原書は1964年刊行。当時の醗酵学のえらい先生が書いたもの。学者であると同時に、酒の愛好家といった風情が文章から伝わってくる。特に酒の味・香りを論じだして、食事とのバランス、飲むタイミングにまで話が及ぶのは酒飲みの視点である。日本の酒の歴史や製法や、微生物学的なバックグラウンドまであつかう。
・明
...続きを読む治初期の資料に残る酒は超辛口だった
・今はあまり使わないが「ピン」という味の表現。キュッと残る後口を表す
・食事との相性軽視、熟成軽視が洋酒と違う
・戦争前後の原料難と西洋文化尊重が、近代以降の日本酒文化の蓄積を阻んだかも
・昔は年中つくっていた。寒造りが広がったのは江戸期から
・杜氏、山地の民の冬の副業が起源か
・速醸もと:乳酸を人工的に添加する⇔生もと、山廃
半世紀近く前の本なので、ところどころの記述に時代を感じる。当時より続く日本酒消費の衰退傾向に歯止めがかかっていないのは残念。しかし、日本酒の平均的な品質は上がってきているとも言える。作り方、飲み方、流通させ方によっては、まだまだ未発掘の魅力があるかもと思わせる。