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Posted by ブクログ
久しく触れていなかった、上質な文学。スマホもネットも登場しないどころか、穏やかで落ち着きのある文章にはカタカナも少ない。
安易な言葉と早いテンポの刺激的なストーリーが氾濫する今日、ときにはこういう大御所の作品に触れてバランスを取ることも大事だと気づかされた。
8話の短編は、どれも死が身近にある。現実と幻想とが入り交じり、時間も空間も行き来して、ときには怪談のような異世界に紛れ込んだよう。なのに、地に足が着いていて、味わい深い随筆のようにも思えるから不思議だ。
学生時代、芥川賞受賞作の「杳子」を読んで心が揺さぶられたことを思い出す。精神を病んだ女性を描いた作品を理解した自分が、少し大人になったような気がして、ちょっとうれしかったものだった。
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