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Posted by ブクログ
うわぁぁぁーーーーーっ!
確かに、しっかりと、その「叫び声」を聞いた・・・。
「人間みなが遅すぎる救助をまちこがれている恐怖の時代には、誰かひとり遥かな救いをもとめて叫び声をあげる時、それを聞く者はみな、その叫び声が自分自身の声でなかったかと、わが耳を疑う」(ジャン=ポール・サルトル)
生臭さと、鋭利さと、ざらつきが一度に迫ってくるような、そんな小説。
エロスとグロテスクとタナトスに彩られ、眉をひそめるような嫌な感覚がびしびし伝わってくるのだが、それがまた生々しくて、小説の状況とは裏腹に活き活きとしていて、とても面白かった。青春群像劇特有の疾走感も良かったのかもしれない。
サルトルの言葉からイマジネーションを受けた大江は、社会から疎外された、僕、呉鷹男、虎の若者3人とダリウス・セルベゾフとの奇妙な同居生活、そして、彼ら共通の夢、レ・ザミ号での航海を目標とするところから端を発して、それぞれが声なき「叫び声」を発するにいたるまでの人間模様を鮮烈に描いている。
希望を打ち砕かれ、閉塞感が漂いながら、しかし、孤立な生き方しかできない若者たち。社会は決して受け入れてくれず、また、社会に馴染もうとせず、最後の居場所として集った若者たち。若者時代に感じたこうした何かを少しでも思い出せれば、彼らの叫び声はまさに真に迫ってくるものとして感じられるだろう。
大江の創作した若者たちはかなり極端である。そして、性的な色を放ち過ぎている。しかし、だからこそ僕らは矮小な自分として、こうした感覚が呼び醒まされてくるのだ。
大江の放つ「言葉」はみずみずしくも研ぎ澄まされている。1960年代という時代に対して、大江自身の「叫び声」として真っ向から対峙し、勝負した作品であったのではないだろうか。
Posted by ブクログ
僕が思う良い小説ってのは実は読むのがどれだけ苦しかったかってことに起因しているかもしれない。
この『叫び声』はまさに僕が思うそれ的な小説だということが出来る。(今回は電子辞書が手放せない位生きていく中で聞くことの無い響きの言葉が頻出していてそういう面でも苦しんだ;; 純文学度が高いってこと?)
自分の核をどれだけ深く下げて生きていくかが、精一杯生きるってことなのかなとも思った。ずっとどうにか追いかけてきたんだけど呉鷹男の第四章怪物で完全においてかれてしまった。
僕が一番好きな小説家、伊坂幸太郎さんが影響を受けた本ということで何度かあげていたので読みたいと思っていた。
確かに影響を受けているなと感じた。特に、伊坂さんの中で一番僕が好きな『砂漠』はまさに伊坂版『叫び声』だなと気付いた。(全く違うけれど雰囲気や設定が?)
誰もが一度は経験する《黄金の青春の時》を経て、絶望的に帰ることの出来ない現状を嘆く。奇抜な仲間に対して一歩引いた主人公の立ち位置から見た青春模様。はぁ。
読んでいる期間は(読んでいる以外の時間でも)溜め息が止まらなかった。むなしい・・・ 何が言いたいのか分からない僕もまた、むなしい・・・
(2008.08.09)
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