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その出発以来、同時代の「知」に、圧倒的な衝撃を与えつづけて来た著者の、秀れた光芒を放つ第一評論集。群像新人文学賞受賞作「意識と自然――漱石試論」をはじめとし、その後の『マルクスその可能性の中心』『日本近代文学の起源』『探究1』『探究2』など、柄谷行人のその後の力業を予告する、初期エッセイ群。
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Posted by ブクログ
読む、考える、本を読むというのはこういうことだ。批評や評論はこのように描いたらどうだ・・・。 20代の柄谷行人が巨人に真正面から挑み、荒削りで衒いなく身をもって教える。 柄谷が文学研究のとば口で人生を賭けて夏目漱石や江藤淳、小林秀雄や吉本隆明などの作品を思索する本質的で奔放な論考を取り纏めたもので...続きを読むある。 31歳で最初に出版した評論集は彼の思考の一里塚であることに違いはない。今でも読む者の心に迫る。 古井由吉の「内向の世代」の評価は斬新で納得である、彼の作品を読んでみようという気になる。
柄谷行人 「畏怖する人間 」 夏目漱石の存在論的な恐れ(内側から見た私)を抽出し、その系譜として 小林秀雄、吉本隆明、江藤淳らの思想的到達点をたどる構成。夏目漱石から吉本隆明への系譜はわかりやすかった。 意識と自然(漱石試論1) 漱石小説の二重構造を指摘し、漱石の存在論的な恐れ から漱石の内的...続きを読む世界を論じている 意識と自然とは *意識=自分に始まり自分に終わる=自分=社会 *自然=当然あるべき世界〜社会の規範と背立する=存在しないもの *自然と人間の関係〜人間は「自然」を抑圧し、無視して生きるが、それによって自らを荒廃させるほかない 漱石は人間の心理が見えすぎる自意識の持ち主だったため、見えない何ものかに畏怖する人間だった 漱石の内的世界 *社会に背立する私 *正体不明の不安〜私はどこから来て、私は何であり、どこへ行くのか *行き止まりの先にまだ奥がある 吉本隆明 *人間はもともと社会的人間ではない〜孤立して、自由に食べ考える「個人」であればいい〜自立とは孤独であること *吉本隆明が自立の根拠にすえているのは「自然」 吉本隆明は親鸞に「心理を乗り超えたものの影」をみた *善悪を決定するのは、人間の心理(意識)でなく、規範でもなく、それらを超えた何か *人間の善悪を「無意識の構造〜主観的な恣意性を超えた構造」において見る 漱石小説の二重構造 *倫理的位相と存在論的位相 *他者としての私(外側から見た私)と他者として対象化しえない私(内側から見た私)
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畏怖する人間
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