さすがは並みいる男性作家が選んだ作品集である。全部面白い。
「ちょっとちょっと…」と傍で話しかけられるような親しげな語り口と
抜群のリズム感が心地いい。特に気に入ったものを少し…。
「道化の華」
ラスト3行でいきなり視界がぱあっと広がり、ぞくっと怖くなる。
視点のトリックで読者を驚かせるのが上手い
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「彼は昔の彼ならず」
心の本質が似通った人間が近くにいると、お互いに感応してしまうのだろう。
口先三寸のペテン師のような男を非難している主人公の男もまた、
親の遺産で遊び暮らす怠け者。
才能ある芸術家のパトロンになりたいという、
彼の下心を見透かしたペテン師の作戦勝ち。