大江健三郎のレビュー一覧

  • 見るまえに跳べ
    見る前に飛んだ人も何人もいたかもしれない。
    自分では、見てからしか飛ぶことはできないかもしれないと思った。

    大江健三郎の小説は沢山読んだ気がするが、タイトルを覚えているのは、これを含めて数冊かもしれません。ごめんなさい。
  • 性的人間
    これが初めて読んだ大江だったのですが、そんなに読みにくいと感じることもなく読みました。いろんな意味で衝撃。60年代の若者も迷走してたんですね。「セヴンティーン」は痛いです。軍服着て風俗行く十七歳…。
  • 新しい文学のために
    文章が分かりやすく、とても読みやすい。

    「想像力」とは何かを定義する章は特に興味深く、新鮮だった。
  • 見るまえに跳べ
    「上機嫌」だけは読むのが苦痛だったけど、他の短編はどれも素晴らしかった。特に「動物倉庫」なんかまで行くともはやコミカルと言っても良いくらいで、その上大江健三郎の典型というような内容を同時に保っている。作品の内容について今更語るのも馬鹿馬鹿しいのでやめておくが、大江健三郎の入門書としてオススメしたい。
  • 万延元年のフットボール
    カラマーゾフ読み終わってから毎日ベローチェに通ってます。
    気持の入った読書の時間じゃないと、とっつきにくかったかもしれないなと思いました。僕には難解なところも多かった。

    「期待」のない主人公がアメリカから帰ってくる弟、その親衛隊、障害を持った子供を産んだ妻とともに「草の家」「新しい生活」を見つける...続きを読む
  • 万延元年のフットボール
    大江健三郎の文は最初で引き込まれる。特に哲学めいたことが好きな人にはたまらない。
    ただ、入り口が分からないと全く入れない。
    入るとたまらない。
    文に頭が焼かれる。

    なんで、この作品はあまり文庫なんかでも出版が少ないんだろうと思わされる。
    こんなに迷作なのに。

    ただ、大江健三郎は駄作もある。
    特に...続きを読む
  • 芽むしり仔撃ち
    世界で一番好きな作品。何度読んでも自分が経験したことのない時代、場所、興奮に出会うことができる。完璧に世界をパッキングした作品。ぜひ読むべき。
  • 万延元年のフットボール
    私のアイデンティティというものについて、自分なりに消化できたところが、あったような気がする。ちゃんと読書感想文を書きたい。

    ・「恥」のコミュニティに生きる人々の内面と行動について
    ・蜜三朗の心持ちと連動するかのような、文体
    ・はたから見ると宙ぶらりんのようで、でも主人公にとっては確実な、ラストの一...続きを読む
  • 万延元年のフットボール
    ノーベル文学賞を受賞した作家の作品とはどのような作品なのかということに関心をもって本書を読んでみた。話の序盤では、苦渋に満ちた登場人物たちが四国の村を目指すシーンがあり、そこでは軽快ささえ感じられる。しかしクライマックスはあまりにも衝撃的なものだった。難解な文章をくぐり抜けこれほどまでに印象深い結末...続きを読む
  • 万延元年のフットボール
    大江健三郎の代表作といってもいい作品。村上春樹の本を読んでいた自分が、この本を読むことで、一気に大江の大ファンになった。裏表紙には、上手いこと書いてあるが、内容は極めて、下品さと道徳の崩壊を記してある。この本も、実存主義の本であり、鷹が死ぬとき、猛烈なクライマックスを迎える。音が実際に響いてくるよう...続きを読む
  • 万延元年のフットボール
    これほど読み切るのに膨大なエネルギーを費やした作品はなかった。いい意味でも、悪い意味でも。

    ただ強大なパワーを秘めた小説であるのは確か。一生忘れられないと思う。
    ノーベル賞は伊達じゃない!

    ちなみに文体構造の難解さは、わざとやっているらしいですね。
  • 美しいアナベル・リイ
    この世界の美しさ!青年、壮年、老年と印象的なあるフィルムのヒロインを巡る話なのだがこの女性が主役、というよりは私(古義人)のみた世界の話。
    それぞれのシーンのうつくしさに読んでいてはっとなる。
    老いて行くロリータ
    でてくるのは老人ばかりなのに妙に耽美
    唐突に終わるのがまたリアルで不気味
  • 万延元年のフットボール
    多用される比喩と物語の重層性が非常に難解な印象を与え、読者を限定させると思われがちだが、そういう方は初期作品から読み進めるとよい。作者と主人公、日本近代という歴史の青年期のしめくくりを記した小説を私自身のそのしめくくりに読み終えたことを幸福に思う。熱い期待を込めて脱出した場所から、再び根所を降ろすそ...続きを読む
  • 万延元年のフットボール
    ジャンル:NTR・近親相姦

    村の一員として贖罪羊になることを望んだ兄と、残された兄妹たちの歴史
    「人は一人では生きられない」という当たり前の言葉の裏にあるグロテスクさ

    地理に関する描写が読む手を止める
  • さようなら、私の本よ!
    僕はこれまでずっと大江健三郎を誤解してきてしまったようだな、と。今年は大江健三郎を読み進めて行きたいなぁ、という気になった。面白かったなぁ。何だ、この話の入れ子構造というか、私小説とフィクションとさらにさらにっていうこの感じ。すごい新鮮。小島信夫をよりスマートにしたような感じといえばそんな感じか。い...続きを読む
  • 性的人間
    思春期に一回読んで成人して一回読んで社会人になってから一回よんでその後毎年6月くらいに読むべきだと思う
  • 燃えあがる緑の木―第一部 「救い主」が殴られるまで―
    僕にとっては『万延元年のフットボール』以来のがっちり四国の森が舞台の小説。三部作なのでまだ2冊もあるのだと思うと楽しみでしょうがない。今この小説をはじめて読むことが出来る自分の読書歴(の欠落)に感謝。
  • 燃えあがる緑の木―第三部 大いなる日に―
    それぞれがそれぞれの場所で存在しない何かを信じて『集中』する。でもその強さはどこからやってくるのだろうと思う。たくさんの人と一緒に目に見えるものを信じた方がずっと楽だから。でもボクはいやだけど。
  • 万延元年のフットボール
    読めば読むほど「こんな人たちと一緒にいたくない・・・」って思います。みんなそれなりに思いやりがあるくせに、わざと自分や他人を傷つける言い方をネッチネチと・・・・・・ほんま私なら即、拳が飛び出しそうです。
    とは言え、そこが自己欺瞞や虚飾から目を逸らさない徹底した表現方法だと思います。他人と衝突するって...続きを読む
  • 日常生活の冒険
    「洪水は我が魂に及び」と同じく、最後でぐわっと持ってかれました。
    冒険なんて言ってイキがってフラフラして、本当にどうしようもない、他人を「自己欺瞞のかたまりだ」なんて非難しておいて実は自分もそう。
    そんな犀吉からどうしても離れられない主人公。
    どんどん自滅していく犀吉。
    転がり落ちるように日常生活が...続きを読む