《海は暗く深い女たちの血にみちている。私は身体の一部として海を感じている。……》 年上の男子生徒とのセックスの体験を鋭利な感覚で捉えて、身体の芯が震える程の鮮烈な感銘を与えた秀作。作家の出発を告げた群像新人賞受賞「海を感じる時」と、大学生となった、その後の性意識と体験を描き深めた野間文芸新人賞「水平線上にて」。力作2篇収録。
Posted by ブクログ 2019年01月05日
映画を観てから試しに読んでみたら、映画とは大きく違っていて原作がとても好き。
映画のエロさを期待したら原作は物足りないかもしれない。
映画は言葉は古いのに出で立ちは現代でちぐはぐだったしかもセックスのシーンばかり、主人公ふたりが暴力的な阿呆に見えたけれど原作だと優しさや苦悩や狂気がわかりやすくて面...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年01月28日
機内はまた初物シリーズ、中沢けい。最近の人では無いが読んだこと無かった。最近映画化された「海を感じる時」と、「水平線上にて」の2作。どちらも自伝的小説に思えるぐらいテーマは酷似している。映画のキャッチは官能的だとか少女が女にだとかが目立ったが、文章からそう言うイメージは受けず、内面がこぼれるように著...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年10月28日
【感想】
「海を感じる時」
作者が18歳の時の作品とのことで、
主人公の繊細な感受性がリアルに伝わってくる。
心が空虚なとき、
それを埋めるかのように、
人の温もりが欲しくなる、という気持ちは分かる。
そして、自分や母の中に「女」というものを見出した時の、同族嫌悪的な話も分かる。
そのドロドロとした...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
これは友人の勧めで読みました。続き、「水平線にて」も近々読みたいと思います。
作者18歳の時の作品ということで、私としては荒削りな面もある作品かなと思って読み始めたのですが、
その内容(年上の男子生徒とのセックスの体験を鋭利な感覚で捉えて…(紹介文より抜粋))のせいだけでなく
その全体としての雰囲気...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年12月09日
『海を感じる時』 一回目(2021/12/09)
くだらないことをしたことがないからわからない
という母の言葉は先に死んでしまった父への憎しみや愛が行く先がないがゆえに、証明ができないがゆえにどす黒いものになってしまった、そこから生まれた言葉に思えた。自分の言葉で自分を正し、証明し、守ろうとしてい...続きを読む