大江健三郎のレビュー一覧

  • M/Tと森のフシギの物語

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    まつろわぬ人・大江健三郎が
    地元に語り継がれてきたとされる(ホントかな?)伝承を
    モデルとして書いた小説作品
    具体的な地名は伏せられていたり変更されていたりして
    いちおう創作のスタンスを保っているが
    もろもろから察するに
    宇和島藩の城下町を追放となったならず者たちが
    宇和海賊の娘から船を借り
    佐田岬半島を迂回して肱川河口からさかのぼっていって
    新天地を発見するといった筋書きだろう
    ならず者のリーダーは「壊す人」と呼ばれ
    神がかり的な力を発揮する
    また
    村の創建者たちが「故郷でありふれた人生を送っている自分」を
    夢に見ながら消滅するというエピソードには
    アナザーワールドの可能性も感じられるのだっ

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    2015年11月30日
  • 大江健三郎自選短篇

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    もうお腹いっぱい。
    大江健三郎さんの短編が23編収録されています。
    文庫で840ページだから、まるでレンガみたいな厚さ。
    デビュー作「奇妙な仕事」から「空の怪物アグイー」まで初期短篇8編は愉しむことができました。
    緊密な文体で独特の緊張感が漂っていて、読む方も気が抜けません。
    芥川賞受賞作の「飼育」も好きですが、私は「セブンティーン」に結構な衝撃を受けました。
    正視に耐えないグロテスクな心情と鬱屈を抱え、学校に居場所のない17歳の「おれ」が、右翼の大物に認められたことで急速に右傾化していく様子を描いた作品です。
    これは今、「ネトウヨ」と呼ばれる人たちにも重なるのではないかと思いました。
    右翼的

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    2023年03月14日
  • 宙返り(上)

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    ネタバレ

    "上下巻合わせての感想です。

    ある少年(育男)と少女(踊り子(ダンサー))が、奇妙で劇的な出会いをする場面から始まる。その場に居合わせた国際的に活動する画家木津と、少年と少女の3人が15年後に再会し、踊り子(ダンサー)がある教団の指導者(師匠(パトロン)と案内人(ガイド))の住み込みの秘書をしていたことから、木津と育男はその教団に関わることになる。その教団は、十年前、急進派による無差別テロ計画の実行を阻止するために、師匠(パトロン)がテレビで「すべては冗談でした」と棄教を宣言し、活動を停止していた。案内人(ガイド)が元急進派に殺されたことから、物語は教団の活動再開へと急展開する。。

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    2015年09月30日
  • 日常生活の冒険

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    大江版オンザロード。奔放で破滅的で魅力的な友人。モラリストに憧れます。

    自分を知るためにはモラリストである必要があるのかと思ったり、文学的であることとはモラリストであることなのかと思ったりしました。

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    2015年09月26日
  • 万延元年のフットボール

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    日本文学に疎いため、恥ずかしながら初めて読む大江作品。出だしから重く、暗く、救いのない状況の主人公。アメリカから帰った弟たちと、実家の売却のために久しく帰らなかった郷里の部落を訪れる。そこで見聞したのはさらに忌まわしい歴史と現状。そうしたおどろおどろしい村社会の人間関係をどこか他人事のように眺める主人公と、そこに深く関わり万延元年の一揆を再現しようとする弟。その時代性なのか、なんともやりきれない重苦しさが苦々しく残る。作者は何を伝えたかったのか、真意が分からぬままに読み終えた。今は読むべき時ではなかったのかもしれない。

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    2015年06月15日
  • 芽むしり仔撃ち

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    若さの中にある鬱屈さを、
    独特の文体で表現しているのが、
    厭なようでいて癖になる。

    若いゆえの苦しみというか、
    やるせなさ、無力感、大人に対する意地みたいなのが
    主人公から感じ取れた。

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    2015年04月08日
  • あいまいな日本の私

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    大きく括り、文学、語学、戦争、政治、家族、日本の事などがまとめられている。
    彼のようにすべての日本人とすべての人間が、時代の流れと事柄(教訓、精神などを含め)を文学やその他の媒体を使い理解しようとするならば、良いことだしこの本を理解できるのだろうが、多くの人間が生まれ、死ぬまでに見るものはやはりその人間の時代だけで手一杯なだろうなと思う。
    私は冷めた人間なので、今の時代の者が誤ちを繰り返すのならそれはそれで良い。日本の、各々の国の美しさや精神、魂というものを理解せず共有しないのならばそれで良い。自業自得なのだから。

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    2015年03月09日
  • 性的人間

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     大江健三郎著。詩を書くために痴漢を行う少年と性倒錯した主人公達「性的人間」、劣等感の塊である少年が右翼思想に目覚める「セヴンティーン」、部屋で謎の猿達との生活を送る「共同生活」の三篇収録。
     性的人間:前半の乱交をする人物達の話はさほどインパクトがなかったが、後半の痴漢の話はすさまじいものがあった。そもそも詩と痴漢が結びつくことが驚きだし、それを深く見つめて実存的問題にまで繋ぎ、振り切るようなエネルギーでラストシーンを描いている。痴漢について、単に表面的なグロテスクな部分だけでなく、哲学的に描けるのは大江健三郎だけだろう。長編小説を読んだような密度だった。
     セヴンティーン:まず、大江健三郎

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    2014年11月16日
  • 性的人間

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    ネタバレ

    【本の内容】
    青年の性の渇望と行動を大胆に描いて波紋を投じた「性的人間」、政治少年の行動と心理を描いた「セヴンティーン」など問題作3編。

    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    2014年11月06日
  • 大江健三郎自選短篇

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    ・大江健三郎「大江健三郎自選短篇」(岩波文庫)を 読んだ。帯に「全収録作品に加筆修訂が施された大江短篇の最終形」とある。本書収録の23編に関しては、以前の「全作品」や「全集」ではなく、これが最終形、もしかしたら定本になるといふことであらう。それを意識して読んだと書いたところで、私にはそれ以前との違ひなど分かりやうはずがない。ただ、かうして初期から最近の作品まで通して読むと、大江の変貌の具合と文体の推移、つまり読みにくくなつていく過程がよく分かる。私が大江を読み始めた時、既にかなりの作品が文庫になつてゐた。それらは初期の作品であつたはずだが、それゆゑにそんなに読みにくいとは思はなかつた。もちろん

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    2014年10月19日
  • 取り替え子

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    以前に読んだ「水死」の前の時代の小説だ。「水死」を読んでよく分からなかった人物背景もよく分かった。義兄の塙吾良が、伊丹十三をモデルにしているというのも途中で気づいてからより面白くなってきた。そういえば、愛媛の「伊丹十三記念館」に行ったことを思い出した。そう考えると、いろいろなことがつながってくるのだ。

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    2014年08月30日
  • 万延元年のフットボール

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     1967年発表、大江健三郎著。友人が死んだ主人公、アメリカから帰ってくる弟、障害児を生んだ主人公の妻。彼らは故郷である四国の村へ向かう。そこで弟の主導の元、スーパーへの略奪が起こり、万延元年の一揆をなぞるように、村全体を巻き込んだ暴動が始まる。
     今まで読んだ著者の作品の中で一番面白かった。思想や人間心理や土着的な知識が混然となっていて、何だかラテンアメリカ小説に似た熱を感じる。
     著者が本小説の前に書いた「個人的な体験」では少し荒さが目立った気がしたが(特にご都合主義的なラストシーン)、この小説ではそういった欠点がしっかり取り除かれている。序盤は確かに少し退屈だが、ストーリーが村に行き着く

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    2014年07月21日
  • われらの時代

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    遅く生まれてしまった世代の苦悩、鬱屈、閉塞感が伝わってくる。
    そこから抜け出したいのに抜け出せず絶望する。
    兄弟二人は抜け出せそうになったのに結局抜け出せず絶望する。
    時代が変わっても同じような苦悩がある気がする。

    読んでて気持ちのいい内容じゃないのに、
    ページをめくる手が止まらなかった。
    特に後半の展開は圧倒的だった。

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    2014年07月15日
  • われらの時代

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    大江健三郎って下手にノーベル賞取ってしまったから何やかんや言われるけど、初期の作品の衝動というかみずみずしさというのは素晴らしい。これは現在進行形で若者である人間にしか書けないだろうし、個人的な体験に並ぶ傑作だと思う。

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    2014年04月30日
  • ヒロシマ・ノート

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    最初の2章くらいが面白くなくて、“これがそんなに話題作か~”って感じで匙を投げかけたけど、そこでぐっとこらえて読み進めると、後半になるにつれてより入れ込める感じになってきた。原爆のことを考える機会も久しぶりに持てた気がするし、そういう意味でも意義深い時間を過ごせました。

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    2014年02月18日
  • 空の怪物アグイー

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     大江健三郎、著。精神病院から逃げ出した患者を探して町をさまよう「不満足」、新興宗教団体から脅される記者の心理的葛藤「スパルタ教育」、寝たきりの老人に現代社会は明るいと嘘をつくアルバイト「敬老週間」、原爆被害者の孤児を引き取った男の真意「アトミック・エイジの守護神」、生まれたばかりの障害児を殺した男が憑りつかれた赤ん坊の妄想「空の怪物アグイー」、突如消えた森林の奥の集落「ブラジル風ポルトガル語」、非行少年が住む世界「犬の世界」の七つの短編を収録。
     長編「個人的な体験」や「万延元年のフットボール」を書く過渡期の短編集らしく、初期の作風から抜け出そうという工夫が感じられた。特に「敬老週間」「アト

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    2014年01月29日
  • 見るまえに跳べ

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    話の筋がある。読んでいてとても緊張感があった。そのうえ、なにかしらのテーマがある。そしてなにより粘っこい文体。おそろしい。

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    2014年01月03日
  • 人生の親戚

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    大江健三郎さんらしからぬ面白さだ。まり恵さんは「本当の回心」出来たのだろうか?熱望しても叶わなかっただろう。ヤッテも・ヤラなむてもたいしたちがいはない。まり恵さんが瀬戸内寂聴とダブッて凄まじい。

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    2013年10月26日
  • 叫び声

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    ネタバレ

    僕(主人公)という人間が大学生のころに出会った4人の物語。僕、ダリウス・セルベゾフというアメリカ人、虎、呉鷹男が共同の目的の元、一つの屋根の下で生活を共にする。ダリウスが造船中である友人たち号(レ・ザミ)というヨットで外国に行く話を持ちかけた。3人は同意する。それぞれの思いのもとレ・ザミに思いを馳せる。そうした中、様々な出来事が起こり4人の考え、行動、態度、環境にも変化が訪れる。そういったストーリー。言葉のユーモア、人物描写の鮮やかさがこの本には溢れている。

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    2013年06月23日
  • あいまいな日本の私

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    1990年代に日本人とは何かについて考え、それを絞り出すように言葉を選び、発信していった講演がまとめられた良書。2014年の今でも著者の主張は錆びていないと思う。まだ私には経験が浅く、著者の主張を受け止めきれていない部分があるが、年を取り経験を積み読み返すことでまた新たな発見が得られると思う。

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    2013年04月22日