あらすじ
わが子が頭部に異常をそなえて生れてきたと知らされて、アフリカへの冒険旅行を夢みていた鳥(バード)は、深甚な恐怖感に囚われた。嬰児の死を願って火見子と性の逸楽に耽ける背徳と絶望の日々……。狂気の淵に瀕した現代人に、再生の希望はあるのか? 暗澹たる地獄廻りの果てに自らの運命を引き受けるに至った青年の魂の遍歴を描破して、大江文学の新展開を告知した記念碑的な書下ろし長編。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
バードがしっかり責任を果たしてくれてよかった。自らの行動や状態を捉えることは大切であり、バードのそれを7分で見抜くゲイすげえと思った。でも確かにゲイってそこら辺鋭いイメージある。この認識って昭和からあったのか?
自分の手で赤ちゃんを殺すか、それとも受け入れるか、その2択のみが責任を果たすということであり、そして責任を果たすのは自分自身のためというのが印象深い。もし自分だったら浅はかに赤ちゃんのためだとかいってしまいそう。
不気味で陰湿な表現が上手だなと感じた。バードが赤ちゃんと同じ仕草をし始める所とかすごくキモかった。
Posted by ブクログ
障害を持った子が産まれてくるという状況で、自身の感情と世界での倫理に挟まれるとても苦しい状況。その中で葛藤や矛盾を繰り返す心理描写が本当に現実的であり、感動した。最後は倫理を優先するが、それは結局、社会からの圧力に敗北するしかなかったのではないか。私は、簡単にハッピーエンドだとは捉えられなかった。それを含めて非常にリアルな作品だった。
Posted by ブクログ
大江健三郎自身がモデルであることは本人は否定しているが、やはり主人公と近い境遇の人間にしか書けない物語なのは間違いない。
独特な文体で今時の読みやすい文に慣れると最初は戸惑うが没入感が強い。
シナリオとしては裏表紙のあらすじがすべてだし、今後主人公に待ち受ける苦難を考えるとほんの入り口でしかない物語なのだが、ページを捲っているだけの自分にも無視できない影を落とす読書体験だった。
忍耐かあ……
Posted by ブクログ
障害をもって生まれた息子が早く死んでくれることを願いながら、行けなくなったアフリカ旅行に思いを馳せ、酒と女友達とのセックスに溺れる退廃的、背徳的な日々を過ごす男の話。
なんなんだこの本は。ただただ呆然とする。
なぜか主人公の鳥に入れ込んでしまい、ときたま自己嫌悪に陥る自己の気持ち悪い感情、やべえ感情が全てさらけだされたような気分。なんなんだこれは。
倫理など無視した地獄のような葛藤。それが自分の中に巻き起こるかもしれないという恐怖。
この本と一生向き合って生き続けることになるだろう。
Posted by ブクログ
読書経験を揺るがした小説を挙げろと言われたら、真っ先に大江健三郎『個人的な体験』と村上春樹『海辺のカフカ』の名を答えると思う
村上春樹は大江健三郎から影響受けてるのだろうか?書き方や作品の雰囲気が似ていると思ったら、大江健三郎自身も自分のことを「20世紀の作家」、村上春樹のことを「21世紀の作家」と称して交流があったみたい
Posted by ブクログ
面白かったです。
描かれたことのない場所を精緻に描いている小説だった。
最後、大江健三郎がアスタリスク後のこだわりを語ってるところも良かった。
Posted by ブクログ
産まれてきた息子が異常を持っているという未だかつて経験したことのない現実に27歳の「大人」が直面するとどうなるか?という内容の小説。
一言で言うとずっと面白い。
ほんの数日間の出来事が描かれているにも関わらず、一才が緊迫したシーンで埋め尽くされている、恐ろしい長編。
予想できない展開、ユーモア、メタファー、回想シーンへの導入、魅力溢れるキャラ、アフォリズム、官能的な文体。
挙げたら切りが無いが、どれを取ってもピカイチ。
無限に味わい深い。
前から読んでみたかった大江健三郎さんの作品。初めてページ数を見た時には存外短いなと思いましたが、実際に読んでみたらページ数から想像する10倍は重たく、濃い内容の作品でした。面白い、などと形容していい作品ではないですが、出産や障害、仕事といったリアルな側と、憧れの外国の地や光の差さない愛人の部屋での逢瀬といった非現実な側の対比が美しく、長く心に残りそうな作品だと思いました。読んでよかったです。
Posted by ブクログ
素晴らしかった。
読み終わった後のなんともいえない余韻。これだから読書はやめられない。
作者によるとこれは青春小説ということだが、なるほど、テーマは大変なことだが、青年が悩み、葛藤し、迷い、経験し、蘇生し、決断する。
まさにこれは青春小説か。
主人公をバードと一貫して、表現したり、独特の病み付きになる表現の文体は、驚愕する。
一気に読んでしまった。
後半急に心変わりする感じて急転直下するが、バードは最初からこうしたかったんじゃないか。
ラストのアスタリスク以降の文はいらないんじゃないかと、いろいろ批判があるようだが、自分はいいと思う。
Posted by ブクログ
大江健三郎が後書きでこの小説を「青春の小説」だと言っていた。書いている時はバードを青春とは切り離した存在としていたようだった。しかし、自分の子供のことで悩み、堕落し、逃げようとしながらも最後は自分のために子供を受け入れていこうとする姿はまさに青春だった。どんな国際問題よりも自分の子供をめぐる家庭の問題の方が重くのしかかっているので、他のことに対して落ち着いて超然としていられるのは当たり前とバードは考えていた。だからと言って自分のような体験をしていない人が、自分を羨望する理由はないだろう。と言うところがなんとも苦しい。やはり、どこまでも個人的な体験であり、他者とは共有できないものだった。
最後、火見子とアフリカに行かない現実がありながらも、二人でアフリカに行くという世界がどこかにあるという考えは切なくもちょっと夢があっていいなと思った。
Posted by ブクログ
主人公“鳥(バード)”は脳ヘルニア(実はそうではなかったが)をもって生まれた嬰児の存在に苦しめられる。嬰児を直接手にかけることも、受容して育てていくこともできない。鳥は恥と欺瞞の混沌に落ち込んでいく。
最後数ページの、混沌から脱出した後のシーンについて、発表当時、世間からは必要でないと批評されることもあったそう。個人的には、それまでのページで読んでいるこちらまで混沌に呑まれつつあったので、あのシーンは私をも救済してくれた。
相変わらず、メモしてしまうほどの巧みな比喩表現
や、息を呑む生々しい描写が目立った。
「ああ、あの赤んぼうは、いま能率的にコンベアシステムの嬰児殺戮工場に収容されて穏やかに衰弱死しつつあるわけね、それは、よかったですね!」
Posted by ブクログ
素晴らしかった。
小説を読んだ後に呆然となるあの感覚に久しぶりに襲われた。その感覚にしばらく呆然と身を浸していた。
読んでいてとても苦しかった。
主人公の異形の赤ん坊に対する心の動き、つまり直接は手を下さず彼を死に追いやろうとすることへの渇望と恐怖と欺瞞とに苦しめられている様子が克明に描かれすぎていて、とてもつらかった。
だから最後のバーでのくだりは圧巻だった。
「赤んぼうの怪物から逃げだすかわりに、正面から立ちむかう欺瞞なしの方法は、自分の手で直接に縊り殺すか、あるいはかれをひきうけて育ててゆくかの、ふたつしかない。始めからわかっていたことだが、ぼくはそれを認める勇気に欠けていたんだ」
「それはぼく自身のためだ。ぼくが逃げまわりつづける男であることを止めるためだ」
ああこの言葉をようやく聞けた時私は読者として本当に何かにうたれる思いで、心が震えた。
理由が赤んぼうのためではなく自分のためであることはとても重要だと思う。葛藤は一貫して自分との闘いとして描かれており、なのに最後の最後に赤んぼうのためなどと言い出したらそれこそ欺瞞、偽善だと思うから。
それから火見子の乳房の描写が自分のに似ていてとても好き。セックスの後に健やかに眠りにつく描写も。
Posted by ブクログ
鳥が世界中でただ1人、彼の身に降りかかる異常児を巡る運命と信じる悲惨に、人間が元来備えるニヒルで利己的な心情を当人の堕落と衰退にのせて壮大に描いた作品。
自身にとって、前身だろうが後退だろうが、自分を取り囲む欺瞞の罠を掻い潜り、解放しながら受け止めて対処することが生きるということ。
鳥が見舞われていた異常児の問題は、周りの他人たちが共有している時間や運命からは完全に孤立した「個人的な体験」であった。
だからこそ、自身が受け止めて対処することが重要。
「個人的な体験」に情人である火見子が自ら参入し、共通の体験として解決に精進するのは、感慨深かった。
また、突発的に「脆い」という概念の素晴らしさにも気づいた。
今にも崩壊しそうだが、自らの姿形を保つために重力に抗う性質がこの言葉には含まれている。
脆いとは、力に抗う反骨心。脆いとは、攻撃され続けても、それでも尚、立ち続ける反逆精神。
Posted by ブクログ
若々しいオーケンの漲るパワーが籠った一作。
結末の纏め方は賛否あり、作者本人も葛藤があったとコメントしているが、それを差し引いても当時の文学作品の中ではインパクトと熱量で抜けている作品だと感じる。
Posted by ブクログ
あまりにも考えられない病院側の反応に困惑したことから始まりました。嫌な現実から逃げようとする主人公。それを受け入れる関係をもった女性。しかし主人公は前向きに変わっていった。
スワヒリ語のくだりと、沢蟹を探す熊みたいなんて感じの表現が好き。
Posted by ブクログ
4.2/5.0
頭部に異常を持って生まれてきた息子に対して、現実を見つめる事が出来ずに、現実から逃れようとする男。現実から遠く離れたアフリカを夢見て、不倫と性に溺れるその姿が鮮明に描かれていて、その葛藤が苦しい。
最後は現実を受け入れ、対峙することを選択するが、実際に息子を葬り去る一歩手前まで傾いており、その選択がいかに酷なことであったかが窺える。
文学として、厳しい現実に対する逃避と対峙の葛藤模様の緻密さが面白かった。
Posted by ブクログ
数年前、引越しの際に持っていく本を選別した。千冊ほどの中から百冊ほどに絞った。その選考基準は、再読するかどうか、あるいは再読したいと思うかを基準とした“再読指数”によるものだった。その基準を突破した本の中に、大江健三郎の作品があった。中古で買ったものばかりだった。
「飼育」を読んだことがあったが、よく分からず、冷たくて薄暗い空間で過ごした時間のような感覚だけが残った。ただなんとなく、いつか読むような気がして、数冊の積読本を持ってきた。そして最初に読んだのが「性的人間」だった。
表題作のほかに「セブンティーン」「共同生活」が収められている。読み始めはなかなか文章を捉えられず、集中が途切れたが、数ページ読み進むにつれ思わず「ノーベル賞作家、すごいな!」と口にした。
続けざまに大江健三郎の作品を読もうと思ったが、贔屓的な感情が生まれるかもしれないと思い、別の作家の作品を間に挟みつつ読み進めた。次に読んだのが「人生の親戚」。これは間違いなく素晴らしい作品だった。好きな作家である村上春樹と通じるものを感じた。そしてまた別の作家を挟んでから、三冊目として「個人的な体験」を読んだ。
読み終えて、沢山のメモを見返しても、完走など書けない。いや… 感想を書ける話ではない。
あくまでも"個人的な"なのです。
Posted by ブクログ
脳瘤がある息子と向き合えず、アルコールとセックスに溺れて現実逃避する男という、まあ近現代文学あるあるな内容にそっか〜なんて思いながら読んでたんだけど終盤に全部持ってかれて今割りと呆然としている。
こういうストーリーで近現代といったらめっちゃ辛いラストになっちゃうんだろうなとか疑った私が大馬鹿だった。
ウルトラハッピーエンディングを掴み取って譲らない大江健三郎が凄すぎてちょっと泣いてしまった。
これ、本当に1960年代に書かれた小説なのか??????????
正直読んでてうげえってなるところもあるのは確かだが(現実逃避をする男のために尻の穴まで捧げちゃう女友達が本当にわからない。どういうこと?????)、ラストで全部報われた。
障害者が大量に殺害される現実を生きているからこそ、余計に揺さぶられるものがあった。
ラストに関して大批判してる奴大多数なんだけどマジでうるせえ〜〜〜〜!!!!!!!と声を大にして言いたい。
作品の質を高めるために弱者(この作品でいうと脳瘤を持った息子)を殺さないから良いんだろうが!?!?!?!?!?!?!?!?
Wikipediaに書いてある三島由紀夫の評論とか読んだけど意味がわからなさすぎて逆に笑った。ウルトラハッピーエンディングの!!!!!どこが悪いんだよ!!!!!!!!!!!!!!
Posted by ブクログ
この作者の作品を初めて読んだが、村上春樹の作品に近い印象を受けた。物語の流れや内容というより、文章の上手さや美しさが素晴らしいと思った。生まれた主人公の息子の頭に異常があったという話。ダラダラと最後まで話が進んでいくかと思ったが、最終盤に展開があって良かった。
Posted by ブクログ
鳥(ばーど)の成長(といっていいのだろうか)の記録みたいな小説。登場人物である鳥は大江自身だと思われるが、あとがきによると小説内で共通しているのは障害をもった赤ん坊を持ったという点のみだそうだ。正直なところ初期作品のような緊張感のあるじめっとした感じの筆致が重苦しい。
なにより不憫なのは火見子じゃないかと思う。p.291では火見子の後ろ姿を見て最良の教育を受けたがそれを生かせず子供を持ちそうにない彼女に憐憫を感じたとあるが、そう思ってもこの時点で鳥は彼女を利用し自分のために行動していた。最終的には鳥は父親として子供の人生を請け負うと決めたが、その時の彼女の心境は…。彼女の救いはどこにあるだろうかと考えてしまった。
自選短編の中期のような作風のほうが個人的には好みです。作家自身の転換期となったこの作品(そして障害児をもつ子供を授かったということも)は読んでおきたい、そういう思いでこの小説を読んだ。
Posted by ブクログ
大江健三郎の2冊目。昭和39年8月に出版されたこの小説の20代後半の主人公と大江とは合い重なる設定。大江の子供「光」も脳瘤によって知的障害者として生きている。新潮文庫の巻末には大江が昭和56年1月に書いた一文が置かれている。その中で小説の終幕への三島由紀夫などの批判に対して、「経験による鳥(バード)の変化・成長を表現するという、最初の構想をまもりたかった」と記している。20代の大江が突っ伏して動けなくなるほど困惑していた子供を抱えた父親としての姿は、大江自身の言葉のように「青春」そのものを切り取っていると感じた。これから読み進めていこうと思っている大江の作品が楽しみになってきた。
Posted by ブクログ
子どもが産まれる前の「自分の生活が変わってしまう」という不安、障害があるってわかってからの「道徳的には育てるべきだが育てられる自信がない」という葛藤が、非常に巧みに言語化されている。自分がすでに子持ちだから、共感できる部分は大いにあった。
子どもが産まれるのはすばらしいことだけれども、障害の有無に関わらず、子育ては綺麗事ばかりではない。鳥の現実からの逃げ方はまさにクズと言える所業。しかし、自分にも通ずる部分があると考えさせられた。
Posted by ブクログ
鳥は邪魔者だと思っていた赤んぼうを最終的には受容し自らに父親としての責任を感じるが話はそんなに簡単なのか?
私は常に子供から逃避していた人間が最後にケロッと父親とならねばならないと、この赤んぼうと生きねばならないと思えるようになるとは素直に納得できない。本当にその責任を感じられる人間とは、赤んぼうを目の前にその将来への暗さや不安をなんとかして受け止めようと試みた人間ではなかろうか。赤んぼうから離れ、情人と逢瀬を重ねている人間より、一度その子供の首に手をかけてしまうほど絶望した人間の方がまだ救済の希望は大きい。自分の子供を殺そうと思った人間は、鳥言うように、引き受けるか殺すかの境地に至っているのだから。
一方鳥といえば、赤んぼうとほとんど一緒にいることがない。彼はどれほどまじまじとその瘤を、その赤んぼうを見ただろうか。私は鳥があの境地へとあまりにも容易に至ったように思えた。
また、不良少年グループの存在も必然性を感じなかった。
Posted by ブクログ
終わり方が自然で、ああ、実際こうなるんだろうなあ、と納得感のある最後だった。
ただ、自己中心的なバードの行動には苛々するし、女友達の厄介さといったらない。一方で内面の描写が非常に飾らなくて人間らしく共感してしまう部分があるので、彼を真っ向から責められない自分にも呆れるという始末。
優れた作品で面白いが、読後感は清々しくないので気力のある時に読んでほしい。
Posted by ブクログ
鳥(バード)という男の 個人的体験についての物語
妊娠 そして 出産
27歳四ヶ月 生まれたのは 脳ヘルニアの赤ん坊だった。
飼育される バード
檻の中で アフリカに行くことのみが 願い。バードの希望。
なぜ飼育されるようになったのか?
誰に飼育されているのか?
大学院の中退 アルコールの飲み過ぎによる。
自由なバードからの変化 義父、義母、妻に 飼育された。
火見子とバードの奇妙なつながり。
赤ん坊が死ぬことへの熱望
火見子との共同作業。殺すことへの共同策謀。
ソビエトの核実験とのかかわり合い。
結果として 脳ヘルニアの子供を たとえ 植物的な存在になろうとも
命を大切にしようとする意志とアフリカを捨て、この現実に生きようとする決意をもつ。
それは もはや バードでなくなる過程である。
結末は ハッピイエンド。
バードの過程のなかで 火見子の役割は。
菊比古との過去と現在は?
どのような意味をバードに持つのか?
社会とバードの乖離。いかなる交渉を持つのか?
Posted by ブクログ
難解すぎた
時代を考えると、直接的な表現を避けられた比喩が多出している、言論として規制のようなものがあったのだろうかと感じる
ストーリーはバードが子供の障害に対して、どう向き合うかといったところで、妻ではない女と寝たり酒浸りになったり、アフリカに思いを馳せたりと、今書かれると受け入れられない表現が多かった
面白いかはわからなかったが、葛藤ということを表現するとこういうことなのかとなんとなく感じた
Posted by ブクログ
いやー難しかったけど引き込まれた。比喩表現の多彩さ、引き出しの多さが半端じゃない。
重厚感のある文章。
よく読み切れた。
病院の人々が官僚的という説明があったが、本当に酷く冷たい印象だった。意地悪というか。
特異な形で生まれた赤子を馬鹿にしている風で嫌悪感が生まれた。
鳥(バード)の現実逃避が極端で、かつ堕落しすぎていて、ずっとモヤモヤしていた。
ただ、自分の自由への意志と病気のまま生まれてくる赤子というジレンマに酷く苦しんだのだろうと思う。
Posted by ブクログ
同じモチーフを保有し、同時期に発表された姉妹作として『空の怪物アグイー』があるけれど、個人的にはそちらの方が面白い文章が多くて好み。こちらはより実験作という方が相応しいように現在進行形で思考を連ねていくスリリングさがある。けれどその分、大江健三郎という作家のトレードマークのようなあの緻密でソリッドでハードな文章からは離れた幾分隙のある古臭い文章にも感じた。
Posted by ブクログ
大江健三郎の小説を読むのは初めてなのだけど、想像してたのと随分 違っていた。とても独特で 比喩が多く なんとも言えない不思議な世界観。読むのにすごく時間がかかった。世界観が独特すぎて。悪くはないのだけども、大江健三郎ってこんな感じなんや…ということが知れてよかった。