尾崎一雄の一覧
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ユーザーレビュー
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「生きていることは、何となく滑稽で面白い」
目に映るものの面白さ(良さとか正しさ、ではない)に注目して書かれた文章は、何かを指南するわけではないのに、読み手の生き方をちょっとずつ、軽く楽しい方へと変えていく気がする。
Posted by ブクログ
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いやあ、これはよかったなあ。読めてよかった。貸してもらってこれを今読めたのが最高に運がいい。
二作目の芳兵衛から、完全に作品の中に入った。p54-55の夫婦の会話(これは灯火管制)がすごくいいなあとなり、ここまでの三作がまず繰り返し繰り返し読みたくなる作品なのは間違いない。
虫のいろいろの好きなとこ
...続きを読むろは、いろいろな虫の特徴と、人間の性格を照らし合わせて主人公が自分とも重ねるところで、解説にも書いてあったけれど、尾崎一雄のそういう思考を覗きやすい作品でもある。
ここまでで大満足なのに、後半の蜂についての話がまたよかったなあ。家のそばの自然をよく見、よく書かれている。そういえば振り返ると松風もかなり印象に残っている。庄野潤三ののほうが後だけど、なんとなく似たものを感じたりもした。
Posted by ブクログ
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文学を志しながらも無軌道な生活を送り、長男としての役割も果たさず親族とは絶縁状態になってしまった著者だったが、再婚を機に生活を立て直し、芥川賞受賞など作品も評価されてくる。しかし、終戦前後の長い病臥生活。
漸く回復してからの過去を振り返って思う妻や子どものこと、親や神主だった祖父のことなど。
...続きを読む また、生活の周りの自然を興味をもって眺め、淡々と文章に綴った「苔」や「閑な老人」。(残念ながら苔や木々、蛾や尺取虫、これらに関心を持って相手をしようとする境地には至っていない)
そして「狸の説」。関口良雄『昔日の客』で知った古本屋店主関口と、尾崎士郎や尾崎一雄たち文士の親密さが、本編にも良く表われている。
この世に生きていることが楽しい、生死を彷徨った作者だけに、この言葉は重いし、羨ましい。
人生も後半に入り、日常生活を楽しんで過ごしている本作のような作品に魅力を感じるようになっている。
Posted by ブクログ
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・≪車内禁煙≫
昭和49年の作品。4,5年前に湘南電車の平塚・東京間が車内禁煙となったころのエピソード。日に50-60本吸う愛煙家の筆者が戸惑いながら、ルールを重んじ、守らない者に注意を促す。時代を感じる。
・筆者が農薬や化学品、人間の驕りに危機感を感じる気持ちが度々みられる。例えば、≪盛夏漫筆≫(
...続きを読む昭和50年)『私は彼らを可愛がっているが、だからといって、それにたかる虫を一匹残らずやっつけようという気はない。植物と昆虫のつながりは微妙であってそれをバッサリ断ち切ろうとするのは人間の思い上りであろう。この世の全責任を負えるほど人間はエラくはない。』
・≪小説の脊骨≫筆者の若い頃は、文学修業と言えば純文学を勉強することであったそうだ。純文学畑の人たちが稼ぎのために通俗小説などを書くようになったことを嘆く。通俗小説なり、式場小説なり、五十過ぎの作家の書くもののほうが若い人のよりもまだマシだという。五十代の作家は、検閲、取り締まり対策に露骨な言葉を使わぬよう必然的に文章がうまくならざるを得ないのだそうだ。筆者は、小説とは元来、事態によって変わってゆくもの、放っておけばいいと諦めつつも、文学界の将来を憂う。
・メモ。木山捷平 『茶の木』、大岡昇平、松井栄造(野球選手、懇意にしていたが戦死した)、浅見淵
他に、暢気眼鏡映画化の際のエピソードも昭和十五年 島耕二監督 日活多摩川作品。原作とはまったく違っていて尾崎は腹を立てた。
Posted by ブクログ
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やはりベストは『虫のいろいろ』。額のしわで一匹の蠅をつかまえながら(くしゃおじさんに匹敵)、そこから確率論、宇宙の有限or無限まで話がいって、最後は「うるさくなったのだ」というサゲ。笑える。
続く「蜂」の連作もよい。対象即自己。『城ノ崎にて』を落語にするとこんな感じか。
Posted by ブクログ
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