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男の暴力性を誘発してしまう己の生理に怯える伊子(よしこ)。20年も前の性の記憶と現実の狭間で揺蕩う(たゆたう)國子。分別ある中年男杉尾と二人の偶然の関係は、女達の紡ぎ出す妄想を磁場にして互いに絡み合い、恋ともつかず性愛ともつかず、「愛」の既成概念を果てしなく逸脱してゆく。 濃密な文体で、関係の不可能性と、曠野の如きエロスの風景を描き切った長篇。谷崎潤一郎賞受賞。
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Posted by ブクログ
ふつうの物語としてめちゃめちゃおもしろい、ほとんどの人間が神経症にかかっている、それから解説にもあるけれどホテルのエレベーターをおりてから國子の部屋に向かうまでのながれはぞっとするほどすばらしい。ただ妻子持ちの四十代でこんなんなのか、という所感は否めない。
あー……しんどかった……。 こんなん中年じゃなきゃわからないでしょ! なんでそんなに物忘れ激しいのかとか、なんで関係を結ぶのをそんなにもかたくなに避けるのかとか…… 中年の危機をしらない若者からしたらファンタジーですよ。読むのが15年早かった。 過去に夜這いのようなかたちで誰かに抱かれたという園子...続きを読む、 よく男に付け回され怯える伊子、 そして自宅マンションの真上で殺人が起こったバーのママさん、 ある日を境に女たちが杉尾を中心として…近づいてくるわけでなし、かといって遠のくわけでもなく、ある一定の距離を保ちながら少しずつ…すがっているようにも見え、誘惑するようにも見え。 女たちはそれぞれに恐怖と妄想を抱いている。杉尾は次第にその恐怖や妄想に絡め取られていくような感じで、ありもしない記憶を思い出したり、 でもってあの時園子と寝たのは誰だったか、 よくわかりませーん! いわゆる長篇小説のような、3分の1読んだら読書スピードがあがる、ということもない。物語が動き出すといったこともなく、はじめから最後まで同じ温度である。かえってよく書けたな、とも思う。
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槿
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古井由吉
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