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硬派なファンタジー
解説では、文化人類学やら神話学やらという小難しいことが書かれていますが、それはこの本の文体の難解さの所以でしょう(でもクセになるんですよねぇ)。
この本以降の大江文学を読んでも、「死と再生」についてはより深く書かれることはあっても、神話についてはこの本より詳しく書かれたものはありません。そういう意味では、この本を読めば、大抵の「大江ワールド」には難なく入ることができます。
文体は難解ですが、大江さんがおっしゃっていたように、「百年の孤独」を意識されて書かれたこの作品は、多分にラテン文学的なファンタジー要素を含みます。この作品を読んで、大江さんの生まれ故郷を訪ねた人は、きっと私だけでは