無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
硬派なファンタジー
解説では、文化人類学やら神話学やらという小難しいことが書かれていますが、それはこの本の文体の難解さの所以でしょう(でもクセになるんですよねぇ)。
この本以降の大江文学を読んでも、「死と再生」についてはより深く書かれることはあっても、神話についてはこの本より詳しく書かれたものはありません。そういう意味では、この本を読めば、大抵の「大江ワールド」には難なく入ることができます。
文体は難解ですが、大江さんがおっしゃっていたように、「百年の孤独」を意識されて書かれたこの作品は、多分にラテン文学的なファンタジー要素を含みます。この作品を読んで、大江さんの生まれ故郷を訪ねた人は、きっと私だけではないでしょう。ある意味、今の異世界系のラノベの先駆けともいえる作品。おすすめです。
Posted by ブクログ
超大作にあっぱれを送りたい、ここ最近読んだなかで一番良かったです
理解するのに時間がかかる構造ゆえ前半は忍耐が必要だけど、中盤以降は著者の編みだす圧倒的なスケールの世界観を前に、ただただ屈服w
最初は聖書や神話、幕末期の歴史を絡めて何かを見出そうとしてたけど、結局(読み終わった今も)よく分からなかった笑
だけど理解できたと思ったら興味なくしてしまう私からすれば、この本は咀嚼してもし尽くすことができないスルメのような味
そういった言語化したいけどできない感情をとりあえず脇に置いとくとすれば、ただただ自然にかえりたい!という人間の本能に近い部分を刺激された体験だった。別に田舎出身でもないけど。
『ツバサ・クロニクル』とともに
大江さんが2023年3月3日に亡くなられ、
13日の今日その発表がありました。
もっとお言葉をお聞きしたかったのですが。
『洪水はわが魂に及び』の子のように
繰り返しが特徴。太字の「壊す人」など。
日本の中の双子の国家、双子の妹への手紙、
天体学者の、アポ爺、ぺリ爺も双子。
妹はモンローのパロディか米大統領と関係。
日露戦争相手国ロシアの血。
この国、貿易(?)までしてる。
歯痛とか悪臭とかペインティングとか、
感覚的にわかりやすく刺さってきますね。
社畜の方が息をついたろうキャバレーとか
そんな俗悪なものと神話の巨人が併記され、
聴覚で村人を誘導、家族シャッフル、
惨殺もあっさりと書かれ、おおらかで残酷、
アハハアハハで人生ってそんなもの?
アニメ『ツバサ・クロニクル』も
「同時代ゲーム」的。異世界、異時代。
シャオラン君には双子の陰のもう一人?
印象的な一節:冒頭から74%、第五の
手紙の2。原生林の夜明け前、筆者に
ツユトメサンが幾千万年と幾千万年の
暗闇の間でパッと燃える、つまり、
生きていることの方が不思議だと言い、
筆者が反論するところ。
Posted by ブクログ
ある集落を追放された人々が、四国の山奥に小国家を創造した。外来者どうしの両親から生まれた「僕」が、双生児の妹へと向けて書簡の形式でしたためた、《村=国家=小宇宙》の神話と歴史のすべて。
どの語がどの語にかかっているのかわかりづらい、英文を逐語訳したような独特の文章で綴られる、現代におけるあまたのエピソード。そのそれぞれが僕の記憶と結びついて《村=国家=小宇宙》の神話や歴史を語らせる……
つまりは日本の中にあるもう一つの小国家の創建以降の伝承を語った物語。その意味で小説内において一つの国家を造りあげるような試みを作者は行なっている。それだけでも、まずはこの厖大な想像力に敬服する。
また、場所・時間が複雑に交差し合うエピソード群を読み終えたのち見えてくる、歴史のパースペクティブが無意味なものとなるような《村=国家=小宇宙》の超越的な有り様は、新鮮な読書体験を提供してくれるだろう。
Posted by ブクログ
難物です。本人が全部書いてまた第一章を書き直したというくらいなので、最初から生真面目に読むとそこでもう挫折しそうです(笑)。けれどこれは、全部読み終えたときのその独創性、重量感たるや類をみないものです。初期大江作品が必ずといっていいほど書評にあがるのに対して、この頃以後はあまり語られませんが、万延元年と折り返して向い側にあるような作品ではないかと。大江作品の中では傑作の1つだと信じております。この不可思議で民俗的な世界は、作品の通り、まるで遡行していく旅でもあります。脳髄に。全部読むと第一章に戻りたくなるんですが、ほんっとに最初でかなりの人が挫折するかと思う手強さなもんで(笑)
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。