舟橋聖一の一覧
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ユーザーレビュー
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平成維新の時来る
天下、世界が割れる時が来た。日本はいずこへ。判断を謝れば幕末の憂えき時や終戦後に逆戻りするであろう
朝臣源虎起
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ナカムラ君は、島耕作の初芝電産みたいな超有名電器メーカーの幹部社員だ(まかり間違うと、耕作みたいに将来社長になっちゃうかも、と私は秘かに期待してる)。仕事上の係わりで知り合って十年になるのだが、今では飲みながら歴史と歴小説について熱く語り合うことができる唯一の友である。いうなれば「歴友」なのだ。
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その我が歴友ナカムラ君が、「MARUZEN」の表紙を被った文庫本を二冊、差し出して、
「室長に是非読んでいただきたくて、勝手に買ってきちゃいましたっ。コレいいんですよねぇ。読んでみてクダサイ」
という。
みると舟橋聖一著『花の生涯』上下巻ではないか。そういう経緯であったので、かなりの長編なのだが心して丁寧に読んだ。大真面目に考えながら読んだ。なにしろ次に会った時には、ナカムラ君を唸らせるぐらいの感想を披歴しなきゃならない、それが歴友の礼儀というものだ。
大老井伊直弼の生涯を描いたこの物語は、NHKの大河ドラマの記念すべき第一作目の原作である。大河はこの物語から始まったのだ。その事を、読んでいる途中、定年まじかな先輩社員から聞いた(なにしろ放映当時私は幼稚園児、ナカムラ君は生まれてもいない)。以来今年の『竜馬伝』で51作目(途中1年2作の年もあった)となるのだが、そのうち8作前後が幕末期を舞台にしている。誠に皮肉なことに第1作を唯一の例外として全ての物語で井伊直弼は「悪い奴」か「嫌な奴」として登場する。いちいち検証したワケではないが、記憶する限りでは吉田松陰や西郷隆盛が主人公であるドラマでは当然のことだが完全な敵役である、だから「悪い奴」。篤姫や徳川慶喜を描いたものではライバルを支援して自陣営を圧迫する「嫌な奴」として描かれる。
ドラマだけじゃない。世間一般の井伊直弼観とは如何かと、試しに日本史の教科書と日本史用語集とをチェックしてみたら、「幕府の強圧政治」の象徴とか、「反対派を安政の大獄で弾圧」だのとやはり悪役扱いである。教科書までもが一方的な「勝てば官軍」史観に毒されているのにはあきれてしまう。忠臣蔵のクライマックスで吉良の首が掲げられたのに喝采するのと同様に、桜田門外で直弼が斬殺された場面で溜飲を下げるというのがほとんどの幕末物ではお約束かもしれない。
でも本当にそれでいいのか。
あの時代のあの瞬間に開国を断行した歴史上の功績を無視したり過小評価してよいのか。
反対派の「攘夷」なる主張は、笑止な愚論ではないのか。
時の宰相をテロリズムにより暗殺することが権力闘争の手段として正当化されて良いのか。
著者の舟橋聖一が示した視点は、明治維新礼賛の熱から未だ覚めやらず、条理を見失ったままの我々の愚かさを鋭く突いている。
同時に、権力者の地位に立った者はすべからく権力欲の権化に決まっている、という人間を見る目の底の浅さをもあざ嗤っているかのようだ。『花の生涯』の直弼は、あくまで無欲な粋人である。幕閣はおろか藩主の地位さえもが望まぬのに押しつけられたものなのだ。死を賭した望まぬ重責を背をわされた彼の悲劇が見事に描き切られている。
勿論当時の流行作家舟橋の筆は、直弼と片腕の長野主膳の二人の男が、なんとも魅力あふれる村山たかなる一人の女性を巡って交錯する人間ドラマとしても生々しい。だが、その村山たかも綿密な取材により発掘された実在の人物である点も歴史小説としては意義深い。
ま、大真面目にこれ位のところまで考えておけば、ナカムラ君との論議が楽しみだ。
「遅くなりましたが、そろそろ二人で新年会でもどーですか?」
明日あたりメールしよう。
Posted by ブクログ
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6月に彦根城を訪れるので、何かまつわる小説をと思い立ち選ぶ。NHK第一作大河ドラマにもなっているらしくとっつきやすい。
井伊直弼のイメージは安政の大獄などで最悪だったにのに、視点が違うとこんなにも変わるのだろうか!
登場する村山たかは架空の人物だろうと思っていた予想は見事に裏切られ実在していた。著者
...続きを読むの舟橋聖一が取材する中で見つけ出した女性とか。諸田玲子が村山たかを主人公にして「奸婦にあらず」も上梓している。
今下巻を読んでいます
Posted by ブクログ
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記念すべき大河ドラマ第1回の原作です。悪役として認知されている井伊直弼を、日本のため、敢えて憎まれ役に徹するヒーローとして描いています。歴史小説としてはあまりに物語的ですから好き嫌いはあるのかもしれません。
Posted by ブクログ
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幕末の大老井伊直弼が、彦根藩の十四男として生まれ、他の大名から養子の口が無い限り、部屋住みの身分のまま生涯を終えるはずだった境遇から一躍大藩の藩主を継ぎ、大老の重責を負って・・・!井伊直弼って傍若無人のワンマンな人物じゃなかったのかな?と改めて歴史を考えさせられた。
前半を読んでから、自ら埋木舎(
...続きを読むうもれぎのや)と名付けた彦根城下の住まい(今も残っている)を見ると、感慨深いもの。
Posted by ブクログ
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