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Posted by ブクログ
短篇というのは、読んでいる最中は意想外なストーリー展開や彫琢された文章の美しさに夢中になって時を忘れたりするが、私の場合、読後数日から数週間もするとその内容をあらかた忘れてしまう。だから数年もたつと、再読でもほとんど初読の作品と同じように楽しめることになる。読んでいて「ああ、これは読んだことあったな」と気づいても、前に読んだときにはあまり印象に残らなかった場面や情景描写に出くわして、その作品の魅力を再確認することになる。
木山捷平は、そういう何度でも楽しめる短篇をいくつも残している。戦争や貧乏生活など厳しい経験を持っていながら(持っているからこそ)、陰気にならず、巧まぬユーモアがある。
「苦いお茶」「下駄の腰掛」「軽石」などは、読む回数を重ねるごとに味の出てくる、するめ烏賊のような短篇だ。
木山作品は講談社文芸文庫で多く読めるが、岡崎武志氏が編纂したこの本は、一冊本の短篇選集として決定版と言えるだろう。
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