国内小説 - 講談社 - 講談社文芸文庫の検索結果

  • 旅愁(上)

    旅愁

    小説・文芸
    4.0
    1~2巻1,672~1,771円 (税込)
    近代日本人の生き方を根源から問いなおす恋愛思想小説。日本伝統主義者の矢代耕一郎と、対照的にヨーロッパの合理的精神に心酔する久慈、2人が心惹かれるカソリックの宇佐美千鶴子らが織りなす鮮烈微妙な恋愛心理の綾。東洋と西洋、信仰と科学、歴史と民族の根の感情等、横光利一が苦闘した生涯の思索の全てを人物に投影させつつパリ、東京を主舞台に展開させた畢生の大作。(全2冊)
  • 半島

    半島

    小説・文芸
    5.0
    1巻2,299円 (税込)
    勤めていた大学に辞表を出し、寂れた島に仮初の棲み処を求めた迫村。月を愛でながら己の影と対話し、南方から流れついた女と愛し合い、地下へ降りて思いがけぬ光景を目にし、現実とも虚構ともつかぬ時間が過ぎていく。この自由も、再生も、幻なのか? 耽美と迷宮的悦楽に満ちた傑作長篇。読売文学賞受賞作。
  • 錨のない船 上

    錨のない船

    小説・文芸
    -
    1~2巻1,881円 (税込)
    1941年、アメリカの厳しい経済制裁で資源確保が困難化、進退窮まる日本。武力解決を訴える勢力の圧迫を受けつつも、ワシントンに飛んだ来島平三郎特命全権大使は、妻の故郷アメリカとの開戦回避の道を懸命に模索していた。だが、ルーズヴェルト大統領、ハル国務長官を相手の交渉は難航、だましうちのように真珠湾攻撃が敢行されてしまう――。戦争に翻弄される外交官一家の肖像をつぶさに描く傑作長篇。
  • 新しい人よ眼ざめよ

    新しい人よ眼ざめよ

    小説・文芸
    4.3
    1巻1,672円 (税込)
    神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩(プロフェシー)に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の<再生>を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。
  • さようなら、ギャングたち

    さようなら、ギャングたち

    小説・文芸
    4.1
    1巻1,463円 (税込)
    詩人の「わたし」と恋人の「S・B(ソング・ブック)」と猫の「ヘンリー4世」が営む超現実的な愛の生活を独創的な文体で描く。発表時、吉本隆明が「現在までのところポップ文学の最高の作品だと思う。村上春樹があり糸井重里があり、村上龍があり、それ以前には筒井康隆があり栗本薫がありというような優れた達成が無意識に踏まえられてはじめて出てきたものだ」と絶賛した高橋源一郎のデビュー作。
  • 哀歌

    哀歌

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,353円 (税込)
    肉体の恐怖の前には精神など全く意味を失ってしまう。臆病に生き臆病に埋もれて、自分がどんなに卑怯なのか、どんなに弱いのか、たっぷり承知している――弱者。弱者を凝視して聖書とキリストの意味を追究し、「沈黙」への展開を示唆した注目すべき短篇集。人間の深層によどむ(哀しみの歌)を表題に据え、「その前日」「四十歳の男」「大部屋」「雲仙」など12篇を収める。
  • 雨の音

    雨の音

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,430円 (税込)
    初期の代表作「色ざんげ」、中期の代表作「おはん」など、数多い名作を生み続けた女性作家・宇野千代の、「ひとを愛しつくす女」を生き抜いた、激しく、美しい自伝小説の世界。名作「雨の音」、秀作「この白粉入れ」ほかを収録した、名作ばかりの中短篇集。
  • 或る一人の女の話/刺す

    或る一人の女の話/刺す

    小説・文芸
    -
    1巻1,353円 (税込)
    他の介入を許さず気儘に生きた〈放蕩無頼〉の人生。雪の上で夥しい血を吐き、狂い死した父は、娘に〈真っとう〉に生きろと教えた。しかし娘は、父の道をなぞるように更に鮮烈に生きた。70を越した女が、この世に生れ過した不思議を恬淡と語りかける「或る一人の女の話」。「刺す」を併録。自伝的傑作2篇。
  • 恋ごころ 里見弴短篇集

    恋ごころ 里見弴短篇集

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,265円 (税込)
    14歳の夏休みに、養家の盛岡を訪れ、そこで知った親戚の少女に淡い恋心を抱いた思い出を語る表題作。家を出て、大阪での芸者との恋愛・結婚の経緯を清新に描いた「妻を買う経験」等、自伝とフィクションを綯い交ぜに、流暢な文体と精妙な会話で、人の心の機微を巧みに描いた名作5篇を収録。明治、大正、昭和の文芸界を悠々と生き抜いた「馬鹿正直」で「一徹」で「涙脆い」、白樺派最後の文士・里見弴の真骨頂。 人の生の営みの機微を描いた心温まる短篇集――“最後の文士”里見は、94歳の最期まで現役作家として活躍した。抒情的で穏やかな、哀愁を帯びた感動を与える私小説の世界。読売文学賞受賞の表題作他6篇。
  • 初舞台・彼岸花 里見弴作品選

    初舞台・彼岸花 里見弴作品選

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,100円 (税込)
    娘の自立していく姿に思い悩む、旧制高校同窓の男達の友情を追った表題作「彼岸花」、女主人の嘘が許せず自らの片腕を切り落とす「銀二郎の片腕」、上官の夫人を伴った戦地からの引揚げの悲惨な旅の中で育つ奇妙な愛情を描く「みごとな醜聞」等、初期から戦後作まで8篇を精選。巧みな会話運びで人情の機微をとらえ、「名人芸」と声価の高い、里見弴の人間観察の妙趣を味わう名作集。
  • 石の聲 完全版

    石の聲 完全版

    小説・文芸
    5.0
    1巻2,189円 (税込)
    芥川賞受賞後、苦しみながら構想した大長編『石の聲』。没後発表され、単行本として刊行された第一章、その後新たに見つかった第二章と第三章の一部、『石の聲』執筆の苦心と意気込みが伝わる編集者への書簡、作家になる前に綴った胸を打つエッセイ、作家からの追悼文を収録した、オリジナル決定版。
  • 一個 秋その他

    一個 秋その他

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,089円 (税込)
    野間文芸賞、芸術院賞両賞受賞の短篇集『一個その他』から、世評高い作品集『カレンダーの余白』『青梅雨その他』『雀の卵その他』、そして川端賞受賞の『秋その他』に至る短篇の名手・永井龍男。その晩年の短篇集の中から、「一個」「蜜柑」「杉林そのほか」「冬の日」「青梅雨」「雀の卵」そして名品中の名品「秋」など14篇の短篇の冴えを集成。
  • 動物の葬禮・はつむかし 富岡多惠子自選短篇集

    動物の葬禮・はつむかし 富岡多惠子自選短篇集

    小説・文芸
    -
    1巻1,155円 (税込)
    二十代に詩を書き始め、三十代で「うた」と訣れ小説家に。生まれ育った大阪の言葉がもつ軽妙さと批評性を武器に、家族、愛、性の幻想から「人間という生き物」を解き放ちつつ現代文学の尖端でラジカルな表現を続ける。孤独な青年の死を周囲のドタバタ騒ぎに映して鮮やかに浮き彫りにする「動物の葬禮」、親を殺し子を捨てる男の衝動を実存の闇として描く「末黒野」など、著者自選の九篇。
  • 紋章

    紋章

    小説・文芸
    -
    1巻1,111円 (税込)
    自意識の分裂に悩み戸惑う知識人の久内と、狂気のような熱情をこめて醸造技術の発明に没頭する一途な男雁金。ふたりの対照的な成り行きに、近代の合理的な人間認識と"日本精神というもの"との相剋を見る。漱石、芥川以来の「西欧的近代と向き合う人間」というテーマを内包しつつ、"第四人称"の「私」という独自のスタイルで物語る。晩年の『旅愁』へと向う前の著者中頃の代表的長篇小説。
  • 往復書簡 『遠くからの声』『言葉の兆し』

    往復書簡 『遠くからの声』『言葉の兆し』

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,881円 (税込)
    1997年から1999年、オスロ・仙台と東京間で交わされた、『遠くからの声』。東日本大震災直後の喪失感の中で文学・人生・世紀末に思いを巡らせた『言葉の兆し』。
  • 浦島草

    浦島草

    小説・文芸
    -
    1巻1,870円 (税込)
    広島で被爆した女性が、庭先に浦島草の咲く東京の家でひっそりと暮らす。そこへ11年ぶりにアメリカ留学から主人公の雪枝が帰って来る。後を追う恋人のマーレック。女性には雪枝の兄・森人との間に、自閉症の息子・黎がいた。多くの人物が広島の滅びの光景を引きずり、物語が進む。人間の無限の欲望と、その破滅を予感する作家が、女たちの眼を通して創出した、壮大で残酷な詩的小説世界。
  • 万延元年のフットボール

    万延元年のフットボール

    小説・文芸
    4.3
    1巻1,716円 (税込)
    友人の死に導かれ夜明けの穴にうずくまる僕。地獄を所有し、安保闘争で傷ついた鷹四。障害児を出産した菜採子。苦渋に満ちた登場人物たちが、四国の谷間の村をさして軽快に出発した。万延元年の村の一揆をなぞるように、神話の森に暴動が起る。幕末から現代につなぐ民衆の心をみごとに形象化し、戦後世代の切実な体験と希求を結実させた画期的長篇。谷崎賞受賞。
  • 「私小説」を読む

    「私小説」を読む

    小説・文芸
    -
    1巻1,672円 (税込)
    志賀直哉、藤枝静男、安岡章太郎を貫く「私小説」の系譜。だが、著者はここで日本文学の一分野を改めて顕揚したり、再定義を下したりはしない。本書は、我々が無意識・無前提に受け入れている「読みの不自由さ」から離れ、ひたすら、いまここにある言葉を読むこと、「作品」の表層にある言葉の群との戯れを通じ、一瞬ごとの現在を生きようとする試みなのである。「読むこと」の深見と凄みを示す、文芸批評の名著。
  • 書物の解体学

    書物の解体学

    小説・文芸
    -
    1巻1,771円 (税込)
    欧米を代表する文学者思想家に批評の直感で挑んだ画期的作家論集! バタイユ、ブランショ、ジュネ、ロートレアモン、ミシェル・レリス、ヘンリー・ミラー、バシュラール、ヘルダーリン、ユング――現代の世界に多大な影響を与えた欧米の作家・詩人・思想家9人の著作は、翻訳を通じて、どこまで読み解くことが可能なのか。批評家としての経験のみを手がかりに、文字通り縦横無尽に論じた画期的作家論集。
  • 坂口安吾と中上健次

    坂口安吾と中上健次

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    闘う知性が読み解く、事件としての安吾と中上――日本の怠惰な知性の伝統の中で、「事件」として登場した坂口安吾と中上健次。二人は、近代文学の根源へ遡行しつつ、「自然主義」と「物語」の止揚を目指す。安吾は、自らを突き放すような他者性に文学の「ふるさと」を見出し、中上は、構造に還元することなく、歴史の現在性としての「路地」と格闘する。闘う知性としての安吾と中上を論じた、74年から95年までの批評を集成した、伊藤整文学賞受賞作。 ◎「文学」とは、どんな秩序にも属さず、たえず枠組を破ってしまう荒ぶる魂であった。文学をやっている人がすべてそうなのではない。むしろその反対である。文学という枠組を吹き飛ばすようなもの、それが「文学」だった。私と中上は文壇において暴風雨のような存在であった。そして、われわれがともに敬愛していたのが坂口安吾である。(中略)私は安吾を高く評価していた。しかし、小説家としてではない。私にとって、彼の作品は、哲学であり、歴史学であり、心理学あり……、それらすべてをふくむ何か、要するに、「文学」であった。<「著者から読者へ」より>
  • 濁った激流にかかる橋

    濁った激流にかかる橋

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    激流によって分断された町の右岸と左岸。それをつなぐ唯一の異形の橋。かつての小川は氾濫をくり返し、川幅は百倍にもなり、唯一の橋は拡張に拡張を重ね、その全貌を把握できぬほどの複雑怪奇さを示す。そして右岸と左岸にはまったく気質の異なる人々が住む。この寓話的世界の不思議な住民たちの語る9つの物語。諧謔的かつ魔術的なリアリズムで現代の増殖する都市の構造を剔抉した読売文学賞受賞作。
  • 諷詠十二月

    諷詠十二月

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,562円 (税込)
    「この書は詩歌の理解に熱心な、あるいは熱心ならんと欲せらるる、比較的年少の初学の読者を聴者として、著者の素懐を仮りに題を設けて説かんと企てたもの……」。昭和17年9月、太平洋戦争のさなかに書下された本書は、万葉から西行、子規、晶子の短歌、菅原道真、新井白石、頼山陽の漢詩、芭蕉、蕪村、虚子の句、朔太郎、犀星の詩等々、秀作を鑑賞し、美と真髄を明かす、詩歌入門の不朽の名著。
  • 補陀落渡海記 井上靖短篇名作集

    補陀落渡海記 井上靖短篇名作集

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    熊野補陀落寺の代々の住職には、61歳の11月に観音浄土をめざし生きながら海に出て往生を願う渡海上人の慣わしがあった。周囲から追い詰められ、逃れられない。時を俟つ老いた住職金光坊の、死に向う恐怖と葛藤を記す表題作のほか「小磐梯」「グウドル氏の手套」「姨捨」「道」など、旺盛で多彩な創作活動を続けた著者が常に核としていた散文詩に隣接する人生の不可思議さ、奥深さを描く9篇。
  • 僕が本当に若かった頃

    僕が本当に若かった頃

    小説・文芸
    3.8
    1巻1,562円 (税込)
    障害をもつわが子と妻との日常、そして夥しい量の読書。少年の日の記憶、生の途上における人との出会い。「文章を書き、書きなおしつつ、かつて見たものをなぞる過程でしだいに独特なものを作ってゆく」という方法意識の作家「僕」が綴る、表題作等9篇の短篇小説。切迫した震える如き感動、特にユーモアと諧謔をたたえて還暦近づき深まる、大江健三郎の精神の多面的風景。
  • みずから我が涙をぬぐいたまう日

    みずから我が涙をぬぐいたまう日

    小説・文芸
    3.6
    1巻1,562円 (税込)
    天皇に殉じて割腹、自死を遂げた作家の死に衝撃を受けた、同じ主題を共有するもう1人の作家が魂の奥底までを支配する〈天皇制〉の枷をうち破って想像力駆使し放つ"狂気を孕む同時代史"の表題作。宇宙船基地より逃走する男が日本の現人神による救済を夢見る「月の男」。──全く異なる2つの文体により、現代人の危機を深刻、ユーモラスに描く中篇小説2篇。
  • 志賀直哉・天皇・中野重治

    志賀直哉・天皇・中野重治

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    医師として、遅咲きの小説家として、独自の文学世界を築きあげた藤枝静男。平野謙と本多秋五という刺激を与え続けた友人、そして深く傾倒した師・志賀直哉の存在。志賀直哉に関わる作品を中心に名作「志賀直哉・天皇・中野重治」など、藤枝文学の魅力をすくいとった珠玉の随筆選。文学の師に関わる思いと藤枝文学の底流が、ここにある!
  • 暗室

    暗室

    小説・文芸
    3.9
    1巻1,463円 (税込)
    屋根裏部屋に隠されて暮す兄妹、腹を上にして池の底に横たわる150匹のメダカ――脈絡なく繋げられた不気味な挿話から、作家中田と女たちとの危うい日常生活が鮮明に浮かび上る。性の様々な構図と官能の世界を描いて、性の本質を解剖し、深層の孤独を抽出した吉行文学の真骨頂。「暗い部屋」の扉の向こうに在るものは……。
  • 焼跡のイエス 善財

    焼跡のイエス 善財

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,562円 (税込)
    敗戦直後、上野のガード下の闇市で、主人公の「わたし」が、浮浪児がキリストに変身する一瞬を目にする「焼跡のイエス」。少女の身に聖なる刻印が現われる「処女懐胎」。戦後無頼派と称された石川淳の超俗的な美学が結晶した代表作のほかに「山桜」「マルスの歌」「かよい小町」「善財」を収録し、戦前、戦中、そして戦後へ。徹底した虚構性に新たな幻想的光景を現出させた、精神の鮮やかな働きを示す佳作6篇。
  • さして重要でない一日

    さして重要でない一日

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,463円 (税込)
    未知の空間、会社という迷路を彷徨う主人公。トラブル、時間、おしゃべり、女の子、コピー機。著者独特の上品なユーモアの漂う、なにか、もの哀しくも爽やかな空気の残像。会社員の日常を鮮やかに切り取った、野間文芸新人賞受賞作。サラリーマンの恋と噂と人間関係、奇妙で虚しくて、それでも魅力的な「星の見えない夜」も所収。
  • 静かな生活

    静かな生活

    小説・文芸
    3.9
    1巻1,463円 (税込)
    精神の危機を感じて外国滞在を決意した作家の父に、妻が同行する。残された3人の兄弟妹の日常。脳に障害を持った長男のイーヨーは"ある性的事件"に巻き込まれるが、女子大生の妹の機転でピンチを脱出、心の平穏が甦る。家族の絆とはなんだろうか――。〈妹〉の視点で綴られた「家としての日記」の顛末に、静謐なユーモアが漂う。大江文学の深い祈り。
  • 蛇 愛の陰画

    蛇 愛の陰画

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,463円 (税込)
    午睡中、大蛇が口から入りこみ、腹中に居すわられてしまった男。彼を<被害者>に見たて、運動に利用しようとする組織。卓抜な発想と辛辣な批評精神で、当時の世相を切りとった「蛇」。性と悪の問題に真正面から挑んだ「蠍たち」――。1960年、「パルタイ」で衝撃的なデビューを果たした著者の、その後の5年間の初期作品7篇を精選。イメージの氾濫する<反リアリズム>の鮮やかさを示す1冊。
  • なまみこ物語 源氏物語私見

    なまみこ物語 源氏物語私見

    小説・文芸
    4.2
    1巻1,463円 (税込)
    贋招人(にせよりまし)姉妹によるいつわりの生霊騒動等、時の権力者・藤原道長の様々な追い落とし策謀に抗する、中宮定子の誇り高き愛を描いた女流文学賞受賞作「なまみこ物語」、『源氏物語』の現代語訳の過程で生まれた創見に満ちた随想「源氏物語私見」の二作を収録。円地文子の王朝文学への深い造詣と幼い頃からの親和に、現代作家としての卓抜な構想力が融合した二大傑作。
  • 阿Q正伝・藤野先生

    阿Q正伝・藤野先生

    小説・文芸
    3.3
    1巻1,353円 (税込)
    「人が人を食う」ことを恐怖する主人公の、「子供を救え」の叫びとともに、封建制度・儒教道徳の暗黒を描く「狂人日記」。革命のどさくさの中の阿Qの死と悲喜劇を通して、「革命と民衆」を鋭くつく「阿Q正伝」。ほかに、「孔乙己」「酒楼にて」など。辛亥革命前後の混乱期に、敢然とペンを執って立ち上がり、中国近代文学を切り拓いた魯迅が、時代の苦悩と不屈の精神を伝える13篇の名作。魯迅を読まずして中国を知ることはできない。
  • 叫び声

    叫び声

    小説・文芸
    4.1
    1巻1,353円 (税込)
    新しい言葉の創造によって"時代"が鼓舞される作品、そういう作品を発表し続けて来た文学者・大江健三郎の20代後半の代表的長篇傑作『叫び声』。現代を生きる孤独な青春の"夢"と"挫折"を鋭く追求し、普遍の"青春の意味"と"青春の幻影"を描いた秀作。
  • 白痴 青鬼の褌を洗う女

    白痴 青鬼の褌を洗う女

    小説・文芸
    4.6
    1巻1,353円 (税込)
    戯作者の精神を激しく新たに生き直し、俗世の贋の価値観に痛烈な風穴をあける坂口安吾の世界。「堕落論」と通底する「白痴」「青鬼の褌を洗う女」等を収録。奔放不羈な精神と鋭い透視に析出された"肉体"の共存――可能性を探る時代の補助線――感性の贅肉をとる力業。
  • 悪い夏 花束 吉行淳之介短篇小説集

    悪い夏 花束 吉行淳之介短篇小説集

    小説・文芸
    -
    1巻1,254円 (税込)
    初期から最晩年まで、短篇小説で辿る吉行淳之介の世界。男女の心象風景を凝縮するイメージで描く散文詩風の「藁婚式」、少年の眼を通して恋愛の生理と心理を追う「悪い夏」、父エイスケとの屈折した関係を主題とした「電話と短刀」、親友の13回忌に訪れた男女の齟齬を描く「花束」等14篇を収録。明晰な文体と実験的手法で、人間の生と性の不条理を追究した著者の珠玉の作品集。
  • 逆髪

    逆髪

    小説・文芸
    -
    1巻1,320円 (税込)
    漂流する現代家族をラディカルに描く傑作長篇!――かつて姉妹漫才で鳴らした鈴子・鈴江。今はカンペキ主婦に身をやつす姉と、独身の物書きとして芸界の周辺に生きる妹。正反対のようで同じ血縁という強烈な磁力に搦めとられて彷徨う二人の日常の背後に、狂女逆髪と盲人の琵琶法師の姉弟が織りなす謡曲「蝉丸」の悽愴な光景を幻視、富岡節ともいうべき強靭な語りの文体で活写。『冥途の家族』『芻狗』など、家族や性をテーマに書き続けてきた著者の到達点とされる傑作。 ※本書は、『富岡多惠子集6 小説5』(1999年6月、筑摩書房刊)を底本として使用しました。著者の一閲を得て誤植を正し、振り仮名を多少増やすなどしましたが、原則として底本に従いました。
  • 二葉亭四迷伝 ある先駆者の生涯

    二葉亭四迷伝 ある先駆者の生涯

    小説・文芸
    -
    1巻1,320円 (税込)
    明治の黎明期に、近代小説の先駆的な作品『浮雲』を書き、「言文一致体」を創出した文豪・二葉亭四迷の、46年の悲劇的な生涯を、全17章から成る緻密な文体で追う。最終章は、ロシアからの帰途の船上で客死する記述に終り、著者「あとがき」に、「これは彼の生活と時代を再現することを必ずしも目的としたのでなく、伝記の形をとった文学批評だ」とある。評伝文学の古典的名著。読売文学賞受賞作品。
  • 対談 文学の戦後

    対談 文学の戦後

    小説・文芸
    -
    1巻1,353円 (税込)
    「戦後文学」をどう評価するか? 敗戦後34年を経て、詩誌「荒地」時代からの友人である典型的な戦中派の二人が、社会と文学の動向を縦横に論じ、戦後文学史に新たな視座を提示した、衝撃の対談集――詩誌「荒地」に拠って、戦後現代詩を主導してきた鮎川信夫。詩人として、また文学と思想の新たな理論を展開し、現代をリードしてきた吉本隆明。戦中派の巨人ふたりが、敗戦の衝撃から、身を以て戦後文学史を生きてきた34年を振り返り、社会と文学の動向を鋭く問う。第一次戦後派の限界、江藤淳批判、ソルジェニツィン『収容所群島』の現代史的問題、現代文学の変質など、白熱の議論を交わした対談集。「戦後文学」との別離を告げた記念碑的作品。
  • 斗南先生・南島譚

    斗南先生・南島譚

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,353円 (税込)
    漢学の家に育ち、幼時から深い素養を身につけ、該博細緻な知識の世界を生きて非凡な才を評価されながら夭折した中島敦。古代中国や南洋に材をとる作品のほか、苦悩の青春を綴る身辺小説など珠玉の傑作短篇集。伯父を描いた大学時代の創作「斗南先生」を始め、「過去帳」(「かめれおん日記」「狼疾記」)、「古譚」(「狐憑」「木乃伊」「山月記」「文字禍」)、「南島譚」、「環礁」を収録。
  • 帰れぬ人びと

    帰れぬ人びと

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,771円 (税込)
    父が女性と暮らす家へ続く川べりの道を、ひとり歩く少年。かつての仄暗い賑わいの記憶を底深く秘めて佇む町――帰るべき場所を持たない喪失感と哀しみを抱きながら、それでも前を向いて行きようとする人びとに、年齢に似合わぬ静謐なまなざしを著者は注ぎ続けた。大人になる直前の老成。どうしようもない人生への諦観。あまりにも早熟な十八歳の才能を示す、最初期作品集。
  • 啼く鳥の

    啼く鳥の

    小説・文芸
    -
    1巻1,210円 (税込)
    『三匹の蟹』で「群像新人賞」「芥川賞」両賞を受賞し、戦後日本文学史の中でも異例の衝撃的デビューをした大庭みな子の、作家活動20年の頂点を示す、深い人間理解と鋭い人生凝視の力作『啼く鳥の』。野間文芸賞受賞。
  • 三匹の蟹

    三匹の蟹

    小説・文芸
    3.3
    1巻1,155円 (税込)
    『大型新人」として登場以来25年、文学的成熟を深めて来た大庭みな子の、あらためてその先駆性を刻印する初期世界。群像新人賞・芥川賞両賞を圧倒的支持で獲得した衝撃作「三匹の蟹」をはじめ、「火草」「幽霊達の復活祭」「桟橋にて」「首のない鹿」「青い狐」など、初期作品を新編成した7作品群。
  • 悉皆屋康吉

    悉皆屋康吉

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,155円 (税込)
    呉服についての便利屋であり、染色の仲介業者でもある「悉皆屋」の康吉は、職人としての良心に徹することで、自らを芸術家と恃むようになる。大衆の消費生活が拡大する大正モダニズム期には、華美で軽佻な嗜好を嫌い、ニ・ニ六事件の近づく昭和前期には、時代の黒い影を誰よりも逸早く捉える男でもあった。著者が戦時下に書き継ぎ、芸術的良心を守った昭和文学史上の金字塔と評される名作。
  • 寂兮寥兮

    寂兮寥兮

    小説・文芸
    3.4
    1巻1,144円 (税込)
    幼なじみの万有子と泊は、ごっこ遊びの延長の如き微妙な愛情関係にあったが、それぞれの夫と妻の裏切りの死を契機に……。ふたりを軸に三世代の織りなす人間模様は、過去と今、夢とうつつが混じり合い、愛も性もアモラルな自他の境なき幽明に帰してゆく。デビュー以来、西欧への違和を表現してきた著者が親炙する老子の思想に触発され、生と性の不可解さを前衛的手法で描いた谷崎潤一郎賞受賞作。
  • 反悲劇

    反悲劇

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,111円 (税込)
    本来反小説な神々や英雄の悲劇の世界を、現代小説に直接「移植」する試みのなかで、古代ギリシャ人の行動様式や神話的モチーフは、そのグロテスクな陰惨さのままに、今もわれわれの内に息づき生き延びているのではないかということを問いかける。「向日葵の家」「酔郷にて」「白い髪の童女」「河口に死す」「神神がいた頃の話」の5篇から成る連作集。
  • 愛の挨拶 馬車 純粋小説論

    愛の挨拶 馬車 純粋小説論

    小説・文芸
    -
    1巻1,089円 (税込)
    人間存在の危うさと脆さを衝く小説「マルクスの審判」、"国語との不逞極まる血戦"が生んだ新感覚派小説の「頭ならびに腹」とそれらを支える文芸評論「新感覚論」、1幕もの戯曲「幸福を計る機械」および「愛の挨拶」、新心理主義小説「機械」と、その後の評論「純粋小説論」等。昭和の文学の常に最前衛として時代に斬り込み時代と格闘した作家の初期・中期短篇、戯曲、評論を1冊に集成。
  • 上海

    上海

    小説・文芸
    4.3
    1巻1,089円 (税込)
    1925年、中国・上海で起きた反日民族運動を背景に、そこに住み、浮遊し彷徨する1人の日本人の苦悩を描く。死を想う日々、ダンスホールの踊子や湯女との接触。中国共産党の女性闘士芳秋蘭との劇的な邂逅と別れ。視覚・心理両面から作中人物を追う斬新な文体により不穏な戦争前夜の国際都市上海の深い息づかいを伝える。昭和初期新感覚派文学を代表する、先駆的都会小説。
  • 哀しき父 椎の若葉

    哀しき父 椎の若葉

    小説・文芸
    3.8
    1巻1,089円 (税込)
    「生活の破産、人間の破産、そこから僕の芸術生活が始まる」と記した葛西善蔵は、大正末期から昭和初年へかけての純文学の象徴であった。文学の為にはすべてを犠牲にする特異無類の生活態度で、哀愁と飄逸を漂わせた凄絶苛烈な作品を描いた。処女作「哀しき父」、出世作「子をつれて」、絶筆「忌明」のほか「馬糞石」「蠢く者」「湖畔手記」など代表作15篇。
  • 朝霧・青電車その他

    朝霧・青電車その他

    小説・文芸
    2.7
    1巻1,023円 (税込)
    16歳での懸賞小説当選作(「活版屋の話」)。18歳の懸賞脚本当選作(「出産」)。19歳の時の文壇出世作「黒い御飯」。早熟の才能明らかな最初期から、第2回横光賞「朝霧」や、「花火」「青電車」に到る、永井龍男の短篇の精髄。「往来」「胡桃割り」「ある夏まで」など、14篇の秀作群。後年の短篇の冴えを予感する短篇世界!
  • 寝園

    寝園

    小説・文芸
    3.0
    1巻946円 (税込)
    持ち株の暴落で事業に失敗し破産しかかった青年梶と、その梶を強く慕う奈奈江や、幾組かの男女の"愛"の葛藤。伊豆山中の狩猟の最中に起きた突発的傷害事件への発展。「純文学にして通俗小説」なる"純枠小説"を自ら実践し、恋愛における現代人の"危機意識"を緻密な文体で追った「紋章」「家族会議」等の先駆となった画期的名篇。
  • わが母の記 花の下・月の光・雪の面

    わが母の記 花の下・月の光・雪の面

    小説・文芸
    4.0
    1巻946円 (税込)
    80歳の母を祝う花見旅行を背景にその老いを綴る「花の下」、郷里に移り住んだ85歳の母の崩れてゆく日常を描いた「月の光」、89歳の母の死の前後を記す「雪の面」。 枯葉ほどの軽さのはかない肉体、毀れてしまった頭、過去を失い自己の存在を消してゆく老耄の母を直視し、愛情をこめて綴る『わが母の記』三部作。〈老い〉に対峙し〈生〉の本質に迫る名篇。ほかに「墓地とえび芋」を収録。
  • 妖 花食い姥

    妖 花食い姥

    小説・文芸
    2.5
    1巻1,001円 (税込)
    深い怒りと悲しみに培われて女の内部に居据わる〈業〉を凄絶に描いた「ひもじい月日」(女流文学者賞受賞)、『春雨物語』を踏まえた鬼気迫る傑作「二世の縁 拾遺」、夢幻と現実が見事に融合する「花食い姥」、ほかに「黝い紫陽花」「妖」「猫の草子」「川波抄」を収録。伝統的優美と豊かな知性が研きあげた隠微な官能、妖気を漂わせる特異の世界、円地文子傑作短篇集・7篇。
  • 当世凡人伝

    当世凡人伝

    小説・文芸
    -
    1巻990円 (税込)
    なんの変哲もないありふれた人生。独得の語り口で、あるがままに描き出し、したたかに生きる平凡な人々の日常に滲む哀しみを、鮮やかに浮彫りにする、富岡多惠子の傑作短篇集。川端康成文学賞受賞「立切れ」ほか、地方都市で妻と二人ひっそりと暮す退官した警視・松尾文平に纏る「薬のひき出し」、「名前」「ワンダーランド」「幼友達」「富士山の見える家」など12篇の傑作短篇を収録。
  • コチャバンバ行き

    コチャバンバ行き

    小説・文芸
    4.0
    1巻880円 (税込)
    安穏・安全な「生」とは何か? 読売文学賞受賞の明篇――湘南で多少の土地を持ち、家を貸して自適生活する主人公。妻は仕事で不在がち。「安全な生活」とは何か……。元上司との様々なやりとりのあと、上司は妻を失う。南米・ボリビアでのバスの乗客の、何の苦痛もない死……。ささやかな生活の描写の中に、人生の哀歓をつむぎ出す、永井龍男独自の「美学」の結晶。『皿皿皿と皿』を併録。読売文学賞受賞作品。
  • 芸者小夏

    芸者小夏

    小説・文芸
    -
    1巻1,672円 (税込)
    故・丸谷才一氏が愛した、花柳小説の金字塔――温泉芸者の子に生まれ、水商売の中で育った夏子。この宿命の絆を断ち切りたいと希いながらも、外に道はなく、夏子は15で芸者小夏となった。純情を捧げた初恋の教師に裏切られ、夏子は日ましに「女」になっていく……。若き日に色町に親しみ男女の機微を知る著者が、戦後の脂の乗りきった時期に書き継ぎ、「夏子もの」として人気を博した連作小説の第1作。
  • 講談社文芸文庫 解説目録 2023年4月現在
    無料あり

    講談社文芸文庫 解説目録 2023年4月現在

    小説・文芸
    -
    1巻0円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 不朽の名作をラインナップする講談社文芸文庫。未来に伝えるべき小説、詩歌、評論、随筆、翻訳など文芸の精髄を刊行するシリーズの最新版刊行目録の電子版。
  • 百日の後 坂上弘自選短篇集

    百日の後 坂上弘自選短篇集

    小説・文芸
    -
    1巻1,320円 (税込)
    「第三の新人」世代に続く、「内向の世代」グループの一人である坂上弘は、「第三の新人」とは違った意味で、生活者の視点から小説世界をつくり上げてきた。文学が特別な社会を対象としたものでなく、日々の暮しのなかでのサラリーマンであり、同人雑誌仲間との交友でありと、一見、平凡な日常のうちに、ニュアンスを含んだ人生を見出す。表題作ほか著者自選の5篇を収録。
  • ああ玉杯に花うけて 少年倶楽部名作選

    ああ玉杯に花うけて 少年倶楽部名作選

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    昭和2年に『少年倶楽部』に連載され、大反響を呼んだ少年小説の金字塔。いじめや暴力、友情等、普遍的テーマに切り込む爽やかな傑作。
  • 愛国者たち

    愛国者たち

    小説・文芸
    -
    1巻1,463円 (税込)
    異能の私小説家の知られざる名作――昭和24年、日本訪問中のロシア皇太子ニコラスへの暗殺未遂事件=大津事件に関わった愛国者たち……。津田三蔵、畠山勇子、明治天皇、児島惟謙らを軸に、歴史の変動の渦中にあつ人間を見つめた表題作、ほか7篇。戦後日本の転換点に直面した異能の私小説作家が、自己の文学的葛藤と追究の痕跡を刻印した、独自の私小説風世界の魅力が横溢する作品集。平林たい子文学賞受賞作品。 ※本書は、『愛国者たち』(1973年11月、講談社刊)を底本としました。
  • 愛酒樂酔 現代日本のエッセイ

    愛酒樂酔 現代日本のエッセイ

    小説・文芸
    -
    1巻880円 (税込)
    発酵学・微生物学の権威である「酒博士」坂口謹一郎の、酒をめぐる軽妙酒脱なエッセイと、500首に及ぶ短歌。愛酒の世界を語り、酔の境地を示す、坂ロイズムの集大成。「世界の酒の旅」「パリの生活から」「玩物喪志」ほかを収める歌エッセイ集『愛酒樂酔』に、「私の履歴書」を併録。 ◎まことに人間にとって酒は不思議な「たべもの」である。迷えと知って神が与えたものであろうか。<本文より>
  • 愛について

    愛について

    小説・文芸
    3.0
    1巻990円 (税込)
    この道はどこへ行くんでしょうか――偶然の邂逅から始まる若い男女の愛。その2年後の妻の謎の事故死。『武蔵野夫人』『花影』で新しい"愛のかたち"を文学史上に画した著者が、現代の市民社会とその風俗の中に、男と女、家庭、"愛の死と再生"のテーマを"連環"する10章で問う。
  • 愛の生活・森のメリュジ-ヌ

    愛の生活・森のメリュジ-ヌ

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,155円 (税込)
    《わたしはFをどのように愛しているのか?》との脅えを、透明な日常風景の中に乾いた感覚的な文体で描いて、太宰治賞次席となった19歳時の初の小説「愛の生活」。幻想的な究極の愛というべき「森のメリュジーヌ」。書くことの自意識を書く「プラトン的恋愛」(泉鏡花文学賞受賞作)。今日の人間存在の不安と表現することの困難を逆転させて、細やかで多彩な空間を織り成す、金井美恵子の秀作10篇。
  • 愛撫 静物 庄野潤三初期作品集

    愛撫 静物 庄野潤三初期作品集

    小説・文芸
    -
    1巻1,353円 (税込)
    妻の小さな過去の秘密を執拗に問い質す夫と、夫の影の如き存在になってしまった自分を心許なく思う妻。結婚3年目の若い夫婦の心理の翳りを瑞々しく鮮烈に描いた「愛撫」。幼い子供達との牧歌的な生活のディテールを繊細な手付きで切り取りつつ、人生の光陰を一幅の絵に定着させた「静物」。実質的な文壇へのデビュー作「愛撫」から、出世作「静物」まで、庄野文学の静かなる成熟の道程を明かす秀作7篇。
  • 青葉の翳り 阿川弘之自選短篇集

    青葉の翳り 阿川弘之自選短篇集

    小説・文芸
    -
    1巻1,023円 (税込)
    戦時中に青春を過した主人公は、学徒動員で海軍に入隊。戦友の多くが死んでいったなかで、現在も生きているのはほんの偶然の結果だという感覚に支配されている。戦後社会との違和に直面しながらも、生活者として中年にいたった現在を描く代表作「青葉の翳り」。他に「霊三題」「鱸とおこぜ」「野藤」「スパニエル幻想」「空港風景」「さくらの寺」と短篇的趣向の名品を収録。
  • アカシヤの大連

    アカシヤの大連

    小説・文芸
    3.6
    1巻1,155円 (税込)
    美しい港町、アカシヤ香る大連。そこに生れ育った彼は、敗戦とともに、故郷を喪失した。心に巣喰う癒し難い欠落感、平穏の日々の只中で、埋めることのできない空洞。青春、憂鬱、愛、死。果てない郷愁を籠めて、青春の大連を清冽に描く、芥川賞受賞の表題作。ほかに『朝の悲しみ』『初冬の大連』『中山広場』『サハロフ幻想』『大連の海辺で』の、全6編を収録。
  • 明夫と良二

    明夫と良二

    小説・文芸
    4.4
    1巻1,881円 (税込)
    磊落な浪人生の兄と、気立ての優しい中学生の弟。男の子二人のおかしみに満ちたやりとりを見守る姉は、間もなく嫁いでゆく。自然に囲まれた丘の上の一軒家に暮らす作家一家の何気ない一瞬に焼き付けられた、はかなく移ろいゆく幸福なひととき--。著者没後10年。人生の喜び、そしてあわれを透徹したまなざしでとらえた家族小説の傑作、初文庫化
  • 朱を奪うもの

    朱を奪うもの

    小説・文芸
    -
    1巻1,463円 (税込)
    女性としての自立、性・喪失・生を描く現代女性必読の名作。女性としての喪失感に荒寥とした思いをする主人公。幼児から祖母の物語の世界に生きた滋子の人生の歩みは、やがて青春期にかけて、家を出て自立したいという強い思いへと変っていく。結婚さえも、人生のスプリングボードとして考え、自分らしく生きようとする女性を描いた、円地文子の代表作。谷崎賞受賞作『朱を奪うもの』3部作の第1部。
  • 槿

    槿

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,771円 (税込)
    男の暴力性を誘発してしまう己の生理に怯える伊子(よしこ)。20年も前の性の記憶と現実の狭間で揺蕩う(たゆたう)國子。分別ある中年男杉尾と二人の偶然の関係は、女達の紡ぎ出す妄想を磁場にして互いに絡み合い、恋ともつかず性愛ともつかず、「愛」の既成概念を果てしなく逸脱してゆく。 濃密な文体で、関係の不可能性と、曠野の如きエロスの風景を描き切った長篇。谷崎潤一郎賞受賞。
  • あじさしの洲 骨王

    あじさしの洲 骨王

    小説・文芸
    -
    1巻1,298円 (税込)
    叔母の悲しみとそれに寄り添う少年の想いが原初的風景へと還元される名品「あじさしの洲」、旧約的世界を背景に、部族王の誕生とその最期を、心象の劇として描いた「骨王」、読売文学賞受賞作「ハシッシ・ギャング」等、初期作品から近作まで11篇を収録。簡勁な文体で人間の原質を彫琢し、影の暗示力が、生と死の流転の相を炙り出す。小川文学の魅力をあますところなく示す自選短篇集。
  • 明日なき身

    明日なき身

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,562円 (税込)
    離婚を繰り返し、生活に困窮して生活保護と年金で生きる老人の日常の壮絶。高齢化社会を迎えた今、貧困のなかで私小説作家は、いかに生きるべきか……。下流老人の世界を赤裸々に描きつつも、不思議に悲愴感はない。自分勝手なダンディズムを貫き哀感とユーモアを滲ませる、二十一世紀の老人文学。
  • あにいもうと 詩人の別れ

    あにいもうと 詩人の別れ

    小説・文芸
    -
    1巻1,045円 (税込)
    長い沈潜の後、自らの抒情を封じ、野性の愛を描いて見事に第2の昴揚期を開いた「あにいもうと」(文芸懇話会賞)。深い愛で妻の発病と命の揺らぎを見つめた「死のいざない」。親しい詩人達の友誼と理非を超えたその死を語る「信濃」「詩人の別れ」ほか、「つくしこいしの歌」「庭」「虫寺抄」等。逞しい作家魂とひたむきに追う犀星の美意識が展開する多彩な中期作品群より8篇を収録。
  • あの夕陽 牧師館 日野啓三短篇小説集

    あの夕陽 牧師館 日野啓三短篇小説集

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,254円 (税込)
    最初の小説「向う側」から近作「示現」まで日野文学の精髄を示す8篇を収録。 ベトナム戦争中、失踪した記者の行方を追う著者初の小説「向う側」、自らの離婚体験を描いた芥川賞受賞作「あの夕陽」等初期作品から、都市の中のイノセンスを浮上させる〈都市幻想小説〉の系譜、さらには癌体験を契機に、生と死の往還、自然との霊的交感を主題化した「示現」まで8作品を収録。日野啓三の文学的歩みの精髄を1冊に凝縮。
  • アブラハムの幕舎

    アブラハムの幕舎

    小説・文芸
    3.3
    1巻1,430円 (税込)
    主人公・田沢衿子は20代後半の独身女性。母親の言動に振りまわされ苦痛を感じているが、断ち切ることができない。ある日、彼女の15階だてのアパートで、祖母を殺した少年が投身自殺した。強者に支配される少年と自分とを重ね合せ、彼女は母親から逃れるため行動をおこす。〈イエスの方舟〉を背景にして、弱者の生き方を追究、魂の漂流をいきいきと描いた、著者の代表長篇小説。
  • アポロンの島

    アポロンの島

    小説・文芸
    3.6
    1巻1,353円 (税込)
    地中海地方の溢れる光の中をひとりバイクで旅する青年が出会う人々や風景を、明晰なことばを積み重ねてくっきりと描き出した「アポロンの島」「大きな恵み」、キリスト教についての著者の基本的な考えがうかがえる「エリコへ下る道」、戦時中の重苦しい時代に土俗的な雰囲気の中で成長する少年を自伝的に描いた「動員時代」の4つの作品群からなる短篇集。読みつがれるべき“青春の書”の1冊。
  • あめりか物語

    あめりか物語

    小説・文芸
    3.5
    1巻1,353円 (税込)
    明治36年荷風24歳から明治40年28歳まで4年間のアメリカ見聞記を24篇の小説に収める。渡航中の情景を描いた「船房夜話」、癲狂院に収容された日本人出稼ぎ労働者の無惨な話「牧場の道」など。異国の風物に対峙した荷風の孤独感、鋭い感性と批評精神溢れる新鮮な感慨は、閉塞した時代に憧憬と衝撃を与えた。『ふらんす物語』と併称される初期代表作。
  • 鮎・母の日・妻 丹羽文雄短篇集

    鮎・母の日・妻 丹羽文雄短篇集

    小説・文芸
    -
    1巻1,463円 (税込)
    幼くして生母と離別し、母への思慕と追憶は、作家・丹羽文雄の原点ともなった。処女作「秋」から出世作「鮎」、後年の「妻」に至る、丹羽文学の核となる作品群。時に肉親の熱いまなざしで、時に非情な冷徹さで眺める作家の<眼>は、人間の煩悩を鮮烈に浮かび上がらせる。執拗に描かれる生母への愛憎、老残の母への醜悪感……。思慕と愛憎と非情な<眼>による、「贅肉」「母の日」「うなずく」「悔いの色」ほか10篇。
  • 荒魂

    荒魂

    小説・文芸
    -
    1巻1,309円 (税込)
    荒ぶる魂、生まれながらにして、生と死を抱え持つ佐太。この存在を無気味な背景に展開される"変革"の劇。精神の逼塞の根に仕掛けられた爆薬のような強烈な"発条"。初期世界からの独自な精神の運動を持続し続けた、石川淳の『白頭吟』から『狂風記』の間を繁ぐ白眉の長篇。
  • 有田川

    有田川

    小説・文芸
    3.8
    1巻1,980円 (税込)
    私は川上のどことも知れぬところで誰とも知れぬ親に産んでもらった――けれども人間はいずれ生れて川に流されるものではないのか。どんな人でも多かれ少なかれ水に流されながら生きて行くのではないのか――。有田川の氾濫のたびに出自を失いながら、流れ着いた先で新たな生を掴み取る紀州女、千代の数奇な生涯。『紀ノ川』『日高川』に並ぶ、有吉文学における紀州三部作。
  • ある女の遠景

    ある女の遠景

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    愛慕する年若い叔母・伊勢子の、自裁の謎を追ううちに、維子は、不実な男・泉中紋哉との官能の罠に、みずから墜ちていく。性愛に囚われた維子の現在、ミステリアスな伊勢子の過去、さらに情熱の歌人・和泉式部の生きた遠い昔……時空を隔てた3人の女人像を、巧緻な遠近法でとらえ、王朝文化と戦後風俗という「聖」と「俗」のあわいに、独得の官能美の世界を現出させた、筆者晩年の傑作。毎日芸術賞受賞作品。
  • 或る年の冬 或る年の夏

    或る年の冬 或る年の夏

    小説・文芸
    -
    1巻1,353円 (税込)
    性と思想に切り裂かれる青春を、頑なまでに潔癖に生き、後年の著者の、厳しく深い文学と人生を予感させる青春像。昭和初期に青春を生きた知識人が不可避だった「思想」問題、それを自らに苛酷に課した著者の苦闘、家族への深い愛。時代と自分の良心を誠実・厳格に生きた、著者の青春自伝。
  • 暗夜遍歴

    暗夜遍歴

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    月子の父親が陥れられることによって登場した小田村大助。奪われるようにして小田村と結ばれた月子。政治と実業の世界の鬼であった小田村は、また、奔放な性を生き、女性遍歴を重ねていく。運命にもてあそばれた月子は、短歌に道を見出すことで、傷を癒し、自らを支えようとする。――息子・由雄の眼を通し、母・月子、父・大助の愛憎の劇を冷徹に描いた自伝的作品。亡き母への痛切なる鎮魂歌。
  • 如何なる星の下に

    如何なる星の下に

    小説・文芸
    3.3
    1巻1,463円 (税込)
    昭和十三年、自ら浅草に移り住み執筆をはじめた高見順。彼はぐうたらな空気と生存本能が交錯する刺激的な町をこよなく愛した。主人公である作家・倉橋の別れた妻への未練を通奏低音にして、少女に対する淡い「慕情」が謳い上げられるのだった。暗い時代へ突入する昭和初期、浅草に集う人々の一瞬の輝きを切り取り、伊藤整に「天才的」と賞賛された高見順の代表作にして傑作。
  • 石川啄木歌文集

    石川啄木歌文集

    小説・文芸
    3.5
    1巻1,045円 (税込)
    明星派の詩人として出発し、三行書きの短歌で歌壇に新風を吹き込み、〈大逆事件〉との出会いにより現実を凝視、明治という時代を考察して、結核と貧窮のうちに夭折した、天才詩人・石川啄木。非凡な才能で先駆的思想を所有した彼の歌集『一握の砂』『悲しき玩具』などから短歌200首、「性急な思想」「時代閉塞の現状」などエッセイ6篇、「はてしなき議論の後」「飛行機」ほか詩12篇を収録。
  • 石の話 黒井千次自選短篇集

    石の話 黒井千次自選短篇集

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,254円 (税込)
    夫婦の間に流れた時間の持つ意味の落差を象徴的に捉えた表題作「石の話」、上司との関係にしこりを生んだネクタイをめぐる騒動を追った「首にまく布」、隣家の庭に出現したプレハブの子供部屋の日ごとの変貌がもたらす波紋を綴った「庭の男」等、家庭や職場に紛れ込んでくる違和を妙趣あふれた筆致で描いた9作品を収録。初期作品から近作まで、著者の歩みを辿る自選短篇集。
  • 石の来歴 浪漫的な行軍の記録

    石の来歴 浪漫的な行軍の記録

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,430円 (税込)
    現実と非現実の交錯を描く芥川賞受賞作。石に異常な執着を示す男の人生。長男の死、妻の狂気、次男の学生運動、夢と現実の交錯のなかで描かれる奥泉光の芥川賞受賞作。他に「浪漫的な行軍の記録」所収――太平洋戦争末期、レイテで、真名瀬は石に魅せられる。戦後も、石に対する執着は、異常にも思えるほど続くが、やがて、子供たちは死に弄ばれ、妻は狂気に向かう。現実と非現実が交錯する、芥川賞受賞作「石の来歴」。兵士たちの、いつ終わるとも知れぬ時空を超えた進軍、極限状況の中でみたものは……。帝国陸軍兵士の夢と現を描く、渾身の力作、「浪漫的な行軍の記録」所収。
  • 異族

    異族

    小説・文芸
    4.0
    1巻3,652円 (税込)
    空手道場に集まった胸に同じ形の青あざがある頑強な三人の男たち、路地に生まれたタツヤ、在日韓国人二世のシム、アイヌモシリのウタリ。そのアザの形に旧満州の地図を重ね見た右翼の大物フィクサー槙野原は三勇士による満州国の再建を説く。日本の共同体のなかにひそむうめき声を路地の神話に書きつづけた中上健次が新しい跳躍を目指しながらも、「群像」連載中急逝し、未完に終わった傑作大長篇小説。死してなお生き、未完ゆえに無限増殖する壮大なる中上サーガ。
  • 一条の光・天井から降る哀しい音

    一条の光・天井から降る哀しい音

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,254円 (税込)
    脳軟化症の妻は“私”を認識できない。――何度目かに「御主人ですよ」と言われたとき、「そうかもしれない」と低いが、はっきりした声でいった。――50年余連れ添った老夫婦の終焉間近い困窮の日常生活。その哀感極まり浄福感充ちる生命の闘いを簡明に描く所謂“命終三部作”ほか、読売文学賞受賞『一条の光』、平林賞『この世に招かれてきた客』など耕治人の清澄の頂点6篇。
  • 一族再会

    一族再会

    小説・文芸
    -
    1巻1,353円 (税込)
    早く死に別れた生母を思い求めることに始まり、一族のさまざまな生き方、在り方を、時代、社会、歴史とのかかわりにおいて捉え、言葉の、高い緊張の世界に、鮮やかに凝集した、江藤淳渾身の力作。深い感動を呼びおこす名篇。
  • 一日 夢の柵

    一日 夢の柵

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,463円 (税込)
    日常の内奥にひそむ光と闇。――人々が暮らしてゆく、生々しい奇妙な現実。生きることの本質と豊穣。著者60代半ばから70代半ばにかけて書かれた短篇群、野間文芸賞受賞の12の人生の断片。「夢の柵」「影の家」「眼」「浅いつきあい」「電車の中で」「隣家」「丸の内」「記録」「一日」「危うい日」「久介の歳」「要蔵の夜」収録。
  • 畏怖する人間

    畏怖する人間

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    その出発以来、同時代の「知」に、圧倒的な衝撃を与えつづけて来た著者の、秀れた光芒を放つ第一評論集。群像新人文学賞受賞作「意識と自然――漱石試論」をはじめとし、その後の『マルクスその可能性の中心』『日本近代文学の起源』『探究1』『探究2』など、柄谷行人のその後の力業を予告する、初期エッセイ群。
  • 井伏鱒二 弥次郎兵衛 ななかまど

    井伏鱒二 弥次郎兵衛 ななかまど

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,111円 (税込)
    日本の"親爺"木山捷平最晩年の飄々短篇集。常に市井の人として一貫し、独特の詩情溢れる飄々たる人生世界を描出した木山捷平最晩年の珠玉短篇。敬愛する井伏鱒二の秀抜な素描、若き太宰治の真摯な青春像。
  • 異邦人の立場から 現代日本のエッセイ

    異邦人の立場から 現代日本のエッセイ

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,254円 (税込)
    「人間の存在的な渇望は現実以上に真実である」――我々の現代と西欧の現代、その背後に脈々と流れる、我々が「本能的」に持つ汎神的血液と西欧の一神的血液。生涯のテーマ「日本人でありカトリックであること」を追求する、著者の最初のエッセイ「神々と神と」をはじめ、遠藤文学を確立した昭和40年代までを新編成。文学と信仰の原点と決意を語る熱きエッセイ。
  • 意味という病

    意味という病

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,463円 (税込)
    日本のシェークスピア論のパラダイムを批判し、明晰な論理と思考の下に、新しい「マクベス」像を描く、柄谷行人の初期秀抜エッセイ「マクベス論」をはじめ、秀作『マルクスその可能性の中心』につながる、その明視力の圧倒的展開を収録。
  • インド綿の服

    インド綿の服

    小説・文芸
    4.8
    1巻990円 (税込)
    「足柄山からこんにちは」――自然に囲まれて暮らす一家の様子を、長女はユーモアあふれる楽しい手紙で知らせてくれる。山の豊かな四季。そこで営まれる若さと活力に満ちた生活。その便りは“私たち”に大きな喜びを与えてくれる。表題作をはじめ「楽しき農婦」「足柄山の春」など、家族の愛の交流を描く足柄山シリーズ6篇。
  • 美しい墓地からの眺め

    美しい墓地からの眺め

    小説・文芸
    -
    1巻1,540円 (税込)
    戦時下、大病で富士山の見える故郷・小田原の下曽我に帰った著者は、自然界の小さな虫の生態にも人間の生命を感じ、自然との調和のなかにやすらぎを見出す。本書は、文学への出発時の芥川賞受賞作「暢気眼鏡」から、最晩年の作品「日の沈む場所」にいたる14作品を収録。これらをたどることで著者の人生、ひいては人が生きることへの発見、喜びと慰めを読みとることが出来る、珠玉の作品集。
  • 乳母車・最後の女 石坂洋次郎傑作短編選

    乳母車・最後の女 石坂洋次郎傑作短編選

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,980円 (税込)
    戦後、一世を風靡した大流行作家・石坂洋次郎。小説『青い山脈』は映画化され、1949(昭和24)年に封切られると同時に大ヒットし、その主題歌とともにほとんど戦後民主主義の代名詞と見なされるにいたりました。以後、石坂原作の映画が封切られない年は、1960年代後半までありませんでした。それほどの流行作家だったのです。しかし、70年代に入るやいなや、その流行はあっという間に衰えてしまいました。かつて『青い山脈』を明朗健全であるがゆえに評価し、暗くなりがちな戦後に爽やかな風を送ったとして称賛した読者が、こんどはその明朗健全さに飽きてしまったのでしょうか? いずれにせよ、石坂は「忘れられた作家」のひとりとなりました。しかし、石坂には、明朗健全以上に重要な特徴があると編者の三浦雅士さんは言います。それは「女を主体として描く」という特徴です。主人公と言わずに主体と言うのは、女は主人公であるのみならず、必ず、主体的に男を選び主体的に行動する存在として描かれているからです。女は見られ選ばれる客体である以上に、自ら進んで男を選び、男に結婚を促し、自分自身の事業を展開する主体なのです。明朗健全な爽やかさはこの主体的な女性が結果的に醸し出すのであって、逆ではありません。この特徴に誰も気づかずにいたのは驚くべきこと、「明朗健全なるがゆえに売れっ子となり、またそれゆえに忘れられた作家」などというのがいかに浅薄な見方であったか、いまや思い知るべき時が来たと三浦さんは説きます。かくして選び出された「女性の主体的な生き方の最終的な姿を示してほとんど常識を覆す域に達している」短編9編。いまこそふたたび石坂作品の魅力を多くの読者に知ってほしいとの思いから選ばれた傑作です。
  • 海を感じる時・水平線上にて

    海を感じる時・水平線上にて

    小説・文芸
    3.3
    1巻1,672円 (税込)
    《海は暗く深い女たちの血にみちている。私は身体の一部として海を感じている。……》 年上の男子生徒とのセックスの体験を鋭利な感覚で捉えて、身体の芯が震える程の鮮烈な感銘を与えた秀作。作家の出発を告げた群像新人賞受賞「海を感じる時」と、大学生となった、その後の性意識と体験を描き深めた野間文芸新人賞「水平線上にて」。力作2篇収録。
  • うるわしきあさも 阪田寛夫短篇集

    うるわしきあさも 阪田寛夫短篇集

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,463円 (税込)
    「サッちゃん」「ねこふんじゃった」などで、世代を超えて愛される童謡詩人・阪田寛夫は、また、片隅のささやかな人生をあえかな情感と上質のユーモアで描く稀有なる小説家でもあった。脳溢血で倒れた作曲家の叔父の滅びゆく肉体を凝視しつつ、その内で鳴り続ける最後の音楽を哀惜こめて書き留めた表題作、ほか9篇。初期作「平城山」から遺稿「鬱の髄から天井のぞく」まで、「含羞の詩人」の知られざるペーソス溢れる、デビュー作から遺稿まで50年に亘る名品を精選。
  • うるわしき日々

    うるわしき日々

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    『抱擁家族』の30年後の姿 老いと家族をテーマの長篇――80を過ぎた老作家は、作者自身を思わせて、50過ぎの重度アルコール中毒の息子の世話に奮闘する。再婚の妻は、血のつながらぬ息子の看病に疲れて、健忘症になってしまう。作者は、転院のため新しい病院を探し歩く己れの日常を、時にユーモラスなまでの開かれた心で、読者に逐一説明をする。複雑な現代の家族と老いのテーマを、私小説を越えた自在の面白さで描く、『抱擁家族』の世界の30年後の姿。

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