老いて行くロリータ でてくるのは老人ばかりなのに妙に耽美 唐突に終わるのがまたリアルで不気味
ポーのアナベルリーを原文で読み終えた後で、再読。登場人物の鮮やかなキャラクター設定にため息は出たが、前半は時間の移動もあってやや退屈気味。中間部、サクラさんの体温が上がり始めてからはこちらも一気に読み終えた。人が年をとる、ということを考えさせられた。
アナベル・リイの夏目訳が読みたくて気になる。”ろうたし”がきいてる。それから強烈な甘い思い出。追体験してみたくもなる。 誰しも心の中に”アナベル・リイ”なり”ロリータ”なるファム・ファタールがいるものだろう。彼女はわすれられない思い出をまとって、甘い甘い魅力をふりまきながらふてぶてしくどうどうとして...続きを読むいる。クライマックスの鮮烈さに思春期の圧倒的な影響力と、目の前という今の力の恐ろしさを感じた。すごく面白かった!
物語は、現在、70代になった作者が、大学時代の級友、木守に再会する場面から始まります。 そこから、二人が30年前に、とある映画を撮影する企画を通して再会し、また疎遠になっていく過程が回想されます。 国際的に映画のプロデューサーをしていた木守は、計画中の映画のシナリオを書かないか、と、級友だった作者...続きを読むを訪ねて来ます。その時、木守が連れて来た、海外で活躍する日本人女優のサクラさんは、作者が高校生の頃に故郷で偶然観た、プライベートに作られた映画、『アナベル・リイ』に登場した少女でした。 今回作られようとしている映画は、原作が外国のものですが、それを日本の農民一揆に置き換えようという事になり、そこで、作者の故郷で実際に起こった一揆を下敷きにすべく、色々と取材を始めます。 そこから更に、その農民一揆で要となった女性、メイスケさんの母に関するサクラさんの解釈等も加わり、どんどんと進んで行く「M計画」。 しかし、『アナベル・リイ』に隠された謎や、今回の映画に関わったカメラマンへのある犯罪疑惑等、暗い影が次々と落ちてきます。 そして遂に、「M計画」は中止へと追い込まれます。 更に、そのタイミングで、未だ悪夢に悩まされ続けるサクラさんに、完全版『アナベル・リイ』を見せた木守は、作者に陋劣だと罵られ、二人の仲は決裂します。 そんな出来事を経ての、30年後の再会。 それぞれ皆、老いてしまったけれど、映画の撮影は、再び進み始めるのでした。
【本の内容】 かつてチャイルド・ポルノ疑惑を招いて消えた映画企画があった。 それから30年、小説家の私は、その仲間と美しき国際派女優に再会。 そして、ポオの詩篇に息づく永遠の少女アナベル・リイへの憧れを、再度の映画制作に託そうと決意するのだが。 破天荒な目論見へ突き進む「おかしな老人」たちを描...続きを読むく、不敵なる大江版「ロリータ」。 [ 目次 ] [ POP ] 長く小説を書いてきた作家である「私」、少女の頃「アナベル・リイ」という8ミリ映画に撮られ、今は国際派女優のサクラさん、新しい映画のプロデュースをする大学時代の同級生……幾重にも時間が重なり、四国の森で起きた一揆の記憶が読み返される。 単行本からは改題された。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
クライストの小説「ミヒャエル・コールハースの運命」を映画化するという 国際的なプロジェクトの一端に シナリオライターとして参加することになった語り手は 「万延元年のフットボール」に書ききれなかった民衆蜂起のエネルギーを その映画で再現しようともくろむ しかし、企画は思わぬところで頓挫した 集められた...続きを読む子役のフィルムと、それを撮影したカメラマンに 児童ポルノ制作の疑いがかけられたのである 主演女優のサクラ・オギ・マガーシャックなる人物は 幼い頃、戦争で焼け出されてひとりぼっちだったところを アメリカ人将校に引き取られ 後にはその将校との結婚に至ったという過去を持っている 彼女自身は、そんな人生を幸福なものだったと考えているけれど しかし映画の中では、女性の自立を叫ばずにいられない そしてなぜか夜毎の悪夢にうなされている 高校時代の語り手は かつて松山市の堀端にあったとされるアメリカ文化センターにおいて 後に映画監督となり、義兄となる年長の友人とともに 幼いサクラさんの出演するフィルムを見ていた ポーの「アナベル・リイ」を題材とした美しい映像であったが それにはおぞましい秘密が隠されていたのだった
この作品から新しい大江の文体が披露された。アナベル・リィの詩句を巡る着想、意識的な文体の改変に纏わる話、そして女性が中心となって物語世界をドライブさせていく。ここに来て新しい大江を見ることができるなんて!次作「水死」で見事な結実を生む脈動に溢れた作品。
これまでおよそ時系列で大江健三郎の著作を読んできましたが、ピンチランナー調書辺りから主題と言うか、小説を書く目的みたいなものが少しずつ変わってきている気がします。 前期は人間の虚飾や欺瞞や、ありとあらゆる醜い部分を徹底的にほじくっていますが、後期は虚飾や欺瞞をバイパスに、その先にあるものを書こうと...続きを読むしている様です。 私は作家としての大江健三郎自身に強い思い入れはなく、単純に作品のみを好んでいます。従って好みの問題で言えば、前期の方が圧倒的に好きです。だいたい作者が30代以前の作品が特に。 ただし若いころの作品は、若かったから書けたんじゃないかとも思います。 大江氏の場合、負の部分をほじくるなんて自分をずたずたにするようなものでしょう。そんなことを続けていたら、とっくに人間壊れてしまいますよ。 そこをうまくシフトして、ずっと日本の文学に関わり続けてきたのは日本のノーベル文学賞作家として誇るべきことだと思います。 もともと脆かったサリンジャーはすぐにトンズラしたくらいですから。 現在76歳の大江氏ですが、あとどれだけ書けるんでしょう。長生きして欲しいな。 なんかつらつら書いてますけど、本作に関しては健三郎もサクラさんも木守もなんだかバラバラでした。 三者三様の、沈殿した薄暗い気持ちをちゃんと描いていないように思います。だから微妙な濁度の上澄み部分だけ見せられたような、中途半端な気持ちになってしまいました。 11.05.26
大江氏の作品としては標準的。やや消化不良?やはり長編が読みたくなる。 これを読む前に、「人生の親戚」を読んでおくことで、この変奏を楽しめるはず。 にしても、単行本時の「臈たしアナベル•リイ 総毛立ちつ身まかりつ」という秀逸なタイトルが変更されてしまったのはなぜたろうか?
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
美しいアナベル・リイ
新刊情報をお知らせします。
大江健三郎
フォロー機能について
「新潮文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
あいまいな日本の私
試し読み
新しい人よ眼ざめよ
新しい文学のために
言い難き嘆きもて
「井上ひさし」を読む 人生を肯定するまなざし
晩年様式集
憂い顔の童子
M/Tと森のフシギの物語
「大江健三郎」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲美しいアナベル・リイ ページトップヘ