舟橋聖一のレビュー一覧
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ネタバレ内容(「BOOK」データベースより)
なぜ、広い世界に目を向けようとしないのか?―米国総領事ハリスの嘆きは、同時に井伊直弼の嘆きでもあった。もはや世界の趨勢を止めることはできない。徒らに攘夷を叫ぶことは、日本国自体を滅亡させることだった…。腹心長野主膳、それに直弼の密偵として、また生涯を賭して愛を捧げたたか女を配し、維新前夜に生きた直弼の波瀾の生涯を描く、不朽の名作。
井伊直弼=悪人のイメージは変わった。
名を残した人・名もなき人・・・何かを変えるには沢山の犠牲が出るが・・・
どんなに立派な人であってもやはり死んだらおしまい。直弼の言うとおりだわ。
しかし、最後までたか女の軽い行動が理解出来 -
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ナカムラ君は、島耕作の初芝電産みたいな超有名電器メーカーの幹部社員だ(まかり間違うと、耕作みたいに将来社長になっちゃうかも、と私は秘かに期待してる)。仕事上の係わりで知り合って十年になるのだが、今では飲みながら歴史と歴小説について熱く語り合うことができる唯一の友である。いうなれば「歴友」なのだ。
その我が歴友ナカムラ君が、「MARUZEN」の表紙を被った文庫本を二冊、差し出して、
「室長に是非読んでいただきたくて、勝手に買ってきちゃいましたっ。コレいいんですよねぇ。読んでみてクダサイ」
という。
みると舟橋聖一著『花の生涯』上下巻ではないか。そういう経緯であったので、かなりの -
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出身地が鹿児島なので、幕末を扱った小説となると薩長の視点から見てしまう事が多かった。ところが、今回は彦根藩主・井伊直弼。日本史では悪人として描かれ学習した記憶がある。大老となり不平等な日米通商条約を結び尊皇派志士らを多数投獄して処刑する安政の大獄を引き起こすからか、桜田門外で襲撃されても自業自得とばかり思っていた。
直弼は十四男だったので藩主となることはないと、政治から遠ざかり埋木舎(うもれぎのや)と自ら名付けた邸宅で世捨て人のように暮らしていた。気楽に書を読み歌を詠み茶人としても大成したという。
ところが思いがけず彦根藩主に祭り上げられ出府していくことになる。「人間はおのれの意思通りに歩いて -
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NHK大河ドラマの第一作(昭和38年放送)の原作です。
幕末の大老、彦根藩の井伊直弼さんが主人公だよ。
作者さんは旧制水戸高等学校の出身。
水戸に縁のある人が ひこにゃんの おやびんのお話を書いたのか…。
激動の時代、何が正義で何が悪だったのか、それは立場によってかなり変わると思います。
明治政府は薩長土肥の政権だったから、井伊さんの評価は今までかなり低かったと思う。
もちろん水戸の人間は複雑な思いがありまくり。
水戸市と彦根市が敦賀市の仲立ちで親善都市になったのは、昭和43年になってからだからね。
このお話では、井伊直弼さんは建前よりも実を取る勇敢な人として描かれていたよ。
きれいごとだ -
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ネタバレ大老井伊直弼の話。
安政の大獄を断行し,維新の志士達からは目の仇にされていた直弼だが,開国し,日本を強国にせねばならない,西洋の技術を日本に輸入しもっと良い暮らしを日本に導入せねばならないと考えていたことは,龍馬や勝らと同様であり,ただ,幕府方に居たということで,悪役の大親分に祭り上げられたように感じる。これまでの直弼は暗いイメージであったが,決してそうではなく,本書籍でその考えも一新され,見直したほどである。
あれほどの大獄を断行した直弼は,当然,自分も刺客に襲われて明日の命もどうなることか分からないと感じていたが,それをおしてまで,閉ざされた日本を開国の方向に舵をきったことは,荒治療ではあ