作品一覧

  • 駄目も目である ――木山捷平小説集
    5.0
    1巻990円 (税込)
    木山捷平は詩人として活動をはじめ、太宰治や井伏鱒二と交流を持ちながら小説家としての才能を開花させる。飄逸でユーモアに溢れる世界は唯一無二。決してよく知られた作家ではないが、現在まで静かに愛され続けてきた。木山作品をこよなく愛する岡崎武志が、木山自身を投影した“正介”が登場し東京の街を闊歩する作品を中心に編んだオリジナル作品集。「軽石」「苦いお茶」「下駄の腰掛」ほか収録。
  • P+D BOOKS 耳学問・尋三の春
    -
    1巻770円 (税込)
    悲惨な状況を笑いに変える木山捷平の真骨頂。  満州で現地招集されたものの、数日で終戦となり、日本に帰国する術がないまま現地で過ごしていた〈私〉。ある日、シベリア送りにする日本人を徴発していた巡査につかまってしまい、目を盗んでなんとか逃げだしたものの、その先ではロシヤ兵が待ち構えていた。付け焼き刃で覚えていたロシヤ語を駆使して事態を打開しようとするが――。  危機的かつ悲惨な状況をユーモラスな筆致で描いた直木賞候補作「耳学問」のほか、太宰治らとの交流を綴った「玉川上水」、小説デビュー作にして芥川賞候補となった「抑制の日」など13篇を収録した、“短篇の名手”木山捷平の面目躍如の一冊。
  • P+D BOOKS 大陸の細道
    -
    1巻605円 (税込)
    ソ連軍侵攻直前の満州を、ユーモラスに描く。 昭和19年、いわゆる“三文文士”の木川正介は、永く喘息と神経痛とを患っており、招集も受けずにくすぶっていた。そこへ、某開発公社の嘱託の話が舞い込んできて、厳寒の満州に赴くことに。物資不足などで環境は厳しいものの、内地にいるより自由がきく日々をそれなりに楽しんでいた正介だが、突然、召集令状が舞い込んできて――。 戦争に対しても、上官に対してもシニカルに見る姿勢を保ちつつ、現地の人々との交流など満州での日常を、生々しくユーモラスに描いた傑作長編小説。第13回芸術選奨文部大臣賞受賞作。
  • 去年今年
    -
    1巻440円 (税込)
    飄々として、清廉と一パイの酒を愛し、片隅の人生、ささいな市井事にも慈しみの眼を向けつづけた著者が、胸にせまる実感と鮮やかなユーモアで綴った短編集。著者自らが選んだ珠玉の十編を収録した、最後の自選集。
  • 酔いざめ日記
    -
    1巻2,607円 (税込)
    昭和七年(二七歳)から、亡くなる直前の昭和四三年(六四歳)までの木山捷平の日記、初文庫化。詩から始まり、昭和八年に太宰治たちと同人誌「海豹」創刊後、小説を発表し、様々な作家と交遊を深めた木山。生活は困窮をきわめ、体調をくずしながらも書き続けた日々。作家の心情、家庭生活、そして何よりも、自らの死までも、じっと作家の眼で冷静に描ききった生涯の記。
  • 落葉・回転窓 木山捷平純情小説選
    -
    1巻1,562円 (税込)
    男と女の出会いと恋愛の機微を永久の時間のなかで紡ぎ出す短篇小説の魔術師・木山捷平。その鮮麗なる筆致は読む者すべてを魅了する。「村の挿話」「猫柳」「空閨」「増富鉱泉」「男の約束」「落葉」「回転窓」「留守の間」「口婚」「好敵手」「七人の乙女」を収録。
  • 新編 日本の旅あちこち
    -
    1巻1,672円 (税込)
    木山捷平は、昭和三十年代後半から四十年代前半の彼の晩年ともいえる日々を、日本中を旅する取材執筆に費やした。北海道から九州まで、日本の津々浦々を巡り「新しい紀行文」を書き続け、それは詩や小説にも昇華した。それぞれの土地に、死の陰を刻みながら・・・。初めての北海道旅行での詩「旅吟」から、病床で書かれた最後の詩「オホーツク海の烏」を収録、二九篇厳選。
  • 長春五馬路
    2.3
    1巻1,353円 (税込)
    ひたすら、淡々と、生きる、長春で。敗戦後、木川正介は、毎日五馬路に出掛ける。知り合いの朝鮮人の配下となり、大道ボロ屋を開業して生きのびている。飄々として掴みどころなく生きながら、強靭な怒りにささえられた庶民の反骨の心情は揺るがない。深い悲しみも恨みもすべて日常の底に沈めて、さりげなく悠然と生きる。想像を絶する圧倒的現実を形象化した木山文学の真骨頂。著者最後の傑作中篇小説。
  • 鳴るは風鈴 木山捷平ユーモア小説選
    3.7
    1巻1,353円 (税込)
    〈桜桃忌〉に出られなかった事から太宰治を回想する「玉川上水」、敗戦直後郷里に疎開した頃の日常を描き飄逸味を漂わせた「耳かき抄」。表題作をはじめ「逢びき」「下駄の腰掛」「山つつじ」「川風」「柚子」「御水取」など身辺の事柄を捉えて庶民のうら哀しくも善良でしたたかな生き方を綴った諧謔とペーソス溢れる木山文学の真骨頂、私小説的作品を中心に新編集した傑作11篇。
  • 井伏鱒二 弥次郎兵衛 ななかまど
    4.0
    1巻1,111円 (税込)
    日本の"親爺"木山捷平最晩年の飄々短篇集。常に市井の人として一貫し、独特の詩情溢れる飄々たる人生世界を描出した木山捷平最晩年の珠玉短篇。敬愛する井伏鱒二の秀抜な素描、若き太宰治の真摯な青春像。
  • 大陸の細道
    -
    1巻990円 (税込)
    M農地開発公社嘱託として満州に赴いた木川正介。喘息と神経痛をかかえ、戦争末期の酷寒の中で、友情と酒を味方に人生の闘いをはじめる。庶民生活の中の「小さくて大きな真実」。“日本の親爺”木山捷平が、暖かく、飄逸味溢れる絶妙の語りくちで、満洲での体験を私小説世界に結晶させた。芸術選奨受賞作。
  • 木山捷平全詩集
    3.5
    1巻1,353円 (税込)
    心やさしく、なつかしい、暖かな世界・木山捷平詩。常に、弱きものたち、めぐまれることすくないものたちへ、心からの手をさしのべ、暖かな声援を送る、市井の人、木山捷平の第1詩集『野』、第2詩集『メクラとチンバ』、第3詩集『木山捷平詩集』と、生前未刊行の詩、短歌、俳句を、木山みさを夫人が心をこめて編んだ“人生の歌”全詩集!
  • 白兎・苦いお茶・無門庵
    4.0
    1巻1,463円 (税込)
    敵の戦車に人間爆弾となって廃兵が飛び込む訓練を繰り返す。そんな理不尽きわまる敗けいくさ。夫たちが徴兵され、著者がいみじくも名付けた半後家たちとの置き去りにされた生活。“一年が百年にも感じられる”流謫の生活の中でも、市井に生き続ける“在野”の精神を飄々たる詩魂で支え、正に“人生の歌”を歌った木山捷平、中期・晩年の代表的短篇。

ユーザーレビュー

  • 駄目も目である ――木山捷平小説集

    Posted by ブクログ

    短篇というのは、読んでいる最中は意想外なストーリー展開や彫琢された文章の美しさに夢中になって時を忘れたりするが、私の場合、読後数日から数週間もするとその内容をあらかた忘れてしまう。だから数年もたつと、再読でもほとんど初読の作品と同じように楽しめることになる。読んでいて「ああ、これは読んだことあったな」と気づいても、前に読んだときにはあまり印象に残らなかった場面や情景描写に出くわして、その作品の魅力を再確認することになる。

    木山捷平は、そういう何度でも楽しめる短篇をいくつも残している。戦争や貧乏生活など厳しい経験を持っていながら(持っているからこそ)、陰気にならず、巧まぬユーモアがある。

    0
    2025年04月19日
  • 井伏鱒二 弥次郎兵衛 ななかまど

    Posted by ブクログ

    はじめましての作家さん
    文章にユーモアと情緒感があり
    ほんのりした男女の機微
    読後ほっこりした優しさがある
    今まで読んだこと無かったのが
    と〜っても残念!
    今後見かけたら購入したい
    作家さんになった

    0
    2025年01月29日
  • 井伏鱒二 弥次郎兵衛 ななかまど

    購入済み

    文章の名人

    短編小説とも随筆とも読める作品が収録されているが、文章の見本お手本集とも読める。井伏鱒二と太宰治という山脈に隠れてわかりにくいが、木山独自の名峰、山岳を見事に築きあげたのだと改めて感心させられた。文章の呼吸法には、山口瞳のようなユーモアと毒が混じっているようで、品が良く、昭和文士の香りが懐かしい。個人的には「ナナカマド」が特に気に入りました。

    0
    2024年02月09日
  • 鳴るは風鈴 木山捷平ユーモア小説選

    Posted by ブクログ

    タイトルからして、なんて風流で涼やかな、と思いつつ手にしたものの、風鈴が鳴る理由に意表を突かれました(笑)この外し方が木山捷平節なのではないでしょうか。そんな感じの、タイトルどおりユーモラスな短編を集めた一冊でした。
    「耳かき抄」「逢引き」「下駄の腰掛け」あたりは電車で読みながらニヤついてしまいます。(木山さんの頭の中で発想連携はどう繋がっているのだろう…と思わずには居られない)「柚子」はお気に入り。旅先で出会う女性とのなんやかやの話ではあるのですが、一般的に期待されるような展開にならずに済むのが良いです。そしてふんわりとした気持ちにさせられると云う…。

    0
    2019年08月19日
  • 井伏鱒二 弥次郎兵衛 ななかまど

    Posted by ブクログ

    ゆっくりのんびりマイペースに読める一冊。ザ★木山捷平。
    日常を流れていく様なゆるりとした文体で丁寧に描く。人情描写も諄さの無い、染み入る様な優しさに癒されますね。

    「鼠ヶ関」「赤い提灯」「弁当」あたりがお気に入りです。
    最後の2編はタイトル通り。太宰と井伏鱒二について綴って云います。
    井伏鱒二の弟子、と云うと、本当にバラエティ豊かだなあと思います(笑)木山捷平も小沼丹も、太宰好きな知人から勧められて読み始めたのですが、似ている様で味わいが全く違う!太宰も、強いて言えば開高健もまったく違うけれども、井伏門下生と云われてみると、「あぁ、そうかもね」と頷ける不思議。

    0
    2019年08月19日

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